◆ 国際人権に背を向ける都教委 (『リベルテ』)
1月27日、被処分者が主催して都教委要請行動が行われた。私たち国際人権PTも3項目の質問書を提出して、これに参加した。
1.地方自治体の条約遵守義務~外務省・文科省と都教委の矛盾
質問の一つが「東京都には国際条約遵守義務があることで間違いないか」というもの。
昨年12月6日、国際人権活動日本委員会が呼びかけた外務省・文科省要請行動があり、私たちは、外務省からは「東京都教育委員会は、自由権規約を遵守する義務があります」、文科省からは「日本国家の統治機構全体として、東京都教育委員会また地方公共団体における活動も含めて日本国内において義務を履行されるべき責任を負っているものとは承知しております」と各々明快な回答を得ていた。都教委にはこれも資料として添付した。
以前(2017.2.15)の「東京都教育委員会は、国際人権規約などについて答える立場にありません」のようなゼロ回答はないだろうと思っていたところ、なんと2月21日に返ってきた回答は「都教育委員会は、締約国の地方公共団体として国際人権規約について答える立場にありません」と、平然と従前と同じ回答を繰り返すものであった。
国の見解にも目をつぶり、国際人権に背を向ける都教委の姿勢は、異常としか言いようがない。
2.国際人権機関から寄せられた「10・23通達」についての質問に答えるのは文科省か都教委か
既報(本通信50号)のとおり、日本政府は国連自由権規約委員会から「『10・23通達』の規約適合性について説明願いたい」と回答を求められていた(2017年List of Issues)。
どの機関がどんな回答を用意するのか、問い質したところ、文科省は「これは都教委の通達に基づいた内容なので、われわれとしてすべての責任を負えるものでもないと思っており、そこは連携・協力しながら、回答に向けて対応していく」と、一義的な責任は都教委にあるという姿勢を示したのに対し、都教委は「当該指摘については、政府から連絡を受けていません」と、何と一切の関与を否定するゼロ回答であった(2020.2.21)。
3.自由権規約第7回日本政府報告審査は10月の予定
List of Issuesへの政府回答(英文)が人権委HPにようやくアップされた。中味は第6回報告から一歩も前進しない繰り返しに等しく、最高裁判決(2011.6.6)を根拠に「10・23通達は人権侵害には当たらない」とするもので、国内法解釈を条約より優先させる不当な内容である。
国際人権の活動領域ではNGOも国と対等の立場で主張を表明することが出来る。この回答に対し、当事者である都教委が国際人権を無視・軽視している現状の告発も含めて提出し、国旗国歌強制による人権侵害の実態を国際社会に正しく訴えていきたい。
日本政府報告の審査は、今年10月ジュネーブで予定されている。
(注)List of Issues:自由権規約委員会が締約国にたいして回答を求める項目のリスト。これの作成にあたってはNGOからのレポートも参考にされる。
『リベルテ(東京・教育の自由裁判をすすめる会ニュース) 59号』(2020年6月27日)
花輪紅一郎(国際人権プロジェクトチーム)
1月27日、被処分者が主催して都教委要請行動が行われた。私たち国際人権PTも3項目の質問書を提出して、これに参加した。
1.地方自治体の条約遵守義務~外務省・文科省と都教委の矛盾
質問の一つが「東京都には国際条約遵守義務があることで間違いないか」というもの。
昨年12月6日、国際人権活動日本委員会が呼びかけた外務省・文科省要請行動があり、私たちは、外務省からは「東京都教育委員会は、自由権規約を遵守する義務があります」、文科省からは「日本国家の統治機構全体として、東京都教育委員会また地方公共団体における活動も含めて日本国内において義務を履行されるべき責任を負っているものとは承知しております」と各々明快な回答を得ていた。都教委にはこれも資料として添付した。
以前(2017.2.15)の「東京都教育委員会は、国際人権規約などについて答える立場にありません」のようなゼロ回答はないだろうと思っていたところ、なんと2月21日に返ってきた回答は「都教育委員会は、締約国の地方公共団体として国際人権規約について答える立場にありません」と、平然と従前と同じ回答を繰り返すものであった。
国の見解にも目をつぶり、国際人権に背を向ける都教委の姿勢は、異常としか言いようがない。
2.国際人権機関から寄せられた「10・23通達」についての質問に答えるのは文科省か都教委か
既報(本通信50号)のとおり、日本政府は国連自由権規約委員会から「『10・23通達』の規約適合性について説明願いたい」と回答を求められていた(2017年List of Issues)。
どの機関がどんな回答を用意するのか、問い質したところ、文科省は「これは都教委の通達に基づいた内容なので、われわれとしてすべての責任を負えるものでもないと思っており、そこは連携・協力しながら、回答に向けて対応していく」と、一義的な責任は都教委にあるという姿勢を示したのに対し、都教委は「当該指摘については、政府から連絡を受けていません」と、何と一切の関与を否定するゼロ回答であった(2020.2.21)。
3.自由権規約第7回日本政府報告審査は10月の予定
List of Issuesへの政府回答(英文)が人権委HPにようやくアップされた。中味は第6回報告から一歩も前進しない繰り返しに等しく、最高裁判決(2011.6.6)を根拠に「10・23通達は人権侵害には当たらない」とするもので、国内法解釈を条約より優先させる不当な内容である。
国際人権の活動領域ではNGOも国と対等の立場で主張を表明することが出来る。この回答に対し、当事者である都教委が国際人権を無視・軽視している現状の告発も含めて提出し、国旗国歌強制による人権侵害の実態を国際社会に正しく訴えていきたい。
日本政府報告の審査は、今年10月ジュネーブで予定されている。
(注)List of Issues:自由権規約委員会が締約国にたいして回答を求める項目のリスト。これの作成にあたってはNGOからのレポートも参考にされる。
『リベルテ(東京・教育の自由裁判をすすめる会ニュース) 59号』(2020年6月27日)
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