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「不起立教員現認=処分が目的化」証言

2009年12月16日 | 日の丸・君が代関連ニュース
 =東京小中"君が代"裁判=
  ▼ 「不起立教員現認=処分が目的化」証言

永野厚男(教育ライター)

 04年春の卒業・入学式で不起立を貫き、都教育委員会に処分された東京の公立小中教諭10人(東京教組所属)が処分撤回を求めている裁判(東京地裁・青野洋士裁判長)で12月9日、原告本人尋問が行われ、東京の教育行政が不起立教員の現認=処分徹底を至上命題にしている歪(いびつ)さ、が浮き彫りになった。
 八王子市立小の元教諭は、同市教委が(1)"君が代"強制強化の10・23都教委通達に前後し、03年秋に乱発した通達(当時の成田一代・市教育長名)で「国歌は全員が起立し、斉唱するよう指導する」と、教職員のみならず、児童への起立強制も明記し、(2)式直前の04年3月に「不起立教員を現認できなかった場合は、学校長としての責任が問われることになる。学校長として確実な現認の方法を工夫するように」等の通知(当時の永関和雄・指導室長名)まで乱発した、と証言。
 当時の校長が「大変なことになった。もう私の裁量の範囲を越えた。職員会議で意見を言ってもらっても、結論(起立命令違反者は教委に報告し処分)はもう決まっている」と言っていたと、生々しく語った。
 国分寺市立小の教諭(当時。現在は他市で現職)は、「国歌斉唱時、最前列で正面の国旗に向かって起立している教頭が、3秒ほど180度くるっと振り向く動作を3回も行い、PTA役員を含む保護者たちが『教頭は挙動不審だ』と式後、失笑していた」という事実を証言。「国分寺市教委も(八王子のような)不起立教員現認のマニュアルを作っていたのでないか」と指摘した(【注】参照)。
 都教委も守屋一幸・高校教育指導課長(当時)が「式の適正実施」より「教員一人一人への文書での職務命令発出」の方が大事だ、と明言しており(別の裁判で土肥信雄前三鷹高校校長が証言。『週刊金曜日』09年5月15日号「アンテナ」欄)、この日の「小5から小6への担任は持ち上がりが普通だが、校長が独断で不起立教員を小6担任に持ち上がらせず他校に異動させた結果、学級崩壊を招いた」という証言とともに、教育的配慮なき東京の教育行政の暴走に、傍聴者達はあきれかえっていた。
 この他、もう一人の八王子市立小の元教諭は「"君が代"強制強化の10・23通達後、校長は舞台壇上正面に児童の作品を飾ることを『紙と時間のムダだ』と言い、教頭も『式前日の"6年生を送る会"は児童主体でやっているから、式当日は児童は主体でなく、お客さんでいい』と放言した」と証言。
 西東京市立小の教諭(当時。現在は他区で現職)も「式前日に舞台壇上に飾っていた児童の作品を教頭がはがし、日の丸を貼り付けた」と、「オンリーワンの学校から画一化への一変」を証言した。
 ところでこの日の法廷では、都教委側弁護士が問題発言を連発。「校長に直談判するなど、"日の丸・君が代"強制を拒否する児童が少なからずいた」という証言に対し、松崎勝弁護士は「国歌の起源とされる『古今和歌集』を学ぶ高校生ならまだ分かるが、12歳以下の子どもは国旗国歌について判断できず、認識を持ち得ないはずだ」と明言。児童の自主性や判断力を見くびると共に、歌の意味が分からないまま"君が代"を強制する、という都教委の本音が露呈した。
 また、「卒業式等での不起立は学習指導要領に違反しない」と証言した教諭が理由を述べようとすると、森末暢博弁護士「理由も糞(くそ)もない」と暴言。「法廷で言う言葉ではない」とたしなめられ、「では撤回します」と言う一幕もあった。
【注】都教委の多摩教育事務所主導で市教委が"現認のマニュアル"作りを進めたのは、「根津公子教諭が立川第2中の05年3月の卒業式で”君が代”時、最初は起立し、途中の『さざれ石の』の所で着席したことへの対処」という背景もあるのではないか、と教諭は分析している。

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