学生がいなくなって、ゆっくり電車の中で本を読めるようになりました。
この夏は、テーマは決めずに、目についた本をはじから読んでいくことにしました。
これは、実質3冊目になります。
一冊目は青崎有吾「体育館の殺人」で、二冊目は詠坂雄二の「亡霊ふたり」。
「体育館の殺人」は、鮎川哲也賞を受賞した作品。
どっちも正直、なんとなくイマイチでした。
しかも、「亡霊ふたり」は、高校生のうちに人を殺したいと思っている少年が主人公。
実際に佐世保の事件がおきて、なんとなく嫌な気がしました。
そして、三冊目が、これ!
「桐島、部活やめるってよ」の朝井リョウさんの新作です。
社会人になった作者の新境地とか、挑戦とか言われていますが、読んでみると……どこが変わった?
基本的には、「桐島」と変わらないんじゃないかと思ってしまいました。
扱われているのは、やっぱりグループ内カースト。
語り手が代わる連作短編。
違うとしたら、主人公が社会人なこと?
(2作目は違うけど)
学校を卒業しても、グループ内カーストはちゃんと存在して、組織には組織の(たとえどんな組織でも)カーストがあって、その中でちっぽけな自尊心をすり減らしながらもがいてることは変わらない。
「革命」は待ってても起きない、というキャッチ・コピーが主題で、そこから一歩踏み出して行こうというメッセージはわかりやすかったです。
この人は、読ませる人なんだなと思います。
上手にミスリードしてみたり、それこそ、これ、宝塚のファンクラブのことじゃん!と思わせたり。
私は、クリエの前とかで整然と並ぶヅカファンをよく目にしていたので、なるほど、そういうことなのか、と、三面記事的な興味が満たされて、それなりに楽しめました。
ボストカードに一生懸命舞台の感想書いているのって、そういうことだったのね、とか。
なんかちょっと、痛っ!て思いつつ、自分だって人から見たら同じかな?と冷静になったり。
そういう意味では、すごく面白かったです。
さて、どういう基準でこの三冊を選んだか、わかりますか?
そうです、著者の名前順です。
「あ」行の作家の棚から適当に選んだというわけです。
いい加減ですね。
まあ、そんなものです。