8月20日、大阪市教委は木川南小学校の久保敬校長に対し、「文書訓告」を強行しました。
たいへん驚くとともに、憤りを感じています。
提言に至る経過やその後の保護者や有識者らからの声などを含めて共感が広がり、市教委としては少なくとも保護者・市民への説明を含めて、もっと慎重な対応をとるだろうというわずかな期待も持っていましたが、残念でなりません。
ひとまず、市民の声の一つとして、「子どもに教育への権利を!大阪教育研究会」として、大阪市教育委員会に抗議文を提出しました。
※ 市教委のHPに掲載された「文書訓告」についての説明
https://www.city.osaka.lg.jp/kyoiku/page/0000542776.html
2021年8月21日
大阪市教育委員会
教育長 山本 晋次 様
大阪市教委は、8月20日、「大阪市教育行政への提言 豊かな学校文化を取り戻し、学び合う学校にするために」を市長及び教育委員会に提出した大阪市立木川南小学校の久保敬校長への「文書訓告」を強行しました。
私たちは、大阪市長及び大阪市教委に強く抗議します。久保敬校長に対する「文書訓告」を今すぐ撤回してください。
久保校長が、提言の提出に至った経過を見れば、市長と市教委の不当性は明らかです。
コロナ感染拡大に際して、大阪府は4月25日に3度目の「緊急事態宣言」下に入りました。松井市長は、「宣言」に先行して、4月19日の会見で、大阪市立小中学校の通常授業を中止させ「原則オンライン授業」に切り替えると突然の発表を行いました。
市長発表は市教委にとっても、ましてや学校現場にとってはなおさら「寝耳に水」の話でした。それとは、その後の市教委や各学校の対応を見ても明らかです。
市長による強硬かつ無理筋の命令に従う市教委は、場当たり的で性急な指示を連発し、保護者も子どもも、学校を支えるボランティアも、教職員もへとへとになって対応する事態が続きました。
5月11日に定例開催された教育委員会議では、教育委員から「報道によって初めて通知内容を知った」という発言がありました。松井市長による独断と無法、教委の無責任は、明らかに教育への不当介入の違法行為であり、市教委事務局も教育委員もその行為に抗うべき立場、少なくとも批判的な意見を表明すべき立場にあったはずです。
しかし、市教委は市長からの指示に唯々諾々と従ったのです。
久保敬校長による「提言」はこのような中で生まれたのではないでしょうか。
「大阪市教育行政への提言 豊かな学校文化を取り戻し、学び合う学校にするために」は、「通信環境の整備など十分に練られることないまま場当たり的な計画で進められ」「保護者や児童生徒に大きな負担がかかっている」「子どもの安全・安心も学ぶ権利もどちらも保障されない状況をつくり出している」と記し、事態の深刻さを訴えました。
これは、現場の子どもたち、教職員、保護者らの止むにやまれぬ思いを市長と市教委に伝えようとしたものです。
提言書は、このような事態が起こる根底にあるものが何かについても言及し、「子どもたちを生き辛くさせているもの」に大人が真剣に向き合うべきだと述べています。そのために、「あらゆるものを数値化して評価することで、人と人との信頼や信用をズタズタにし、温かなつながりを奪っただけではないのか」という現実、教職員は「やりがいや使命感を奪われ、働くことへの意欲さえ失いつつある」という現実についてみんなに語りかけています。
そして、久保校長は、「今、価値の転換を図らなければ、教育の世界に未来はない」「『生き抜く』世の中ではなく『生き合う』」世の中へ」「根本的な教育の在り方、いや政治や社会の在り方を見直し、子どもたちの未来に明るい光を」と訴え、子どもたちと彼らが託された未来のために働こうと呼びかけました。
「提言」は、マスコミでも取り上げられ、SNS上でも「#○○小学校長を支持します」は数日で10万ツイートを超えました。久保校長の行動と提言への賛同を集める署名も広く取り組まれました。「提言」への共感は全国に広がっています。
松井市長は、「この校長は現場がわかっていない」「子どもたちは・・・競争する社会の中で生き抜いていかなければならない」と久保校長の行動と提言を否定しています。
6月29日の大阪市総合教育会議で、大森特別顧問も市長と同様の発言を行いました。しかし、このような発言に対して、教育委員も市教委事務局も黙して語らぬ姿勢を貫いています。唖然とします。子ども、保護者、教職員、市民に対して何の説明もないままの今回の「文書訓告」には憤りしかありません。
市教委は「文書訓告」の理由について、「教育委員会としては、よりよい教育行政の実現のため、学校現場からの声を聞くことは重要なことであると考えておりますが、今回の提言については、他校の状況等を斟酌せず、独自の意見だけをもって本市の学校現場全体がそうだと断じるなどの内容となっており、そうした提言を拡散させたことについて、次のとおり、令和3年8月20日付けで当該小学校長に文書訓告を行いました。」としています。
しかし、最もその責任を問われなければならないのは、現場の声を無視した政治パフォーマンスを優先させ教育に不当な強制を行った松井市長であり、現場の実状を知りながら無理筋の施策の強行を命じた市長への反論すら行わず行き当たりばったりの指示に終始した市教育長と市教委事務局ではないのでしょうか。
『子どもに教育への権利を!大阪教育研究会のブログ』(2021年8月21日)
http://eduosk.cocolog-nifty.com/blog/2021/08/post-2cf7b8.html
たいへん驚くとともに、憤りを感じています。
