国歌「君が代」の指導についての大阪市教育委員会の公式回答(3/3受け取り)
▼ 大阪市教委は、自分が歌詞を説明できない「君が代」を
子どもに「大きな声で歌わせよ」と言うな!
○ 私たち大阪市ネットは'11年2月10日に、大阪市教育委員会に以下の質問書を出しました。
前略。 私たちは、保護者・市民・教職員が個人で参加している市民グループです。大阪市教育委員会が1月27日付で各校園長に対して出した教育長通知「卒業式及び入学式における国旗掲揚・国歌斉唱について」(教委校(全)第107号)の内容に対して、子どもの人権を侵害するという大きな危惧を持っています。
特に、国歌斉唱時に起立を強制することはもちろん人権侵害(憲法第19条違反、子どもの権利条約違反)ですが、さらに子どもたちに「大きな声で国歌が斉唱できるよう指導を進める」(通知文)、つまり"口を開けて、声を出せ"と言うなら、その「君が代」の内容・歌詞の意味をどう教えるのかが、一層問われます。もし、"歌詞の意味はわからなくてもいい、教えなくてもいい。慣行としてとにかく大きな声で歌わせよ。"と言うなら、それは学習指導ではありません。そんな人権侵害を防ぐために、以下の質問について大阪市教委の教育行政としての責任ある文書回答を要請します。
① 「君が代」の歌詞は現代の言葉ではないので、ほとんどの子どもたちにはわかりません。"大きな声で斉唱できるよう指導する"前に、歌詞の全文が現代の言葉でどういう意味・内容だと教えるのですか。全文の意訳を示してください。
② 仮に「君が代」は"日本国の繁栄を願う歌だ"と教えるのなら、歌詞の現代語訳のどういう解釈からそうなると、教えるのですか。
③ 「君が代」の歌詞は、アジア太平洋戦争中は「天皇陛下のお治めになる御代は、千年も萬年もつづいておさかえになりますやうに。」(初等科「修身」二教科書)という意味だと学校で教えられていました。これ自体は日本国憲法に違反する内容ですが、このことは歴史の事実として、"大きな声で斉唱できるよう指導する"前に必ず子どもたちに教えるべきだと思いますが、大阪市教委はどう考えますか。
④ 「君が代」の歌詞の意味を学習し、戦争中の「君が代」の指導内容も学んだ中で、国歌「君が代」は歌いたくないと考える子どもがいれば、その上でまだ歌うように指導するのは子どもの人権侵害だと思います。歌いたくない子ども、歌いたい子ども、どちらでもないが歌ってもいいという子ども、いろいろな考えの違いを子どもたちに認め合わせることが教育指導だと思いますが、大阪市教委はどう考えますか。
○ 「市民の声」制度の規定の"2週間内の文書回答"で、大阪市教育委員会の以下の公式回答書を3月3日に受け取りました。
(市民の声No.1195-20013-001-01)
大阪市教育委員会教育長 永井 哲郎
平素は、何かと大阪市教育行政に、ご理解、ご協力を賜り、誠にありがとうございます。
早速ですが、先にお寄せいただきました件につきましてお答えいたします。
君が代の「君」に関することにつきましては、君が代の歌詞そのものが、平安時代の古今和歌集や和漢朗詠集に期限をもち、その後、明治時代に至るまでの祝い歌として長い間民衆の幅広い支持を受けたもので、この場合の君が代の「君」とは、相手を指すことが一般的で、必ずしも天皇をさしていると限らなかったと考えられます。
一方、君が代が明治時代に国歌として歌われるようになってからは、大日本帝国憲法の精神を踏まえ、君が代の「君」は、日本を統治する天皇の意味で用いられました。
終戦後、日本国憲法が制定され、天皇の地位も戦前とは変わったことから、日本国憲法かにおいては、君が代は、日本国民の総意に基づき、天皇を日本国及び日本国民統合の象徴とする我が国のことであり、君が代の歌詞も、そうした我が国の末永い繁栄と平和を祈念したものと解することが適当であると考えております。
教育基本法第二条五に「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと」とあります。
