■ 処分を重くすれば教員の非行は減るのか? (レイバーネット日本)
議題のうち、議案「教職員の主な非行に対する標準的な処分量定の改正について」、報告①「第9期東京都生涯学習審議会県議について」 ②「英語村(仮称)」事業の実施方針について ③平成27年度「Good Coach賞」について報告します。今日は山口教育委員が欠席。
■ 「教職員の主な非行に対する標準的な処分量定の改正について」
今日も6件の懲戒処分案件の議案と、何件かは記されてはいないが、報告にも懲戒処分が非公開議題にあがっていた。処分案件がない定例会は、私が傍聴をしてきたこの5年、一度もなかったのではないかと思う。それくらい、性的行為や体罰、または刑法に触れる行為での懲戒処分が頻繁に起きている。
処分量定の全文改正から10年たった今、現状に合わせて内容を変更・追加するのだと、都教委は言う。
いくつかの追加を挙げると――
都教委が焦っていることだけは伝わってきた。しかし、処分量定を厳密にすればこれらの非行が減るというものではないのに、都教委にはそのことがわからないのか。あるいは対策を講じたということを示すためなのか。
管理・監視されていることに耐えられず、教員として働くことや生きることに意味を見いだせなくなった教員の、その一つの行動が性犯罪や体罰、窃盗などのかたちであらわれている場合がかなり多いのではないかと私は思う。都教委の管理・監視を今すぐやめることこそが、人間性を取り戻させ、犯罪を生まない最善の策と思う。
都教委がこうした思考を続ける限り、子どものいじめ問題にも対応できないことははっきりしている。
■ ①「第9期東京都生涯学習審議会建議について」
2005年教育基本法17条は、政府の教育振興計画を受けて、地方公共団体が当該地方公共団体における教育振興のための施策に関する基本計画を定めることと謳う。昨年4月、首長が権限を持つ教育委員会制度に変わったことにより、東京でも知事招集の下、総合教育会議が開かれ、都教育施策大綱が策定された。また、中央教育審議会は、アクティブ・ラーニングの視点から教育内容や教育方法の見直しを求めている。そうした中、この建議は、保護者や地域住民、企業・NPO等社会を構成する様々な主体が教育においてどのような役割を果たしていけるかを提言したのだという。
今回の建議は、これまでのように地域から学校への一方的支援ではなく、地域、学校の双方向から支援し働きかけることを目指したと強調。
「地域・社会からの教育支援を受け入れる学校側の体制づくり」「地域におけるオリンピック・パラリンピック教育を推進する」「中途退学の未然防止と中途退学等への切れ目のない支援」等のことばが列挙されている。学校にあらゆる団体が口を出せるということのようだ。
オリンピック教育で都教委が言う「子どもを通じて家庭・地域を巻き込む」というのも、この双方向からの支援ということだろう。学校も社会も、異論を許さない同調圧力でがんじがらめにされそうだ。
本当ならば、地域と学校が双方向に働きかけ支援することは大事なことだと思う。それを大事にするのであれば、「政治的中立性」を理由に廃止させた教育委員の公選制を復活させることだ。公選制では、地域と学校がともに自由に行き来できる関係になるのだから。
■ ②「英語村(仮称)」事業の実施方針について
「児童・生徒が英語を使用する楽しさや必要性を体感でき、英語学習の意欲向上のきっかけづくり」を目的とした事業を、2018年9月の開業を目指して行うというもの。
運営機関は開業から10~15年間。
事業施設はタイム24ビル(江東区青海)を確保し、事業者は3月下旬に公募し、9月下旬に決定する。
決定した事業者に対し都は施設改修経費(開業までに発生した経費)の2分の1(4億5千万円を上限)及び事業施設賃料の10分の10の補助金を支給するという。全額補助を補助金というか?!
都学力テストでベネッセに市場を開放したと同じように、英語村で大儲けをする企業を都は出すのだ。金と癒着した都教委村の英語村事業に、宮崎教育委員は「英語村とはいいネーミングですね」と絶賛した。あきれ果てる。
夜間定時制高校存続を願う人たちの声は受験倍率が低いからと閉校を決めるのに、華々しい英語村にはこれだけ巨額の税金を投入する。教育委員たちは、これを不公平と思わないのか。
■ ③平成27年度「Good Coach賞」
「体罰根絶に向けた総合的な対策の一環として、(中略)模範となる指導を実践している運動部顧問教員を表彰し、望ましい運動部活動を普及する」というのが、この賞の趣旨だという。校長、区市町村教委(都立校の場合は学校経営支援センター)の推薦を受けたうえで審査会が決定する。
中・高、特別支援学校の被推薦者は92人、うち79人が受賞となった。審査会で落ちた13人は、年齢的に若い人、そして、過去に体罰をした人という。体罰をした人の推薦については、苦笑いするしかない。その程度の賞ということでもあるのか。
教職員の処分量定といい、この賞といい、上意下達の中にどっぷり組み込まれた都教委の人たちには、もので釣ったり脅したりの対策しか考えつかないのだろうか。こうした対策で、人の心からの気づきはないだろう。
『レイバーネット日本』(2016-03-05 )
議題のうち、議案「教職員の主な非行に対する標準的な処分量定の改正について」、報告①「第9期東京都生涯学習審議会県議について」 ②「英語村(仮称)」事業の実施方針について ③平成27年度「Good Coach賞」について報告します。今日は山口教育委員が欠席。
■ 「教職員の主な非行に対する標準的な処分量定の改正について」
