今まで理解できなかったことがわかると、「人の喜び」はとても大きなものとなります。
特に「美術」の世界では、この「わかる」ということが、とても難しいものがあるのではないでしょうか。
しかし、一定の法則で描いていくとある程度「描ける喜び」のようなものに出会うことができます。
それが「キミ子方式」と呼ばれる描き方で、「絵の苦手な方」等にとても人気があるように見えます。
その展覧会が、今「シンフォニア岩国」の企画展示室で行われています。
「点」や「線」「面」といったものを通して、「色の三原色」と「白」だけで描いていくわけですが、この手法は「色の発見」という手がかりを教えてくれます。
「形」を正確に取るのはかなり時間がかかり、途中で挫折する人が多い中、「色」については色を並べていっていくと「色の変化」に気づく場面がでてきます。
この「気づく」という行為が、やがて「わかる」という行為に変わり、絵を描くことが楽しくなるのではないかと推測されます。
「自分なり」の色を作り、それを並べていくことにより、今まで経験しなかった「色合い」の出現に作者は「創作の喜び」を感じることができるのではないでしょうか。
そうしたことを繰り返すうちに、こうした作品が生まれ、「自分で納得のいく作品」に仕上がっていくように思えます。
ましてやその題材が、自分のかわいがっている「ペット」となるとまた話は違ってきます。
この「マイカップ」でもわかるように、自分の気に入っているものを描くのは抵抗が少なくなります。
この「マイカップ」の作品群を見ていると、描いた人の「笑顔」のようになものが伝わり、あたかもそこに作者がいるように感じられます。
かなり絵を描いている人の作品だと思いますが、「オリジナル性」を感じさせるものがあり、「芸術」の領域まで行っている作品になっています。
この方も自分の「こだわり」があり、それが自分流に描ける段階まで来ています。
ここまで来ると、描くのが楽しくなり次は何を描こうかと「題材さがし」のおもしろさにも目が行くのではないでしょうか。
何かをきっかけに「人」は描き方を理解し、自分で開発できるようになります。
「絵が苦手だ」という先入観のある方は、こうした方式をやってみると思いあけないところで、その「きっかけ」を見つけることができます。
この展覧会は12日(日)まで開催しています。