新しい学習指導要領における国旗・国歌の指導については、小学校。中学校の「社会」において、国旗と国歌の意義を理解させ、自国及び諸外国の国旗・国歌を尊重する態度を育てるよう示されています。また、小学校の「音楽」においては「国歌『君が代』は、いずれの学年においても歌えるように指導すること。」と明記されています。さらに、特別活動においては「入学式や卒業式などにおいては、その意義を踏まえ、国旗を掲揚するとともに、国歌を斉唱するよう指導するものとする。」と記されています。
国旗・国歌の指導に関しては厳しい歴史があることを認識するとともに、平和と人権のシンボルとしてとらえられる社会をめざし、平和と人権の視点にたって指導することが重要であると考えています。
本市教育委員会においては、国旗・国歌の指導について、教育基本法や学習指導要領に則り、国際社会に生きる日本人としての自覚を涵養する観点から、歴史的経緯を含めて、国民としての基礎的・基本的な内容として、その意義が理解できるよう指導を進めており、今後も適切な指導を続けていきたいと考えております。
今後とも大阪市教育行政に対しまして、より一層のご理解、ご協力をよろしくお願い申しあげします。
【本件に関するご質問・お問い合わせは下記まで】 教育委員会事務局 指導部 中学校教育担当(担当:山本 電話番号:06-6208-9187)
○ 市教委回答の誤り!
・4項目のそれぞれに答えず全部まとめて回答して、結局答えていない内容がほとんどです。私たちは以下の内容の再質問を検討しています。
・質問1について・・・・・「君が代」の現代語訳を聞きましたが、答えていません。子どもたちにこの回答書を配って、内容を読んで説明しても、肝心の教育主権者の子どもたちには何もわかりません。「千代」も「八千代」も、「さざれ石」も「いわお」も「むす」も、現代語ではないから翻訳が必要です。
・質問2について・・・・・回答は「日本国憲法下においては、君が代は、・・・我が国のことであり、君が代の歌詞も、そうした我が国の末永い繁栄と平和を祈念したもの・・・」です(下線は市ネット)。漢和辞典では、「代」(「世」も同じ)は、「かわるがわるで続く王朝(の統治期間)」というのが元の意味です。時代の「代」、世代の「代」という時間の言葉で、「国」(国民国家)という地域の概念ではない。なぜ「代」(時間)が「国」(地域)になるのか?回答は何も答えていません。
戦前・戦中は明確でした。日本を統治する神格天皇の「代」(=時代=時間)が永遠に続きますように、という天皇に向けて臣民だけが歌う(天皇自身は歌わない)歌でした。今、それとは違う歌詞の意味を子どもたちに説明しないのなら、天皇主権賛美の意味のままで"とにかく歌っている"ということになります。
また、問題になっているのは今のメロディーを付けて歌うようになった明治以降の「君が代」です。それ以前のメロディーなしの古代の和歌は、国歌「君が代」の素材の一つです。
・質問3について・・・・・回答は「国旗・国歌の指導に関しては厳しい歴史があることを認識する・・・」と言うだけで、何がどう厳しかったのか、「日の丸・君が代」がどんな「厳しい」役割を持っていたかの内容は、一切書いていません。回答が言う「平和・・・の視点に立って指導する・・・」ためには、戦前・戦中の「君が代」が、神格天皇のために死ぬことをあおり戦争の推進力になった事実とそれが誤りだったことを子どもたちに教えることが、大前提になります。
・質問4について・・・・・回答が「国旗・国歌の指導に関しては・・・人権の視点に立って指導する・・・」と言うなら、歌詞の意味を教えないままとにかく歌わせたり、また「歌いたくない」子ども、"歌いたくなさそうな"子どもにくり返し練習させることは、人権侵害です。市教委はそれをはっきりすべきです。
○ みなさんへ
自分が歌詞の意味を説明できない教育委員会や校長に、子どもたちに「大きな声で歌え」、そのために教職員に「生ピアノで伴奏せよ」と言う資格はありません。
それでも強行するのは、教育指導ではなく人権侵害です。それはまた、教職員一人一人にも問われることです。教職員と保護者・市民それぞれから、教育委員会と校長に子どもの人権保障を求めていきましょう。 (文責・事務局)
▼ 大阪市教委は、自分が歌詞を説明できない「君が代」を
子どもに「大きな声で歌わせよ」と言うな!
子どもたちの人権と教育を考える大阪市ネットワーク
○ 私たち大阪市ネットは'11年2月10日に、大阪市教育委員会に以下の質問書を出しました。
前略。 私たちは、保護者・市民・教職員が個人で参加している市民グループです。大阪市教育委員会が1月27日付で各校園長に対して出した教育長通知「卒業式及び入学式における国旗掲揚・国歌斉唱について」(教委校(全)第107号)の内容に対して、子どもの人権を侵害するという大きな危惧を持っています。
特に、国歌斉唱時に起立を強制することはもちろん人権侵害(憲法第19条違反、子どもの権利条約違反)ですが、さらに子どもたちに「大きな声で国歌が斉唱できるよう指導を進める」(通知文)、つまり"口を開けて、声を出せ"と言うなら、その「君が代」の内容・歌詞の意味をどう教えるのかが、一層問われます。もし、"歌詞の意味はわからなくてもいい、教えなくてもいい。慣行としてとにかく大きな声で歌わせよ。"と言うなら、それは学習指導ではありません。そんな人権侵害を防ぐために、以下の質問について大阪市教委の教育行政としての責任ある文書回答を要請します。
① 「君が代」の歌詞は現代の言葉ではないので、ほとんどの子どもたちにはわかりません。"大きな声で斉唱できるよう指導する"前に、歌詞の全文が現代の言葉でどういう意味・内容だと教えるのですか。全文の意訳を示してください。
② 仮に「君が代」は"日本国の繁栄を願う歌だ"と教えるのなら、歌詞の現代語訳のどういう解釈からそうなると、教えるのですか。
③ 「君が代」の歌詞は、アジア太平洋戦争中は「天皇陛下のお治めになる御代は、千年も萬年もつづいておさかえになりますやうに。」(初等科「修身」二教科書)という意味だと学校で教えられていました。これ自体は日本国憲法に違反する内容ですが、このことは歴史の事実として、"大きな声で斉唱できるよう指導する"前に必ず子どもたちに教えるべきだと思いますが、大阪市教委はどう考えますか。
④ 「君が代」の歌詞の意味を学習し、戦争中の「君が代」の指導内容も学んだ中で、国歌「君が代」は歌いたくないと考える子どもがいれば、その上でまだ歌うように指導するのは子どもの人権侵害だと思います。歌いたくない子ども、歌いたい子ども、どちらでもないが歌ってもいいという子ども、いろいろな考えの違いを子どもたちに認め合わせることが教育指導だと思いますが、大阪市教委はどう考えますか。
○ 「市民の声」制度の規定の"2週間内の文書回答"で、大阪市教育委員会の以下の公式回答書を3月3日に受け取りました。
(市民の声No.1195-20013-001-01)
大阪市教育委員会教育長 永井 哲郎
平素は、何かと大阪市教育行政に、ご理解、ご協力を賜り、誠にありがとうございます。
早速ですが、先にお寄せいただきました件につきましてお答えいたします。
君が代の「君」に関することにつきましては、君が代の歌詞そのものが、平安時代の古今和歌集や和漢朗詠集に期限をもち、その後、明治時代に至るまでの祝い歌として長い間民衆の幅広い支持を受けたもので、この場合の君が代の「君」とは、相手を指すことが一般的で、必ずしも天皇をさしていると限らなかったと考えられます。
一方、君が代が明治時代に国歌として歌われるようになってからは、大日本帝国憲法の精神を踏まえ、君が代の「君」は、日本を統治する天皇の意味で用いられました。
終戦後、日本国憲法が制定され、天皇の地位も戦前とは変わったことから、日本国憲法かにおいては、君が代は、日本国民の総意に基づき、天皇を日本国及び日本国民統合の象徴とする我が国のことであり、君が代の歌詞も、そうした我が国の末永い繁栄と平和を祈念したものと解することが適当であると考えております。
教育基本法第二条五に「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと」とあります。
