途上国並みの東京都の人権行政を自由権規約委員会に情報提供したレポート(英文)が、国連人権委員会(OHCHR)のHPに掲載されました。
下記のurlをクリックして、日本(Japan)までスクロール、報告書の40番目です。
https://tbinternet.ohchr.org/_layouts/15/treatybodyexternal/SessionDetails1.aspx?SessionID=804&Lang=en
ダウンロードも、そこから出来ます。英文が正式文書です。以下、仮訳を掲載します。
(本文中には「転び攻防」高橋秀一副校長の動画にもリンクを張ってあります。)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2a/f6/037ae2b1791e3629a757426e8222964a.jpg)
「校務」執行中?の高橋秀一目黒九中副校長(2020年7月8日)
≪国連自由権規約委員会第7回日本政府報告審査 NGOからの情報提供レポート日本語仮訳≫
東京の目黒区立第九中学校の管理職が、同校近くの路上で中学生に平穏にチラシを配っていた高校生を、警察を呼んで逮捕させた事件が発生した。
私たちは、この事件が自由権規約19条に違反する表現の自由の侵害であるとして、高校生の権利を擁護し自由権規約委員会に通報するために2020年10月26日に設立された団体である。
詳細な事実は以下に述べる。
2.事実
(1)高校生によるチラシ配付行為
①高校生が行っていたこと
2020年7月8日7時30分頃、目黒区立第九中学校の校門から200mほど離れた公道上で、一人の高校生が生徒向けのチラシを配っていた。校門から遠く離れて行っていたわけは、前日校門前で配布したところ管理職から執拗な介入を受けたことから、摩擦を避けたかったからである。
②チラシの内容
目黒九中の近隣の都立小山台高校で、コロナ禍にも関わらずプール授業を強行しようとしたことを、生徒の健康・安全を優先する立場から批判した内容で、元々は小山台高校の校門前で在校生向けに配付されたものである。その後水泳授業は中止になった。
③ビラの作成者
このチラシの作成者は、高校生の自治組織「日本自治委員会」であり、HPには以下のような自己紹介がある。
「教員の御用機関となってしまっている既存の生徒会に代わって、常に生徒側に立って、生徒の権利・自由を守り、学校生活を改善・向上させる自治活動を行っています。」
https://jpjichi.wixsite.com/jpjichi/about
④ビラ配付の目的
都立小山台高校に進学する生徒の多い近隣の中学校で、生徒の自主的活動が学校のあり方を変えることを知らせたり、自主的な活動をする自分たちの「自治委員会」に参加することを呼びかけることが目的だった。
(2)ビラ配付行為に対する弾圧
①目黒九中高橋秀一副校長らによる妨害
自校の生徒に学校当局を批判するようなビラを読ませたくないと思った管理職と学校職員3人が、一人の高校生を囲んで配布行為を止めさせようとした。学校側は「生徒の通学の安全を期すため」のような理由をあげるが、学校の敷地を遠く離れた住宅街で、人通り・交通量とも少なく、通行上の支障はありえない場所で、チラシ配布は平穏に行われていた。
②逮捕の経緯
高校生は、執拗に妨害してくる様子を、介入の証拠として記録に取っておこうとスマホで撮影を始めた。
体に触れられたり暴力行為されないよう「ソーシャルディスタンスを保って下さい」と声を掛け後ずさりしながら撮影していたが、高橋秀一副校長は構わず体を寄せてきて、スマホのカメラ部分に手をかざしてきた。高校生がスマホを奪われないよう抵抗すると、副校長はいきなり「いてて、いてて、暴力を受けたので警察に通報します」と叫び、自分の携帯電話で警察に通報した。
20分ほどでパトカー3台と7人の警察官が到着し、高校生は碑文谷警察署に連行された。
後に作成された「被疑事実」によれば、暴行による公務執行妨害で、副校長による「私人逮捕」であったとされる。
この時、高校生がスマートフォンで撮影していた、副校長が介入する様子が写っている動画が公開されている。
https://www.youtube.com/watch?v=UZfb8CDehTQ
③勾留の経過
警察での取調の後、東京地検に送られて、その間弁護士のアドバイスに従って黙秘していたところ、10日間の勾留延長が認められてしまった。さらに勾留理由開示公判で、証拠隠滅の恐れがある等の理由でもう10日間の勾留延長が認められてしまった。
本人は、逮捕時に、所属団体の連絡先や自分の保険証を示すなどしていて、身元もハッキリしていて逃亡のおそれもなかったのに、法的限度の21日間代用監獄に拘束された。その間高校に通学することも出来なくなってしまった。
釈放された後、結果的に不起訴に終わっている。
3.関係当局の対応の問題点
(1)区立目黒第九中学校と高橋秀一副校長
