パワー・トゥ・ザ・ピープル!!アーカイブ

東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

累積加重処分取消裁判最終前の陳述

2011年07月13日 | 日の丸・君が代関連ニュース
 *累積加重処分取消裁判 民事19部 青野裁判長の異動により結審が延期になりました
 8/22(月)4:30~527号 原告本人の最終陳述


 一審結審(のはずだった)にあたっての最終陳述
 ◎ 生徒の学習権を保障する職務遂行=不起立・不斉唱
20011/7/11 原告 近藤順一

 結審にあたって、通達や職務命令が学校現場にどのような影響を及ぼしてきたかについて、私のケースを申し上げます。
 本事案が発生した期間、校務分掌の生活指導の責任者として、全体指導の場面で話してきました。年度初めには学校生活のルールなどを説明するオリエンテーション、学期のおわり、長期の休みの前にはまとめの話、また、生徒間のトラブルなどの生活指導の場面でも全体に話してきました。
 そのときには、国籍、民族が異なるもの同士がお互いの文化、考えを尊重していくこと、自分の考えだけを押しつけないことが共に生きる基本であることを語ってきました。
 卒業式での「日の丸・君が代」の取り扱い、一律起立・斉唱は、日常的に私が話してきたことと到底相容れないことでした。
 公立中学校の儀式といえども、夜間中学には多くの外国人生徒が学んでいます。「日の丸・君が代」に対する起立・斉唱を自然な行動としては受け入れられない生徒もいます。
 私はやはり、生徒に多様な考え、行動があることを示すことが自分のやるべきことだと考え実行してきました。私の一連の行動は次のようなものでした。
 まず、職員会議で、卒業式の要綱案が審議される時には式次第から「国歌斉唱」の削除を提案してきました。論争的課題、生徒の受け止め方にも多様なものがある国旗・国歌に対する一律の敬意の表明は、夜間学級の儀式的行事にはふさわしくないと思いました。卒業式の最中には疑問や意見を出しにくいからです。
 そして、職務命令が発令された時には校長に、違反した時には懲戒処分、分限処分の対象となるのかを確認してきました。それが教育の自由、私の教授の自由に対する圧迫となるものかどうかを最終的に確認するためです。処分をもって行われる一律・起立斉唱は、教員に裁量の余地をなくし生徒に一方的な見解を教え込むもの、不当な介入・支配です。
 卒業式では不起立・不斉唱ができるだけ生徒に見えるように正対して実行しました。私は“立ってはいけない”とか“歌ってはいけない”といったのではありません。公正な判断力を育てるためには不起立・不斉唱しかないと考えました。そうすることが正しい教育を行うことだと確信しました。もちろん、式の秩序を乱したり、円滑な進行を妨げる意図は全くありませんし、そのような事実もありませんでした。
 憲法23条・26条に違反する職務命令によって私の教授の自由が侵害され、私が校務として人格的接触を行う生徒の学習権が侵害される時、それを拒否し自由の意義を示すのは教育公務員としての責務であり、生徒の学習権を保障する職務遂行は公共の福祉の見地から制約を受けるものではないと思います。
 式の直後に校長の事情聴取が行われ、その後、八王子市教委、都教委の事情聴取が連続しました。私は、事実を正確に伝えるため計12回の事情聴取全てに応じてきました。そして、懲戒処分が発令されていきました。
 4回の過酷な累積加重処分の期間、特に2008年に「分限処分の対応指針」が出されてからは、早晩免職になるか、定年退職が先かの競争だと感じました。「分限事由」には「職務命令に違反する」「研修の成果が上がらない」等が示されていたからです。
 直接に精神的圧迫を感じたのは毎年7月の服務事故再発防止研修です。校長と同席して、3回、これを受けてきましたが、被処分者の疑問や意見にまともに応えない一方的なものでした。
 1999年国旗国歌法の成立に伴って「君が代」に対する政府見解が出されました。それは“「君が代」の「君」は天皇であり、「君が代」とは我が国のこと、歌詞全体は我が国の末永い繁栄と平和を祈念したもの”とされました。また、教育基本法の改定により、“我が国と郷土を愛する”ことが規定されました。
 このような背景を考えますと学校儀式での一律起立・斉唱は、一般的なしきたりによる振る舞いではなく、象徴天皇制国家への敬意の表明にあたると思います。
 都教委の「10・23通達」、八王子市教委の「9・22通達」「12・8」通達は学校現場に深刻な事態を引き起こしています。職務命令を出す校長、現認を行う副校長、号令を発する司会進行の教員、ピアノ伴奏の音楽講師等、そして私への処分が、同僚の教職員の自由な教育実践に対する萎縮効果をもたらしているのではと危惧しています。そのことによって生徒諸君の学習の自由が間接的に侵害されています。
 最期に裁判官の皆様に訴えます。
 17年間の夜間中学での教員生活で外国人生徒と接して、強く感じたことがあります。
 世界の人々、特に中国をはじめとするアジアの人々は帝国日本に侵略された経験から当然のことながら、不再戦、再び戦争をしないために日本の公立学校が次世代に対してどのような教育をしているのかに注目しています。
 私の主張も、都教委の見解も、そして当裁判所の判断も、世界の人々にぜひ知っていただきたいと思っています。
 「前のことを忘れず、後の教訓とする」(前事不忘、後事之師)、「歴史を鑑として、未来に向かう」(以史為鑑、面向未来)といわれています。
 まだ、軌道修正は可能です。当裁判所が憲法、教育基本法に基づき公正な審理を行い、停職をはじめとする4回の懲戒処分を取り消す判決を出すことを強く要望します。

コメント    この記事についてブログを書く
« 反撃(①「7・24集会」へ)... | トップ | 7・7最高裁報告(3) »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

日の丸・君が代関連ニュース」カテゴリの最新記事