国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

秋篠宮トルコ訪問は、エルドアンのオスマントルコ再興とパレスチナの平和的統治を承認するため?

2024年12月10日 | 中近東地域
後欧米が撤退し中東が地域大国の競合体制になる時、アラブ人は預言者ムハンマドの子孫であるハーシム家出身者をカリフに推挙してイスラム世界の最高指導者としての権威により大国として振る舞うだろう。イランとエジプトは長い文明の歴史によって大国として振る舞う。しかし、モンゴル高原から数百年前に移住したトルコ人にはその様な長い歴史がない。彼らにあるのはセルジュクトルコやオスマントルコといった中央アジア出身遊牧民の大帝国の歴史。彼らは異民族・異宗教の民族を平和に統治する技術を持つ。パレスチナでのアラブ人とキリスト教徒とユダヤ教徒の対立を緩和し平和に統治するのはトルコ人にしか無理だろう。 今後エルドアンが皇帝に即位したとして、彼の権威を高めるには他の皇帝からの承認が必要不可欠。そこで、中国周王朝の王族であった呉の太伯の血を引き、大航海時代の前から今まで君主制を維持し続けている日本の秋篠宮天皇がエルドアン皇帝を皇帝として認証することが必要になるのだ。モンゴル帝国、満州帝国、ロシア帝国、中華帝国(恐らく黄河流域の北朝と揚子江以南の南朝の2国に分かれる南北朝時代になる)といった多くの帝国が再興し、それらを秋篠宮が認証することで世界の秩序が形成されるだろう。 今回の秋篠宮とエルドアンの会合では、未来の日本天皇とトルコ皇帝の間で、トルコがシリアやパレスチナを今後占領し平和に統治する事が告げられただろう。そして、それを秋篠宮が賞賛したと想像する。これは「新世界秩序」の始まりなのだ。 . . . 本文を読む
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2023年9月11日2時46分に西側支配階層は気象兵器で満水にしたデルナダムを爆破し洪水を起こした?

2023年09月19日 | 中近東地域
2023年9月11日にはリビア東部のデルナで推定400mmの大雨が降り大洪水でダムが決壊して1万人以上の死者が出ている。 地中海性気候の影響の強いデルナでは少ない雨は冬に集中、夏は殆ど降らず、9月も平均月間雨量はたった4mm。つまり、平年の9月の100倍の雨が一日に降っている。これはどう考えても異常。また、今回の地中海熱帯様低気圧 (メディケーン)は恐らく観測史上最強の勢力だし、乾期の9月上旬に発生していること自体異例。この異例さをマスコミが報道できないのは、気象兵器によるリビア東部の親ロシア政権への攻撃だからだろう。 防犯監視カメラ動画ではデルナ市街地に洪水が押し寄せ自動車が押し流されている。その時刻は9月11日午前2時54分。デルナダム(上流にあった規模の大きいダム)から市街地までは12kmなので、洪水が時速90kmで流れたとすれば、ダム決壊は8分前の午前2時46分になる。ここで気になるのが「ダム決壊時にデルナ市民が大きな爆発音を聞いた」との報道だ。単なるダム崩壊なら洪水に伴う持続的な騒音が聞こえることはあっても、短時間の爆発音が聞こえることは考えにくい。9月11日午前2時46分頃に西側支配階層が満水状態になったデルナダムを爆弾等で爆破した可能性を考えておくべきだ。もしこの時刻であるならば、それは阪神淡路大震災、米国同時多発テロ、東日本大震災と同じ人々が実行した大規模テロ事件の犯行声明なのだろう。 . . . 本文を読む
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レザー・パーレビ元皇太子が亡命先の米国でイランの現体制の数ヶ月以内の崩壊を予測

