◎ 土肥前校長が証言
「『君が代強制の文書による職務命令発出』に固執する都教委は、手段が目的化し混乱」
定年退職後、再雇用教員として勤めていたり採用(1人は講師)が決まっていたりしたのに、10・23通達後の2004年3月の卒業式で"君が代"時、不起立を貫いただけで都教育委員会に解雇、又は不採用とされた、都立高校元教諭10人が解雇等の撤回を求め提訴した裁判の、控訴審・第6回口頭弁論が4月21日、東京高裁(宗宮英俊裁判長)で開かれた。
元教諭側証人の都立三鷹高校の土肥信雄前校長はまず、10・23通達が教職員への強制になっている点について、
(1)近藤精一指導部長(当時)が「通達は校長への職務命令」と明言したため、校長は教員に起立等強制の命令を出さないと処分されるので出したが、通達がなければ出さなかった、
(2)ピアノ伴奏の命令発出の強制には多くの校長が「ここまでやらせるのか」と思っていた、
(3)「口頭で全教員に発する包括的職務命令だけで有効」という判決が出ており、教員との信頼関係を崩したくないので、定時制では文書による個別的職務命令を出さなかったことに、07年度は6回(1回概ね1時間~1時間半)も「全教員に個別的職務命令を出せ」と、都教委職員6名に取り囲まれる事情聴取を受け脅迫でないかと思った――などと具体的に証言。
土肥さんは08年度の事情聴取の時、「大切なのは個別的職務命令を出すことか、式を適正実施することか」と質問すると、守屋一幸高校教育指導課長(当時)らが「前者だ」と回答した事実も証言。
遅刻指導が生徒の命を奪った神戸高塚高校の校門圧死事件(1990年7月)を引きつつ、「都教委は手段が目的化。論理的に混乱している」と指摘した。
次に土肥さんは、
(1)統合教育を進めていた初任時の小学校で体育館の中央に段を作り、障害を持つ児童も持たない児童もスポットライトを浴び、卒業の決意を述べる感動的な卒業式を行っていた、
(2)少なからぬ都立高は卒業対策委員会等の生徒と教員が一緒に式を作ってきたが、通達後は生徒が企画立案に加わることは不可能になったと、通達が児童生徒の主体性育成の弊害になっている事実を証言した。
続けて、「起立するかしないかは、各自の判断で」等、憲法の保障する思想・良心・表現の自由を生徒に説明することを、都教委が「生徒が混乱する」などといて実質禁じていることについて、土肥さんは「自身は説明していない」と述べつつ、「信念を持って不起立する教員が理由等を生徒に事前に説明することは大切」「自分たちに従わない人は排除していくという考えの都教委に欠けているのは、生徒への愛情だ」と発言した。
この後、「国旗・国歌への敬意」を含む強い"指導"を求める都教委側弁護士に、土肥さんは「思想的な問題を教育に入れるのはなじまない」と反論。「教育活動に命令はなじまない」と締め括った。
「『君が代強制の文書による職務命令発出』に固執する都教委は、手段が目的化し混乱」
永野厚男(教育ライター)
定年退職後、再雇用教員として勤めていたり採用(1人は講師)が決まっていたりしたのに、10・23通達後の2004年3月の卒業式で"君が代"時、不起立を貫いただけで都教育委員会に解雇、又は不採用とされた、都立高校元教諭10人が解雇等の撤回を求め提訴した裁判の、控訴審・第6回口頭弁論が4月21日、東京高裁(宗宮英俊裁判長)で開かれた。
元教諭側証人の都立三鷹高校の土肥信雄前校長はまず、10・23通達が教職員への強制になっている点について、
(1)近藤精一指導部長(当時)が「通達は校長への職務命令」と明言したため、校長は教員に起立等強制の命令を出さないと処分されるので出したが、通達がなければ出さなかった、
(2)ピアノ伴奏の命令発出の強制には多くの校長が「ここまでやらせるのか」と思っていた、
(3)「口頭で全教員に発する包括的職務命令だけで有効」という判決が出ており、教員との信頼関係を崩したくないので、定時制では文書による個別的職務命令を出さなかったことに、07年度は6回(1回概ね1時間~1時間半)も「全教員に個別的職務命令を出せ」と、都教委職員6名に取り囲まれる事情聴取を受け脅迫でないかと思った――などと具体的に証言。
土肥さんは08年度の事情聴取の時、「大切なのは個別的職務命令を出すことか、式を適正実施することか」と質問すると、守屋一幸高校教育指導課長(当時)らが「前者だ」と回答した事実も証言。
遅刻指導が生徒の命を奪った神戸高塚高校の校門圧死事件(1990年7月)を引きつつ、「都教委は手段が目的化。論理的に混乱している」と指摘した。
次に土肥さんは、
(1)統合教育を進めていた初任時の小学校で体育館の中央に段を作り、障害を持つ児童も持たない児童もスポットライトを浴び、卒業の決意を述べる感動的な卒業式を行っていた、
(2)少なからぬ都立高は卒業対策委員会等の生徒と教員が一緒に式を作ってきたが、通達後は生徒が企画立案に加わることは不可能になったと、通達が児童生徒の主体性育成の弊害になっている事実を証言した。
続けて、「起立するかしないかは、各自の判断で」等、憲法の保障する思想・良心・表現の自由を生徒に説明することを、都教委が「生徒が混乱する」などといて実質禁じていることについて、土肥さんは「自身は説明していない」と述べつつ、「信念を持って不起立する教員が理由等を生徒に事前に説明することは大切」「自分たちに従わない人は排除していくという考えの都教委に欠けているのは、生徒への愛情だ」と発言した。
この後、「国旗・国歌への敬意」を含む強い"指導"を求める都教委側弁護士に、土肥さんは「思想的な問題を教育に入れるのはなじまない」と反論。「教育活動に命令はなじまない」と締め括った。
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