そもそも一市民である高校生の平穏なビラ配りを制限する権限も法的根拠も、学校側にはない。学校の敷地外において、学校側の人間がビラ配りに介入することは、「校務」とは言えない。
教育者としてビラ配りを止めさせるのに、警察の力を借りるべきではなかった。
逆に、正当な行為をしている市民を「私人逮捕」する行為は刑法220条(※)違反に当たる。
※【刑法220条逮捕監禁罪(逮捕及び監禁)】
第二百二十条 不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、三月以上七年以下の懲役に処する。
(2)東京都教育委員会
都立高校生である被害者の学ぶ権利が、学校管理責任者の一連の不適切な行為により21日間も奪われたことを座視し、救済措置も執らず、責任者として謝罪もしていない。
そもそも生徒の健康や安全への配慮を欠いた都立小山台高校の授業計画を指導すべきところ、コロナ禍のプール授業強行に批判的な意見を表明した高校生の方が不利益を被ってしまった。
さらに、高校生の人権を侵害した管理職に対し、任命権者として指導も処分もしていない。まず人権研修は命ずるべきである。
(3)警視庁碑文谷警察署
高橋秀一副校長による私人逮捕を、よく調査することなく、何ら違法行為をしていない高校生を逮捕勾留した。
(4)東京地方検察庁
親と同居していて逃亡のおそれのない高校生を、裁判所に勾留請求および勾留延長請求して21日間にわたって代用監獄に勾留した。結果的に不起訴であったが、理由の説明も謝罪も原状回復もなされていない。
(5)東京地方裁判所
被害者代理人の求釈明要求に一切応えず、本人が黙秘していることを主な理由に、21日間にわたって代用監獄に勾留することを認めた。これは憲法で保障された黙秘権の否定に等しい。
4.自由権規約委員会の事前質問リスト
この事件は、2017年に事前質問リストが出された後の2020年7月8日に発生したため、事前質問リストには直接関連する質問はない。しかし、この事件は表現の自由の侵害と代用監獄の問題であるので、以下の質問条項が適用される。
5.結論~高校生の表現の自由の権利に対する侵害
高校生が自分で作ったチラシを、中学生に平穏に配る行為は、正当な表現活動でありどこにも違法性はない。表現の自由の権利は、日本国憲法第21条(※)、自由権規約第19条、こどもの権利条約第12条によって保障されている。
それなのに、教育機関、行政機関、司法機関はその権利の行使を妨害したばかりか、21日間にわたり不当に拘留し、その期間の学習権も奪った。
彼の名誉と人間としての尊厳は彼らによって損なわれた。そしてその被害に対する当局による説明、謝罪、補償はない。
この事件は、規約第19条の違反と見なされるべきである。
6.希望する勧告
(1)委員会は目黒九中の管理職が高校生の表現活動に介入した行為は、表現の自由の侵害に当たると懸念する。彼を逮捕する緊急性、正当な目的、法的根拠はなかったように思われる。委員会は日本政府に対して、高校生が学校の内外で自由に意見を表明する権利を保障するよう、地元の教育機関や学校に指示することを勧告する。
(2)委員会は平穏な表現活動をしていた高校生を不当に逮捕することに懸念を表明し、警察が高校生の平和的な表現活動に介入することを控えるよう勧告する。
(3)委員会は、身元を明らかにしている高校生を21日間勾留した点で、本件は規約第19条だけでなく第9条にも違反していることに懸念を表明する。委員会は、代用監獄を廃止すべきであると勧告する。
(4)委員会は、教育を司る立場にある者が警察の力を借りて高校生の表現活動を不法に弾圧したことに懸念を表明し、日本政府が、これらの学校管理者に基本的人権に関する研修を課し適切な指導を行うよう、勧告する。
(5)委員会は、当該高校生が被ったすべての損害を補償するよう勧告する。
下記のurlをクリックして、日本(Japan)までスクロール、報告書の40番目です。
https://tbinternet.ohchr.org/_layouts/15/treatybodyexternal/SessionDetails1.aspx?SessionID=804&Lang=en
ダウンロードも、そこから出来ます。英文が正式文書です。以下、仮訳を掲載します。
(本文中には「転び攻防」高橋秀一副校長の動画にもリンクを張ってあります。)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2a/f6/037ae2b1791e3629a757426e8222964a.jpg)
「校務」執行中?の高橋秀一目黒九中副校長(2020年7月8日)
≪国連自由権規約委員会第7回日本政府報告審査 NGOからの情報提供レポート日本語仮訳≫
◎ 目黒九中校門前、ビラ配付高校生不当逮捕事件
~自由権規約19条「表現の自由」に関する教育現場での新たな事態の報告