2020年01月21日 | 中近東地域
「ロックフェラーの完全支配 ジオポリティックス(石油・戦争)編」の中で著者のウィリアム・イングドールは、1979年のイラン革命が中東を戦乱地域に変える(イスラムのバルカン化構想)に基づいて米英両国や英国大手石油のBP社により実行されたと主張する。同時期にアフガニスタンの親ソ連政権も恐らく西側による反乱誘発で孤立しソ連軍が介入している。イラクではサダム・フセイン大統領が就任しイラクイラン戦争が開始されている。同じ1979年には米国でスリーマイル島原発事故が発生し、それ以後米国で原発の建設が停止されているがこれも西側支配階層による人為的事故だったのだろう。これらの戦争や事故によって1979-80年には第二次石油危機が起こり石油価格が暴騰したが、これが彼らの目的だったと彼は主張する。 ホメイニ師がフランスからエールフランス機によってテヘランに送り込まれたこと、その前の反国王デモをBBCが煽っていたことからは、西側諸国が一致団結してイラン革命を推進していたことが示唆される。それは、鉄道でロンドンから送り込まれたレーニンを指導者としてウォール街などの銀行家達の支援によってロシア革命が遂行されたこととよく似ている。また、モサデク政権を含めて20世紀のイランの政変は全て米英系勢力によるクーデターであったことになる。イランコントラ事件も米英とイランが表向きは対立しつつ裏では繋がっていた証拠なのだろう。その意味で、イラン革命政権はイスラム国と類似している。 ロシアのネオ・ユーラシア主義者のアレクサンドル・ドゥーギンはその著書「地政学の基礎」の中で、ロシアが大西洋主義の覇権に対抗して提携を呼びかける諸国は、既存の国際関係を超えて、純粋に地政学的見地から検討され、その相手とは、ドイツ、イラン、そして意外にも日本の三国で、ベルリンーモスクワー東京、およびモスクワーテヘラン枢軸が、ネオ・ユーラシア主義の外交戦略であるという。 明治維新により米英に事実上乗っ取られた日本政府の中でロシアとの協力を目指す勢力が密かに生き残って活動しているのと同様に、西側によって実行されたイラン革命の後もロシアとの協力を目指す勢力がイランの中に密かに生き残って活動しているのだと思われる。 . . . 本文を読む
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アニメ「宇宙戦艦ヤマト」の古代守・進兄弟は日本赤軍の奥平剛士・純三兄弟を示している?

2019年10月06日 | 中近東地域
宇宙戦艦ヤマトがテレビで放映された1974-1975年頃にこれらの「イスカンダル」の近くに渡航して活発に活動した日本人集団がある。日本赤軍である。彼らは1971年に渡航してレバノンのベッカー高原に本拠地を置き、シリアのアサド大統領やリビアのカダフィ大佐の支援を受けて1980年代まで活動していたとされる。宇宙戦艦ヤマトとは、日本赤軍の活動を応援する目的で制作されたアニメというのが私の仮説である。駆逐艦ゆきかぜ艦長の古代守は冥王星会戦において、撤退命令を拒否し、敵艦隊へ特攻していき行方不明となっている(24話で生存が判明)が、これはテルアビブ空港乱射事件で戦死した奥平剛士の勇気ある戦いを讃える目的では無かったかと想像する。宇宙戦艦ヤマトの主人公の古代進は古代守の弟であるが、兄の死後に日本赤軍に参加して現在も活動中の奥平純三を指しているのではないかと想像する。宇宙戦艦ヤマト放映はベトナム戦争末期、第四次中東戦争直後、テルアビブ空港乱射事件後、奥平純三の日本赤軍参加直後に当たる。遊星爆弾で卑劣な非戦闘員大虐殺を繰り返すガミラス帝国は明らかに米軍とそれを支配する大英帝国を示唆している。 第一次大東亜戦争が日米戦争、第二次大東亜戦争が朝鮮戦争(現在休戦中)、第三次大東亜戦争がベトナム戦争(1975年4月30日に南ベトナムが滅亡して終結)、第四次大東亜戦争が第四次中東戦争(1973年10月6日、エジプトが前戦争での失地回復のため、シリアとともにイスラエルに先制攻撃をかけ、後に反撃されるものの大きな打撃を与えてイスラエル軍の無敗神話を崩す)からインティファーダに移行し現在も続くパレスチナ闘争や米英のシリア侵略戦争というのが私の仮説である。帝国陸軍亡命政権である北朝鮮はベトナム戦争や中東戦争にも兵士の派遣を含めて深く関与したとされる。第一次大東亜戦争では朝鮮人志願兵が日本人と共に戦ったが、第二次以降では朝鮮人の兵士に日本人志願兵(日本赤軍や拉致被害者とされている人々)が加わる形で戦いが継続しているのだろう。また、宇宙戦艦ヤマトが示唆するように超先端的技術を持つ宇宙人との接触も大きな目的である可能性があろう。 . . . 本文を読む
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21世紀の中東・東アジア新体制を巡る欧米とイラン・ロシアの秘密同盟

