国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

ロシアのネオ・ユーラシア主義者であるアレクサンドル・ドゥーギンの北朝鮮観

2009年11月25日 | 韓国・北朝鮮
私は、アレクサンドル・ドゥーギンほど北朝鮮を賞賛する人を見たことがない。彼が北朝鮮を支持する最大の理由は、北朝鮮が最後のマルクス主義国家、社会主義国家であること、それ故にアメリカと敵対していることである。ドゥーギンの価値観からは、アメリカに敵対する者は何でも賞賛されると言っても良いだろう。 ドゥーギンは多極化した世界を求めている。そこでは、様々な価値観・文化が善とされる。核武装したイスラエルやインド・パキスタンが善であるのと同様、核武装した北朝鮮も善であるのだ。独自の発展形態を持っているという点で北朝鮮は自由な国であるというのがドゥーギンの主張である。 ドゥーギンは、韓国では伝統的な儒教・道教・仏教・シャーマニズムの文化が失われ、プロテスタンティズムに支配されていると指摘している。そして、対照的に北朝鮮ではそれらの文化が維持され、朝鮮民族の独自性が保たれているとしている。「ドストエフスキーは、人間の心は善と悪、神と悪魔の戦場だと言った。我々は事実として、人類の心は南北朝鮮の戦いだということができる。紙に自分の名を書く価値のあるあらゆる市民は北朝鮮の側に立つべきだ。金正日の後に真実があるからだ。 」という最後の文章から、彼が韓国を敵、北朝鮮を味方と認識していることが読みとれる。 11月22日の読売新聞は、対北朝鮮制裁で調査国入りに招待が必要になったことを報道している。これは中国とロシアの両国の主張によるものであり、事実上両国が対北朝鮮制裁に協力しない、あるいは積極的に北朝鮮を支援する方針である事を示していると思われる。北朝鮮と軍事同盟を結ぶ中国の姿勢は理解できるが、特に同盟関係にないロシアの姿勢はやや疑問の残るところであった。ロシアの対北朝鮮姿勢にはドゥーギンの主張が反映されているのかもしれない。だとすれば、韓国にとっては、北朝鮮を吸収する形で半島を統一することは非常に困難になったと思われる。 . . . 本文を読む
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外務省が答弁書を取り消し、いよいよ北方領土返還か???

2009年11月20日 | ロシア・北方領土
「閣議決定の発表取り消し 外務省が異例の失態」と題する2ch掲示板のスレのID:x6eyatRC0氏のコメントが興味深い。北方領土返還が迫っていると言うのだ。従来日本は、北方領土は不法占拠であるという立場をとってきた。しかし、実際には千島列島はサンフランシスコ条約で放棄しており、日本が返還を要求できるのは色丹と歯舞の二島だけである。国後と択捉については、ロシアは完全な主権を有しており、この点で政府見解を変更するために外務省が泥をかぶったというID:x6eyatRC0氏の氏の見解は真実かもしれない。オバマ政権になって、東欧へのミサイル防衛システムの配備計画が中止されるなど、米露関係が改善していることも好環境である。いずれにせよ、近日中に領土返還の有無の結果がわかるであろう。 また、択捉・国後の両島はロシアの核ミサイル搭載原子力潜水艦のオホーツク海への出入り口となることから、何らかの軍事協定(恐らく日露軍事同盟を意味する)を結ばないと返還は無理であろう。ロシアのネオ・ユーラシア主義者であるアレクサンドル・ドゥーギンが日本への領土割譲を説いていることから見て、軍事協定と引き替えならばロシアは四島を返還する可能性は高いと思われる。ただし、ロシア人の反対世論をなだめるために、漁業専管水域については日露折半にする、というような付帯条件が付くかもしれないと私は予想している。 . . . 本文を読む
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ロシアのネオ・ユーラシア主義者であるアレクサンドル・ドゥーギンの説く多極世界

