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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

自衛隊首都制圧!?

2012年07月09日 | 平和憲法
  【ニュースの追跡】
 ■ 迷彩服姿で区役所「宿営地化」


 迷彩服姿の陸上自衛隊員が十六、十七の両日、首都直下型地震発生時の災害訓練を名目に、東京二十三区の一部区役所に初めて宿泊する。東日本大震災で活躍した自衛隊に世論の追い風は吹いているが、いくらなんでも区役所を安易に「宿営地化」するのはやり過ぎだ。訓練内容が治安出動に転用される危険性も否定できない。(佐藤圭)
 ■ 「いずれは校舎や校庭にも・・・」
 「二十三区全域に大規模な部隊が展開する訓練は過去に例がない。区役所での宿泊は今回が初めてだ。陸自は災害訓練と言っているが、区役所を敵地と見なせば、まさに首都制圧訓練だ」
 市民団体「東京平和委員会」の種田和敏弁護士は、今回の訓練に警戒感をあらわにする。同団体は今月四日、防衛省に訓練中止を求める要望書を提出した。
 要望書では、訓練が自衛隊単独で実施される点を問題視する。

 種田氏は「これまでは国や自治体の訓練に合わせて行われてきた。自衛隊の災害出動は関係自治体からの要請が前提で、単独の訓練は自衛隊法の建前にも反する」と断じる。
 区役所への派遣、宿泊については「自衛隊の対ゲリラ、特殊部隊への対処と共通する内容を含んでいる。災害対処だけでなく、市街地での軍事訓練の狙いがあるのではないか」と指摘する。
 訓練が強行される場合でも「迷彩服の隊員が区有施設に出入りすれば、住民に無用な不安を与える」と、迷彩服の着用禁止などを要求した。
 これに対し、陸自広報室は「訓練には自治体からの要請は必要ない。首都直下型地震に対応するためには、自治体の訓練に参加するだけでは不十分。迷彩服が住民を脅かすとは考えていない。自治体の了解、住民の安全を確保した上で訓練を実施する」、と説明する。
 今回の訓練について、専門家たちはどう見ているのか。

 山口大の纐纈(こうけつ)厚副学長(軍事史)は「防衛省側は東日本大震災などで、自衛隊への国民の認知度が高まっている今こそ、市街地での訓練で、部隊運用の実効性を高めるチャンスだと思っている。だが、災害対処は治安出動にも転用できる。迷彩服姿の自衛隊員が市街地を動き回る非日常的な風景に、国民の目を慣らす目的もあるだろう」と分析する。
 区役所の宿泊については「災害訓練への協力が断り切れない震災後の空気を使って、半ば強制的にやっている。将来的には、学校校舎や校庭が宿営地にされるかもしれない」と、利用対象の拡大について懸念する。
 纐纈氏は陸自特有の事情にも言及する。「陸自は海上自衛隊、航空自衛隊と比較して、予算面、人員面で後れを取っている。陸自が予算や人員で削減対象にされるという危機感が常にある。災害対処で実績をつくりたいというのが偽らざるところではないのか
 軍事評論家の前田哲男氏は、戦闘を本来任務としている「自衛隊頼みの災害対処」という現状からの脱却を促す。
 「なにより迷彩服が象徴的だ。自衛隊にとっては、災害派遣も戦闘訓練の一環だから迷彩服を着ているが、レスキュー隊はオレンジ色などの目立つ服装でなければならない。自衛隊を何らかの形で、災害対処に活用する必要はある。それなら、自衛隊とは別に災害救助組織をつくり、そこに自衛隊も加わる方が行政や住民も使い勝手がよい」
『東京新聞』(2012/7/6【ニュースの追跡】)
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