2011年09月06日 | 中近東地域
私は、欧米諸国は団結してアルカティーフ地域の分離独立を推進する意図があると考えている。欧州にとって、地中海の南側で広い海上国境で接するアラブ諸国は最大の脅威である。このアラブ諸国の勢力を弱体化させるには、その富の源泉であるペルシャ湾岸の油田を奪い、地域内のライバルであるイランの手にそれを委ねることが望ましい。イランやシーア派は面積も人口もアラブ・スンニ派より少ないので、その勢力を強めてイスラム内部での勢力を均衡させることを狙っているのだと思われる。欧米はもはや軍事力でアジアを押さえ込むのが不可能であることを理解しており、それ故に軍事力なしで外交的に中近東のイスラム地域をコントロールする方針だろう。 トルコが反イスラエルの動きを強めていること、ロシアが旧ソ連領中央アジアへの影響力を回復していることも注目される。トルコ系民族は欧州やロシアのキリスト教徒地域と、中近東北アフリカのアラブ・ペルシャ系民族地域の間に存在する。また、欧州やロシアの影響を受けて西洋化している。恐らく、欧米やロシアはトルコをイスラム地域での代理人として扱うつもりなのだろうと思われる。日米とロシアの海上共同演習も注目される。これは明らかに中国の脅威を封じ込めることが目的である。日本は欧米やロシアにとって、中近東でのトルコと同様に、東アジア地域で中国の脅威を封じ込めるための代理人としての役割を期待されていると思われる。日本としてはこの役割を果たしつつも、中国と組めるところでは組んで国益を追求し、中国の発展に恐れをなした欧米やロシアが日本に頼ってくるところで更に利益を得るという漁夫の利の戦術が望ましいだろう。 故サミュエル=ハンチントンは「文明の衝突」で、西欧の敵として儒教・イスラム連合を取り上げた。冷戦終了後の西欧の戦略はこのシナリオに沿っていると思われる。 . . . 本文を読む
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リビア攻撃を巡る欧州・NATO内部の対立

2011年03月22日 | 中近東地域
リビアへのNATO諸国の軍事介入が始まった。その一方で、NATO・欧州諸国内部で介入に対する意見の対立が目立っている。特に重要なのはドイツ・ロシア・トルコの反対である。この反対の理由について分析してみる。 ドイツ以外の主要欧州諸国はいずれも軍事介入に賛成している。具体的にはイギリス・フランス・イタリア・スペインである。残る大国であるポーランドの意向はよく分からないが、ポーランドはリビアまで軍事力を派遣する能力が欠けている可能性が高い。 イギリス・フランス・イタリア・スペインはいずれも経済的に弱体である。かつての植民地時代のように、アフリカを半植民地化して支配しその収益(具体的には石油資源など)で繁栄することを狙っているのだと思われる。一方のドイツは経済的に繁栄しており、植民地を必要としていない。この違いが対リビア政策に現れたのではないかと考えている。 トルコの反対はもっともである。イスラム諸国が次々と半植民地に転落するという事態はトルコの国益に合致しないからだ。また、ロシアは既に十分な半植民地をシベリアや中央アジアに領有しており、今後英仏伊などがこれらの地域の資源を狙って軍事介入してくることを恐れているのだと思われる。 やはり一番重要なのはドイツの反対とフランスの賛成である。強固な独仏連合はこれまでEUの中核となってきたが、独仏両国の経済的格差がリビア問題での重大な意見の相違に繋がっている。近い将来に独仏連合は解体し、新たな植民地を必要としないドイツ・ロシアを中心とする東EU諸国と、植民地からの収奪なしには繁栄を維持できない弱体国家からなる英仏伊などの西EU諸国にEUは分裂していくのではないかと私は想像している。その過程で、オランダ・オーストリア・ベルギー北部などの広義ドイツ語圏は統合されていくことになるだろう。 . . . 本文を読む
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植民地化する中近東・北アフリカ産油地帯

