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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

根津公子の都教委傍聴記(2022年3月24日)

2022年03月28日 | 暴走する都教委
 ◆ 「やってます」感たっぷりの施策のオンパレード
   全てに「オリンピック・パラリンピック教育のレガシー」を入れて


 遠藤勝裕教育委員が退任し、今日の定例会から宮原京子教育委員が顔を見せた。
 株)ファイザーの炎症・免疫部門取締役執行委員であり、中教審初等中等教育分科会の臨時委員、文科省「デジタル教科書の今後の在り方に関する検討会」の委員、経済同友会教育改革委員会の副会長などをしてきた人物。
 ネットで検索したら、都教委は「今後、学校と民間企業との連携がより重視されるようになる。産業分野だけでなく、デジタルやグローバルの面でも、経歴を生かした意見を期待したい」(3/21 日本教育新聞)、「学校でのコロナ対策にも宮原氏の知見を活かしたい考え」(2/6 読売)とのこと。
 まさか、子どもへの新型コロナワクチン接種推奨に都教委が舵を切るなどということはないだろうが、時期が時期だけに気がかりだ。
 今日の公開議題は、議案が
   ①特別支援教育推進計画(第2期)第2次実施計画の策定について、

 報告
   ②TOKYO ACTIVE PLAN for students について
   ③グローバル人材育成の推進について
   ④都立高校における制服の自由選択制導入の推進についてほか。
 非公開議題には
   懲戒処分について、3件の議題、報告(件数は非記載)があった。

 ① 特別支援教育推進計画(第2期)第2次実施計画の策定について
   ~共生社会の実現に向けた特別支援教育の推進~


 2004年に都特別支援教育推進計画を策定し、2017年にその(第2期)を策定。今回は、国の「GIGAスクール構想」や「中教審答申『令和の日本型学校教育の構築を目指して』」、都の「東京2020大会の開催とオリンピック・パラリンピック教育のレガシー」など、東京を取り巻く状況の変化に合わせて第2次実施計画を策定したのだという。
 状況の変化から施策の重点は、
   「インクルーシブな教育の推進」
   「医療的ケア児への支援の充実」
   「デジタルを活用した教育の推進」だと。
 具体的には順に、発達障害のある子どもが在籍学級で安心して過ごせるようサポートを行う人材の配置支援、通学車での医療的ケアを行う看護師の確保、一人1台の端末整備等々。
 「医療的ケア児への支援の充実」を謳うならば、都教委は2年前の卒業式で医療的ケアが必要な子どもも参加する特別支援学校の卒業式においても、発声しての「国歌斉唱」を強行させたことについての猛省から始めるべきと思う。教育委員から、そうした意見が出されたことは一度もない。
 都教委は「インクルーシブ」「共生社会の実現」を掲げるが、認識は国際社会でのそれとは程遠い。
 昨年末に募集したパブリックコメントに、「今のシステムは分離教育である」等の意見が寄せられているが、それらは今回も活かされていない。活かす気はない、のだろう。
 ② TOKYO ACTIVE PLAN for students について

 これも、「東京2020大会の開催とオリンピック・パラリンピック教育のレガシー」か。
 「人生100年時代、元気に活動し続けられる社会をつくる」ため、「幼児期から運動を楽しみながら、自ら体力を高めていく習慣を身につける」「東京2020大会を契機に、『誰でも、どこでも、いつまでも』スポーツを楽しむことができる」よう、これを策定したという。
 最初の策定は2010年、体力測定(「東京都統一体力測定テスト」の数値を上げるために、中休み(2校時と3校時の間の休み時間)まで体力向上の練習をさせた学校もあったと聞く。無理があって、今はしていないが。そのことについての考察は、事務方からも教育委員からもなかった。
 「具体的な方策」5つのうちの1つに「東京2020大会レガシーの浸透」を挙げ、「オリンピアンやパラリンピアンの学校教育への参画による取組の推進」を謳う。
 2月に行われた定例会で「来年度教育予算」の中に「オリンピック・パラリンピック教育」の予算が計上されていたが、それがこのことだったのか。
 「部活動に入っていない子どもが体を使って遊べる場が徒歩10分圏内にあるように、プランに入れてほしい」
 「部活動によくある、勝利至上主義・怒鳴る・子どもを追い詰める指導をなくす。ほめる指導に
 「体を動かすことは楽しい、が定着するように」
 などの教育委員の発言があった。
 教育委員からは、「東京2020大会レガシーの浸透」についての発言はなかった。賛成ということか。指導部は「ご意見を反映させていきたい」と。
③ グローバル人材育成の推進について

