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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

東京五輪中の食材を日本の農産物でまかなうことは極めて困難

2017年03月26日 | フクシマ原発震災
 ◆ 東京五輪 国産食材出せない? (東京新聞・ニュースの追跡)
 二〇二〇年東京五輪・パラリンピックの選手村などで提供される食材の調達基準が二十四日にも正式に決まる。が、五輪を国産農産物のPRの場にしたい政府の思惑と裏腹に、国際的なお墨付きともいえる認証取得などは進んでいない。「環境五輪」の看板が大きく揺らいでいる。(木村留美)
 ◆ 国際認証 取得進まず
 東京五輪では、期間中に選手村や競技場の売店などで千五百万食程度が提供される見通し。
 環境や人権に配慮した運営が評価された一二年のロンドン五輪に続き、東京五輪も「持続可能性」を基本理念に掲げる。安全性はもちろん、生産過程で環境を汚染したり、働き手を虐げたりした食材調達は許されず、組織委は昨年十二月にこうした考え方を盛り込んだ調達基準案を発表した。
 基準を満たすため、具体的に求めているのが国際認証の取得だ。
 農産物では農薬の量や生産管理の徹底に関する国際認証「GLOBAL GAP(グローバル・ギャップ)」か、日本版の認証である「JGAP」の取得などを求めている。
 畜産物や水産物についても同様の認証が例示され、その取得を促している。
 組織委は二十四日にこの基準案を微修正し正式決定する。

 だが、国内で示された基準を満たす農家はわずか
 国内農家数は二百十五万戸あるが、「JGAP」を取得しているのが約四千百農場。
 「GLOBALGAP」となると約三百九十農場にすぎず、両方合わせても単純計算で1%にも満たない
 ◆ 政府の「攻めの農業」ちぐはぐ
 なぜ取得が進まないのか。
 自らも農業を営む萬田正治・鹿児島大名誉教授は「審査料は数十万円になり、更新料も毎年必要になる。取得しても農家にとってメリットはない」と話す。
 日本の消費者意識の未熟さもあるという。
 「日本の消費者で生産過程を気にする人は少なく、安いものを選びがち。取得費用を価格に転嫁できない」とも。
 萬田氏は「欧州は国が環境保全型の農業を推進しバックアップしているが、日本は農水省をはじめそれほど熱心ではなかった」と場当たり的な農政を批判する。
 実際、農林水産省では一六年度補正予算でようやく審査料をほぼ全額補助する事業を計上したが、一七年度以降も継続するかは不透明だ。
 「現状の基準では日本の農産物でまかなうことは極めて困難だ。原発事故下の日本の食材に対し、海外の選手は警戒もしているだろう。選手自ら食料品を持ち込むなど各国は防衛策を講じるのではないか」と指摘する。
 畜産業に詳しい東京都市大の枝広淳子教授(環境経営)も「野菜や和牛の輸出に関しても、今のままでは海外では受け入れられない市場も多いだろう」と、世界的な潮流とのずれを指摘する。
 例えば鶏卵では、日本はニワトリを身動きできないほど狭い施設で飼育する「バタリーケージ」を禁止していないが、欧州連合(EU)では禁止されているという。
 「日本のJGAP自体がずいぶんと国際基準に比べ緩いものだが、それすら五輪に間に合わないと、組織委は畜産物について、認証取得につながる取り組みリストを自己点検すればいい、とする緩和策も示している。これでは日本の農畜産物のレペルは上がらない」と指摘し、ロンドン五輪からの後退を懸念。
 枝広氏は「欧米への輸出をしている中国やタイの方が日本よりよほど取り組みは進んでいる。『攻めの農業』を掲げる政府は海外に輸出、輸出と言いながら、世界基準すら満たせていない。政策はちぐはぐだ」と評した。
『東京新聞』(2017年3月24日【ニュースの追跡】)

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