◎ まさに真昼の暗黒
板橋高校藤田さんに、東京高裁が超反動判決
「ひぐま」 《撮影:佐久間市太郎(北海道白糠定、札幌南定、数学科教員)》
◎ 平穏にコピーを配布したのに、「威力業務妨害」をでっち上げ
5月29日、東京高裁は、元都立板橋高校教諭の藤田勝久さんに対して、東京地裁の判決通り、威力業務妨害のかどで罰金20万円の判決を言い渡した。
この東京高裁の判決ほど、いかに現在の日本の裁判官が退廃しているか、司法制度そのものが反動化した国家権力(その背後の支配階扱)の奴碑に転落しているかを、あからさまに示すものはない。
藤田さんが威力業務妨害をした事実など全く存在しない。にもかかわらず、「中立・公正」を売り物にする裁判所が、ペテン師よろしく白を黒といいくるめ、何の罪もない藤田さんを、犯罪者に仕立て上げたのだ。
この「事件」が起きたのは、東京都教育委員会が公立学校教員に対して、国歌斉唱を強要する悪名高い10・23通達なるものを発した04年に起きた。
板橋高校の社会科教員で、すでに定年で退職していた藤田さんは、この年の3月11日、「来賓」としての招待を受けて、1年生のときに生徒指導していた卒業生たちと再会できることを楽しみに、この学校の卒業式に参加した。そして式の始まる15分以上前に、まだ保護者たちが談笑したり、ビデオを回したりしているときに、日の丸・君が代強制の問頚点を記した『サンデー毎日』の記事のコピーを配布し、最後に「教員は起立しないと処分されます。ご理解いただいて、国歌斉唱の折りには着席順います」と呼びかけた。
もちろん何の混乱も起きなかったし、これによって式の開始や進行が遅れた事実など何もない。
ところが都教委は、「建造物侵入等」の被害届なるものを警察に提出、検察はこともあろうに藤田さんを「威力業務妨害」で起訴、「懲役8か月」を求刑したのだ。
◎ 都教委、土屋、検察のファッショ的な陰謀にお墨付き
なぜこんなことになったのか。この強圧の直接の引き金になったのは、この卒業式で卒業生の約9割が「国歌斉唱」の際に起立しなかったことだ。これが、この卒業式に「来賓」として出席していた板橋区選出の都議会議員・土屋敬之(民主党)の逆鱗に触れたのだ。
彼は、千代田区立九段中の社会科教員増田都子教諭を約lO年にわたって「偏向教育」「反日教育」等々と攻撃し、分限免職に陥れたり、また、教職員や生徒の意思をふみにじって日の丸を掲揚した校長と話し合いをした国立2小の生徒たちを「校長に土下座を求めた」等々と誹諦中傷するなど、平和教育や民主主義的な教育に対する悪辣な攻撃を重ねてきた人物。
彼は都教委と手を取り台って、「こんなことが起きたのは、生徒を扇動したものがいたからだ」と、「犯人探し」をけしかけたというわけだ。
この「事件」は、明らかに警察、検察によるでっち上げであり、日の丸、君が代の強制、愛国心教育の導入、学校における教職員、生徒、保護者に対する自由の抑圧という「国策」にすこしでも抵抗する者は許さないという、権力による野蛮な弾圧、ファシズム的なフレームアップである。
そして東京地裁や今回の高裁判決は、まさにこの民間ファシズムと連動した国家権力の犯罪に司法のお墨付きを与える以外の何ものでもない。
高裁の判事たちは、判決理由の説明に、異例の90分もの時間を費やした。しかし内容は、事実をゆがめ、ありもしないことまでデッチ上げる卑劣な代物だ。
たとえば、教頭が藤田さんに退出を促したのは、藤田さんがコピーをまき終わった後であるにも関わらず、「中止」や「退出」を訴えたのに藤田さんがそれを無視してまき続けたかに主張し、教頭の制止を求める声など指導主事の録音にも人っていないにもかかわらず、検察側証人5人の口裏をあわせた証言のみを「矛盾がない」と採用する等々。
この判決は、立川ビラ弾圧などと同質の思想表現の自由に対する野蛮な弾圧であり、憲法改悪、共謀罪創設に見られるような支配階級の軍国主義的反動化の現れ以外の何物でもない。(真崎洋)
『ひらく』114号(2008年6月20日)
板橋高校藤田さんに、東京高裁が超反動判決
