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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

冤罪者の無念が、民主主義の柱としての裁判を裁いている

2022年05月26日 | 人権
 ◆ 開かずの扉 (東京新聞【本音のコラム】)
鎌田 慧(かまたさとし・ルポライター)

 「浜の真砂は尽きるとも」と言ったのは石川五右衛門だが「濡(ぬ)れ衣(ぎぬ)」で逮捕される冤罪(えんざい)被害者も尽きることはない。
 一九六六年、三十歳の袴田巌さんは一家四人殺しの疑いで逮捕され、後に死刑宣告。四十八年たってやっと警察の証拠偽造が認められ「これ以上拘束を続けることは耐え難いほど正義に反する」と静岡地裁が死刑と拘置の執行を停止、再審開始決定
 だが、検察官が抗告したので、八十六歳でまだ「死刑囚」の不名誉を拭い去ってはいない。
 先週、この欄で紹介した石川一雄さんは二十四歳で逮捕され、一審死刑、二審無期懲役。八十三歳でまだ「殺人犯」のまま。再審は始まらず、「見えない手錠をはめられている」と訴えている。
 鹿児島県大崎町の農民殺人事件は、容疑者とされた家族に知的障害があったとされ、自殺や刑期満了などの悲惨。無実を訴えていた原口アヤ子さんは、再審開始判決を受けながらも、最高裁に覆(くつが)えされている。
 九十四歳。病床にありながら、再審開始を訴えている

 無実で処刑された福岡事件の西武雄さん。
 飯塚事件の久間三千年さん。
 熊本県ハンセン病施設で裁かれ処刑された菊池事件のFさん。
 三鷹電車転覆事件の死刑囚、獄死した竹内景助さん。
 やはり獄死した名張毒ぶどう酒事件の奥西勝さん。

 冤罪者の無念が、民主主義の柱としての裁判を裁いている。

『東京新聞』(2022年5月24日【本音のコラム】)



 ◆ 袴田さん審理、5人尋問へ (東京新聞)
 一九六六年に静岡県の一家四人が殺害された事件で死刑が確定し、静岡地裁の再審開始決定を受け釈放された袴田巌さん(86)の差し戻し審の三者協議が二十三日、東京高裁で開かれ、今後の審理で法医学者ら五人を証人尋問する方針が決まった。弁護団が協議後の記者会見で明らかにした。
 弁護団によると、尋問は七~八月に実施される見通しで、次回協議で詳細が決まる予定。
 差し戻し審では袴田さん逮捕の約一年後、みそタンク内で見つかった犯行着衣の血痕の変色状況が争点となっている。
 血痕は赤みが残っており、弁護側「みそに長期間漬けた場合、赤みは残らない」とする鑑定書を提出。鑑定した法医学者と結果を分析した専門家の計三人を証人申請した。
 検察側は独自の実験に基づき、一定の条件下であれば約五カ月後でも赤みが観察されたと反論。弁護側の鑑定内容を否定した法医学者二人を証人として申請した。
『東京新聞』(2022年5月24日)


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