「美」を愛する人へのメッセージ

岩国市を中心に「いろ・色・パステル画」展を開催しています。また、「美」という大きなテーマに向かって発信していきます。

「人それぞれ」

2011-06-02 07:17:27 | 「美術展」

絵を描く時、題材になるのは当然その人の目にかかっています。

 

この「視点の違い」が、絵画の世界ではとてもおもしろいものになり、我々にいろいろなことを教えてくれます。

例えば、この方の作品は「楽器屋」に展示されている「ギター」を描いているものですが、見ているとどことなく画面全体から「音符」に似たものを感じてしまいます。

 

しかも、その「音符」から発する「音色」が聞こえてくるような色の変化が見られます。

 

何でもないように見えるこうしたものから、多くのヒントを得ている人がいる証のような作品になっています。

 

普通の人が見過ごしてしまうものの中から、鋭い観察眼で対象物を見ているこの姿勢は見習うべきところがあるように思えます。

この方は「石に刻まれた文字」に目が行っているように思えますが、その石の上に生えている「コケ」の存在に目が行っているように思えます。

 

全体の色調が「コケ」からとった色を基調とし、「コケ」の持つ「年月の経過」を通じて、そこに歴史的な色合いを表現しています。

この作品は、とてもわかりやすい作品になっていて、山の丘からスケッチしている姿を描いているものですが、とても落ち着て見れるのがわかると思います。

 

のんびりと「絵の制作」の没頭している人を主体にして、心が豊かになるような「空間」を配することにより、全体が「創作空間」と化しています。

 

時間の経過を気にすることなく、思いっきり野外での創作に専念しているこの姿に、思わず引き込まれてしまいます。

「尾道」の家屋を描いたものでしょうか、急な坂のある石畳と狭い場所を無駄なく使って建てられたこの家屋からそうしたところをイメージしてしまいます。

 

この方の目には、この窮屈に存在している家屋がどこか「人の存在」にも似ているようにうつったのかもしれません。

 

身を寄せ合うようなその姿は、我々の心のどこかにある一場面のようにも見えます。

 

「人の一生」を家屋に照らして描いた作品のようにも見え、絵画表現の幅の広さを教えてくれる作品になっています。

とてもわかりやすい絵画ですが、それだけにどこか「一途な」ところを感じてしまいます。

 

とても明るい気持ちにさせ、季節の変化に対する「喜び」のようなものが感じられます。

 

これらの絵を見て、いろいろな見方があることに気づくと思います。それが絵画を見る上でとても楽しいものになるし、はじめての「発見」のようなものにつながる「出会い」のようなものへと発展していきます。

 

絵を描く時だけでなく、絵画を見る時にも、「素直な気持ち」で見ることを勧めたいと思います。

 

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「岩国絵画クラブ」展・・大作から

2011-06-02 07:17:27 | 「美術展」

今、岩国市にある「シンフォニア岩国」で「岩国絵画クラブ」展を開催しています。

 

約80点の作品が会場に並べられ、日頃の会員の皆さんの絵画に対する真摯な努力が会場を覆いつくしています。

毎年、「能の世界」を描いているこの方は、堂々とした演技者の姿勢に魅せられ、正面から描いている作品が多いように思えます。

 

「能面」で隠された表情の世界を、私たちはイメージでとらえるしかありません。

 

しかし、「きらびやかないでたち」とは裏腹に、能面の下では演技者のたゆまない「演技のみがき」に対しての視点に、この方のねらいがあるのではないかと想像します。

 

一つ一つを丁寧に描写しているその姿は、どこか「能の世界」へ通じるところがあるように思えてなりません。

 

丁寧に描かれている作品だけに、こちらに伝わる迫力が大きなものとなっているように思えます。

この方はいつも「廃船」を描く方ですが、今年は視点を変え「置き去りにされた自転車」を描いています。

 

「廃船」にしても、この「捨てられた自転車」にしても、作者の目は「滅び行くもの」への視点になっています。

 

そうしたものを表現しながら「見る人」に「どのように感じるか」、疑問符を投げかけているような感じがします。

 

かなり「哲学」めいた題材を好んで描かれるこの方は、常に「時間とともに朽ちていくもの」を我々に「メッセージ」として投げかけているように思えてなリません。

以前描かれた作品がこの「廃船」で、同じようなテーマを追求しているように見えますが、そこに微妙な「心の変化」があるようにも見えます。

とても華やかな作品になっているこの方も、以前は「朽ちた時計」のようなものを描いていましたが、最近ではこうした「明るい世界」を描くようになりました。

 

