国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

福島原発周辺の放射線の現状 2011年3月16日 part2

2011年03月16日 | 日本国内
●Experts Had Long Criticized Potential Weakness in Design of Stricken Reactor By TOM ZELLER Jr. ニューヨークタイムズ March 15, 2011
米国ゼネラルエレクトリック社製の“Mark 1” 核反応器(福島第一原発一号炉・二号炉に使用されている)は圧力容器と格納容器が構造的に脆弱であることが1972年(福島第一原発完成直後)に指摘されていた。1980年代には、Mark 1 核反応器は事故で核燃料が加熱し溶解した場合には90%の確率で破裂するとの専門家の意見もあった。多くの専門家はこれに対し、破裂の危険は10%程度だと主張した。
http://www.nytimes.com/2011/03/16/world/asia/16contain.html?_r=1&partner=rss&emc=rss&pagewanted=all


【私のコメント】
一号炉・二号炉の脆弱さに注目する必要がある。



●福島4号機、東電「再臨界の可能性ゼロでない」ヘリからのホウ酸散布も 産経新聞 2011.3.16 09:20

 東京電力は16日午前、福島第1原発4号機のプールに貯蔵されている使用済み核燃料について、「再臨界の可能性がゼロではない」との見方を示し、臨界防止のために、ヘリコプターでホウ酸の散布を検討していることを明らかにした。4号機では、この日午前5時45分ごろ、原子炉建屋北西部付近から炎が上がっているのが確認されている。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110316/dst11031609210028-n1.htm



●tsuda (strategycolum) on Twitter

使用済み燃料棒は、ジルコジュームがないと、炉という閉鎖系がないので、ウランやその他の放射性物質が飛び出すことになる。水につけて反応を抑えることであるが、どうも疑問符がついている。 ジルコジュームが溶けると、ウランなど核物質が飛散することになる。これで周辺の放射線濃度が劇的に上がることになる。 使用済み燃料棒はウランの反応がほとんど無くなっている状態であり、その状態から温度が上がるには、少しの反応が拡大してきて、臨界点にきた可能性がある。臨界点に来ても、爆発はしない。しかし、そのままにすると、反応が拡大することになる。温度が上がり、ジルコジュームが溶ける。 臨界状態とは、ウランが反応を継続できることで、爆発することではない。濃度が低いので、爆発は起こらない。制御棒でウランを分断しているので、反応がそれでも抑えられている。しかし、単体のウラン棒内では反応が継続しているのだ。 水蒸気爆発が起きるということは、ジルコジュームが溶け出す温度が1700度であり、そのジルコジュームが水と反応して水蒸気爆発が起きる。3号機で炉が損傷したとすると、水蒸気爆発の可能性がある。ウランが反応して温度が上がり、水を入れても、そう簡単には温度が下がらない。 福島第一原発の状況としては、臨界状態でウランは反応して、とうとう1700度の温度になり、3号機ではプルトニュームの臨界点に達して反応している可能性がある。
http://twitter.com/strategycolum



●反応度 (原子力) - Wikipedia

ウラン235の核分裂反応によって発生する高速中性子は、エネルギーを失って(減速されて)熱中性子になると他のウラン235に良く吸収されて、そのウラン235原子核を85%の確率で核分裂させる。分裂したウラン235原子核からは、平均2.4個の高速中性子と、もっぱらヨウ素139とイットリウム95からなる核分裂生成物、および202MeV(百万電子ボルト)のエネルギーが発生する。もし十分なウラン235が一定空間内に集積されれば核分裂に伴なって発生する中性子が次々と周囲のウラン235原子核を核分裂させてゆく。これを核分裂の連鎖反応と呼ぶ。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%8D%E5%BF%9C%E5%BA%A6_(%E5%8E%9F%E5%AD%90%E5%8A%9B)



