![]() | 被爆アオギリと生きる――語り部・沼田鈴子の伝言 (岩波ジュニア新書) |
広岩 近広 | |
岩波書店 |
ヒロシマの被爆体験を語り続けた沼田鈴子さんの活動について書かれています。
被爆の体験をただ語るというだけでなく、沖縄やアジア、アメリカの戦争の被害者に向き合うことで、自分が若い時、何も知らない軍国少女だったと反省し、加害者としての日本の立場をしっかりと基本に据えているところがアジアやあめりか、ヨーロッパでの共感の土台にあると思いました。
韓国の被爆者の実態、重慶爆撃やマレーシアでの残虐行為。沼田さんの海外活動がまず日本の犯したことを自覚するたびになり、そのことと向き合うことで被爆体験が深く伝わっていく。そんな気がしました。
原発や、戦争をする国にしようとする動きにも声を上げたたかってきた人でした。
沼田さんがまいた種は世界に広がった被爆アオギリのように、世界を変えていったような気がします。沼田さんだけではありませんが、世界の核兵器廃絶の流れも、こういった多くの被爆者や平和を願う人々の地道な活動が大きな影響を与えている気がします。
気がする。気がする。