《レイバーネット日本から》
◆ 「体罰根絶」「いじめ防止」は、ことが起きた時のアリバイ作り?
今日も冒頭、木村教育委員長は、傍聴者が議事進行を妨害することがあれば法的措置をとるとの文章を読み上げました(都教委HP、定例会の画面に全文を掲載)。
1月9日の定例会の開催時刻を突然変えたことについて、謝罪すべきは都教委なのに、それはせず、一言質問した傍聴者Fさんを退場させ、威圧のつもりか、この文章を読み上げ続けています。実教出版「高校日本史A」「高校日本史B」を議題とした定例会以降、一時を除き、傍聴者席の後ろには10人の職員が監視役として座っており、会場は実に異様な、寒々とした風景です。
議題は四議案が公開、五議案が非公開で行われました。非公開の議案は、一つが校長、副校長の人事異動、四つが教員の懲戒処分でした。
◆ 都教委の「体罰根絶」「いじめ防止」は、ことが起きた時のアリバイ作り?
議題の一つは、「都立学校における部活動の適正な実施を図るために」(=部活動での体罰根絶のために)管理運営に関する規則の一部を改正するというものでした。
「改正」し、挿入した文言は、「学校は、部活動の年間目標、指導方針、指導内容、指導方法を定め、…部活動の指導業務を行う者は、当該部活動の指導方針等を当該部活動に参加する生徒及びその保護者に示さなければならない」というもの。
「顧問の考えだけで部活動を行うから体罰が発生する。学校として各部ごとに活動方針等を決め(立案し)、校長が決定するようにする。そうすれば、体罰がなくなる」「実質指導をする外部指導員がいる場合はその人が決め、次に生活指導部が、最後に校長が見て決定する」と、都教委の説明でした。
2005年以降、「説明責任」とやらで、各教科ごとの年間指導計画や指導方法を保護者に示すとか、1週間の授業計画や実施後の反省(=週案という)を校長に提出するとか、教員を忙しくし、子どもたちには何のメリットもない業務を都教委は次々に教員に課してきました。今回、それを部活動にまで広げたわけです。
「カッとなって体罰をする場合が多いのであり、果たしてこの制定で体罰が減るのだろうか」「外部指導員が離れていくことはないか、(懸念する)」(乙武委員)などの意見が出されましたが、いつもどおり発言しただけで議論はなく、原案は可決されました。
報告事項の一つは、「いじめ問題に対応できる力を育てるために―いじめ防止プログラム―」の作成について、でした。この題名の冊子を全教員に4月に配布し、5月からの実施を求めています。
教員は、
①「いじめを傍観しない基盤づくり=いじめを見て見ぬふりをしない、クラスをつくる」
②「いじめを生まないための互いの個性の理解=『自分らしさ』、友達の『その人らしさ』に気づき、自分の価値を知る」
③「いじめを生まない望ましい人間関係の構築=相手の気持ちを考えて伝えたいことを伝えるなどのコミュニケーション力を高める」
④「いじめを絶対にしないための気持ちの整理=いじめをしないために、自分の気持ちをコントロールする」
ことを狙いとして、東京学芸大こども未来研究所が開発協力した学習指導案をもとに年3回の授業を行う。
また、授業力をつけるために、「教員研修プログラム」に沿った研修を年に3回受講するというものです。
「いじめた子どもとその保護者に対するケアが大事」「日本社会には傍観者が多い。それについてどう考えるか」などの発言が教育委員からありましたが、論議はなく、この報告も承認されました。
都教委が「内心は反対でいいから、「君が代」起立の命令には従え」と処分を使って教員を弾圧し支配してきたことが、教員を委縮させ、また、職階制と管理が学校職場でのいじめ、パワーハラスメントを生んできた現実。「電車に飛び込んだらどうか」と若い教員に向かって校長が言った事実を聞いています。
委縮させられた教員に、子どもたちがいじめを直視し、立ち向かえるような働きかけ・授業など、できるとは思えません。「自由のない教師に自由を教えることはできない」のです。
子どものいじめが、大人社会の反映であることは、論を待ちません。
いじめ防止のために都教委がすべきことは、まずは教員を自由にすること、支配介入を止めることです。
私の体験でも、職員会議の論議によって教育活動を行えていた学校では、いじめが社会問題化していた時期であっても、教員は子どもたちに自治活動を促す働きかけができ、子どもたちがいじめに走ることはありませんでした。
教育委員会の支配を払いのけ、先生たちが頑張ってくれていると、教員たちの姿から生徒たちは感じ取り、学んでくれていたのでした。
そうしたことを私は生徒たちから何度も告げられていましたから、教員を自由にすることがいじめの解決への一番の近道であると、自信を持って言うことができます。
「体罰根絶」にしても「いじめ防止」にしても、事務方、教育委員ともに、現場を見てしっかり論議することをしていません。やっていることは、ことが起こった時のアリバイ作りでしかないと思いました。
報告のもう一つは、「平成26年度教育庁主要施策について」。「次世代リーダー育成道場」の充実やオリンピック教育の充実、一泊二日の宿泊防災訓練等、来年度の施策の重点を提示。エリートには税金を注ぎこみ、非エリートには愛国心を植え付ける、我慢ならない新自由主義の教育施策です。