2009年11月16日 | ロシア・北方領土
前回の記事で取り上げたロシアのネオ・ユーラシア主義者であるアレクサンドル・ドゥーギンに関する書評があったので重要部分を掲載する。 興味深い点は、ロシアとの提携を呼びかける国としてドイツ・日本・イランが挙げられていることだ。ロシアと日独両国は、前者の資源・軍事力と後者の経済・技術力で理想的な補完関係にあるパートナーになるという。日独をロシア側に引き寄せるためには、両国に領土間題で譲歩することも容認され、第二次世界大戦後にソ連がドイツに割譲させたカリーニングラードや北方領土の返還が提案されている。「クリル諸島は日本に返還されるべきだが、これは、ユーラシア極東の再編成の全般的プロセスという枠組みにおいて実現されるべき」と述べ、返還の条件として日米安保条約の破棄が暗示されるなど、実現性の薄い内容である、と著者は述べているが、沖縄の基地問題を巡って日米同盟が暗礁に乗り上げている今日の視点から考えると、日米安保破棄を前提とした日露同盟締結と北方領土返還は現実味を帯びてきたと言えるだろう。パックスアメリカーナが日独を衛星国として取り込むことで成立したように、日独を友好国として取り込むことでパックスロシアーナを作り出そうというのがドゥーギンの考えであると思われる。 ドゥーギンの示す多極化した世界像も興味深い。中央アジア諸国だけでなく、イラン・アフガニスタン・パキスタン・インドもロシア圏のパン-ユーラシアンゾーンに含まれている。一方で日本は東アジア共同体にインドを含めている。インドがロシア圏と日本圏のいずれを選択するかは未確定の部分が大きい。現在のインドはロシア製武器に依存しているが、日本の技術への欲求も大きいと思われる。場合によっては、インドはロシア圏と日本圏の両方に所属することになるかもしれない。 もう一つ興味深いのは、オーストラリアとニュージーランドもアングロ-アメリカンゾーン(アメリカ圏)に含まれていることだ。オーストラリアとニュージーランドは東アジア共同体に含まれており、特にオーストラリアはインドネシアの脅威に対抗するためにも日本圏に入る可能性が高いと思われる。 . . . 本文を読む
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ドイツの主要紙に、EUは米国との同盟をやめてロシアと同盟すべき、と言う記事が掲載された

2009年11月14日 | 欧州
ドイツの主要紙に、EUは米国との同盟をやめてロシアと同盟すべき、と言う記事が掲載された。この記事では、ドイツ地政学の創始者であるKarl Haushoferと、ロシアの極右イデオロギー信奉者であるAlexander Duginが取り上げられており、著者はDuginの提案する「Pax Eurasiatica」の概念を推奨しているという。Duginのいうユーラシアの範囲は、スペイン南西部の港町であるカディスからロシア極東のウラジオストクまでであり、欧州大陸+ロシアが中心である。また、Duginはイランやトルコ民族、アラブ民族との同盟を打ち出している。 パックスアメリカーナの終焉と共に、世界はパックスアメリカーナ以前の世界へと戻りつつあるように思われる。しかし、単純に戻っているのではない。この百年間にドイツとフランス、ドイツとロシアが戦ったことを反省して、戦争によらない、国家連合による覇権体制が誕生しつつある。ロシアとドイツの同盟もその一例であり、将来的にはEUとロシアは統合されてゆくことになるだろう。 ユーラシアの東側でも同様の事態が起きることだろう。ペリー来航前の世界、あるいは第二次大戦前の世界へと東アジアは回帰してゆくはずである。当然、株式日記の言うように、日米同盟は解消される方向に向かうだろう。その後の東アジアは、日本・ロシア・中国・インドの四大国の同意によって全てを取り仕切るシステムになっていくと私は予想している。また、日本・中国・ASEAN・オーストラリア・ニュージーランド・インドを含む東アジア共同体が大東亜共栄圏の後継組織として結成され、その中で日本が指導的役割を果たしていくことになるだろう。ドイツ紙の記事にあるように、東アジア共同体の内部でも、小国の主権は覇権国によって制限される様になっていくことだろう。 . . . 本文を読む
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来るべき世界経済の二番底、三番底、四番底・・・・

