◆ 名古屋からの報告
河村名古屋市長「祖国のために命を捨てるというのは、相当高度な道徳的行為だ」、「国のために自分の命を捧げるのは勇気のあること」と発言。
名古屋市教育委員が、右派5名・非右派1名となり、7月・8月の中学歴史教科書採択が危ない!
小野政美「憲法と教育を守る愛知の会」
1.河村名古屋市長「祖国のために命を捨てるというのは、相当高度な道徳的行為だ」と発言
河村名古屋市長は3月22日の記者会見で、名古屋市内の高校生の働きかけをきっかけに制定された5月14日の「なごや平和の日」の意義を問われ、戦争が始まる要因を考える必要性に言及し、太平洋戦争の戦没者も含め、「祖国のために命を捨てるというのは、相当高度な道徳的行為だ」と述べ、さらに、学校教育の現場でも「一定は考えないといけない」と主張しました。
その後4月22日にも、「道徳的」の意味は「感謝される対象、徳がある」と説明し、「残念ながら第2次世界大戦を起こして膨大な人を殺した」「戦争なんかない方がいい」との認識を示したうえで、「祖国が間違っていたこともあるが、わけわからん歴史の中で命を落とした人たちの死は全く無意味なのか」と反論し、そのおかげで今の平和があるとし、
「祖国のために命を捨てるというのは、相当高度な道徳的行為だということは間違いないんだね、実は。右翼じゃないですよ。それは世界の常識ですよ」「国のために自分の命を捧げてくというのは、まあ大変な、勇気のあることだし、みんなでサンキューベリマッチと言わな」、「国が守られるのは当たり前であると、自分たちの血は流さんけど、アメリカ人の血は流してもええと、そういう考えはやっぱりものすごい不幸を導くんじゃないですか、日本にとっても」と改めて強調しました。
また、「なぜ国のために命を捨てないといけないのかを議論することが必要」とし、祖国のため死ぬのは「道徳的」とした発言は問題ないとして、市民団体や自民党市議団等の批判に対して現在も河村市長は発言を現在も撤回していません。
2.河村たかし名古屋市長「第二次世界大戦が侵略戦争か自衛戦争かについて、リアリズムに基づく記事を教科書にすべきだ」と発言
河村名古屋市長は、2023年10月23日の定例記者会見で、「日本保守党」が主張する歴史教育を名古屋市立の学校で進めるのかと問われて、共同代表を務める「日本保守党」(百田尚樹、有本香の両氏を柱に結党)の重点政策の、「教科書検定制度(とくに歴史)を全面的に見直す(現行制度の廃止)」について、「日本保守党が目指すのはリアリズムなので、悪いところはない」と述べました。
また、教科書検定については「以前から疑問をもっていた」「第二次世界大戦が侵略戦争か自衛戦争かについて、リアリズムに基づく記事を教科書にすべきだ」とし、河村市長が学生のころは「侵略一辺倒だった」、「自衛戦争の説もある。両方の立場で中学生に日本で起きたことを考えてほしい。いろいろなものが勝者の論理になる」と述べました。
河村市長は、日本軍「慰安婦」制度や南京虐殺を否定する発言を続け、日本保守党は、河村氏が代表の「減税日本」と「特別友党関係」を結んでいます。
「日本の国体、伝統文化を守る」の重点政策は、「皇室典範を改正し、宮家と旧宮家との間の養子縁組を可能にする」、「憲法9条改正(2項一部削除)」、「入管難民法の改正と運用の厳正化」などです。
3.名古屋市教育委員が、右派5名・非右派1名となり、7月・8月の中学歴史教科書採択が危ない!