「ひぐま」 《撮影:佐久間市太郎(北海道白糠定、札幌南定、数学科教員)》
◎ 平穏にコピーを配布したのに、「威力業務妨害」をでっち上げ
5月29日、東京高裁は、元都立板橋高校教諭の藤田勝久さんに対して、東京地裁の判決通り、威力業務妨害のかどで罰金20万円の判決を言い渡した。
この東京高裁の判決ほど、いかに現在の日本の裁判官が退廃しているか、司法制度そのものが反動化した国家権力(その背後の支配階扱)の奴碑に転落しているかを、あからさまに示すものはない。
藤田さんが威力業務妨害をした事実など全く存在しない。にもかかわらず、「中立・公正」を売り物にする裁判所が、ペテン師よろしく白を黒といいくるめ、何の罪もない藤田さんを、犯罪者に仕立て上げたのだ。
この「事件」が起きたのは、東京都教育委員会が公立学校教員に対して、国歌斉唱を強要する悪名高い10・23通達なるものを発した04年に起きた。
板橋高校の社会科教員で、すでに定年で退職していた藤田さんは、この年の3月11日、「来賓」としての招待を受けて、1年生のときに生徒指導していた卒業生たちと再会できることを楽しみに、この学校の卒業式に参加した。そして式の始まる15分以上前に、まだ保護者たちが談笑したり、ビデオを回したりしているときに、日の丸・君が代強制の問頚点を記した『サンデー毎日』の記事のコピーを配布し、最後に「教員は起立しないと処分されます。ご理解いただいて、国歌斉唱の折りには着席順います」と呼びかけた。
もちろん何の混乱も起きなかったし、これによって式の開始や進行が遅れた事実など何もない。
ところが都教委は、「建造物侵入等」の被害届なるものを警察に提出、検察はこともあろうに藤田さんを「威力業務妨害」で起訴、「懲役8か月」を求刑したのだ。
◎ 都教委、土屋、検察のファッショ的な陰謀にお墨付き
なぜこんなことになったのか。この強圧の直接の引き金になったのは、この卒業式で卒業生の約9割が「国歌斉唱」の際に起立しなかったことだ。これが、この卒業式に「来賓」として出席していた板橋区選出の都議会議員・土屋敬之(民主党)の逆鱗に触れたのだ。
彼は、千代田区立九段中の社会科教員増田都子教諭を約lO年にわたって「偏向教育」「反日教育」等々と攻撃し、分限免職に陥れたり、また、教職員や生徒の意思をふみにじって日の丸を掲揚した校長と話し合いをした国立2小の生徒たちを「校長に土下座を求めた」等々と誹諦中傷するなど、平和教育や民主主義的な教育に対する悪辣な攻撃を重ねてきた人物。
彼は都教委と手を取り台って、「こんなことが起きたのは、生徒を扇動したものがいたからだ」と、「犯人探し」をけしかけたというわけだ。
この「事件」は、明らかに警察、検察によるでっち上げであり、日の丸、君が代の強制、愛国心教育の導入、学校における教職員、生徒、保護者に対する自由の抑圧という「国策」にすこしでも抵抗する者は許さないという、権力による野蛮な弾圧、ファシズム的なフレームアップである。
そして東京地裁や今回の高裁判決は、まさにこの民間ファシズムと連動した国家権力の犯罪に司法のお墨付きを与える以外の何ものでもない。
高裁の判事たちは、判決理由の説明に、異例の90分もの時間を費やした。しかし内容は、事実をゆがめ、ありもしないことまでデッチ上げる卑劣な代物だ。
たとえば、教頭が藤田さんに退出を促したのは、藤田さんがコピーをまき終わった後であるにも関わらず、「中止」や「退出」を訴えたのに藤田さんがそれを無視してまき続けたかに主張し、教頭の制止を求める声など指導主事の録音にも人っていないにもかかわらず、検察側証人5人の口裏をあわせた証言のみを「矛盾がない」と採用する等々。
この判決は、立川ビラ弾圧などと同質の思想表現の自由に対する野蛮な弾圧であり、憲法改悪、共謀罪創設に見られるような支配階級の軍国主義的反動化の現れ以外の何物でもない。(真崎洋)
『ひらく』114号(2008年6月20日)
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