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人権救済申立をした道教組の声明文

2012年08月19日 | 日の丸・君が代関連ニュース
 《第3回「日の丸・君が代」裁判全国学習・交流集会・資料(北海道)》
 ★ 北海道教育委員会「情報提供制度」に対する札幌弁護士会の「勧告」について

 本日、札幌弁護士会は、同会人権擁護委員会の調査結果にもとづき、北海道教育委員会(道教委)「学校教育における法令等違反に係る情報提供制度に関する要綱」に基づく制度(「情報提供制度」)について、「教育基本法」が禁止する「不当な支配」に該当し、教育の自由、子どもの教育を受ける権利及び教職員の政治活動の自由を不当に侵害する、また「日の丸」に向かっての不起立行為や「君が代」の不斉唱行為を法令等違反に含めるような解釈にもとづく運用は、思想・良心の自由を不当に侵害する可能性が高いから、直ちに廃止するよう勧告した。
 これは「情報提供制度」が人権を侵害する制度であるとして、2010年9月27日に北海道の公立学校に勤務する教職員6,289人(いずれも北教組の組合員である)が申立人となり、北海道内4弁護士会人権擁護委員会に対して人権救済の申立を行なっていた件につき、札幌弁護士会に対する申立分(申立人3121人)につきなされたものである。
 北教組は申立人が所属する教職員組合として札幌弁護士会人権擁護委員会が、「基本的人権を擁護し、社会正義を実現する」弁護士の使命(弁護士法1条)の下、法律専門家としての立場から十分な調査にもとついてなした人権救済の勧告を高く評価するとともにご尽力に深い敬意を表する。
 「情報提供制度」は、道民(児童生徒の保護者、地域住民、教職員等)に「学校の運営及び教職員の職務に関し法令や学習指導要領に違反する行為が行われた、又まさに行われようとしている旨」を道教委に対し「伝達」させる制度である。
 札幌弁護士会の勧告は、「情報提供制度」が法令等に違反するという名目であれ、保護者が日常的に学校及び教職員を監視すべき対象とし、その監視結果を「情報提供」という形で教育現場を飛び越えて教育行政機関である道教委に直接に持ちこむことを奨励する制度であること、法令等違反行為に「学習指導要領」違反を一律に含めていること、法令等違反行為のみならずこれが「まさに行われようとしている」ことまでも情報提供の対象としていること、情報提供者が広く道民とされていること、不利益処分の制裁を含む「措置」に関して適正手続が一切定められていないこと、教師に対する萎縮効果が現実に深刻なものになっていることを根拠に、教育の自由、子どもの教育を受ける権利を不当に侵害すると判断している。
 また、「情報提供制度」は、憲法上合憲性に疑義のある国家公務員法第102条第1項及びこれを受けた人事院規則14-7に規定する政治的活動を、勤務時間の内外等公務への影響を一切問うことなく一律に情報提供の対象となる法令等違反行為に含めていることが申立人らの政治活動の自由を不当に侵害するものであるとしている。
 さらに、学校教育の現場において「学習指導要領」にもとつくものであるという理由で、「日の丸」に向かって起立し、「君が代」の斉唱をするよう強制することは、思想良心の自由を不当に侵害する可能性が高いとしたものである。
 この度の勧告の理由は、今日の憲法判例及び教育裁判の到達点を踏まえた法的に見ても説得力のあるものであり、広く受け容れられるべきものである。
 申立人をはじめとする北海道内公立学校の教職員は、札幌弁護士会による道教委に対するこの「人権救済勧告」に大きな勇気と教育活動に対する確信を得た。今後とも胸を張って、子どもたちに豊かな教育を保障するために奮闘することを誓っている。
 北教組は、道教委に対し、札幌弁護士会の勧告に従って「情報提供制度」を直ちに廃止するよう強く求める。
 北教組は引き続き、教職員の教育活動を全力で支え、子どもの権利を充実させるとともに教職員の人権保障、とりわけ教育の自由と思想良心の自由のためのとりくみを続ける。民主教育の確立をめざすとりくみを組織の総力をあげてさらに強化することを決意する。
2012年7月9日
北海道教職員組合
北教組弁護団


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