~自由権規約19条「表現の自由」に関する教育現場での新たな事態の報告
2021年5月27日
目黒九中事件を国連に通報する会
1.はじめに目黒九中事件を国連に通報する会
東京の目黒区立第九中学校の管理職が、同校近くの路上で中学生に平穏にチラシを配っていた高校生を、警察を呼んで逮捕させた事件が発生した。
私たちは、この事件が自由権規約19条に違反する表現の自由の侵害であるとして、高校生の権利を擁護し自由権規約委員会に通報するために2020年10月26日に設立された団体である。
詳細な事実は以下に述べる。
2.事実
(1)高校生によるチラシ配付行為
①高校生が行っていたこと
2020年7月8日7時30分頃、目黒区立第九中学校の校門から200mほど離れた公道上で、一人の高校生が生徒向けのチラシを配っていた。校門から遠く離れて行っていたわけは、前日校門前で配布したところ管理職から執拗な介入を受けたことから、摩擦を避けたかったからである。
②チラシの内容
目黒九中の近隣の都立小山台高校で、コロナ禍にも関わらずプール授業を強行しようとしたことを、生徒の健康・安全を優先する立場から批判した内容で、元々は小山台高校の校門前で在校生向けに配付されたものである。その後水泳授業は中止になった。
③ビラの作成者
このチラシの作成者は、高校生の自治組織「日本自治委員会」であり、HPには以下のような自己紹介がある。
「教員の御用機関となってしまっている既存の生徒会に代わって、常に生徒側に立って、生徒の権利・自由を守り、学校生活を改善・向上させる自治活動を行っています。」
https://jpjichi.wixsite.com/jpjichi/about
④ビラ配付の目的
都立小山台高校に進学する生徒の多い近隣の中学校で、生徒の自主的活動が学校のあり方を変えることを知らせたり、自主的な活動をする自分たちの「自治委員会」に参加することを呼びかけることが目的だった。
(2)ビラ配付行為に対する弾圧
①目黒九中高橋秀一副校長らによる妨害
自校の生徒に学校当局を批判するようなビラを読ませたくないと思った管理職と学校職員3人が、一人の高校生を囲んで配布行為を止めさせようとした。学校側は「生徒の通学の安全を期すため」のような理由をあげるが、学校の敷地を遠く離れた住宅街で、人通り・交通量とも少なく、通行上の支障はありえない場所で、チラシ配布は平穏に行われていた。
②逮捕の経緯
高校生は、執拗に妨害してくる様子を、介入の証拠として記録に取っておこうとスマホで撮影を始めた。
体に触れられたり暴力行為されないよう「ソーシャルディスタンスを保って下さい」と声を掛け後ずさりしながら撮影していたが、高橋秀一副校長は構わず体を寄せてきて、スマホのカメラ部分に手をかざしてきた。高校生がスマホを奪われないよう抵抗すると、副校長はいきなり「いてて、いてて、暴力を受けたので警察に通報します」と叫び、自分の携帯電話で警察に通報した。
20分ほどでパトカー3台と7人の警察官が到着し、高校生は碑文谷警察署に連行された。
後に作成された「被疑事実」によれば、暴行による公務執行妨害で、副校長による「私人逮捕」であったとされる。
この時、高校生がスマートフォンで撮影していた、副校長が介入する様子が写っている動画が公開されている。
https://www.youtube.com/watch?v=UZfb8CDehTQ
③勾留の経過
警察での取調の後、東京地検に送られて、その間弁護士のアドバイスに従って黙秘していたところ、10日間の勾留延長が認められてしまった。さらに勾留理由開示公判で、証拠隠滅の恐れがある等の理由でもう10日間の勾留延長が認められてしまった。
本人は、逮捕時に、所属団体の連絡先や自分の保険証を示すなどしていて、身元もハッキリしていて逃亡のおそれもなかったのに、法的限度の21日間代用監獄に拘束された。その間高校に通学することも出来なくなってしまった。
釈放された後、結果的に不起訴に終わっている。
3.関係当局の対応の問題点
(1)区立目黒第九中学校と高橋秀一副校長
そもそも一市民である高校生の平穏なビラ配りを制限する権限も法的根拠も、学校側にはない。学校の敷地外において、学校側の人間がビラ配りに介入することは、「校務」とは言えない。
教育者としてビラ配りを止めさせるのに、警察の力を借りるべきではなかった。
逆に、正当な行為をしている市民を「私人逮捕」する行為は刑法220条(※)違反に当たる。
※【刑法220条逮捕監禁罪(逮捕及び監禁)】
第二百二十条 不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、三月以上七年以下の懲役に処する。
(2)東京都教育委員会
都立高校生である被害者の学ぶ権利が、学校管理責任者の一連の不適切な行為により21日間も奪われたことを座視し、救済措置も執らず、責任者として謝罪もしていない。