●第一原発 燃料棒損傷進んだか NHKニュース 3月16日 4時41分

冷却水の注入が進まず、燃料棒が露出した福島第一原子力発電所の3基の原子炉のうちの2基で、燃料棒の損傷が急速に進んでいるおそれがあることが分かりました。

東京電力は、福島第一原発の2基の原子炉で、冷却水の中に漏れ出した放射性物質の量を基に燃料棒全体のうちどれぐらいの範囲に小さな穴やひびなどができているかを推定し、15日に開かれた県の災害対策本部の会議で結果が示されました。それによりますと、損傷したおそれがある燃料棒の割合は、▽1号機では15日午後1時に43%だったのが、午後3時25分には70%に広がっていました。また、▽2号機でも14%から33%へと急速に増えたということです。これらの2基では、原子炉内の冷却水の水位が下がって燃料棒が露出し、内部に海水を注入する作業が続けられていますが、なかなか水位が回復せず、燃料棒が高温になって溶けているおそれがあると指摘されています。燃料棒の損傷が進みますと、放射性物質が外部に漏れ出しやすくなります。2基の原子炉内の圧力は下がる傾向にあるということで、東京電力では、今回のデータの推移を慎重に見守りながら、海水の注入を進めていくことにしています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110316/t10014705041000.html




【私のコメント】
一般に原子炉では、ウランの放出する高速中性子が減速されることで他のウラン原子に吸収されて核分裂の連鎖反応、つまり臨界状態に達するものと私は理解している。そして、水は減速剤である。冷却機能低下による冷却水蒸発や冷却水漏れが起きていると思われる現状では、燃料棒の温度は上昇すると思われるが、ウランの放出する高速中性子を減速する物質が存在しないので臨界には達しにくい状態であろうと思われる。しかし、東京電力やstrategycolumは臨界の可能性を示唆している。私は専門家ではないので、正しい意見を教えて欲しい。ただ、確実に言えることは、燃料棒が温度が上昇して溶けることは放射性物質が拡散しやすくなり大変危険であると言うことだ。




●ryugo hayano's photos - 福島原発の燃料棒はいつまで発熱を続ける? ずっと知りたかった問題を,専門家である親松教授が計算して下さいました(感謝).親松先生の結論【崩壊熱が十分減るまでには数ヶ月から年単位の長期戦になる可能性がある】. | Plixi




福島原発の燃料棒はいつまで発熱を続ける? ずっと知りたかった問題を,専門家である親松教授が計算して下さいました(感謝).親松先生の結論【崩壊熱が十分減るまでには数ヶ月から年単位の長期戦になる可能性がある】.

12 hours ago via Echofon
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福島原発の燃料棒はいつまで発熱を続ける? ずっと知りたかった問題を,専門家である親松教授が計算して下さいました(感謝).親松先生の結論【崩壊熱が十分減るまでには数ヶ月から年単位の長期戦になる可能性がある】.

12 hours ago via Echofon
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http://plixi.com/p/84187425#


【私のコメント】再臨界が起きない限り、核燃料の発する熱は加速度的に時間と共に減少していく。時間は我々の強い味方であるようだ。




●福島市、500倍の放射線量観測 風の影響か  2011/03/16 02:25 【共同通信】

福島県は15日、福島市で午後5時以降、低いレベルながら通常の約500倍に相当する毎時20マイクロシーベルト以上の放射線量を少なくとも5時間、連続して観測したと発表した。福島市の東にある飯館村では午後6時20分、毎時44・7マイクロシーベルトを観測した。県によると、飯館村の南東に位置する福島第1原発から放出された放射性物質が、風向きの影響で拡散したらしい。第1原発と同じ海沿いにある南相馬市は、最大で毎時4・62マイクロシーベルト。会津若松市や白河市などでも平常値を上回っており、県は「必要のない外出は避けてほしい」と呼び掛けている。
http://www.47news.jp/CN/201103/CN2011031601000023.html


