《神奈川・個人情報保護条例を活かす会 会報から》
◆ 「GIGAスクール構想」の最先端を走る大阪
~教育からの高収益を狙う巨大ICT企業と行政の癒着、公教育の破壊~
(1)巨大市場の出現に沸き上がる巨大ICT企業とエドテック教育産業
政府は、昨年末、2023年度までに子どもたち一人に一台のタブレット端末を持たせるとした「GIGAスクール構想」の具体化のために、2318億円もの補正予算を計上した。
GIGAスクール構想を主導しているのは、経産省の「『未来の教室』とEdTech研究会」である。
アメリカで公立学校の廃校とチャータースクールへの置き換えを推進した「ボストン・コンサルティング・グループ」がその事務局を担っている。
ここにGIGAスクール構想の本質が端的に表れている。
小中学生一人に一台のタブレット端末を配置するためには、今後約800万~1000万台のタブレットが必要となる。
2018年度の日本国内での個人向けPCの出荷台数が357万台であることを考えると、いかに巨大市場であるかがわかる。
すでに、日本の教育市場を狙ってアメリカのマイクロソフトやグーグル、iPadが争奪戦を開始している。
NTTやNEC等日本のICT企業とエドテック教育産業がシステム構築とソフト受注の争奪戦に乗り遅れまいとしのぎを削っている。
(2)「実証実験」を終え、本格導入段階に入った大阪
大阪府及び大阪市は、2017年度から2018年度の「スマートスクール・プラットフォーム実証事業」(総務省)、「次世代学校支援モデル構築事業」(文科省)に参加し、大阪市の小学校3校と中学校2校を実証校に指定し、システム構築とソフトの活用実験を行わせた。
システム全体をNEC(日本電気株式会社)が統括する。
データベースにビッグデータとして蓄積し、「SKIP(ダッシュボード)」というシステムから、分析的に整理された情報を教育委員会・管理職に「見える化」し、児童・生徒力ルテ、学級カルテ、学年カルテ、学校力ルテとして自由に情報を取り出せる究極の管理システムだ。
具体的には、出席簿、家庭環境や生活状況等の生徒惰報、健康管理、成績処理、保健室利用履歴、日常所見等の校務システムは、EDUCOM(株)が担い、文科省全国学力調査や大阪独自の学力テストの成績や解答分析、単元ドリル・単元テスト・定期テストの結果と学習状況データと分析、学習ソフトとそれによる学習履歴等の学習系システムは、凸版印刷や大日本印刷等最近エドテックに名乗りを上げる企業が担う。
大阪独自の学力テストは、文科省学テと同じベネッセコーポレーションや内田洋行、リクルートなどに発注され、このデータも蓄積される。
一人一人の学習履歴から家庭環境に至るまで、ビッグデータとして民間企業のシステムによって収集され、小中学校から高校に至るまで蓄積され続ける。
「心の天気」は、子ども自身が毎日、自分でタブレットにその日の「気持ち」を「晴れ・曇り・雨」等と入力する。
「システム」が「様子がおかしい」と判断する子どもを「発見」すると「アラート」(警告)が担任と管理職に伝えられる等、徹底した機械による管理だ。
彼らは、これらの導入を「学びの個別最適化」というスローガンを掲げて行っている。
大阪市は、2020年度予算で、学校教育ICT活用事業に71億円、スマートスクール次世代学校支援事業に3億6千万円を計上した。
小5と小6及び中1に一人1台のタブレットの端末(47000台)を配布し、上記のダッシュボードシステムを今年度中に全小中学校に構築する計画を明らかにしている。
今後、21年度(中2・中3に29000台)、22年度(小3・4に37000台)、23年度(小1・2に30000台)を導入すると計画している。大阪市だけで14万台を超える。
これは、子どもたちの学習のあり方から一人一人の行動と心まで数値化して管理するシステムだ。
これまでの人と人との関わりの中で進められてきた学校教育が、PC入力とシステム化された「アラート」とモニターからの指示によるものに代わり、公教育が根本から破壊される危険性に警鐘乱打しなければならない。
『個人情報保護条例を活かす会 36号』(2020年6月13日)
◆ 「GIGAスクール構想」の最先端を走る大阪