公開議題が終わり、木村委員長が傍聴者に「退場」を告げると、定例会担当職員たちは、傍聴者が一刻も早く退場するよう、せかします。資料をカバンにしまう時間さえ、待てないという対応に、腹立たしい気持ちで退場しました。
■ 1月23日の定例会を突然、9時半開始としたことについてのその後
この件に関し私は、質問と傍聴者への謝罪要求を書面で出していました。教育長、教育委員長、内館、山口、竹花、乙武、各教育委員、教育政策課長に宛てて出したのですが、届いた回答は教育政策課からのみでした。上は責任を取らないということでしょうが、私は教育委員の一人ひとりに訊きたかったのです。
回答は、
①「次回定例会は1月23日10時と告げた」のではなく、「9時」と告げた。
②定例会の際に口頭で伝える「今後の日程」は、あくまでも予定。最終的に決定した日時等については、従前から、原則として各定例会の2開庁日前日にホームページ等で告示をしている。
というものでした。2日前にホームページで見て来い、という回答です。とても納得できるものではありません。
そこで私は27日、教育政策課の職員に、「定例会で告げる際に、あくまでも予定であって、変更もある旨告げるべきでしょう。しかし、それをしなかったのだから、傍聴者に謝罪すべきでしょう。その不手際が、傍聴者の一人を退出させたのですよ。」と口頭で質問し抗議したのですが、返事はありませんでした。
今日、28日、定例会のHPを見てびっくり。
「・日程について、諸般の事情等で変更がある場合には、あらかじめ告示してお知らせいたします。・最終的に確定した日程は、下の『教育委員会の開催 第○回定例会(○月○日)』の告示により御確認ください。通例、告示は、定例会開催日の2日前に行っています。」と、書かれていたのです。
(定例会HPはこちら→http://www.kyoiku.metro.tokyo.jp/gaiyo/kokuji.htm)
これを掲示したということは、1月9日の≪次回日時の告げ方≫に不手際があったことを都教委が認めているということです。論理上は、そういうことだと思います。
傍聴者に不手際を謝罪すると、Fさんに出した退出命令を取り消すことに追い込まれる。そう考えて、都教委は一言の謝罪もしないということでしょうか。
次回定例会は3月27日(木)です。この定例会で卒業式の「君が代」処分案件が出されると思います。
『レイバーネット日本』(2014-03-02)
http://www.labornetjp.org/news/2014/0227nezu
◆ 「体罰根絶」「いじめ防止」は、ことが起きた時のアリバイ作り?
今日も冒頭、木村教育委員長は、傍聴者が議事進行を妨害することがあれば法的措置をとるとの文章を読み上げました(都教委HP、定例会の画面に全文を掲載)。
1月9日の定例会の開催時刻を突然変えたことについて、謝罪すべきは都教委なのに、それはせず、一言質問した傍聴者Fさんを退場させ、威圧のつもりか、この文章を読み上げ続けています。実教出版「高校日本史A」「高校日本史B」を議題とした定例会以降、一時を除き、傍聴者席の後ろには10人の職員が監視役として座っており、会場は実に異様な、寒々とした風景です。
議題は四議案が公開、五議案が非公開で行われました。非公開の議案は、一つが校長、副校長の人事異動、四つが教員の懲戒処分でした。
◆ 都教委の「体罰根絶」「いじめ防止」は、ことが起きた時のアリバイ作り?
議題の一つは、「都立学校における部活動の適正な実施を図るために」(=部活動での体罰根絶のために)管理運営に関する規則の一部を改正するというものでした。
「改正」し、挿入した文言は、「学校は、部活動の年間目標、指導方針、指導内容、指導方法を定め、…部活動の指導業務を行う者は、当該部活動の指導方針等を当該部活動に参加する生徒及びその保護者に示さなければならない」というもの。
「顧問の考えだけで部活動を行うから体罰が発生する。学校として各部ごとに活動方針等を決め(立案し)、校長が決定するようにする。そうすれば、体罰がなくなる」「実質指導をする外部指導員がいる場合はその人が決め、次に生活指導部が、最後に校長が見て決定する」と、都教委の説明でした。
2005年以降、「説明責任」とやらで、各教科ごとの年間指導計画や指導方法を保護者に示すとか、1週間の授業計画や実施後の反省(=週案という)を校長に提出するとか、教員を忙しくし、子どもたちには何のメリットもない業務を都教委は次々に教員に課してきました。今回、それを部活動にまで広げたわけです。
「カッとなって体罰をする場合が多いのであり、果たしてこの制定で体罰が減るのだろうか」「外部指導員が離れていくことはないか、(懸念する)」(乙武委員)などの意見が出されましたが、いつもどおり発言しただけで議論はなく、原案は可決されました。
報告事項の一つは、「いじめ問題に対応できる力を育てるために―いじめ防止プログラム―」の作成について、でした。この題名の冊子を全教員に4月に配布し、5月からの実施を求めています。
教員は、
①「いじめを傍観しない基盤づくり=いじめを見て見ぬふりをしない、クラスをつくる」
②「いじめを生まないための互いの個性の理解=『自分らしさ』、友達の『その人らしさ』に気づき、自分の価値を知る」