2011年02月27日 | 中近東地域
NATO、EU、国連安保理などがリビア情勢を人道的見地から取り上げ、制裁や軍事介入を検討し始めた。これは、非人道的独裁政権として米国が非難し軍事介入を行ったイラクと同じ状況である。今後、サウジアラビア東部の少数派シーア派が住む油田地帯でも同様の紛争が発生し、西側諸国による制裁や軍事介入が起きることが予想される。イランの大油田地帯であるフゼスタン州も少数民族であるシーア派アラブ人が主要民族であり、将来イラクからサウジ東部にかけてシーア派アラブ人国家が誕生した場合にはフゼスタン州もそれに参加する可能性がありうる。その結果は、中近東や北アフリカでの広範囲な国境線の引き直しである。恐らく欧米支配階層は、人道的見地という建前のもとに中近東や北アフリカの産油地帯を軍事的に支配し勢力下に収めることを狙っているのだと思われる。これは、事実上の半植民地化であり、19世紀に欧米各国が途上国を植民地化した状態への逆戻りを意味するのではないかと思われる。欧州の植民地を独立させた20世紀の米国の世界覇権が終焉し始めて、世界は19世紀へと回帰するのではないかと私は想像している。 . . . 本文を読む
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ネオコンが夢見たイスラム圏民主化の進展

2011年01月27日 | 中近東地域
チュニジアで親欧米的な独裁政権が倒れた。同様の独裁打破を叫ぶ動きがエジプトやアルジェリアなどに拡大している。ウィキリークスやフェイスブックなどのインターネットメディアがこれらの動きに深く関与しているという情報がある。しかし、常識的に考えればウィキリークスやフェイスブックは国際金融資本を含む欧米支配階層の強い影響下にあり、その意向を反映していると思われる。欧米支配階層はかつてウクライナやグルジアでカラー革命を扇動したのと同様に、現在は中近東・北アフリカで革命を扇動しているのだ。かつてネオコンはイスラム圏を民主化すべきとの主張を掲げてイラク侵略を行ったが、現在行われているのはそのイスラム圏の民主化そのものであり、ネオコンが深く関与している可能性がある。ただ、民主化されたイスラム圏は脱宗教化しておらず、欧米型の民主政治ではなく現在のイラクと同様の宗教指導者による統治に移行するのではないかと想像する。その目的はよく分からないが、アラブ諸国を混乱させ弱体化させること、サウジアラビアなどの君主制非民主主義産油国を脅迫して欧米の国際戦略に従わせることなどが考えられるだろう。  中近東や北アフリカでは出生率が高い状態が続いており、人口の多くが若年層で占められる不安定な状況である。彼らは失業やインフレに苦しんでおり、革命の温床となる不満は鬱積していた。欧米支配階層はこれに火をつけたのだ。今後最も注目されるのは、アラブ圏最大の国家であるエジプトと、聖地メッカの支配者であり世界最大の石油輸出国であるサウジアラビアに革命が波及するか否かである。エジプトの混乱は海運の大動脈であるスエズ運河の運行に影響を与える。サウジアラビアの王政転覆は湾岸諸国の石油輸出を減少させる可能性が高い。どれも世界経済への影響は非常に大きいが、どちらもインフレ促進要因である。両国の今後が注目される。 . . . 本文を読む
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イランの核兵器開発を三十カ国以上が支援

