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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

コスト試算「原発安くない」

2011年05月04日 | フクシマ原発震災
 =立命館大教授がコスト試算=
 ▼ 「原発安くない」


 原子力発電は安い?狭い日本列島に54基もの原発が並ぶ理由の一つが、1キロワット時当たり5.3円とされる発電費用(コスト)だ。ところが、大島堅一・立命館大国際関係学部教授(環境経済学)は「政府の補助などを加えると、二倍以上の10.68円。福島原発事故の賠償額を論じるまでもなく、高コストだ」と異論を唱えている。

 ▼ 公表値の2倍以上
 水カ11.9円、石油10.7円、原子力5.3円-。この数字は全国の電力会社十社でつくる電気事業連合会(電事連)が、2004年に公表した電力1キロワットを起こすのに必要な経費だ。原子力が最も安くなっている。歴代政権と電力会社が、原発を推進してきた根拠の一つだ
 これに対し大島氏は、原子力+揚水12.23円、原子力10.68円、火力9.9円、一般水力3.98円-が本当のコストだという。
 この違いは、電事連が、新たに発電所を造るとして計算した仮定のコストなのに対し、大島氏は、実際の費用を計算したためだ
 電事連によると、仮のコストを使うのは、どの電源にいくらかかったか、実績値は企業秘密だからだ。
 大島氏のほうは、電力各社の*有価証券報告書からはじいた数字に、政府が原発を推進するために支出した税金を加えて計算した。これにより、原子力は一気に10.68円に跳ね上がる。電事連が言っているコストは、この政府支出分を一部しか含んでいない。
 ▼ 政府の補助 計算に入れず
 税金のうち電源開発促進税は1974年に設けられた。1キロワット時当たり8.5銭を電気料金に課し特別会計に入れられ原発を受け入れた市町村に配った
 ところが、79年のスリーマイル島、86年のチェルノブイリの両事故もあって立地は進まない。政府は交付対象を、スクールバス、葬儀場など電源開発と無縁の事業にまで広げた。
 受け入れた地元は「全国原子力発電所所在市町村協議会」などの全国組織を結成して、地域振興を政府に要望し、現在の経済産業省の外郭団体「財団法人日本立地センター」が支援した。07年度、この特別会計は整理・統合されたが、税が開発財源となるシステムは維持されたままだ。
 大島氏によると、1974~2007年度の特別会計は総額10兆5380億円。うち3分の2、約7兆円が原子力に使われた。一般会計からも支出がある。1970~2007年度のエネルギー対策費の総額5兆2148億円の97%、5兆576億円は原子力関連だ。
 原発には、揚水とバックエンドという固有のコストもある。
 原発は常に一定の発電を保ち、夜は電力が余る。そこで、山中に巨大な池を造ってポンプで水を揚げ、昼の需要時に水力発電をする。これが揚水発電といわれコストがかさむ。
 バックエンドは、放射性廃棄物の処理や燃料を再利用する核燃料サイクルなど、発電後にかかるコスト。政府は04年、18兆円と試算したが、青森県六ケ所村の再処理施設すらまだ一部が稼働しただけだ。
 大島氏は「原発は単体でも安くない。揚水とセツトなら、最も高い。消費者は財政コストも負担している福島原発で予想される巨額の賠償を考慮すると、さらに高くなる。論議すべき時だ」と指摘している。
『東京新聞』(2011/4/30【ニュースの追跡】)

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