涙

「お願いします」の挨拶の後、
ピアノに向かい弾き始めようとすると、
涙がポロポロこぼれ出したＭちゃん。
自分でもビックリした様子のＭちゃん。
涙をふき、鼻をかみ、
ピアノを弾こうと手を鍵盤に乗せると
また涙がポロポロ。

何度かそれを繰り返しているＭちゃんを見ていて
何となく分かった。

前回の発表会が終わってから、
練習の大切がわかって、
熱心に練習するようになっていたＭちゃん。
その勢いがここ最近失速気味になってきていた。

その辺りの話をしながら、
「で、今週は全く練習しなかった？」
と聞くと、やっと言えるとばかりに大きく息を吐いてから
「そう」と大きく頷くＭちゃん。

練習を出来ないときもあるし
やる気が出ないときもある。
人間だもの。
でも、だからって、
レッスンに来て泣いているだけだと何にもならないよ。
練習できませんでした、と私に伝えて、
あとはレッスンの時間、
懸命に弾く、
それだけじゃない？

なんて話をすると、
「練習できませんでした」と
そのまま言い、
「今しっかりやります」
と笑顔で言ってくれた。

その後は、すごく集中してピアノを弾いてくれた。

Ｍちゃん、変わったなぁ～
と思える時間だった。
前回の発表会の後から熱心に練習をしていた、
のは本当だけれど、
それより以前は、実は完全ノー練。
パーフェクトに！
練習の大切さや、いつ練習しよう？
など話はしていたものの、
私の話などどこ吹く風。
「私はこれでいいの」
とばかりに全く練習していなかったＭちゃん。
それが発表会の曲が大好きになって、
お家でも弾いてみて、
弾けば弾くほど上手くなることを知ったら、
ピアノが面白くなったよう。
それがここまで来たんだなぁ～
と。

ノー練に泣くほど恐れなくてもいいけれどね(笑)