国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

米国政府は債務不履行を宣言するか?

2008年11月14日 | 米国
フランスのシンクタンクLEAP/E2020と元外交官の原田武夫氏が共に米国の債務不履行を予測している。原田武夫氏が予測しているタイミングは11月15日の金融サミットの前後または大統領に就任する1月20日の前後である。一方、LEAP/E2020は債務不履行の時期を2009年夏と予測している。時期の違いはあれ、米国が債務不履行を宣言するならば米国はジリノフスキー氏が予言するように急速に没落し、国際基軸通貨の役割はユーロや円が受け持つことになるだろう。米国はアイスランドやウクライナのようにIMFから緊急支援を受けることになるかもしれない。 米国の対外債務の多くはドル建てであり、対外資産の多くは外貨建てである。従って、米国政府は大幅なドル安を誘導することで債務国から債権国に変身することも可能である。また、米国はドル札を大量に印刷すれば対外債務を返済することは可能である(その際に大幅なインフレが起きるが)。従って、米国は必ずしも債務不履行を宣言しなくてもこの危機を脱出することは可能であるように思われる。しかし、その様な小手先の手段では対処できないくらい巨額の借金が来るべきオバマ政権にのしかかっているのだとすれば、債務不履行は不可避であるのかもしれない。私は金融の専門家ではないので、どなたか知識豊富な方にこの問題を分析していただければ幸いである。 冒頭に取り上げたLEAP/E2020の記事は債務不履行の問題以外でも興味深い。最近の米ドル高は一時的な現象であると述べているが、1990年の日本のバブル崩壊の後に円高が訪れた事と一致する。米国から世界に投資された資金が米国に引き揚げていることによる一時的なドル高の後には、もし債務不履行が起きないと仮定しても、米国経済崩壊による深刻なドル安が訪れるはずである。米国と英国は金融業の規模が国家経済と比較して不釣り合いに大きい点でアイスランドと類似しているという指摘も注目される。アイスランドは国有銀行の債券の債務不履行に転落しており、その通貨も株価も暴落している。米国だけでなく英国もアイスランドのように債務不履行に転落するという未来をLEAP/E2020は予測しているようである。米英両国の先行指標としてのアイスランドの動向が注目される。 . . . 本文を読む
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