~教育からの高収益を狙う巨大ICT企業と行政の癒着、公教育の破壊~
「日の丸・君が代」強制反対大阪ネット 井前弘幸
(1)巨大市場の出現に沸き上がる巨大ICT企業とエドテック教育産業
政府は、昨年末、2023年度までに子どもたち一人に一台のタブレット端末を持たせるとした「GIGAスクール構想」の具体化のために、2318億円もの補正予算を計上した。
GIGAスクール構想を主導しているのは、経産省の「『未来の教室』とEdTech研究会」である。
アメリカで公立学校の廃校とチャータースクールへの置き換えを推進した「ボストン・コンサルティング・グループ」がその事務局を担っている。
ここにGIGAスクール構想の本質が端的に表れている。
小中学生一人に一台のタブレット端末を配置するためには、今後約800万~1000万台のタブレットが必要となる。
2018年度の日本国内での個人向けPCの出荷台数が357万台であることを考えると、いかに巨大市場であるかがわかる。
すでに、日本の教育市場を狙ってアメリカのマイクロソフトやグーグル、iPadが争奪戦を開始している。
NTTやNEC等日本のICT企業とエドテック教育産業がシステム構築とソフト受注の争奪戦に乗り遅れまいとしのぎを削っている。
(2)「実証実験」を終え、本格導入段階に入った大阪
大阪府及び大阪市は、2017年度から2018年度の「スマートスクール・プラットフォーム実証事業」(総務省)、「次世代学校支援モデル構築事業」(文科省)に参加し、大阪市の小学校3校と中学校2校を実証校に指定し、システム構築とソフトの活用実験を行わせた。
システム全体をNEC(日本電気株式会社)が統括する。
データベースにビッグデータとして蓄積し、「SKIP(ダッシュボード)」というシステムから、分析的に整理された情報を教育委員会・管理職に「見える化」し、児童・生徒力ルテ、学級カルテ、学年カルテ、学校力ルテとして自由に情報を取り出せる究極の管理システムだ。
具体的には、出席簿、家庭環境や生活状況等の生徒惰報、健康管理、成績処理、保健室利用履歴、日常所見等の校務システムは、EDUCOM(株)が担い、文科省全国学力調査や大阪独自の学力テストの成績や解答分析、単元ドリル・単元テスト・定期テストの結果と学習状況データと分析、学習ソフトとそれによる学習履歴等の学習系システムは、凸版印刷や大日本印刷等最近エドテックに名乗りを上げる企業が担う。
大阪独自の学力テストは、文科省学テと同じベネッセコーポレーションや内田洋行、リクルートなどに発注され、このデータも蓄積される。
一人一人の学習履歴から家庭環境に至るまで、ビッグデータとして民間企業のシステムによって収集され、小中学校から高校に至るまで蓄積され続ける。
「心の天気」は、子ども自身が毎日、自分でタブレットにその日の「気持ち」を「晴れ・曇り・雨」等と入力する。
「システム」が「様子がおかしい」と判断する子どもを「発見」すると「アラート」(警告)が担任と管理職に伝えられる等、徹底した機械による管理だ。
彼らは、これらの導入を「学びの個別最適化」というスローガンを掲げて行っている。
大阪市は、2020年度予算で、学校教育ICT活用事業に71億円、スマートスクール次世代学校支援事業に3億6千万円を計上した。
小5と小6及び中1に一人1台のタブレットの端末(47000台)を配布し、上記のダッシュボードシステムを今年度中に全小中学校に構築する計画を明らかにしている。
今後、21年度(中2・中3に29000台)、22年度(小3・4に37000台)、23年度(小1・2に30000台)を導入すると計画している。大阪市だけで14万台を超える。
これは、子どもたちの学習のあり方から一人一人の行動と心まで数値化して管理するシステムだ。
これまでの人と人との関わりの中で進められてきた学校教育が、PC入力とシステム化された「アラート」とモニターからの指示によるものに代わり、公教育が根本から破壊される危険性に警鐘乱打しなければならない。
『個人情報保護条例を活かす会 36号』(2020年6月13日)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます