国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

近未来にトルコは西部地域、中央部、東部のクルド人地域の三つに分裂する?

2007年05月29日 | トルコ系民族地域及びモンゴル
トルコの若者たちの中で、西部に居住し白人的容貌を持つ者は、フランスでアラブ系住民が起こす暴動を見て、「あんなに肌の色の黒い連中がフランス国籍なのに、自分のように金髪碧眼の人間が何故EU外のトルコ国籍なのか」と心の中で考えているのではないだろうか。ナチスドイツは「金髪碧眼のゲルマン人」を至上とする人種差別的とも言える思想を持っていたが、それは欧州人の本音を口に出したに過ぎず、現在の欧州人も心の中では「欧州人はやはり肌の色の白い人間でなくてはいけない」と考えているのではないかと想像する(これは、人種差別と言うより単なる親近感でも説明できるかもしれない)。そして、その人種差別性を隠すために「宗教的寛容性」という別の理由が必要なのだろう。 トルコは第一次大戦後の建国戦争によってボスポラス・ダーダルネス両海峡沿岸地域とイズミル地区を自国領土に奪還し、その後も国際金融資本との親密な関係を保つことでイスラム圏の中では例外的な経済発展を実現させてきた。21世紀を迎え、国際金融資本が没落するであろう来るべき新世界秩序のもとで如何にして自国が繁栄できるかをトルコ政府中枢階層は考えているはずである。そして、トルコ政府中枢階層がオスマントルコ中枢階層を受け継いでいるならば、彼らが不良資産と化したトルコ中部・東部を切り捨てて、トルコ西部だけがEUに加盟し繁栄できればよいと考えていてもおかしくない。現在のトルコはクルド問題で分離独立運動を激しく弾圧しているが、弾圧が無くなればクルド人地域だけでなく西部地区も独立を考えてもおかしくないと想像する。そして、トルコ国内で優勢であるイスラム主義政党に対抗する世俗主義支持派の運動がそのきっかけになるのではないだろうか。私はここで、トルコの中枢階層はクルド問題やアルメニア人迫害問題、ギリシャ正教徒迫害問題、北キプロス問題などの火種を自ら煽り立てることで、自国を破滅的な対外戦争戦争にわざと敗北させて(あるいは破滅的な内戦に追い込んで)その結果三分裂させ、自らの居住するトルコ西部だけをEU支配圏内に留めるというシナリオを実現するためにドイツやロシアを含めた欧州、更には米国とも協力して活動しているのではないかという大胆な陰謀論(妄想?)を提案したい。対外戦争シナリオではドイツ敗戦後の分割占領が、内戦シナリオでは朝鮮戦争が参考になるだろう。 . . . 本文を読む
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フランス・サルコジ大統領政権発足が意味するもの

2007年05月24日 | 欧州
2007年5月16日に大統領に就任したサルコジ氏はカトリック教徒で、父方はハンガリーの下級貴族の家系、母方はテッサロニキ出身のギリシア系ユダヤ人で祖父の代にカトリックへ改宗している。ハンガリー人は現在では混血により他の白人と区別困難だが、元来はトルコ人と同様の中央アジア~モンゴル高原出身の移住民族である。また、サルコジ大統領の母方の血筋は恐らくスファラディと想像され、アラブ人やペルシャ人と同様の中近東のコーカソイドがルーツとなる。サルコジ大統領政権の出現は、例えアジアのモンゴロイドや中近東のコーカソイドの血を引いていても、キリスト教を受容し(少なくとも迫害はせず)、欧州文化を受容するならば欧州の一員として受け入れられることを欧州が宣言する意味合いがあると思われる。サルコジ内閣の約半数が女性であることは、フランスでは男性と女性が平等であることの宣言であり、フランス国内では男性優位のムスリム社会の存在を許さないと言う強い意思表明とも考えられる。 また、モロッコ出身のラシダ・ダティ法相、セネガル出身のラマ・ヤド氏のUMP党執行機関委員への抜擢は、一見アフリカ系・アラブ系住民をフランスに受け入れている様に見える。しかし、両者が女性である点が重要だろう。サルコジ政権は、アフリカ系・アラブ系の男性をフランス社会は歓迎しない、女性なら受け入れ可能であることを示したと思われる。アラブ系・アフリカ系の社会に於いて女性の方が男性より政治的・経済的に大きな影響力を持つ状態を作り出すことで、フランス国内のムスリムの男性優位社会を崩壊させることが真の狙いではないかと想像する。そして、フランスの欧州に於ける政治的影響力を考えると、これは欧州全体の意思表明であると考えるべきだろう。 G8を中心とする先進国集団は、シベリアや新大陸の支配を正当化するために、現在先住民を保護しその文化を尊重しているならば、過去に先住民を迫害した歴史があっても移住民のその地域での居住が引き続き許容されるという、欧米先進国に一方的に有利な身勝手とも言える「グローバルな分野で使われる統一ルールのようなもの」を作りだすのではないかと想像する。それによって先進国への移民の阻止と新大陸やシベリアで侵略者・迫害者の子孫である白人が居住し続ける権利の獲得という矛盾する二つの目的が同時に達成されることだろう。 . . . 本文を読む
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ロン・ポール候補、マイク・グラベル候補、東条由布子候補の選挙戦が政変を通じて新時代を切り開くか?