2011年01月18日 | 中近東地域
ウィキリークスの伝えるところによると、イランの核開発を三十カ国以上が支援しているという。核開発は高度な技術を要するものであり、この三十カ国の中には米国の対イラン制裁に協調している西側諸国やロシアなども含まれている可能性が高いのではないかと私は想像している。つまり、世界支配階層は、表向きはイランの核開発を激しく非難しつつ、裏ではこっそり支援しているということである。米ソ冷戦の裏で米国からソ連に技術や資金が流れていたのと同様の状況である。 米国のアフガン攻撃・イラク攻撃も、表向きはイランを東西から挟み撃ちして攻撃するのが目的のように言われており、実際にはその様な意図もあるのではないかと思われる。その背景に存在するのは、イランの核開発を自国存亡の危機としてとらえるイスラエルであろう。しかし、恐らく米国にも、裏でイランの核開発を支援し、イランの勢力を拡大させる形で米国がイラク・アフガンから撤退していくという方向で活動している勢力(反イスラエル派)が存在するものと私は想像している。イスラエルのモサドが米国の主要都市や空港・港湾に核兵器を仕掛けているために米国はイスラエルの言いなりにならざるを得ないと言う内容の情報があったが、それが真実だとすれば米国の反イスラエル派の存在は現実味を帯びてくる。私は、911事件や米国のアフガン・イラク攻撃は米国の内戦であり、主戦場はワシントンDCであると考えている。 イスラエル以外の西側諸国にとっては、イランの核開発は決して大きな脅威ではない。イランにとって最大の仮想敵国はペルシャ湾の南側に位置するアラブ諸国だからだ。アラブ諸国とイランは言語も文化もイスラム教の宗派も全て異なっており、その関係は決して良くない。今後世界が多極化する中で、イスラム世界はイランとアラブの二大勢力にまとめられていくことだろう(トルコ系民族は欧米の影響を強く受けており、イスラム世界に含まれるかどうか微妙である)。このような将来像は、イランとアラブが連合して統一イスラム国家となり欧米に対抗してくるというケースよりもずっと欧米諸国にとって望ましいと考えられる。これは欧米によるイスラム世界の分割統治と考えても良いだろう(同様に東アジアも日本と中国という二つの超大国によって分割統治されるだろう)。 . . . 本文を読む
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中国とタジキスタンの領土紛争が決着

2011年01月15日 | 中近東地域
タジキスタンと中国の国境協定が決着した。中国側は当初は約2万8500平方キロの“返還”を求め続けていたが、結局2002年、1千平方キロの割譲で合意した。更に、タジキスタン国内の反発を巨額の融資で押さえ込み、タジキスタン下院での国境協定可決に持ち込んだのだ。領土問題での大幅譲歩と巨額の融資を行ってまでも、中国はタジキスタンとの国境を確定させて関係を改善したいと考えていたのだと思われる。その目的は、漢民族とイラン民族の結合、つまり儒教イスラム連合の結成ではないかと思われる。 タジキスタンの主要民族であるタジク人は旧ソ連圏中央アジア諸国の中では唯一イラン系民族である。トルコ東部のクルディスタンからイランを経てアフガニスタン・タジキスタン・パキスタン西部に至る高原・山岳地帯にイラン系民族が居住しているのだ。仮に今後米軍がアブガニスタンから撤退すれば、中国がタジキスタン・アフガニスタンを経由してイランと鉄道・パイプラインなどで直結する事態が起きることが十分考えられる。サミュエル=ハンチントンが著書「文明の衝突」で最も恐れた儒教イスラム連合の完成である。現在米国や欧州の国々がアフガニスタンに軍隊を駐留させていることで、このイランと中国の直結は回避されている。米国のアフガン攻撃の真の目的は、イランと中国の間に楔を打ち込んで両民族の結合を阻止することであった可能性がある。だとすれば、恐らく今後数十年に渡って欧米諸国はアフガニスタンに軍隊を駐留させ続けることになると思われる。 . . . 本文を読む
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エジプト日本科学技術大が開校