何かの「きっかけ」があり、それから「画風」がからりと変わることはよくあることで、その「心境の変化」がとても顕著にでている作品になっています。

 

「外国」に行った思い出でしょうか、そこにはとても「開放的な雰囲気」が出ていて、我々が持つ「憧れの世界」がとてもよく出ているように思えます。

私は、この作品がとても気になりその理由を考えましたが、私なりに気づいたことは「平和な日常」という感覚です。

 

どこにでもある景観ですが、そのなかに漂う空気のようなものが、とてもあたたかく平和的に見えるのはどうしてでしょうか。

 

何気ない「日常の生活」の中のひとコマが、とても「幸せ」を含んでいて、この方の精神的な落ち着きを感じざるを得ません。

 

船の上で作業しているところも「日常の姿」であり、そこには特別なものは決して見れません。

 

しかし、「心」がとても落ち着いてくるのは、逆にそうした「無駄な力」を抜いて描いているからかも知れません。

 

絵を見ていると、その作者の視点が自分なりにイメージでき、とても楽しいものになります。

 

この展覧会は5日(日)まで行われています。

 

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「共感する目」・・ゴッホの作品から③

2011-06-02 07:17:27 | ニューヨーク旅行記」

「メトロポリタン美術館」にある「ゴッホ」の展示場は熱気があふれていました。

 

それは何度も言いますが、決まった「スタイル」にこだわらず、自分の「美」を追求している姿が、作品から発散しているからではないでしょうか。

 

会場で食い入りように見ている人達の姿を見ていると、「美」というものは世界中でどこでも同じように受け止められ同じように伝わることがよく理解できます。

この作品もはじめて見ましたが、とても身近な題材でどこにでもある「靴」を描いているのですが、そこに作者の思いが入るとそれは違ったものとして生き返ります。

 

この「靴」も「ゴッホ」にとってとても「思いいれ」のあるものと思われますが、それが「靴」の周りに揺らめく線のようなものから理解できます。

 

「心の動き」を表しているかのようなこうした表現は、意図的に描いたものではなく自然にこうしたものになったのではないかと考えられます。

「花」という題材もたくさん描いているのが、今回よくわかりましたが、美しく描こうとする姿勢ではなく、私には「命の宿るもの」としてとらえているように見えました。

 

この絵を見て「美しい」という印象よりは、「生き生きとしている」ことのほうが最初に目に入り、躍動感のようなものが伝わってきます。

 

「ゴッホ」はある意味では、表面的な「美」ではなく、「存在するもの」が持つ「命」のようなものを感じ、そこに自分の思いを吹き込んで、新たな作品として絵を描いているように思われて仕方ありません。

なんでもない「裏庭」にあるこうした「植物や木」からも、「生命感」を感じることはできないでしょうか。

 

「木の枝」を見てください、空に向かって弾むようにのびていくこうした木々の枝から私は「生きる喜び」のようなものを感じてしまいます。

 

「ゴッホ」自身が「生きる」ことへの執念として、こうした絵画制作を続けたことに疑いをはさむ余地はありません。

この作品もはじめて見たものですが、同じように木々の持つ「生命感」が感じられ、そこには「命」と「命」のぶつかり合いや、「ぬくもり」のようなものが感じられます。

 

「ルーラン夫人とゆりかごを揺らす女」というこの作品は、よく見るものですが同じ作品を「ゴッホ」は5点描いたといわれています。

 

母親のような存在であった「ルーラン夫人」に対して、「ゴッホ」は「花」を使っています。

 

「あたたかく見守ってくれる存在」が夫人であり、「花」であったことがよくわかります。

 

「ゴッホ」は気に入った題材を何回も続けて描いた画家でもあります。この「ルーラン夫人」もそうですが、あまりにも有名な題材は「ひまわり」や「糸杉」「麦畑」といったものですが、ご存知のように「ひまわり」の1点が東京の「損保ジャパン東郷青児美術館」にあります。

 

気に入ったものを徹底的に描くこうした姿勢から、何か違うものが見えてきてのかも知れませんし、そこに存在するものを再確認しながら描いたのかも知れません。

 

それにしても「ゴッホ」の魅力は、語りつくせないものがあることは確かです。「絵の力」がこれほど人に与えるものが大きいとは「ゴッホ」の作品に会うまではわかりませんでした。

 

「出会いが人を変える」とよく言いますが、本当にそれを実感できる作品群ではないでしょうか。

 

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