2007年05月13日 | 米国
政治家としてのブランクの長いグラベル候補よりも注目すべきなのはロン・ポール議員だろう。彼が2006年2月15日に下院で行った「ドル覇権の終わり」と題する演説を読むだけで我々はドル覇権の始まり、ニクソンショック、石油ドル体制、イラク戦争とユーロ建て石油輸出の関係、ベネズエラのユーロ建て石油輸出とクーデター騒ぎとの関係についての事実を知ることができる。そして、来るべきドル覇権破綻の結果何が起こるかも彼は予告している。 一年以上前の演説であるが、現時点でもその重要性は失われていないことから冒頭リンクにて全文を日本語訳した。彼はブッシュ大統領と出身地・政党を同じくしながら従来からその政策を激しく批判している。911事件以後米国は戦時体制となり激しい党派対立の結果多くの死傷者も出ている様であるが、ロン・ポール議員は暗殺されるどころか逆に共和党公式候補として引き続き選ばれ、2006年の厳しい選挙を勝ち抜いている。このことから想像されるのは、ロン・ポール議員はブッシュ政権の本音をブッシュ大統領に代わって代弁している人物であり、ブッシュ大統領も民主・共和両政党の次期大統領選の有力候補者たちもその本音を理解しつつ愚かな強硬論を主張して有権者に嘲笑されるという役割を俳優として演じているだけではないかということだ。私がロン・ポール議員の演説の中で特に重要と思うのは、「この壮大な仕組みは事実上の世界通貨の発行国に永遠の富を保証する完璧なシステムである様に見える。しかし、一つ問題がある。それは、このようなシステムは偽造を行う国家の国民性を破壊してしまうのだ。ゴールドが通貨であった時代に外国を支配してゴールドを手に入れていた場合と同じである。貯蓄すること、生産する事への動機が失われ、その一方で借金やとめどない浪費が奨励される。」と言う一節である。 国際基軸通貨の発行国は産油国と似ていると思う。サウジアラビアとイエメンやヨルダンを比較すると前者は非常に富裕だが、原油輸出以外の産業はほとんど育っていない。現在は貧しいが、農業・観光業などの持続可能な産業を有するイエメンやヨルダンの方が将来性はあると思われる。石油や天然ガスが将来枯渇した時、あるいは原子力や核融合にエネルギー源が移行した時、額に汗して働くことを忘れた産油国の人々は収入源を起たれて悲惨な運命を辿るかもしれない。 . . . 本文を読む
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ドル覇権の終焉:ロン・ポール下院議員の議会演説 2006年2月15日 (その2)

2007年05月12日 | ドル覇権の終焉:ロン・ポール議員の演説
●ドル覇権の終焉:ロン・ポール下院議員の議会演説 2006年2月15日 (その1)から続く 最も重要なことは、ドルと石油の関係はドルの傑出した地位のために維持されなければならないことだ。この関係へのあらゆる攻撃は従来同様、力強く反撃されるだろう。 2000年11月にサダム・フセインはイラクの石油輸出をユーロ建てにすることを求めた。彼の傲慢さはドルへの脅威であった。彼の軍事力は欠乏しており、 . . . 本文を読む
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ドル覇権の終焉:ロン・ポール下院議員の議会演説 2006年2月15日 (その1)

2007年05月12日 | ドル覇権の終焉:ロン・ポール議員の演説
原文:http://www.house.gov/paul/congrec/congrec2006/cr021506.htm それは100年前には「ドル外交」と呼ばれた。第二次大戦後、特に1989年のソ連崩壊後はこの政策は「ドル覇権」へ進化した。しかし、これらの長年に渡る大成功は終わり、我々のドルの優位性は失われつつある。 「金貨を持つものが法律を作る」と言う諺がある。かつては、それは「公正で正 . . . 本文を読む
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5/3スコットランド議会選挙での独立派政党躍進は連合王国を崩壊させるか?

2007年05月04日 | 欧州
スコットランド議会の選挙が現在開票中だが、予想通り独立派のSNPが躍進している。スコットランド議会の選挙制度は日本やドイツの選挙制度と同様に小選挙区と比例代表区の両方を持つが、総議席数は比例代表区の得票に相関する傾向があり、日本型ではなくドイツ型である。この選挙制度の導入を行ったのは労働党のブレア政権であり、保守党の頑強な反対を押し切ってスコットランドの自治を含めた地方分権化を推進したのもブレア政権である。そもそも、英米などの国際金融資本系国家では小選挙区制により小政党の出現が阻止され、それ故に国際金融資本が二大政党両方に献金することで容易に影響力を行使できるというシステムが取られていた。スコットランド議会の選挙制度はそれを完全に覆す画期的なものである。 このように考えると、ブレア政権は労働党の牙城であるスコットランドを連合王国から独立させて切り離して連合王国(大英帝国)を崩壊させるという計画を実行している様に見える。ブレアもまた、東洋的な「わざと負ける」という戦略を実行しているのかもしれない。エリザベス女王の16年ぶりの訪米も、「英国人入植400周年記念式典出席」という明目とは別に、連合王国の君主としての花道なのかもしれない。あるいは国際金融資本の世界支配の終焉を飾る式典として出席したのかもしれない。 ブレア首相を巡る醜聞、イギリスの石油メジャーBPのCEOだったジョン・ブラウン卿の同性愛の愛人問題、米国の有力政治家を巡る高級買春疑惑などのスキャンダル、イスラエルでの反政府デモ、トルコの大統領選挙を巡る混乱なども、実際には各国の政府当局が「わざと負ける」という戦略のために裏で工作し実行している可能性が考えられる。これらの国々は従来は国際金融資本の強い影響下にあったが、国際金融資本の世界支配崩壊と共に国力が低下しはじめている。かつては我慢していた周辺国(例えばトルコに対するアルメニア・ギリシャなど)はこの機会を逃さずに襲いかかることも考えられるが、その前に内紛と敗北を演出することで周辺国の不満をガス抜きするとともに、余力を残した状態で敗北することで敗戦処理を自国有利に導くことが目的ではないかと想像する。 . . . 本文を読む
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