●3号機から白煙、付近で高濃度放射能、4号機また火災  2011年3月16日12時58分 朝日新聞

東日本大震災で被害を受けた東京電力福島第一原発3号機(福島県大熊町)で16日午前8時半ごろ、白煙が上がっているのが確認された。核燃料を貯蔵するプールが沸騰している可能性がある。また同日朝には、原発付近では高い放射能が観測されたが、この原因として、2号機で起きた原子炉格納容器の損傷だとの見方が強い。

 原発の正門近くでは午前10時40分ごろ、毎時1万マイクロシーベルト(10ミリシーベルト)の高い放射線が計測された。

 3号機の白煙について、枝野幸男官房長官は午前11時過ぎの記者会見で、「3号機の格納容器から水蒸気が出ているとの報告を受けている。(放射能を含んだ)水蒸気から一時的に高い数値が確認されたのではないか」と述べた。

 また経済産業省原子力安全・保安院は同日、「2号機の格納容器の圧力抑制室で破損が起き、高濃度の放射性物質が外に出ている可能性がある」と話した。

 東京電力は3号機の白煙について、核燃料の貯蔵プールの水が蒸発しているとの見方を示した。

 東電によると、プールには約9カ月前から約500本の燃料棒が保管されている。原発では地震後、外部からの送電や非常時発電機が止まり、冷却水を供給する電源が確保できないため、沸騰して水蒸気が出ているとみられるという。高温の燃料棒が空気中に露出すると、燃料棒を覆っている合金がもろくなり、燃料棒が破損する恐れが強い。この場合、大量の放射性物質が出ることになる。プールは格納容器の外にあり鉄筋コンクリート製の建屋内にある。建屋は14日の水素爆発で破損した。

 一方、東電によると、同原発4号機では16日午前5時45分ごろ、建屋から炎が上がっているのが確認された。見回りに行った社員が見つけたという。発電所で同日午前6時15分に再度、発電所が見下ろせる高台から確かめたところ、炎は出ていなかったという。

 建屋付近では人が入って作業するのが難しい状態が続いている。通報を受けた消防隊が午前9時前に到着、消火活動の方法を検討している。

 現場は、15日に火災が発生した場所と同じ4号機の建屋にある再循環ポンプ付近。東京電力は15日、建物の外から見た限りでは煙が出ていなかったため自然に鎮火したと発表していたが、建屋内で燃え続けていた可能性もある。

 4号機は昨年11月末から定期点検のため運転を停止していた。15日に発生した火災で、原子炉建屋に8メートル四方の穴が二つ開いた。

 原子炉建屋内には停止で炉内からいったん取り出した燃料を含め、高温状態の使用済み核燃料が置かれている。核燃料を貯蔵するプールの水は燃料の熱で蒸発するので水を供給する必要がある。しかし地震後、外部からの送電や非常時発電機が止まり、水を供給する電源が確保できず蒸発しているとみられる。14日時点で、プールの水温は84度だったという。

 東京電力は米軍に依頼し、16日中にも使用済み燃料の核分裂反応を抑えるためのホウ酸をヘリコプターでまくことを検討している。敷地の外から建屋内に放水車で水をまく方法も検討されている。

 東電福島事務所によると、原発の正門では16日午前8時現在、毎時628マイクロシーベルト、福島市では16日午前8時現在、毎時20マイクロシーベルトの放射線が観測された。

    ◇

 米国の民間研究機関・科学国際安全保障研究所(ISIS)は15日、福島第一原発の状況は悪化しており、国際原子力事象評価尺度(INES)で上から2番目の「レベル6(大事故)」に近いとする声明を発表した。最悪のレベル7(深刻な事故)になる可能性もあるとした。過去、最も高いのはレベル7と認定された1986年のチェルノブイリ原発事故。(ワシントン=勝田敏彦)
http://www.asahi.com/national/update/0316/TKY201103160062.html