2010年06月06日 | 中近東地域
エジプトで日本・エジプト両国政府の協力によるエジプト日本科学技術大学が設立された。この大学には、日本側からは文部科学省・外務省・経済産業省、独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)・独立行政法人国際協力機構(JICA)・東京商工会議所・財団法人 中東協力センター、日本の主要大学12校(旧帝大7校+東工大・京都工芸繊維大+早稲田大・慶応大・立命館大)が協力しており、文字通り産官学一体の支援である。他のエジプトの欧米系大学と異なり私立ではなく国立であることは、授業料が安く富裕層以外の学生も進学可能である点で注目され、エジプト側がこのプロジェクトにかける意気込みがわかる。 エジプトはアラブ世界の中央に位置し、アラブ世界で最大の人口を有する、アラブの中核国家である。近未来にアラブ諸国が統一されるか、あるいは統一されなくてもASEANのように団結して一大勢力となるならば、エジプトは間違いなくその中心になることであろう。アラブ世界との友好関係樹立のためにも、日本政府は国家の総力を挙げてエジプト日本科学技術大学を支援し、アラブ世界の最高峰教育機関の一つとして評価されるようにせねばならない。 . . . 本文を読む
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イラクとアフガンでの戦争:戦争の目的は何か?

2010年05月26日 | 中近東地域
2001年9月11日の米国同時多発テロ事件に引き続くアフガニスタンとイラクでの戦争は開始されてから数年が経過しているにも関わらず、解決の目処は立っていない。この戦争の目的は何だろうか?それを示す重要な論文がgerman-foreign-policy.comに5月20日付けで掲載されている。この記事では、ウェストファリア条約的な「国家主権の不可侵」の時代は終わっており、「人道主義」の明目で途上国に軍事介入することが許されるとしている。そして、西洋諸国でも国家形成時には常に長い時間と多くの犠牲者が必要であったことを指摘して、軍事介入による民間人の死者を正当化している。これはネオコン的な「民主化のための軍事介入」を正当化する主張であり、2003年にニアル=ファーガソンが著した「Empire: How Britain Made the Modern World」の流れを汲むものである。同様の研究がイラク開戦に批判的であったドイツから上がってきたことが注目される。今後、日本でもかつての朝鮮・台湾・満州・ミクロネシアにおける植民地経営や中国・東南アジアでの軍政を公式に正当化し、その教訓に学び、そして必要に応じてこれらの地域に軍事介入すべきであるという声が上がってくるであろう。 無論、西洋諸国によるこのような軍事介入は西洋諸国の国益が目的であり、人道主義というのはそれを正当化するための題目に過ぎない。イラク開戦では公式に反対に廻った独仏露も含めて、西洋諸国全体の合意を経て911とそれに引き続く一連の戦争が計画され、実行されたのだと思われる。小泉政権の樹立は、イラク開戦を実行するために行われたのだと私は想像している。20世紀が第一次世界大戦から冷戦までと定義するならば、21世紀は第一次大戦前の19世紀を繰り返すような時代になるのだと思われる。 . . . 本文を読む
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名誉殺人、強姦被害者に鞭打刑・死刑、改宗=死刑、異教徒男性との結婚禁止:中近東イスラム社会の前近代性

2007年12月17日 | 中近東地域
名誉殺人に代表されるように、中近東イスラム圏では女性の人権が著しく侵害されている。名誉殺人はイスラムに由来するものではなくイスラム以前の地域風習の影響という説もある。東南アジアイスラム圏で名誉殺人が存在しないのはそのせいかもしれない。日本でこの「名誉殺人」が問題となることはないかもしれないが、欧州ではイスラム移民の中で実際に名誉殺人が起きている。これこそ、欧州文明と中近東イスラム文明の衝突に他ならない。イスラム文化を持った中東移民の流入を押しとどめない限り、欧州文明は将来滅亡しかねない危険があるだろう。 日本は石油の安定輸入の観点から中近東イスラム圏との友好関係を必要としている。しかし、その裏にはこの「名誉殺人」に代表される深刻な女性の人権侵害が存在することを念頭に置かねばならないだろう。 . . . 本文を読む
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中近東イスラム圏は中国のように「西欧文明化」することが可能か??

