パワー・トゥ・ザ・ピープル!!アーカイブ

東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

◆ 明けない夜はない(213)

2023年09月22日 | 「日の丸・君が代」強制反対

 ◆ <なぜ教員が集まらなくなったのか>

<転送歓迎>(重複ご容赦)・「新芽ML」・「ひのきみ全国ネット」・「戦争をさせない杉並1000人委員会」・「杉並コモンズ」の渡部です。

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 本日(9月20日)の「朝日新聞」一面に、「教員志願 止まらぬ減少」という記事が大きく載っていた。
 その理由について、「教員の長時間労働」などの問題が挙げられているが、それは結果であって、本当の原因は自民党政権による教員政策の失敗に他ならない。
 それは大きく二つの特徴を持つと言える。

①教員に対する管理強化と分断により、教員がモノも言えず息も付けないような状態になってきたこと。

②教育内容が上意下達の国家主義的なものになり、教員の自主性・創造性が出すことができず、教員の職業に対する魅力がなくなってきたこと。

 これらのことは戦後間もない頃から闘われてきた。
 戦後教員たちは、戦前の教訓から「教え子を再び戦場に送るな!」として、<平和教育>に積極的に取り組んできた。
 また、教員が戦前のように上意下達の職階制にならないように1950年代に持ちあがった「勤務評定」に対し、「勤評は戦争への一里塚!」として勤評闘争が闘われそれを形骸化させた。
 しかし、自民党政権はその後も一貫して、戦前回帰の道を歩み、それに対し日教組などの教員組合は闘ってきた。

 しかし、1995年日教組中央は、現場組合員の大きな反対を無視、文部省との「パートナー路線」に舵を切り、以下の「五項目」について闘いの旗を降ろすことになった。

① 「日の丸・君が代」
② 学習指導要領
③ 職員会議
④ 官製研修
⑤ 主任制

 その結果、以下のようなことが起きてきた。

①については、強制が格段に強まり、現在ではほとんどの学校の卒入学式に「日の丸・君が代」が導入され、式も創意工夫のある式は否定され、戦前同様のやり方でやられるまでになってきた。
「不起立」などで抗議する教員は次々に処分されてきた。

②については、本来法律ではない学習指導要領の法的拘束性が強まり、細かい内容まで強制されることになった。「日の丸・君が代」の強制はその象徴である。
 そして、これにもとづいて教科書が作られるため、平和教育はどんどん後退し、教科書は実質的に国定教科書となり、教員の教育の自由はどんどん制限されてきた。

③については、職員会議は挙手採決が否定され、単なる上意下達の場となり、批判的な意見さえも出せない状態になってきた。
 その結果教員はモノ言えぬ単なる下請け作業者のような存在になってきた。

④については、一方では官製研修への参加強制となり、他方では長期休暇中の自宅研修なども出来なくなった。
世界史を教えていた私は、2002年の冬休みアリストテレスの「形而上学」を読むために3日間自宅研修をしたが、千葉県教委はそれを認めず賃金カットをした。その後、先輩教員の助けを借り最高裁まで闘ったが敗訴した。

⑤については、1970年代戦前の職階制に戻るとして大きな闘いがあったが、日教組中央は反対の旗をおろすことになった。これにより、その後、職階制がすすみ、東京などでは、統括校長・校長→副校長→主幹教諭・指導教諭→主任教諭 →教諭、というまでになっている。
しかも、校長が「6級職」、副校長は「5級職」、主幹教諭・指導教諭は「4 級職」、主任教諭は「3級職」、教諭は「2級職」とされ、給料額と連動された。上に上がらなければ給料は上がらない。

 その他、2009年4月からは教員に対し「免許更新制」が導入された。
 これは、露骨な「国定教師」づくりであった。これに嫌気をさして教員志望はどんどん落ち込み、2022年には廃止となった。これは完全に失敗したのである。
 しかし、その傷跡は大きい。

 さらに、特筆しなければならないのは、2000年ごろから教員に対する「業績評価」が導入され、現在ではすべての都道府県に導入されていることである。これは「新勤評」とも呼ばれている。

 2006年に改悪された教育基本法の「第17条 教育振興基本計画」に基づき、国が定めた基本計画を各自治体・学校で具体化し、そのために個々の教員は何ができるかを「自己申告」させ、校長と面談、年度末に校長が5段階で評価するというものである。
 下段の給料を上げないで、その分上段に回し、支払う給料総額は変えずに、忖度教員を大量に生み出すことができる仕組みである。
 これは、職階制度と直結しており、これにより職場の教員は徹底的に分断されることになった。

 その結果、職場環境は最悪となっている。
 精神的疾患者や休職者が増えるのは当然である。
 この「職階制」と「業績評価」は最悪の教員政策であり、これが結果的に長時間労働をはびこらせているのである。

 こうして、自民党の国家主義的教員政策が、日本の教育現場から自由と魅力を失わせ、教員も集まらないようにしたのである。
 彼等が日本の教育を破壊しているといっても過言ではない。

 最後に一言。
 今の岸田政権の軍拡・改憲の動きを見ると、改めて先輩教員たちが

「教え子を再び戦場に送るな!」
「勤評は戦争への一里塚!」

と述べた意味が良くわかる。

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