2009年11月12日 | 経済
昨年秋に始まった世界不況は、主要国の財政支出増によって底打ちしており、一番底となっている。しかし、財政支出増が中止される来年には世界不況が再び悪化し、二番底を形成することだろう。世界不況が一挙に起こるのではなく、階段を下りるように起こっているのが現状であるが、この御陰で不況が企業や被雇用者に与えるダメージがより小さくなっていると思われる。これも世界支配階層が決定したことなのだろう。だとすれば、今後世界不況の三番底、四番底・・・・・が起きると予想される。中国元のドルペッグ離脱、欧米の商業用不動産の価格下落、米軍のユーラシア大陸からの撤退に伴うドル安などが階段を下りるように起こる世界不況の原因になりうるだろう。その中でも、最も段差が大きいのが、田中宇氏の言うように、中国元のドルペッグ離脱であろう。 現在の世界では中国が疑似ドル圏になっており、これがドルの下落を緩やかなものにしている。これが米中G2体制の本質である。しかし、この体制が永遠に継続することはない。紙切れに過ぎないドルを積み上げる現在の体制が維持されているのは単に中国が経済を維持するのに役立っているためである。ドル安が進むと中国国内でもインフレが起こるデメリットもあり、ある時点で中国はドルペッグからの離脱を決定するだろう。その際には、田中宇氏の言うように、国際機関での中国の地位の上昇も伴っていることだろう。 不況が階段を下りるように深刻化するにつれ、先進国では途上国からの輸出を阻止する傾向が強まると予想される。安価な途上国産品の輸入を止めて自国産品に置き換えれば失業問題を改善できるからだ。環境問題、安全問題など、理由はいくらでも見つかる。この保護主義のため、輸出依存型経済の中国は大打撃を受ける。本来ならば内需中心型経済に移行すべきなのだがそれが出来ない以上、現在の中国の体制は崩壊せざるを得ない。その後には、国内の巨大な貧富の差が国を分裂させることになり、沿海部富裕地域が独立してゆくことだろう。日本は沿海部に集中的に投資することで中国国内の貧富の格差を拡大させることを続けてきており、将来の中国分裂を促進することがその目的であったのだと思われる。 . . . 本文を読む
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統一後の朝鮮半島国家が実行する対中戦争

2009年11月08日 | 韓国・北朝鮮
繰り返しになるが、私は近い将来に北朝鮮が第二次朝鮮戦争で核兵器を武器にして朝鮮半島を統一し、韓国政府はは済州島に落ち延びて日本の属国になると予想している。その戦争の後に朝鮮半島国家に何が起こるかを予想してみたい。 北朝鮮の人口は2000万人強、韓国の人口は5000万人弱である。北朝鮮は自国の人口の二倍の規模の国を飲み込むことになる。飲み込まれた韓国では、国民の生活水準は大幅に低下し、不満が渦巻く筈である。その様な状態で国家の統一を維持する方法は対外戦争以外にあり得ない。 具体的には延辺朝鮮族自治区を巡る中国(もし分裂していれば、満州地区の国家)との戦争が考えられる。不満分子である韓国の青年男子を全員徴兵して不十分な装備で前線に送り込み、大量に戦死させて処分するのだ。国内では、「中国軍が攻めてきた!このままでは中国に占領されてしまう!」というプロパガンダを流せばよい。そして、戦争が終わった後も戦争再開の可能性を煽り、中朝国境に膨大な陸軍を張り付け続ければよい。 対外戦争の対象としては、竹島を巡る対日戦争という選択枝も考え得るが、巨大な海軍を建設する必要があり現実的には難しいだろう。また、竹島問題は韓国が済州島に落ち延びた時点で日本への返還が行われ解決するのではないかと私は考えているので、対日戦争そのものが不可能になっている可能性が高いだろう。 南北統一戦争の後の対中戦争としては、ベトナムに先例がある。1965年2月7日 - 1975年4月30日のベトナム戦争の後に、1979年2月17日 - 3月16日にベトナム北部で実行された中越戦争である。この戦争は中国がベトナムのカンボジア侵略に対する「懲罰行為」として開始したもので、短期間に終結している。しかし、中朝戦争は朝鮮半島国家の統一を維持するために長期化することが予想される。中国側としても、延辺自治区に居住する朝鮮族を朝鮮側に追放することで国境線と民族の居住地区を一致させることが出来ると言うメリットがある。また、世界恐慌で混乱する中国国内を戦争でまとめ上げる事もできるだろう。中国側と朝鮮側の両方にメリットがある以上、中朝戦争の勃発と長期化は避けられないのではないかと私は予想する。 . . . 本文を読む
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韓国に敗北し始めた日本の基幹的産業