2007年11月02日 | 中近東地域
中国の「改革開放政策」とは、福沢諭吉の唱えた「脱亜入欧」の中国版である、という林思雲氏の主張は実に興味深い。日本はそれ以前の古い文明を棄てて西洋の新文明を全面的に導入したが、中国は旧い中華文明を堅持し続けるために西洋文明を学んだに過ぎなかったことがかつての中国の停滞を生み出したという内容である。中国が中華文明堅持に執着したのは、大文明国としての自信か、あるいは日本と異なって他の文明に学ぶという経験がなかったことが理由であろうと想像される。 私がこの文章を読んで考えたのは、停滞を続けるイスラム社会のことである。日本文明の源流が中国文明であるのと同様に欧州文明の源流は中近東文明であり、現在のそれはイスラム文明と同義である。中国が西欧文明化に踏み切って先進国への道を歩み始めることが出来たのに対して、イスラム社会は西欧文明化に踏み切ることが出来ずに停滞している。それはかつての中国の停滞と同じ理由なのかもしれない。そして、イスラム社会が停滞を脱するには、何らかの形で脱イスラム化を行うことが必要になるだろう。しかし、イランやサウジアラビアに代表される様に、トルコを除く中近東イスラム圏の政治はイスラム教の教義(イスラム法)に深く支配されている。つまり、支配階層であるイスラム学者(ウラマー)自身が脱イスラム化しなければならないのだ。それが果たして可能なのだろうか?私は正直なところ、中近東地域の文明化=西欧文明化は困難なのではないかとも感じる。イスラム社会に詳しい皆さん方の御意見を伺えれば幸いである。 . . . 本文を読む
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イラク情勢を理由とする米国とイランの国交回復が近づいている?

2007年10月14日 | 中近東地域
1979年のイラン革命と米国大使館人質事件に伴う国交断絶から28年が経過した今、両国の国交回復が秒読み段階に入っている様に思われる。イラク情勢の悪化に加えて米国・トルコ関係の悪化で米国はイラクを安定させるために地域大国イランとの関係改善を必要としているからだ。米国大統領有力候補のクリントン上院議員が「前提条件なしで交渉に入る」と言明してイランに対する姿勢を改めたのはその一環とも考えられる。 私は、1979年のイラン革命も米国大使館人質事件も、米国内の反国際金融資本陣営による演出であり、両国は裏では親密な関係を維持していたと想像する。今年9月にもイラン大統領は国連会議出席を理由に訪米しコロンビア大学で講演しているのはその親密さの証拠だろう。その両国が表だって関係改善を行うことは、イランとシリアが北朝鮮製の核ミサイルで武装していると想像されることとあわせると、イスラエル滅亡が最終段階に突入していることを伺わせる。 現在中東で起きていることは、ベトナム戦争当時の東アジア情勢と類似している。共和党のニクソン大統領がベトナム戦争を激戦化させそれを収拾するという明目で対中関係復活に踏み切ったのと同様に、共和党のブッシュ大統領がイラク戦争を激戦化させそれを収拾するという明目で対イラン国交回復に踏み切ろうとしているように思われる。キッシンジャー元国務長官が最近活躍しているのも当時とよく似ている。 トルコはこの問題で、対米関係悪化により米国の対イラン関係改善を余儀なくさせると言う重要な脇役を演じている。この演出に対する何らかの見返りがトルコに存在する筈である。恐らく、将来トルコが分裂して誕生するであろう世俗主義の小国がEUに加盟を許されるか、あるいはEUに加盟できなくともEU並みの生活水準を享受できるとの確約が独仏連合とトルコの間で成立しているのではないか、と想像(妄想)する。 . . . 本文を読む
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