③「いじめを生まない望ましい人間関係の構築=相手の気持ちを考えて伝えたいことを伝えるなどのコミュニケーション力を高める」
④「いじめを絶対にしないための気持ちの整理=いじめをしないために、自分の気持ちをコントロールする」
ことを狙いとして、東京学芸大こども未来研究所が開発協力した学習指導案をもとに年3回の授業を行う。
また、授業力をつけるために、「教員研修プログラム」に沿った研修を年に3回受講するというものです。
「いじめた子どもとその保護者に対するケアが大事」「日本社会には傍観者が多い。それについてどう考えるか」などの発言が教育委員からありましたが、論議はなく、この報告も承認されました。
都教委が「内心は反対でいいから、「君が代」起立の命令には従え」と処分を使って教員を弾圧し支配してきたことが、教員を委縮させ、また、職階制と管理が学校職場でのいじめ、パワーハラスメントを生んできた現実。「電車に飛び込んだらどうか」と若い教員に向かって校長が言った事実を聞いています。
委縮させられた教員に、子どもたちがいじめを直視し、立ち向かえるような働きかけ・授業など、できるとは思えません。「自由のない教師に自由を教えることはできない」のです。
子どものいじめが、大人社会の反映であることは、論を待ちません。
いじめ防止のために都教委がすべきことは、まずは教員を自由にすること、支配介入を止めることです。
私の体験でも、職員会議の論議によって教育活動を行えていた学校では、いじめが社会問題化していた時期であっても、教員は子どもたちに自治活動を促す働きかけができ、子どもたちがいじめに走ることはありませんでした。
教育委員会の支配を払いのけ、先生たちが頑張ってくれていると、教員たちの姿から生徒たちは感じ取り、学んでくれていたのでした。
そうしたことを私は生徒たちから何度も告げられていましたから、教員を自由にすることがいじめの解決への一番の近道であると、自信を持って言うことができます。
「体罰根絶」にしても「いじめ防止」にしても、事務方、教育委員ともに、現場を見てしっかり論議することをしていません。やっていることは、ことが起こった時のアリバイ作りでしかないと思いました。
報告のもう一つは、「平成26年度教育庁主要施策について」。「次世代リーダー育成道場」の充実やオリンピック教育の充実、一泊二日の宿泊防災訓練等、来年度の施策の重点を提示。エリートには税金を注ぎこみ、非エリートには愛国心を植え付ける、我慢ならない新自由主義の教育施策です。
公開議題が終わり、木村委員長が傍聴者に「退場」を告げると、定例会担当職員たちは、傍聴者が一刻も早く退場するよう、せかします。資料をカバンにしまう時間さえ、待てないという対応に、腹立たしい気持ちで退場しました。
■ 1月23日の定例会を突然、9時半開始としたことについてのその後
この件に関し私は、質問と傍聴者への謝罪要求を書面で出していました。教育長、教育委員長、内館、山口、竹花、乙武、各教育委員、教育政策課長に宛てて出したのですが、届いた回答は教育政策課からのみでした。上は責任を取らないということでしょうが、私は教育委員の一人ひとりに訊きたかったのです。
回答は、
①「次回定例会は1月23日10時と告げた」のではなく、「9時」と告げた。
②定例会の際に口頭で伝える「今後の日程」は、あくまでも予定。最終的に決定した日時等については、従前から、原則として各定例会の2開庁日前日にホームページ等で告示をしている。
というものでした。2日前にホームページで見て来い、という回答です。とても納得できるものではありません。
そこで私は27日、教育政策課の職員に、「定例会で告げる際に、あくまでも予定であって、変更もある旨告げるべきでしょう。しかし、それをしなかったのだから、傍聴者に謝罪すべきでしょう。その不手際が、傍聴者の一人を退出させたのですよ。」と口頭で質問し抗議したのですが、返事はありませんでした。
今日、28日、定例会のHPを見てびっくり。
「・日程について、諸般の事情等で変更がある場合には、あらかじめ告示してお知らせいたします。・最終的に確定した日程は、下の『教育委員会の開催 第○回定例会(○月○日)』の告示により御確認ください。通例、告示は、定例会開催日の2日前に行っています。」と、書かれていたのです。
(定例会HPはこちら→http://www.kyoiku.metro.tokyo.jp/gaiyo/kokuji.htm)
これを掲示したということは、1月9日の≪次回日時の告げ方≫に不手際があったことを都教委が認めているということです。論理上は、そういうことだと思います。
傍聴者に不手際を謝罪すると、Fさんに出した退出命令を取り消すことに追い込まれる。そう考えて、都教委は一言の謝罪もしないということでしょうか。
次回定例会は3月27日(木)です。この定例会で卒業式の「君が代」処分案件が出されると思います。
『レイバーネット日本』(2014-03-02)
http://www.labornetjp.org/news/2014/0227nezu
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