◇ サクラに大異変 ヨウ素の影響か
柏崎刈羽原発周辺 地震で放射能汚染
東京電力の柏崎刈羽原発(新潟県柏崎市・刈羽村)周辺で今春、サクラ(ソメイヨシノ)の花に多くの異変が起きていたことが明らかになった。
正常形のサクラは花びら5枚、がく5枚だか、そうでないものが多数見つかった。花びらの変形、重なり、矮小化、花びら4枚や6枚、がくの異常などだ。
花びらの変形、重なり、矮小化が見られるソメイヨシノの花
=08年4月11日、柏崎刈羽原発東南4.5キロで。《サクラ調査ネットワーク提供》
同原発7号機は昨年7月16日の中越沖地震の直後、大量の放射性ヨウ素を大気中に放出しており、翌春のサクラの花の異常との関連が指摘されている。
サクラの花の異常は、この5年間、全国各地で「サクラと環境・原発」を定点調査してきた「サクラ調査ネットワーク」(事務所=東京都千代田区内にある環境市民団体たんぽぽ舎内)の調査で明らかになったもので、同ネットワークは7月29日、東京・永田町の参院議員会館で記者会見して発表した。
柏崎刈羽原発周辺のサクラ大異常・変形の数量は、昨年は5本の木4609花を調べて異常は143=異常花率3.1%だったのに対し、今年は4本の木4000花で異常が912=異常花率22.8%と、7.4倍にはね上がった。
今年の全国平均は2.89%だったというから、その異常さが顕著だ。
柏崎刈羽だけが異常に高い異変サクラが検出された原因として同ネットワークは、サクラの芽が育つとされる6月から8月に中越沖地震による柏崎刈羽原発の火災、放射能放出の重大事故があったことをあげ、「サクラの大異変と原発事故との関連を考えざるをえない」としている。
◇ 人体への影響は
柏崎刈羽での調査を担当した「刈羽村命を守る会」の高桑知恵さん(同村在住)は29日の記者会見で、「今年は異常の判断に迷うことが全くなかった。花弁の異常度が明らかだった」とした上で、「今回の観察結果は、原発の放射能の影響がサクラに表れたことを示しているのではないか。科学的根拠がないのかもしれないが、事実は変えようもなく、消すこともできない」と指摘した。
柏崎刈羽原発は中越沖地震の際、世界初の原発直下型地震に見舞われ、放射能に汚染された水漏れや地震から3日間にわたって、7億ベクレルともいわれる大量の放射性ヨウ素を大気に放出した。東電は、これらについて「人体や環境に影響はない」と発表した。
東電の発表について高桑さんは、「どのレベルで影響がないのか。人体に目に見える変化が起きないから、人体に影響がないというのか。サクラの観察を終え、見えない、臭わない放射能の存在をひしひしと感じる」と原発による放射能汚染の恐怖を語った。
◇ 7億ベクレル ヨウ素放出量
中越沖地震による柏崎刈羽原発事故の際の放射性ヨウ素の放出量について東電は昨年7月27日、約4億ベクレルと口頭で発表した。
その内訳は、ヨウ素131(半減期8日)=O.23億ベクレル、ヨウ素132(同2時間)=発表なし、ヨウ素133(同21時間)=1.8億ベクレル、ヨウ素134(同1時間)=発表なし、ヨウ素135(同7時間)=1.1億ベクレル。それぞれの数字を足しても4億ベクレルに満たないが、東電発表の数字。
この数字について元名城大学教授の槌田敦さんは29日の記者会見で、「東電は自信がなかったのではないか」とした上で、「東電発表以外にデータがないのだから、とりあえずそれで考えるしかない」と述べた。
東電の発表になかったヨウ素132と同134について槌田さんは、「半減期が短いので測定されなかったと思われる」とし、「これらの発生確率はほとんど同じ値なので、約3億ベクレルを加算して放出量の合計は約7億ベクレルとなる」と推定した。
原発は常時ヨウ素を放出しているが、槌田さんは「その放出実績は1年間で1OO万ベクレル程度であり、7号機は1年で放出する量の700倍ものヨウ素を放出したことになる」と指摘した。
【ベクレル(Bq)】
放射能の量を表す単位で、1秒間に一つの原子核が崩壊して放射能を放つ放射能の量が1ベクレル。
『週刊新社会』(2008/8/12)
柏崎刈羽原発周辺 地震で放射能汚染
