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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

宮大工の集団教育観に学ぶ

2012年10月30日 | こども危機
 ▼ 集団で技を学ぶには不揃いな子がいたほうがいい
 「集団で技を学ぶには不揃(ふぞろ)いな子がいたほうがいいと思っています。年齢も経歴も性格も育ちもさまざまな子が、たがいを見ながら、自分の道を歩んでいくことができるからです」
 ▼ 法隆寺最後の宮大工西岡常一の唯一の内弟子を務めた後、「鵤(いかるが)工舎」を設立した小川三夫さんの言葉だ。塩野米松さんが聞き書きした『不揃いの木を組む』(文春文庫)から引いた。宮大工の世界にとどまらない知恵が詰まっているように思う
 ▼ 鵤工舎での修業は十年間。長い年月は、隠し事や自分を飾ることは意味がない、と教えてくれる。修業に耐え抜いた若者には優しさが生まれ、心にはゆとりが出てくるという
 ▼ 「学校でも器用な子のほうが先生には喜ばれるわけだよ。学校は促成栽培だから、器用なやつほど成績がよくて、いい子なんや」。早く簡単に仕事を済ませる要領の良さは、職人の世界では結局は損をするという。物づくりや職人世界では、「絶対あかんことだ」と小川さんはいう
 ▼ 法隆寺や薬師寺の塔を内部から見ると、不揃いな材木でつくられ、一本一本が支え合って立っている。宮大工の世界では「総持ち」という言い方をするそうだ
 ▼ 今の教育は目に見える成果ばかりを求めていないか。「急いだら人は育たんで。不揃いの中で育つのが一番や」。総持ちの思想からは遠くなったこの社会で、棟梁(とうりょう)の言葉は重く響く。
『東京新聞』(2012年10月29日【筆洗】)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2012102902000113.html
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