チベット問題の真相は分かりにくい。中国がチベット人の反抗を一気に叩き潰そうとした様にも見えるが、AFP通信の3月28日の記事「チベット僧侶が抗議活動、外国人記者団に直接訴え」の様にチベット人の生の声を西側メディアに流すという大失態はあまりに杜撰である。やはり、中国はわざとチベット問題を国際問題化させることを狙っているとしか思えないのだ。
チベット問題が国際問題化すれば、北京オリンピックに参加する選手が抗議活動に参加する、あるいはオリンピックをボイコットするなどの動きに出る可能性は十分考えられる。国威発揚を目的としたオリンピックは恥辱にまみれ、中国は面子を失うことになる。中国政府自らがその様な行動に出る目的は何だろうか?
私の考える答えは、「中国を支配する上海閥は上海を中国から分離独立させることを狙っているがきっかけがない。そこで、チベットの分離独立を煽り、チベットの独立と同時に上海も独立させるシナリオを立てている」というものだ。チベットは国際的圧力に敗北して渋々独立を承認するという形にする。恐らく、一定期間香港のような一国二制度を適用し、その後独立の可否をチベット人の住民投票で決定する、という様な形になるのではないか。そして、近日中に上海でも独立を求める官製デモが起こり、最終的に上海はチベットと同時に一国二制度の適用や独立を獲得するのではないだろうか。
このシナリオでは、独立を獲得するチベットと上海が勝者となる。上海は貧しい地方を支援する為に中国政府によって多額の税金を徴収されており不満が高まっている。上海が中国本土を不良資産としてリストラし、これまで収奪されていた税金を自らの為に使えば香港に並ぶ地位を獲得できる。上海閥にとっては願ってもない話だ。上海閥は北京閥に破れて失脚したと言う説もあるが、羽田と上海虹橋空港を結ぶ路線が依然として運行されていることからも、現在の中国政府は上海閥に支配されていることが想像される。
日本・台湾・オーストラリアでは政権交代によって相次いで親中国派が政権を握っている。米国政府やロシア政府もチベット問題での批判は控えている。これは、中国の分裂をきっかけに人民解放軍が対外戦争を起こす可能性をつみ取ることが目的だろう。そして、平和の祭典オリンピックもまた、対外戦争を起こしづらくする要因である。 . . . 本文を読む
私は3月18日の記事「チベットでの抗議活動は誰が何のために仕掛けたか?」で、台湾総統選での民進党候補当選を予想した。しかし、選挙の結果は国民党候補が大差で勝利している。マスコミが選挙結果に及ぼす決定的影響力と、日本や米国が台湾に及ぼす決定的影響力を考えるならば、日米両国は国民党候補の勝利を希望していたと想像される。日本で対中強硬派の安倍首相が退陣して対中融和派の福田首相が登場したのと同様に、台湾でも対中融和派の馬総統が出現したと見るべきだろう。日米台(ロシアも?)は台湾海峡や東シナ海での突発的軍事衝突が起こらないことを最優先にしていると思われる。それが何故かは分からないが、韓国の通貨ウォンが最近独歩安を続けていること、日本・台湾と異なり韓国の李明博新大統領は対米関係を最優先するあまり中国を軽視していることを考慮に入れるならば、韓国と中国の間で近日中に何かが起きる可能性は考えておくべきだろう。その事件の影響が韓国のみにとどまり日本・台湾に波及しないために対中融和派の指導者が必要になった、というシナリオである。 大紀元日本の報道によると、チベットでの衝突事件ではチベット人に扮した警察官がデモ隊を扇動していたという。この情報からは、中国側がわざとチベット人との衝突を作りだしたことが読みとれる。中国政府が一枚岩でチベット人を挑発したというシナリオよりも、ネットゲリラが予想するような人民解放軍の現地部隊の暴走の方が可能性が高いと思われる。中国政府は人民解放軍を完全に掌握できていないということだ。 私が非常に気になるのは欧州の動きである。衝突事件の直前にアイスランドの女性歌手、ビョークが上海のコンサートでチベット独立を叫んでいる。また、中国政府は衝突事件で反中国的報道を続けるBBCを目の敵にして帝国主義と罵っている。北京オリンピックのボイコットを巡る動きでも欧州が突出している。一方、日本や米国、ロシアなどの中国の軍事的脅威を直接に受ける国々ではオリンピックボイコットの動きは目立たない。G8がチベット問題で分裂しているのだ。このことからは、中国の軍事的脅威から自由な欧州は対中政策の自由度が高く、中国を刺激することが可能になっていると読める。ただ、欧州(特にイギリス)が人民解放軍の現地部隊と結びついて今回の衝突事件を作りだしたという可能性も考えておくべきかもしれない。 . . . 本文を読む
チベットで起きている抗議行動について、国際戦略コラムのF氏は米国などの支援があると分析している。チベット自治区の首都ラサだけでなく、四川、青海、雲南、甘粛等のチベット人居住地域でも抗議行動が起きていることは強力な組織の援助と扇動があると考えられ、その主体が米国、あるいは米国を中心とする先進諸国連合(日本も含む)であることはまず間違いないだろう。その長期的目標が米国の次の覇権国になりうる超大国中国を分裂させ弱体化させることであることもほぼ自明であると思われる。中国は国際的非難に激しく反発しているが、それこそが中国の弱さの反映である。また、このタイミングで抗議行動が起こされたことについては、米国が金融混乱の最中にあることから考えて、中国に対して保有米国債を売却しないように警告する意図が考えられる。