提言に至る経過やその後の保護者や有識者らからの声などを含めて共感が広がり、市教委としては少なくとも保護者・市民への説明を含めて、もっと慎重な対応をとるだろうというわずかな期待も持っていましたが、残念でなりません。
ひとまず、市民の声の一つとして、「子どもに教育への権利を!大阪教育研究会」として、大阪市教育委員会に抗議文を提出しました。
※ 市教委のHPに掲載された「文書訓告」についての説明
https://www.city.osaka.lg.jp/kyoiku/page/0000542776.html
2021年8月21日
大阪市教育委員会
教育長 山本 晋次 様
◎ 大阪市立木川南小学校長への「文書訓告」に抗議します
「子どもに教育への権利を!大阪教育研究会」
大阪市教委は、8月20日、「大阪市教育行政への提言 豊かな学校文化を取り戻し、学び合う学校にするために」を市長及び教育委員会に提出した大阪市立木川南小学校の久保敬校長への「文書訓告」を強行しました。
私たちは、大阪市長及び大阪市教委に強く抗議します。久保敬校長に対する「文書訓告」を今すぐ撤回してください。
久保校長が、提言の提出に至った経過を見れば、市長と市教委の不当性は明らかです。
コロナ感染拡大に際して、大阪府は4月25日に3度目の「緊急事態宣言」下に入りました。松井市長は、「宣言」に先行して、4月19日の会見で、大阪市立小中学校の通常授業を中止させ「原則オンライン授業」に切り替えると突然の発表を行いました。
市長発表は市教委にとっても、ましてや学校現場にとってはなおさら「寝耳に水」の話でした。それとは、その後の市教委や各学校の対応を見ても明らかです。
市長による強硬かつ無理筋の命令に従う市教委は、場当たり的で性急な指示を連発し、保護者も子どもも、学校を支えるボランティアも、教職員もへとへとになって対応する事態が続きました。
5月11日に定例開催された教育委員会議では、教育委員から「報道によって初めて通知内容を知った」という発言がありました。松井市長による独断と無法、教委の無責任は、明らかに教育への不当介入の違法行為であり、市教委事務局も教育委員もその行為に抗うべき立場、少なくとも批判的な意見を表明すべき立場にあったはずです。
しかし、市教委は市長からの指示に唯々諾々と従ったのです。
久保敬校長による「提言」はこのような中で生まれたのではないでしょうか。
「大阪市教育行政への提言 豊かな学校文化を取り戻し、学び合う学校にするために」は、「通信環境の整備など十分に練られることないまま場当たり的な計画で進められ」「保護者や児童生徒に大きな負担がかかっている」「子どもの安全・安心も学ぶ権利もどちらも保障されない状況をつくり出している」と記し、事態の深刻さを訴えました。
これは、現場の子どもたち、教職員、保護者らの止むにやまれぬ思いを市長と市教委に伝えようとしたものです。
提言書は、このような事態が起こる根底にあるものが何かについても言及し、「子どもたちを生き辛くさせているもの」に大人が真剣に向き合うべきだと述べています。そのために、「あらゆるものを数値化して評価することで、人と人との信頼や信用をズタズタにし、温かなつながりを奪っただけではないのか」という現実、教職員は「やりがいや使命感を奪われ、働くことへの意欲さえ失いつつある」という現実についてみんなに語りかけています。
そして、久保校長は、「今、価値の転換を図らなければ、教育の世界に未来はない」「『生き抜く』世の中ではなく『生き合う』」世の中へ」「根本的な教育の在り方、いや政治や社会の在り方を見直し、子どもたちの未来に明るい光を」と訴え、子どもたちと彼らが託された未来のために働こうと呼びかけました。
「提言」は、マスコミでも取り上げられ、SNS上でも「#○○小学校長を支持します」は数日で10万ツイートを超えました。久保校長の行動と提言への賛同を集める署名も広く取り組まれました。「提言」への共感は全国に広がっています。
松井市長は、「この校長は現場がわかっていない」「子どもたちは・・・競争する社会の中で生き抜いていかなければならない」と久保校長の行動と提言を否定しています。
6月29日の大阪市総合教育会議で、大森特別顧問も市長と同様の発言を行いました。しかし、このような発言に対して、教育委員も市教委事務局も黙して語らぬ姿勢を貫いています。唖然とします。子ども、保護者、教職員、市民に対して何の説明もないままの今回の「文書訓告」には憤りしかありません。
市教委は「文書訓告」の理由について、「教育委員会としては、よりよい教育行政の実現のため、学校現場からの声を聞くことは重要なことであると考えておりますが、今回の提言については、他校の状況等を斟酌せず、独自の意見だけをもって本市の学校現場全体がそうだと断じるなどの内容となっており、そうした提言を拡散させたことについて、次のとおり、令和3年8月20日付けで当該小学校長に文書訓告を行いました。」としています。
しかし、最もその責任を問われなければならないのは、現場の声を無視した政治パフォーマンスを優先させ教育に不当な強制を行った松井市長であり、現場の実状を知りながら無理筋の施策の強行を命じた市長への反論すら行わず行き当たりばったりの指示に終始した市教育長と市教委事務局ではないのでしょうか。
『子どもに教育への権利を!大阪教育研究会のブログ』(2021年8月21日)
http://eduosk.cocolog-nifty.com/blog/2021/08/post-2cf7b8.html
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