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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

厚労省が公表した「ブラック企業リスト」

2017年05月25日 | 格差社会
 ◆ 「ブラック企業」厚労省発表
   氷山の一角?途上の対策
(東京新聞【ニュースの追跡】)


 厚生労働省が、労働基準関係法令に違反し、書類送検された企業名の一覧表を初めて公表した。いわゆる「ブラック企業リスト」だが、専門家は「氷山の一角」として公表範囲の拡大を求める。(沢田千秋)
 ◆ 「効果心もとない」「範囲拡大を」
 一覧表は今月十日に厚労省のホームページ(HP)に掲載された。同省の長時間労働削減推進本部の取り組みの一環である。
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/dl/170510-01.pdf
 推進本部の会議は二〇一四年十月の第一回以降、年に一度の頻度だった。
 大手広告代理店「電通」の新入社員だった女性=当時(24)=の過労自殺問題がクローズアップされていた昨年十二月、第四回会議で「『過労死等ゼロ』緊急対策」がまとめられ、一覧表の作成と公表が盛り込まれた。
 厚労省によると、今回公表されたのは、主に昨年十月以降、労働基準法や労働安全衛生法、最低賃金法などの違反で書類送検された全国の三百三十四社。各都道府県の労働局ごとに、所在地、違反法令、違反内容が記されている。
 地方別では、東京労働局十一件、愛知労働局二十八件、大阪労働局二十件、福岡労働局十九件など。
 建設関係の中小企業による現場での安全対策不備が目立つ。
 有名企業では、電通のほか、パナソニックの社内カンパニーや、日本郵便、森永乳業などがあった。
 今後、毎月更新して新たに送検された企業を追加する一方、公表から一年経過すると削除される。
 厚労省の抵当者は「過労死ゼロを目指すにあたり、各企業の順法意識の高まりを期待している」としている。
 いわゆる「ブラック企業」については、毎年、労働問題の専門家らが選考委員となつて公表する「ブラック企業大賞」が有名だ。
 ノミネートされるのは、民事裁判や労災認定などで客観的に悪質性が裏付けられた企業だが、選考委員らは厚労省の公表基準は「ブラック企業大賞より厳しい」と口をそろえる。
 全国一般東京東部労働組合の須田光照書記長は「ブラック企業大賞のノミネート企業は、厚労省のリストには出てこない。市民が思い浮かべるブラック企業は、残業代などの賃金未払い、長時間労働で過労死を招いたようなケースだが、書類送検され刑事事件となるのは極めてまれだ」と指摘する。
 長時間労働などは、まずは是正勧告などの行政指導が大半という。
 「行政指導を受けている大企業はたくさんあるが、厚労省は公表していない。若い人が使い捨てにされる状況が改善されるリストとは言えず、経営者に対する規制としても心もとない」(須田氏)。
 佐々木亮弁護士も「賃金未払いや長時間労働で書類送検されるのは、繰り返し指導されても従わなかった、かなり悪質性が高い企業。リスト公表は企業にとってプレッシャーにはなるが、公表のハードルは高い。ブラック企業という意味では氷山の一角ではないか」と苦言を呈す。
 和光大の竹信三恵子教授(労働社会学)は「このままでは、公表して当然の一覧表を作り、新たな政策を打ち出したという朝三暮四のパフォーマンスで終わる」と危惧した上で、改善策を提案する。
 「働く人や若い人にとっても有意義な資料とするため、例えば三回の行政指導を受けた企業名まで公表してはどうか。これこそ厚労省や労基署にしかない情報だ」
※労働基準関係法令違反企業の一部(厚労省発表)
■電通(東京都港区)
=労働者2人への違法な長時間労働
■伸光舎(東京都八王子市)
=知的障害がある労働者3人に都最低賃金以下の賃金
■パナソニックオートモーティブ&インダストリアルシステムズ社デバイスソリューションビジネスユニット富山・松江工場(富山県砺波市)
=労働者3人に違法な時間外労働
■貿易振興協力会(京都市右京区)
=労働者2人に5カ月間の賃金計約84万円を払わなかった
■日本郵便新大阪郵便局(大阪市)
=休業4日以上の労働災害が発生したのに、労働者死傷病報告を提出しなかった
■森永乳業神戸工場(神戸市)
=機械の不具合を解消する作業を、機械に挟まれる恐れがあるのに、機械を停止せず行った
『東京新聞』(2017年5月24日【ニュースの追跡】)
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