● ついぞ聞かれなかった都教委の反省
~反省なくして根本的改善はあり得ない
今日の議題は非公開議題が都教委事務局職員等及び公立学校職員等の懲戒処分等について、公立学校長の任命についての3議案。ほとんど毎回、こうした議案があることに驚きます。
公開議題は、
①都立高校入試の採点誤りに関する再発防止・改善策について、
②来年度高校入学者選抜実施要項・同細目について、
③公私連絡協議会の合意事項について、の3報告でした。
①は8月末に出された「調査・改善委員会報告書」をもとに、都教委が策定した「再発防止・改善策の報告」でした。改善策は、次に示すように、調査・改善委員会の報告をほぼ取り入れたものでした。
「1.採点・点検に専念できる十分な時間と環境を確保する」ために、「学力検査翌日から合格発表の前日までの日数を現行の3日間から4日間とする」「学力検査翌日と翌々日の2日間については、生徒を登校させない」「原則、作業50分ごとに10分間の休憩を設ける」。
「2.マークシート方式を導入する」。来年度入試においては、都立高校の1割、20校前後のモデル実施校にマークシート方式を試験的に導入し、2016年2月の全面導入に向けて検討するといいます。
「3.採点・点検方法を抜本的に見直す」ために「読み上げ方式による採点・点検を(答案とコピー答案の)2系統で行う」「作文等の記述式問題も2系統で行う」「合格発表日までに、合否ボーダーライン上下の一定範囲にある受検者の答案を再点検する」「採点・点検業務の詳細を定めた『採点・点検実施要項』を新たに作成する」。
「4.採点誤りを起こしにくい仕組みを作る」ために、出題形式を変えるとか、解答用紙に得点記入欄の設置や、部分点の基準を示すなど改善する。正答表と解答用紙の様式を同一にする。「採点・点検の責任の所在を明確にするため、『解答用紙綴り』の様式を改善する」。
「5.採点・点検に対する意識を高める」ために、研修会の実施や「学校現場と都教委が定期的に意見交換する場を設ける」などをあげています。
また、「合格発表以降、受検者から申し出があった場合は、採点済みの答案の写しを交付する」「合格発表後、年度内に他校同士で点検を行う」などの「セーフティネットの構築」や「全受検者の20%の答案を抽出し、都教委による再点検を行う」などの「再発防止・改善策の効果検証」を行うとしています。
報告された改善策については、理解できる内容でしたが、時間的にも労力的にもやりきれる見通しはあるのか、不安は残りました。採点業務に入ったのち、4日間で完了しない事態の発生を考えておくべきだと思いました。
この報告に対し竹花委員は、「事務局の取り組み、しっかりした検討を行っていることを評価したい。お疲れでした。私自身としては早期に何かできなかったか、反省し、忸怩たる思いはある。(採点の)システム上の問題が大きいという前提で見直しをしたのは正しい。これまでのシステムに乗ってやってきた学校職員についても、真剣に、真剣にやっているだろうけれども、重く受け止めてもらいたい。学校職員が真剣に取り組むよう、事務局でやってもらいたい」と発言。その発言に重ねるように、木村委員長は「私も責任を感じている」と言いました。
竹花委員や木村委員長が忸怩たる思いだったり、責任を感じているのは当然のことです。そして、であるならば、十何年か前に現場の反対の声を聴かずに、採点業務の期間を短縮し、生徒を登校させるようにした教職員の過重労働に対する事務局の運営にきっちりメスを入れるべきでした。しかし、この件が議題となった4月24日から8月28日までの3回の定例会において、そうした発言はありませんでした。
事務局は現場の声を聴かずに無理押ししたことを反省することが、教育委員には事務局の誤りを指摘しただすことが求められているのだと思います。そうでなければ、また、他の件で同じ過ちを犯すことが容易に推測されます。
教職員にものを言わせず、現場の声は聴かずに、指示命令に従わせることのみを求めてきた都教委の姿勢が問われているのです。
指示命令のシステムに人を(ここでは教職員を)組み込んでいることの弊害は、いろいろなところに噴出するもの。都教委に反対する者の声からも学ぶ姿勢が都教委には必要なのです。
②は来年度の入試の日程と来年度新たに始める国際高校に設置する国際バカロレアコースの入試について
③は来年度の都立高校と私立高校の募集人員の決定についての報告でした。
9月の第4週は議題がないので、次回定例会は10月9日ということでした。
『レイバーネット日本』(2014-09-12)
http://www.labornetjp.org/news/2014/0911nezu
~反省なくして根本的改善はあり得ない