現在、名古屋市長の任命する名古屋市教育委員が、右派5名・中間派1名となり、7月・8月の中学歴史教科書採択が、これまでで最も危なくなっています。
名古屋市教育委員には、4年前の2020年7月の中学教科書採択で「育鵬社」を強く推したのが、新任の鎌田敏行委員(新任・「うどんのサガミ」会長兼CEO)でした。
「歴史」の採択会議では、安全重視・近隣諸国重視からと「育鵬社」を推薦。「教育出版」を押す委員が3名、「育鵬社」を強く推す2名(「うどんのサガミ」鎌田会長と「ネッツトヨタ」小栗社長)の論議になり、サガミ鎌田会長が育鵬社を強く推し、その理由に「市民の声」で「育鵬社賛否が半々だ」と実際の数を故意に誤って述べたりしました。
8月に再審議となり、「育鵬社」は採択されず「教育出版」が採択されました。
鎌田敏行会長はイスラエルによるガザへのジェノサイドの最中に在名古屋イスラエル国名誉領事に就任しました。
伊藤忠商事勤務時の1994年には日本の商社で初のイスラエルの現地事務所を開設し初代テルアビブ事務所長として7年半駐在し、2007年3月サガミに出向し、2011年に社長就任し現在もサガミホールディングスの会長兼CEOです。
4.「皇国史観」に基づく「令和書籍」、「育鵬社」・「自由社」歴史・公民教科書の採択を許さない!
文部科学省は、来春から中学校で使用される教科書の検定で合否を保留していた「令和書籍」の歴史教科書2点を追加合格にしました。
今回、文科省が、特攻隊を「散華」と記述し、学徒隊は「動員」ではなく「志願」とした「令和書籍」の歴史教科書2点を追加合格にしたことは歴史的事実の改竄です。
「皇国史観」に基づく歴史教科書を、今回の検定で文科省がなぜ合格させたのか、極右の「令和書籍」歴史教科書2点をあえて検定合格させ、「戦争肯定教科書」を「相対化」させ、「令和書籍」や「自由社」よりは「育鵬社」がよいと思わせる戦略を企図した責任を厳しく問うことが重要です。
「令和書籍」の代表・主筆は作家の竹田恒泰氏であり、日本の歴史については『古事記』に関する記述から始まり「国生み神話」を掲載し、天皇に関する記述が多い「皇国史観」に基づくものです。
戦前の「教育勅語」を取り上げたコラムを載せ、従軍慰安婦問題に関する韓国の対応を「蒸し返し」と記述し、沖縄戦の記述では、「沖縄攻防戦では、中学生から高校生の男女2300人以上沖縄を守るために散華しました」と記載し、日本軍の強い要請に基づく沖縄の旧制中学校生たちの沖縄学徒隊の戦場動員については、「動員」ではなく、積極性の強い「志願」というは誤った記述表現を使用しました。
特攻による若者の戦死を「散華」と記述することも、無謀な作戦を立案し、若者に死を強いた軍の責任を問わず、殉国美談にしてしまうものです。
「令和書籍」以外の日本の侵略戦争を美化し改憲を強調する「育鵬社」と「自由社」の歴史・公民教科書も合格しました。
「自由社」が、沖縄戦を巡り「日本軍はよく戦い、沖縄住民もよく協力しました」と、県民が進んで協力したかのように読み取れる記述を前回検定に引き続いて載せ、「集団自決」(強制集団死)を「逃げ場を失って自決した民間人もいました」という記述で日本軍の「強制・関与」を曖昧にしています。
この夏の名古屋市の今年の中学教科書採択は、名古屋市教育委員が、右派5名・非右派1名となり、7月・8月の中学歴史教科書採択が危ない状況です。
私たちは、全国の人々と共に、名古屋市などでの中学教科書採択において、「皇国史観」に基づく「令和書籍」教科書、侵略戦争肯定・人権意識欠落の「育鵬社」教科書、「新しい歴史教科書をつくる会」系の「自由社」の採択を許さず、岸田政権の改憲・軍備拡大・愛国主義教育教育体制、自民族優越主義・民族排外主義に抵抗する闘いを全国の人々と共同して進めていきます。
(引用者8/1追記・名古屋市の中学校歴史教科書に、育鵬社・自由社・令和書籍とも採択されませんでした。)
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