2009年11月05日 | 韓国・北朝鮮
電気・電子工業や自動車と言った日本の基幹的産業が韓国に敗北し始めている。これは一体どの様に解釈すればよいのだろうか? 私の考える答えは、「来るべき戦争によって破壊されるべき工場設備が順調に韓国に集積し続けていることを示しており好ましい」というものだ。 私「 (@_@)」が国際戦略コラムの掲示板に書き込んだ通り、現在東アジアの日中韓三カ国に集中している工場設備が何らかの方法で大幅に削減されないと世界恐慌は解決できない。韓国は一人勝ちを狙って不況時に設備投資を行う方針であり、話し合いで設備を削減することは不可能である。もはや、戦争によって設備を削減する以外に方法はないのだ。しかし、現在の世界では大国(米国・中国など)が対外戦争に巻き込まれると世界核戦争になり現代文明が崩壊してしまう。また、日本が戦争に巻き込まれる場合、中国が日本を核威嚇で占領することが考えられるが、このケースでは中国の勢力が強くなりすぎて世界覇権を欧米から奪うことになり、欧米諸国の同意が得られないだろう。従って、東アジアの小国である韓国に過剰な工場設備が集中し、それが日本や中国を巻き込まない地域限定戦争によって破壊されることが最も望ましいのだ。もう一つの好ましい解決策は中国の内戦であり、これによって過剰な工場設備が破壊されると共に、その後に内需重視型の新たな国家群が生まれてくることが期待される。 無論、国際戦略コラムのF氏が言うように戦争で破壊するというのはよい方法ではない。しかし、世界恐慌期において設備投資に励む韓国はデフレを悪化させる癌のような国であり、これを滅亡させない限り恐慌は終わらない。また、朝鮮半島の限定戦争で日中両国やアメリカを巻き込まない戦争ならば、世界への悪影響も小さい。 F氏が言うイノベーションは確かに重要であり、例えば常温核融合の様な新技術がエネルギー分野に応用されることのメリットは非常に大きい。しかし、イノベーションは一方でより少ない労働力で製品を作り上げる傾向があり、それによって失業者が生み出される可能性が高いことにも注意が必要だろう。 . . . 本文を読む
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北朝鮮は何故日本人を拉致したのか?

2009年11月02日 | 韓国・北朝鮮
北朝鮮の日本人拉致は謎が多い。目的がはっきりしないのだ。日本に潜入するスパイを教育する目的であれば、日本から帰国した朝鮮人で十分である。日本人を拉致することが対日外交で得点になるわけでもない。拉致問題が明らかになって以後、日本人の対北朝鮮感情は極度に悪化している。一体何が拉致の目的なのだろうか? 私の考える答えは、「日本人の対北朝鮮感情を極度に悪化させること」が日本人拉致の目的である、というものだ。北朝鮮は日本の残置諜者国家であり、日本の国益のために活動してきた。例えば朝鮮戦争では日本の産業が息を吹き返したし、核実験・ミサイル発射では日本の核武装やミサイル防衛の根拠を与えることになった。しかし、このような北朝鮮と日本の同盟関係が公になると、朝鮮戦争が休戦中であることから考えて日米関係、日韓関係に悪影響が出てしまう。日朝の友好関係を秘密にするためにも、表向きは日朝関係が悪化していることが望ましい。そのような日が来ることを予見して日本人が70年代から80年代初めに拉致され、そして2002年9月にそれが公表されたというのが私の想像である。日本人拉致は恐らく日朝共同作戦であり、金正日だけでなく日本の支配階層も承認していたのではないだろうか。同様の例は日露関係にも見られる。「日本人の対ロシア感情を極度に悪化させること」を目的とした北方領土問題の政治問題化である。表向きは最悪の日露関係だが、国際金融資本及び中国という共通の敵を有することを考えると、裏では良好な関係を維持しているのではないかと想像される。 北朝鮮には、近い将来に第二次朝鮮戦争で韓国を滅亡させるという大役が待っているであろうことを考えると、日本人拉致問題の最終的解決は韓国滅亡後になる可能性が高いと思われる。来るべき世界恐慌を解決するには、工業生産力が集中した日中韓三カ国のいずれかの工場設備が戦争により破壊されること以外の方法はないだろう。北朝鮮の南進による韓国の滅亡が日本の生き残りのために極めて重要であるからこそ、拉致による日朝同盟の隠蔽が必要になったのではないか、というのが私の結論である。 . . . 本文を読む
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