今日も6件の懲戒処分案件の議案と、何件かは記されてはいないが、報告にも懲戒処分が非公開議題にあがっていた。処分案件がない定例会は、私が傍聴をしてきたこの5年、一度もなかったのではないかと思う。それくらい、性的行為や体罰、または刑法に触れる行為での懲戒処分が頻繁に起きている。
処分量定の全文改正から10年たった今、現状に合わせて内容を変更・追加するのだと、都教委は言う。
いくつかの追加を挙げると――
「対象を問わず、法律・条例に触れるわいせつ行為等は、免職であることを明記」も免職等々、免職の対象が確実に増えている。
「児童・生徒に対する性的行為について、免職とする非行の種類に、直接『乳房、でん部』を触った場合を追加。免職、停職とする非行の種類に『性的行為と受け取られる着衣の上から身体に触れる行為を行った場合』『メール等で性的行為の誘導・誘惑を行った場合』を追加」
「勤務態度不良の項目では、免職・停職とする非行の種類に、『公文書偽造・変造、私文書偽造・変造若しくは虚偽公文書を作成・行使した場合』を追加」
「麻薬、覚せい剤、危険ドラッグの所持又は使用した場合」
都教委が焦っていることだけは伝わってきた。しかし、処分量定を厳密にすればこれらの非行が減るというものではないのに、都教委にはそのことがわからないのか。あるいは対策を講じたということを示すためなのか。
管理・監視されていることに耐えられず、教員として働くことや生きることに意味を見いだせなくなった教員の、その一つの行動が性犯罪や体罰、窃盗などのかたちであらわれている場合がかなり多いのではないかと私は思う。都教委の管理・監視を今すぐやめることこそが、人間性を取り戻させ、犯罪を生まない最善の策と思う。
都教委がこうした思考を続ける限り、子どものいじめ問題にも対応できないことははっきりしている。
■ ①「第9期東京都生涯学習審議会建議について」
2005年教育基本法17条は、政府の教育振興計画を受けて、地方公共団体が当該地方公共団体における教育振興のための施策に関する基本計画を定めることと謳う。昨年4月、首長が権限を持つ教育委員会制度に変わったことにより、東京でも知事招集の下、総合教育会議が開かれ、都教育施策大綱が策定された。また、中央教育審議会は、アクティブ・ラーニングの視点から教育内容や教育方法の見直しを求めている。そうした中、この建議は、保護者や地域住民、企業・NPO等社会を構成する様々な主体が教育においてどのような役割を果たしていけるかを提言したのだという。
今回の建議は、これまでのように地域から学校への一方的支援ではなく、地域、学校の双方向から支援し働きかけることを目指したと強調。
「地域・社会からの教育支援を受け入れる学校側の体制づくり」「地域におけるオリンピック・パラリンピック教育を推進する」「中途退学の未然防止と中途退学等への切れ目のない支援」等のことばが列挙されている。学校にあらゆる団体が口を出せるということのようだ。
オリンピック教育で都教委が言う「子どもを通じて家庭・地域を巻き込む」というのも、この双方向からの支援ということだろう。学校も社会も、異論を許さない同調圧力でがんじがらめにされそうだ。
本当ならば、地域と学校が双方向に働きかけ支援することは大事なことだと思う。それを大事にするのであれば、「政治的中立性」を理由に廃止させた教育委員の公選制を復活させることだ。公選制では、地域と学校がともに自由に行き来できる関係になるのだから。
■ ②「英語村(仮称)」事業の実施方針について
「児童・生徒が英語を使用する楽しさや必要性を体感でき、英語学習の意欲向上のきっかけづくり」を目的とした事業を、2018年9月の開業を目指して行うというもの。
運営機関は開業から10~15年間。
事業施設はタイム24ビル(江東区青海)を確保し、事業者は3月下旬に公募し、9月下旬に決定する。
決定した事業者に対し都は施設改修経費(開業までに発生した経費)の2分の1(4億5千万円を上限)及び事業施設賃料の10分の10の補助金を支給するという。全額補助を補助金というか?!
都学力テストでベネッセに市場を開放したと同じように、英語村で大儲けをする企業を都は出すのだ。金と癒着した都教委村の英語村事業に、宮崎教育委員は「英語村とはいいネーミングですね」と絶賛した。あきれ果てる。
夜間定時制高校存続を願う人たちの声は受験倍率が低いからと閉校を決めるのに、華々しい英語村にはこれだけ巨額の税金を投入する。教育委員たちは、これを不公平と思わないのか。
■ ③平成27年度「Good Coach賞」
「体罰根絶に向けた総合的な対策の一環として、(中略)模範となる指導を実践している運動部顧問教員を表彰し、望ましい運動部活動を普及する」というのが、この賞の趣旨だという。校長、区市町村教委(都立校の場合は学校経営支援センター)の推薦を受けたうえで審査会が決定する。
中・高、特別支援学校の被推薦者は92人、うち79人が受賞となった。審査会で落ちた13人は、年齢的に若い人、そして、過去に体罰をした人という。体罰をした人の推薦については、苦笑いするしかない。その程度の賞ということでもあるのか。
教職員の処分量定といい、この賞といい、上意下達の中にどっぷり組み込まれた都教委の人たちには、もので釣ったり脅したりの対策しか考えつかないのだろうか。こうした対策で、人の心からの気づきはないだろう。
『レイバーネット日本』(2016-03-05 )
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます