パワー・トゥ・ザ・ピープル!!アーカイブ

東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

根津公子の都教委傍聴記(2021年3月25日)

2021年03月28日 | 日の丸・君が代関連ニュース
 ◆ 都教委に必要な視点は「共に生きる社会の実現」
 久しぶりに定例会を傍聴した。傍聴人数は6人。
 議題は、
   ①公立小・中学校の特別支援教室に係るガイドラインの改訂について
   ②都中学校英語スピーキングテスト事業 令和2年度実施概要について
   ③パワー・ハラスメントに関するアンケート調査結果について
 の各報告ほか。
 今日の議案及び報告にも非公開の懲戒処分案件が複数件あるが、今朝の新聞は、電車の中で女性のからだを盗撮した教員、店で窃盗した2人の教員を停職6月処分にしたと報じている。これらの行為と私の「君が代」不起立が同じ処分量定?と比較せざるを得ない。
 ① 公立小・中学校の特別支援教室に係るガイドラインの改訂について

 「障害者の権利に関する条約」(2014)批准、「障害者差別解消法」(2016)を受けて文科省は「発達障害を含む障害のある子供への支援教育」を打ち出した。
 都教委も「支援が必要な子供が在籍校で特別の指導を受ける特別支援教室」を2016年度から始め、この4月に全校導入が完了する。
 並行して行ってきた調査から、指導の開始時期や終了時期に関する検討や決定の方法が区市町村によって異なる実態があることなどがわかってきたことから、専門家による検討委員会で協議し、その結果を踏まえてガイドラインを改定したのだという。
 ガイドラインは「障害者の権利による条約に基づくインクルーシブル教育」を謳うが、そこには国際的なインクルーシブルの概念はない。
 「支援が必要な子供」とは、地域の小・中学校に在籍する「発達障害」と分類される子どもたちに限定する。どこまでも分離し差別・選別を前提とする教育なのだ。
 やまゆり園事件から学ぶことはしない。生まれたときから排除されることがなければ、就学してからも差別選別がなく、助け合うことが当たり前の社会になるだろうに。
 ② 都中学校英語スピーキングテスト事業 令和2年度実施概要について

 この事業を始めて2年目、昨年10月から12月にかけて抽出101校9200人が受けたテストの内容と正解率の報告だった。
 事業は、「中学生のスピーキング能力を把握するために、都教委と事業者が協定を締結して…実施した」という。事業者とは、株式会社ベネッセコーポレーション。この経費はどれほどか。GIGAスクール構想と同じく、民間業者を太らせる。
 報告に対し一人の教育委員は、「恵まれた環境にある子に有利とはじめは思ったが、このテストによって日常の授業で必要な技能を伸ばすことができればいいと今は思う。」と言った。自身が疑問を持ったことの「解決」はされてはいないだろうに、いいところ探しの苦肉の、無責任発言としか思えなかった。
 都教委は2022年度からは全都の中学3年生に実施し、「高校入試への活用」も考えている。
 ③ パワー・ハラスメントに関するアンケート調査結果について
   昨年11月に匿名で行い、回答率は25%。


 調査結果は、
ア.「現在の職場の人間関係について」は「大変良好、良好」が73%「良好ではない」が8%
イ.アで「良好ではない」と回答した教職員のうち、過去3年間にパワハラを受けたと感じた教職員は73%
 相手との関係は「管理職から部下へ」が圧倒的に多く、その中身は、「必要以上に自分の仕事を監視され、関与された」「仕事でミスをしたところ、『こんなこともできないのか』と強い調子で叱責された」「些細なミスについて、長時間、何度も指導され人格を否定されるような発言をされた」「多くの教職員がいる前で机を叩かれ、声を荒げて指導された」「『そんな態度でよく仕事ができるな』などと嫌味を言われた」。
ウ.相談状況は、家族や友人、同僚に相談したと回答する教職員が多かった一方、相談窓口へ相談したと回答した教職員は少ない。相談窓口を利用したことでの不利益(プライバシーが守られるか、職場に居づらくならないか)を心配して。
エ.「今後の方向性」として都教委が示すことは、
 ・教職員向け啓発資料の作成や相談窓口の積極的な周知等、相談しやすい環境づくり。
 ・職層に応じた研修等を通じた意識改革。
 都教委は解決策としていつも、「研修等を通じた意識改革」をあげるが、研修で成果をあげたことはないではないか。何の検証もせずになぜ、研修なのか。
 毎年、懲戒処分を減らすための月間を設け研修を重ねさせても、刑法に触れる行為に及ぶ教職員が減らないのはなぜか。こうしたことを都教委事務方及び教育委員には考えてもらいたい。
 都教委が職員会議を否定学校を支配するようになった21世紀になって、とりわけ、「君が代」不起立・不伴奏処分、職員会議での挙手・発言・採決禁止を通達・通知した2004年以降、パワハラや刑法に触れる行為が多くなったと私は感じる。精神的疾患は、それまでと比べ急激に増えている。
 今回の調査で、校長からのパワハラが群を抜いているのは、「校長先生は一国一城の主」(=米長邦雄教育委員 2004年発言)と勘違いした校長たちが多いということであり、また、校長自身も都教委からの圧力にそのはけ口を部下に向けたのだと思う。
 校長のパワハラによって、「自主退職」に追い込まれた新採用1年の教員は毎年100人近くに上る。分限免職や新採用1年での免職に追い込まれた教員が、毎年何人もいる。
 裁判で勝訴し職場復帰した教員もいるが、その校長が何らかの処分や注意を受けたとは聞いたことがない。都教委事務方や教育委員には、この点についても考えてもらいたい。
 上意下達は弊害ばかりなのだ。

 今日の報告議題に共通するのは、「共に生きる社会の実現」を問題視する都教委の姿勢である。
『レイバーネット日本』(2021-03-26)
http://www.labornetjp.org/news/2021/0325nezu
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