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アントニイ・バージェス
「時計じかけのオレンジ」
キューブリックの映画があまりにも有名な本作品。毒にあてられるのが嫌でこれまで映画ともに手を触れずに生きてきた私。完全版という言葉に釣られての購入です。
「完全版」とはちょっと誤解を生む表現ですね。もともとあった最終章をアメリカで出版する際に出版社の判断で削除されてしまい、キューブリクもそのアメリカ版をベースに映画を制作してしまったために最終章が無い版が有名になってしまったのです。
麻薬と暴力にズッポリと浸かった主人公の一人称で語られる物語。バージェスが編み出したロシア語を混ぜ込んだスラング「Nadsat」がささくれだった緊張感を与えてくれます。。訳注が振ってあるので理解は早いのですが、バージェスの試みは原書でないと体感できないところが辛いところ。階級ごとに持っている隠語?の世界も垣間見えます。
主人公のどこか冷めた視点での暴力描写と、一方でクラシック音楽にエクスタシーを感じる対比にバージェスが描く世界観があるように・・・。
一人称での語り口、医療実験される状況は、「アルジャーノンに・・・」をイメージしてしまいました。
で、肝心の最終章は・・・。これがあることでストーリーはマイルドになり、読後の寝付きは良くなることでしょう。でも、もしキューブリックがこの最終章の存在を知っていたとしても、彼はカットしたでしょうね。
映画は観てませんが、使われた音楽はよく知っています。担当したのはワルター・カーロス。モーグⅢというシンセサイザーでベートーベンの第9第4楽章を大胆にアレンジしています。
今度は映画にチャレンジ。
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