 グローバル人材育成を目指して、
   2012年から始めた「次世代リーダー育成道場」(留学)、
   2014年からの外国人指導者の配置拡大
   2018年開設の東京都英語村「TOKYO GLOBAL GATEWAY」
   来年度から本格実施となる「中学校スピーキングテスト」等々。

 今回はグローバル人材育成の施策を「4つのTARGET」で体系化し、「東京グローバル人材育成指針」に示したとのこと。学校で今後取り組むことになる。
 「4つのTARGET」とは
   【TARGET1】が「主体性・英語力」(主体的に学び続ける態度と総合的な英語力の育成)、
   【TARGET2】が「創造的・論理的思考力」(国内外の課題を解決する創造的・理論的思考力の育成)、
   【TARGET3】が「自己の確立」(世界の中の一員としての自覚と自己の確立)、
   【TARGET4】が「多文化共生」(多文化共生の精神の涵養と協働する力の育成)。
 ここでも、「オリンピック・パラリンピック教育の取組とそのレガシーを生かした取組」を謳う。
 教育委員からは、「英語が話せるだけでなく、議論しそれを取りまとめる力が必要。日本人は他の国の人が入ると議論にうまく入れない。意見を言う環境をつくりたい」
 「命令されて動く方が簡単。『いい子』を育ててきてしまった。私を含め、教員が議論を受けて立つ覚悟が必要」との意見があった。
 言葉のうえでは、この発言に同感だ。
 しかし、「日の丸・君が代」の意味も歴史も知らせず考えさせずに、卒業式・入学式で「国歌斉唱」をさせているのは都教委であり教育委員ではないか。
 「起立する教員と起立しない教員がいると、児童・生徒は起立してもいいし、しなくてもいいと受け取ってしまう」から「君が代」起立を拒否する教員を処分するのだと臆面もなく言い放って(裁判での都教委の主張)。
 机上の空論ではなく、「議論をしない、いい子をつくり続けきたことを事務方も教育委員も直視せよ」と言いたい。
 ④ 都立高校における制服の自由選択制導入の推進について

 「未来の東京」戦略version up2022で掲げる「学びの場でのインクルーシブ」を実現する取組の1つとしてこれを行なうとのこと。
 「女子スラックス」導入は、2016年調査では51,7%だったのが、今年度の調査では80,8%に上昇した。最も進んでいる、性別に関係なくスラックスやスカートの「自由選択制」を導入している3校(松が谷、翔陽、桜修館中等)をPR校と位置づけ、その効果や成果を広く周知していくという。
 「LGBTQ配慮が必要と生徒から意見が出されて変えた学校もある」とのこと。

 議事が終了したところで、前回と同様に北村教育委員から、「ロシアのウクライナ侵攻について、東京の公立学校にウクライナ人がどのくらい在籍するか、ロシア人への差別はないか、今後ウクライナからの避難民が在籍した場合の対応は」について発言があった。
 「前回の北村教育委員の発言を受けて、都教委は各学校に調査した」と事務方。
 この2国以外の国の在籍児童・生徒に対する差別については、これまで委員が心配した発言はしてこなかったから、時流に乗ったこの発言には引っ掛かりを感じてしまう。
『レイバーネット日本』(2022-03-25)
http://www.labornetjp.org/news/2022/0324nezu
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