国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

オーストリアの逆襲

2016年09月27日 | 欧州
オーストリアが滅亡させたプロイセン地域の住民が総選挙で最もナチス政党の得票率が高かったのは実に皮肉である。エマニュエル・トッドはこの現象を、南ドイツよりも先に脱宗教化が進み、心の拠り所を失ったプロイセン人がナチスに流れたと著書「新ヨーロッパ大全」で分析している。ヒトラーに騙されて滅亡させられたプロイセン人も、今ヒトラーを支持するネオナチも、いずれも政治家の煽動を信じ込む愚かなB層が多いのだろう。それだけでは無い。反ドイツであった第一次大戦後と異なり、第二次大戦後のフランスは一貫して親ドイツでドイツとの国家統合を進めてきた。このフランスの政策転換は、恐らくヴィシー政権時代に築かれたオーストリアと南フランスの王党派地域の同盟関係が戦後にも維持された為と思われる。米軍のノルマンディー上陸後にヴィシー政権は崩壊するが、ヴィシー政権関係者の多くは連合国側のドゴールが設立した新政府に潜り込んだという説を聞いたことが有り、恐らく事実なのだろう。このように考えると、ヒトラー登場以降の欧州大陸政治は「オーストリアの逆襲」とまとめることができる。欧州での主な協力者はバイエルン州とバチカンである。そして、その逆襲は大きな成功を収め、あと一息で宿敵の国際金融資本=ロンドン金融街と英蘭王室を中心とする勢力を滅亡させる所まで追い込んでいる。今後の欧州はウラジオストクからリスボンまで、場合によってはケベック州や米国中西部までもがオーストリアの世界観に支配されることだろう。そして、拡大されたEUはオーストリア・ハンガリー二重帝国の再生・拡大国家となり、各民族が独自の文化を維持しながら戦争の無い欧州を維持し続けるだろう。 . . . 本文を読む
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