東京電力の柏崎刈羽原発(新潟県柏崎市・刈羽村)周辺で今春、サクラ(ソメイヨシノ)の花に多くの異変が起きていたことが明らかになった。
正常形のサクラは花びら5枚、がく5枚だか、そうでないものが多数見つかった。花びらの変形、重なり、矮小化、花びら4枚や6枚、がくの異常などだ。
花びらの変形、重なり、矮小化が見られるソメイヨシノの花
=08年4月11日、柏崎刈羽原発東南4.5キロで。《サクラ調査ネットワーク提供》
同原発7号機は昨年7月16日の中越沖地震の直後、大量の放射性ヨウ素を大気中に放出しており、翌春のサクラの花の異常との関連が指摘されている。
サクラの花の異常は、この5年間、全国各地で「サクラと環境・原発」を定点調査してきた「サクラ調査ネットワーク」(事務所=東京都千代田区内にある環境市民団体たんぽぽ舎内)の調査で明らかになったもので、同ネットワークは7月29日、東京・永田町の参院議員会館で記者会見して発表した。
柏崎刈羽原発周辺のサクラ大異常・変形の数量は、昨年は5本の木4609花を調べて異常は143=異常花率3.1%だったのに対し、今年は4本の木4000花で異常が912=異常花率22.8%と、7.4倍にはね上がった。
今年の全国平均は2.89%だったというから、その異常さが顕著だ。
柏崎刈羽だけが異常に高い異変サクラが検出された原因として同ネットワークは、サクラの芽が育つとされる6月から8月に中越沖地震による柏崎刈羽原発の火災、放射能放出の重大事故があったことをあげ、「サクラの大異変と原発事故との関連を考えざるをえない」としている。
◇ 人体への影響は
柏崎刈羽での調査を担当した「刈羽村命を守る会」の高桑知恵さん(同村在住)は29日の記者会見で、「今年は異常の判断に迷うことが全くなかった。花弁の異常度が明らかだった」とした上で、「今回の観察結果は、原発の放射能の影響がサクラに表れたことを示しているのではないか。科学的根拠がないのかもしれないが、事実は変えようもなく、消すこともできない」と指摘した。
柏崎刈羽原発は中越沖地震の際、世界初の原発直下型地震に見舞われ、放射能に汚染された水漏れや地震から3日間にわたって、7億ベクレルともいわれる大量の放射性ヨウ素を大気に放出した。東電は、これらについて「人体や環境に影響はない」と発表した。
東電の発表について高桑さんは、「どのレベルで影響がないのか。人体に目に見える変化が起きないから、人体に影響がないというのか。サクラの観察を終え、見えない、臭わない放射能の存在をひしひしと感じる」と原発による放射能汚染の恐怖を語った。
◇ 7億ベクレル ヨウ素放出量
中越沖地震による柏崎刈羽原発事故の際の放射性ヨウ素の放出量について東電は昨年7月27日、約4億ベクレルと口頭で発表した。
その内訳は、ヨウ素131(半減期8日)=O.23億ベクレル、ヨウ素132(同2時間)=発表なし、ヨウ素133(同21時間)=1.8億ベクレル、ヨウ素134(同1時間)=発表なし、ヨウ素135(同7時間)=1.1億ベクレル。それぞれの数字を足しても4億ベクレルに満たないが、東電発表の数字。
この数字について元名城大学教授の槌田敦さんは29日の記者会見で、「東電は自信がなかったのではないか」とした上で、「東電発表以外にデータがないのだから、とりあえずそれで考えるしかない」と述べた。
東電の発表になかったヨウ素132と同134について槌田さんは、「半減期が短いので測定されなかったと思われる」とし、「これらの発生確率はほとんど同じ値なので、約3億ベクレルを加算して放出量の合計は約7億ベクレルとなる」と推定した。
原発は常時ヨウ素を放出しているが、槌田さんは「その放出実績は1年間で1OO万ベクレル程度であり、7号機は1年で放出する量の700倍ものヨウ素を放出したことになる」と指摘した。
【ベクレル(Bq)】
放射能の量を表す単位で、1秒間に一つの原子核が崩壊して放射能を放つ放射能の量が1ベクレル。
『週刊新社会』(2008/8/12)
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