杉並区教委の「請願権」行使を不当に阻害する内規を撃つ

　◆ 「請願権」裁判の次回法廷傍聴のお願い
　　　皆さま　　　　　高嶋伸欣です

　杉並区教委が違憲違法な内規で基本的人権の請願権の行使を妨害した「請願権裁判」の次回法廷は９月１０日（月）午後２時　東京地裁６１５法廷です。
　傍聴を宜しくお願いいたします。

　関西・中部と北海道と相次ぎ、異常な自然現象による災害に遭われた皆さま、ご無事でしょうか。お見舞いを申し上げます。今、改めて災害論・防災の学習に時間を割いていた現役時代を思い出しています。
　「人命第一」（安倍首相）と言うのであれば、押し付けの「特別の教科・道徳」の時間を防災教育に当てても良いというくらいの通知を文科省は出すべきではないでしょうか。
　そのような世論形成を今の政治家やマスコミに期待しても、虚しいように思われます。世論を主権者の手で創る。そうした社会の形成をめざして手がけたのが、「請願権」裁判です。
　請願権は憲法１６条で「何人（なにひと）」にも認められている基本的人権の一つとされ、国会で可決された法律以外のものをもって制限してはならないと、請願法（憲法と同時に施行）に明記されているものです。
　にもかかわらず、杉並区教育委員会は「会議規則」という内規に、同教委への請願は「教育委員の紹介」が必要条件である旨の条項を明示するという違憲・違法の規定を設け、長年、請願権の行使を妨げてきていました。
　その結果、高嶋が２０１４年１０月８日に同委員会に提出した請願は、教育委員の紹介（署名）がなかったことから、上記の違法な内規を適用して請願ではなく「いわゆる陳情」という意味不明の位置づけをし、「いわゆる陳情」についての処理規定が何ら存在しないまま、一方的に事実上の「却下」処理をしてしまったのです。
　この同教委の対応は、「請願権」の行使を不当に阻害したもので、基本的人権を侵害するものです。
　私は社会科の教員として、「日本国憲法」の主権在民とは自分の人権が侵された時には声を挙げてこそ具現化されるものだ、と教室で強調し続けてきました。
　そのことがあったからこそ教科書問題・教科書裁判に取り組み続けてきたのですが、４５年ぶりに戻った誕生の地・杉並区の教育行政の乱れ・違法情況に驚き、後期高齢者となった節目に提訴を決意したのが、本件「請願権」裁判です。
　提訴を決意した背景には、現行の社会科教科書の大半が「請願権」の「何人（なにひと）」の意味＝国籍を問わず日本人だけでなく在住外国人すべて、選挙権年齢を問わず小学生にも認められる、を正しく記述してなく、そのことが日本の社会の主体性欠如の一因となっているのではないかという認識があります。
　そうなった大本は、憲法学界の大御所による「憲法逐条講義」類で「請願権」を「国民の権利」とする解説が半世紀以上も通用している法学世界の重大な過失にあるといえます。
　それらの日本中で鈍化している主権者意識の覚醒を阻む状況に、「アリの一穴」を開けたいとして挑んでいるのが、本件「請願権」訴訟です。
　杉並区教委は、「答弁書」や「被告準備書面」などで、上記の不当な「会議規則」は「教育委員の紹介なくしては請願そのものができないような解釈をも生じさせ得る規定ぶりである」と、すでに認めています。
　同教委が苦し紛れにああだこうだと言い訳をしていますが、言い訳をすればするほどに、矛盾点が浮上してきています。
　教委からは９月３日付けでも新たに「準備書面・３」が出され、裁判所からはそれへの反論の提出が原告側に求められています。ここでもこれまでの主張と食い違うことを言い立てていますので、１０日の法廷ではそうした点について追及する予定です。
　どのような展開になるか、是非法廷でご確認下さい。
　次回法廷は　９月１０日午後２時　東京地裁６１５号法廷　です
　多くの皆様の傍聴をお願いいたします。

　　　＊特に公民教科書の関係者の皆さんの傍聴を期待しています。