今日の議題は非公開議題が都教委事務局職員等及び公立学校職員等の懲戒処分等について、公立学校長の任命についての3議案。ほとんど毎回、こうした議案があることに驚きます。
公開議題は、
①都立高校入試の採点誤りに関する再発防止・改善策について、
②来年度高校入学者選抜実施要項・同細目について、
③公私連絡協議会の合意事項について、の3報告でした。
①は8月末に出された「調査・改善委員会報告書」をもとに、都教委が策定した「再発防止・改善策の報告」でした。改善策は、次に示すように、調査・改善委員会の報告をほぼ取り入れたものでした。
「1.採点・点検に専念できる十分な時間と環境を確保する」ために、「学力検査翌日から合格発表の前日までの日数を現行の3日間から4日間とする」「学力検査翌日と翌々日の2日間については、生徒を登校させない」「原則、作業50分ごとに10分間の休憩を設ける」。
「2.マークシート方式を導入する」。来年度入試においては、都立高校の1割、20校前後のモデル実施校にマークシート方式を試験的に導入し、2016年2月の全面導入に向けて検討するといいます。
「3.採点・点検方法を抜本的に見直す」ために「読み上げ方式による採点・点検を(答案とコピー答案の)2系統で行う」「作文等の記述式問題も2系統で行う」「合格発表日までに、合否ボーダーライン上下の一定範囲にある受検者の答案を再点検する」「採点・点検業務の詳細を定めた『採点・点検実施要項』を新たに作成する」。
「4.採点誤りを起こしにくい仕組みを作る」ために、出題形式を変えるとか、解答用紙に得点記入欄の設置や、部分点の基準を示すなど改善する。正答表と解答用紙の様式を同一にする。「採点・点検の責任の所在を明確にするため、『解答用紙綴り』の様式を改善する」。
「5.採点・点検に対する意識を高める」ために、研修会の実施や「学校現場と都教委が定期的に意見交換する場を設ける」などをあげています。
また、「合格発表以降、受検者から申し出があった場合は、採点済みの答案の写しを交付する」「合格発表後、年度内に他校同士で点検を行う」などの「セーフティネットの構築」や「全受検者の20%の答案を抽出し、都教委による再点検を行う」などの「再発防止・改善策の効果検証」を行うとしています。
報告された改善策については、理解できる内容でしたが、時間的にも労力的にもやりきれる見通しはあるのか、不安は残りました。採点業務に入ったのち、4日間で完了しない事態の発生を考えておくべきだと思いました。
この報告に対し竹花委員は、「事務局の取り組み、しっかりした検討を行っていることを評価したい。お疲れでした。私自身としては早期に何かできなかったか、反省し、忸怩たる思いはある。(採点の)システム上の問題が大きいという前提で見直しをしたのは正しい。これまでのシステムに乗ってやってきた学校職員についても、真剣に、真剣にやっているだろうけれども、重く受け止めてもらいたい。学校職員が真剣に取り組むよう、事務局でやってもらいたい」と発言。その発言に重ねるように、木村委員長は「私も責任を感じている」と言いました。
竹花委員や木村委員長が忸怩たる思いだったり、責任を感じているのは当然のことです。そして、であるならば、十何年か前に現場の反対の声を聴かずに、採点業務の期間を短縮し、生徒を登校させるようにした教職員の過重労働に対する事務局の運営にきっちりメスを入れるべきでした。しかし、この件が議題となった4月24日から8月28日までの3回の定例会において、そうした発言はありませんでした。
事務局は現場の声を聴かずに無理押ししたことを反省することが、教育委員には事務局の誤りを指摘しただすことが求められているのだと思います。そうでなければ、また、他の件で同じ過ちを犯すことが容易に推測されます。
教職員にものを言わせず、現場の声は聴かずに、指示命令に従わせることのみを求めてきた都教委の姿勢が問われているのです。
指示命令のシステムに人を(ここでは教職員を)組み込んでいることの弊害は、いろいろなところに噴出するもの。都教委に反対する者の声からも学ぶ姿勢が都教委には必要なのです。
②は来年度の入試の日程と来年度新たに始める国際高校に設置する国際バカロレアコースの入試について
③は来年度の都立高校と私立高校の募集人員の決定についての報告でした。
9月の第4週は議題がないので、次回定例会は10月9日ということでした。
『レイバーネット日本』(2014-09-12)
http://www.labornetjp.org/news/2014/0911nezu
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