そもそも生徒の健康や安全への配慮を欠いた都立小山台高校の授業計画を指導すべきところ、コロナ禍のプール授業強行に批判的な意見を表明した高校生の方が不利益を被ってしまった。
さらに、高校生の人権を侵害した管理職に対し、任命権者として指導も処分もしていない。まず人権研修は命ずるべきである。
(3)警視庁碑文谷警察署
高橋秀一副校長による私人逮捕を、よく調査することなく、何ら違法行為をしていない高校生を逮捕勾留した。
(4)東京地方検察庁
親と同居していて逃亡のおそれのない高校生を、裁判所に勾留請求および勾留延長請求して21日間にわたって代用監獄に勾留した。結果的に不起訴であったが、理由の説明も謝罪も原状回復もなされていない。
(5)東京地方裁判所
被害者代理人の求釈明要求に一切応えず、本人が黙秘していることを主な理由に、21日間にわたって代用監獄に勾留することを認めた。これは憲法で保障された黙秘権の否定に等しい。
4.自由権規約委員会の事前質問リスト
この事件は、2017年に事前質問リストが出された後の2020年7月8日に発生したため、事前質問リストには直接関連する質問はない。しかし、この事件は表現の自由の侵害と代用監獄の問題であるので、以下の質問条項が適用される。
16.委員会の前回の勧告(パラ18)及びその実施の評価(CCPR/C/116/2及びCCPR/C/120/2参照)を考慮に入れ、代替収容制度(代用監獄)の廃止、又は規約第9条及び第14条における全ての保障に完全に準拠していることを確保するために講じた措置について報告願いたい。とりわけ(a)起訴前の勾留期間において、保釈といった勾留の代替手段が十分に検討され、実際に利用されているか、(b)弁護人が全ての取調べ中に確実に立ち会えるよう措置を講じたか、(c)2016年5月に制定された法に基づき国選弁護人が付与される基準、及びそのような法的支援は逮捕時から利用可能か、(d)取調べの継続時間に係る厳格な制限及び取調べの方法が規定されているか、(e)取調べ中の拷問及び虐待の申立てを即時、公正、かつ実効的に調査する、独立した不服審査メカニズムが設置されたかについて、明らかにしていただきたい。
23.前回の総括所見(パラ22)を踏まえ、「公共の福祉」という曖昧で制限がない概念を明確化し、規約第18条及び第19条の各第3項に規定される限定的な要件を超えた、思想、良心及び宗教の自由又は表現の自由に対する権利への如何なる制限も課さないことを確実にするために講じた措置について報告願いたい。
5.結論~高校生の表現の自由の権利に対する侵害
高校生が自分で作ったチラシを、中学生に平穏に配る行為は、正当な表現活動でありどこにも違法性はない。表現の自由の権利は、日本国憲法第21条(※)、自由権規約第19条、こどもの権利条約第12条によって保障されている。
それなのに、教育機関、行政機関、司法機関はその権利の行使を妨害したばかりか、21日間にわたり不当に拘留し、その期間の学習権も奪った。
彼の名誉と人間としての尊厳は彼らによって損なわれた。そしてその被害に対する当局による説明、謝罪、補償はない。
この事件は、規約第19条の違反と見なされるべきである。
(※)【日本国憲法第21条】 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
2 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。
6.希望する勧告
(1)委員会は目黒九中の管理職が高校生の表現活動に介入した行為は、表現の自由の侵害に当たると懸念する。彼を逮捕する緊急性、正当な目的、法的根拠はなかったように思われる。委員会は日本政府に対して、高校生が学校の内外で自由に意見を表明する権利を保障するよう、地元の教育機関や学校に指示することを勧告する。
(2)委員会は平穏な表現活動をしていた高校生を不当に逮捕することに懸念を表明し、警察が高校生の平和的な表現活動に介入することを控えるよう勧告する。
(3)委員会は、身元を明らかにしている高校生を21日間勾留した点で、本件は規約第19条だけでなく第9条にも違反していることに懸念を表明する。委員会は、代用監獄を廃止すべきであると勧告する。
(4)委員会は、教育を司る立場にある者が警察の力を借りて高校生の表現活動を不法に弾圧したことに懸念を表明し、日本政府が、これらの学校管理者に基本的人権に関する研修を課し適切な指導を行うよう、勧告する。
(5)委員会は、当該高校生が被ったすべての損害を補償するよう勧告する。
≪連絡先≫ 代表:永井栄俊(090-7015-3344)
事務局長:花輪紅一郎(hanawa516@gmail.com)
事務局長:花輪紅一郎(hanawa516@gmail.com)
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