新しい学習指導要領における国旗・国歌の指導については、小学校。中学校の「社会」において、国旗と国歌の意義を理解させ、自国及び諸外国の国旗・国歌を尊重する態度を育てるよう示されています。また、小学校の「音楽」においては「国歌『君が代』は、いずれの学年においても歌えるように指導すること。」と明記されています。さらに、特別活動においては「入学式や卒業式などにおいては、その意義を踏まえ、国旗を掲揚するとともに、国歌を斉唱するよう指導するものとする。」と記されています。
国旗・国歌の指導に関しては厳しい歴史があることを認識するとともに、平和と人権のシンボルとしてとらえられる社会をめざし、平和と人権の視点にたって指導することが重要であると考えています。
本市教育委員会においては、国旗・国歌の指導について、教育基本法や学習指導要領に則り、国際社会に生きる日本人としての自覚を涵養する観点から、歴史的経緯を含めて、国民としての基礎的・基本的な内容として、その意義が理解できるよう指導を進めており、今後も適切な指導を続けていきたいと考えております。
今後とも大阪市教育行政に対しまして、より一層のご理解、ご協力をよろしくお願い申しあげします。
【本件に関するご質問・お問い合わせは下記まで】 教育委員会事務局 指導部 中学校教育担当(担当:山本 電話番号:06-6208-9187)
○ 市教委回答の誤り!
・4項目のそれぞれに答えず全部まとめて回答して、結局答えていない内容がほとんどです。私たちは以下の内容の再質問を検討しています。
・質問1について・・・・・「君が代」の現代語訳を聞きましたが、答えていません。子どもたちにこの回答書を配って、内容を読んで説明しても、肝心の教育主権者の子どもたちには何もわかりません。「千代」も「八千代」も、「さざれ石」も「いわお」も「むす」も、現代語ではないから翻訳が必要です。
・質問2について・・・・・回答は「日本国憲法下においては、君が代は、・・・我が国のことであり、君が代の歌詞も、そうした我が国の末永い繁栄と平和を祈念したもの・・・」です(下線は市ネット)。漢和辞典では、「代」(「世」も同じ)は、「かわるがわるで続く王朝(の統治期間)」というのが元の意味です。時代の「代」、世代の「代」という時間の言葉で、「国」(国民国家)という地域の概念ではない。なぜ「代」(時間)が「国」(地域)になるのか?回答は何も答えていません。
戦前・戦中は明確でした。日本を統治する神格天皇の「代」(=時代=時間)が永遠に続きますように、という天皇に向けて臣民だけが歌う(天皇自身は歌わない)歌でした。今、それとは違う歌詞の意味を子どもたちに説明しないのなら、天皇主権賛美の意味のままで"とにかく歌っている"ということになります。
また、問題になっているのは今のメロディーを付けて歌うようになった明治以降の「君が代」です。それ以前のメロディーなしの古代の和歌は、国歌「君が代」の素材の一つです。
・質問3について・・・・・回答は「国旗・国歌の指導に関しては厳しい歴史があることを認識する・・・」と言うだけで、何がどう厳しかったのか、「日の丸・君が代」がどんな「厳しい」役割を持っていたかの内容は、一切書いていません。回答が言う「平和・・・の視点に立って指導する・・・」ためには、戦前・戦中の「君が代」が、神格天皇のために死ぬことをあおり戦争の推進力になった事実とそれが誤りだったことを子どもたちに教えることが、大前提になります。
・質問4について・・・・・回答が「国旗・国歌の指導に関しては・・・人権の視点に立って指導する・・・」と言うなら、歌詞の意味を教えないままとにかく歌わせたり、また「歌いたくない」子ども、"歌いたくなさそうな"子どもにくり返し練習させることは、人権侵害です。市教委はそれをはっきりすべきです。
○ みなさんへ
自分が歌詞の意味を説明できない教育委員会や校長に、子どもたちに「大きな声で歌え」、そのために教職員に「生ピアノで伴奏せよ」と言う資格はありません。
それでも強行するのは、教育指導ではなく人権侵害です。それはまた、教職員一人一人にも問われることです。教職員と保護者・市民それぞれから、教育委員会と校長に子どもの人権保障を求めていきましょう。 (文責・事務局)
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