抗議行動のタイミングとしてもう一つ考え得るのは3月22日に予定されている台湾総統選挙である。劣勢であった民進党は抗議行動への中国の弾圧をきっかけに攻勢に転じている。4年前の総統選挙でも投票前日に謎の陳総統狙撃事件が起こり同情票で民進党が勝利したが、この狙撃事件はやらせとの分析もあり、民進党を勝たせたい米国の演出との噂もあった。私の想像が正しいならば、米国などが演出したチベットでの抗議行動によって民進党の謝長廷候補が勝利することになるだろう。そして、抗議行動は早期に収束するが、日本や欧米の世論は中国を非難して圧力をかけ続けることになるだろう。1980年のモスクワオリンピックの様な政府主導のボイコットは現時点では起きていないが、選手個々のレベルではボイコットが検討され始めており、中国政府は困難な対応を迫られ続けると予想する。 . . . 本文を読む
4月8日にカザフスタンの基地から打ち上げられる宇宙船に乗り込む予定だった韓国人コ・サン氏が予備飛行士のイ・ソヨン氏と交代させられるという事件が起きた。
朝鮮日報も報じているとおり、宇宙観光との批判をかわすため、あるいは韓国独自の宇宙開発のためにコ・サン氏は韓国政府の命令で宇宙飛行士関連の機密情報を盗んでいた可能性が高いだろう。コ・サン氏は教材貸与違反を何度も摘発されていたと朝鮮日報は報じているが、処罰されるリスクを犯して何度も違反を繰り返す動機として政府命令は最も考えやすいものだ。
ここで私が気になるのは、予備飛行士であったイ・ソヨン氏にもコ・サン氏と同様にロシアの宇宙技術の情報を盗むように命令が下っていた筈ではないかということだ。イ・ソヨン氏については教材貸与違反などの違反は現在の所報道されていない。しかし、韓国が政府命令でロシアの技術を盗もうとしていたとすれば、イ・ソヨン氏も同様の違反を行っていた可能性は十分あるのではないだろうか?韓国教育科学技術部の李サンモク局長の「もしも李さんがコ氏のような間違いをしたら、ロシア連邦宇宙局と再協議をしなければならない」と言う発言は、イ・ソヨン氏もまた同様の政府命令の元に働いており近い内に違反を摘発される可能性が高いことを示している様に思えてならない。4月8日の宇宙船打ち上げまで、この問題は経過を追う必要があるだろう。
なお、ロシアが韓国への宇宙技術漏洩に神経質になっているのは、韓国が中国の衛星国に転落しつつあることとも関連していると思われる。近未来に在韓米軍が撤退して韓国が中国の完全な衛星国に転落したとき、彼らは宗主国である中国の歓心を買うためにロシアから盗んだ宇宙開発技術を中国に提供する可能性もあるからだ。韓国とロシアの宇宙開発協力がぎくしゃくしているとの朝鮮日報の報道も同様の理由ではないかと私は想像する。 . . . 本文を読む
3月9日の朝鮮日報の「上海が恐ろしい」と題するコラムが興味深い。韓国人記者は驚異的発展を遂げる上海がソウルを追い抜くのではないかという懸念をあからさまなものにしている。上海万博組織委員会事務局長の「経済発展よりも中国国民の民度の向上が重要」とのコメントに記者が驚いているが、これは韓国が自国の経済規模の世界順位に強い関心を持つが民度向上には関心が薄いことを示している様に思われる。民度が向上すれば経済規模も自然と拡大するであろう事を考えれば、韓国は経済戦略に於いて既に中国に完敗しているのだ。
近未来に上海都市圏は韓国を全てに於いて凌駕し、そして韓国は中国の衛星国家に転落することだろう。その兆しは3月6日の朝鮮日報の記事にも現れている。韓国の外交専門家が米中双方と連携すべきという意見を示したのだ。これは、李明博大統領当選以後の韓国が米国に接近し中国と距離を置く政策に転じたと中国で分析されていることに脅威を感じているのだ。中国大陸の一角に駐留した在韓米軍は中国にとって安全保障上の大きな脅威であり、米韓関係改善は中国にとって警戒すべき事柄である事を考えれば中国の分析は当然とも言える。問題は、中国側の分析に韓国が敏感に反応し、米韓関係改善は中国を敵視するものではないという言い訳をしていることだ。現在の韓国外交は中国の意向を慎重に伺いながら展開されており、中国との対立は許容されなくなっている。
韓国政府は従来から台湾海峡問題で中国を支持し、在韓米軍が台湾側に立って活動することを拒否している。一方、日本では台湾が共産中国に統一されることを容認する者は少ない。米国、あるいはロシアも中国の台頭を封じ込めるために日本側を支持することだろう。このように考えると、中国と日米陣営の間で既に巨大な断層が対馬海峡に形成されつつある様に思われる。そして、断層の中国側に取り残された在韓米軍も近未来に撤退することが避けられないだろう。 . . . 本文を読む