●3号機“格納容器から水蒸気か” NHKニュース 3月16日 12時32分

枝野官房長官は、午前11時すぎに記者会見し、福島第一原子力発電所から白い煙が上がっていることについて、3号機の格納容器の一部から水蒸気が放出されている可能性が高いとみられ、正門付近の放射線の量が、一時、急激に上がったことを明らかにしました。

この中で、枝野官房長官は、福島第一原子力発電所から白い煙が上がっていることについて、「けさ8時半ごろから3号機で白煙が認識されており、現在、原因を調査中だ」と述べ、白煙は3号機から出ていることを明らかにしました。さらに、枝野長官は「正門付近の放射線量が、昨夜の一時期、1000マイクロシーベルト単位で、けさは600から800マイクロシーベルトくらいになったが、10時すぎごろから急激に上がったので、作業員を安全な地域に一時的に退避させている。ただ、10時54分現在、この放射線量の数値は下がっている」と述べました。そのうえで、枝野長官は、放射線の数値が急激に上がった原因について、「可能性としていちばん高いのは、2号機のように、格納容器の一部から水蒸気が放出されて、放射線を帯びた煙が出ているのではないか」と述べ、3号機の格納容器の一部から水蒸気が放出されている可能性が高いとみられることを明らかにしました。一方、枝野長官は、核燃料を保管するプールの温度が上がっている4号機について、「3号機が原因と思われる放射線濃度の上昇で、若干遅れることが想定されるが、使用済み燃料のプールに水を入れて冷却する準備を着々と進めている」と述べました。そのうえで、「現在、進めているのは地上からの注水だという報告を受けている。上から注水する場合には一気に水を落とすことになり、リスクがある。何か起きたときに、空中でヘリコプターをどのくらい安全に保てるのか、総合的に分析している」と述べました。さらに、枝野長官は、福島第一原子力発電所からの避難指示の範囲について、「あらゆるケースを想定し、どのような安全対策が必要かシミュレーションしているが、現時点での想定の範囲では、今の避難の範囲内で対応していけるのではないか」と述べ、現時点では範囲を拡大する必要はないという認識を示しました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110316/t10014708741000.html



【私のコメント】
もはや圧力容器や格納容器が破損して大量の放射性物質が漏れ始めたことを政府も認め始めた。国民のパニックを恐れてこれまでは隠していたが、少しづつ公表し始めることにしたのだろう。原発の正門近くで測定された毎時10ミリシーベルトという放射線量は約400時間で骨髄死の死亡率50%に達する強烈なものである。また、福島市で観測された毎時20マイクロシーベルトの放射線は、安全とされる100ミリシーベルト(5年間の総被曝量)に5000時間、つまり200日で達する水準であり、これが長期間継続するならば福島市にも人は居住できなくなってしまう可能性が高い。ただ、臨界に達することなく時間が経過すれば恐らく放射線のレベルは今後急速に低下する可能性が高いことを考慮して、日本政府は現在の避難の範囲を拡大していないのだと思われる。




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2 コメント

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Unknown (Unknown)
2011-03-16 15:21:10
宮城県
http://www.pref.miyagi.jp/zeimu/hurusato/tetsuduki.html

福島県
http://www.pref.fukushima.jp/zeimu/furusato/furusatonouzei.htm

岩手県
http://www5.pref.iwate.jp/~hp0106/gaiyou/furusato_nouzei/index.html

ユナイテッドピープル基金 協賛企業の東北関東大震災 緊急支援クリック募金
http://www.clickbokin.ekokoro.jp/139.html
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Unknown (Unknown)
2011-03-16 23:38:44
南東の季節風が吹き始める前に、4つの原子炉を巨大なプールに沈めてしまわなければなりません。

日本政府は大至急、ゼネコン各社に設計と資材の準備を要請すべきです。
間に合わなければ、東北全県に「避難勧告」を発令しなくてはならなくなるでしょう。
予備費380億円がどうのこうのとか、チマチマしたことを言っている場合ではないはずです。
原子炉と核物質をどう処理すかるかは、プールに沈めてから考えましょう。
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