マゼール指揮、ウィーンフィルでベートーベン交響曲第6番、ドビュッシー「海」、ラヴェル「ダフニスとクロエ第二組曲」を聴いた。
プログラムは2月12日にベルリンで聴いたものとまったく同じ(ちなみにアンコール曲も同じ)であった。
ベートーベン。ベルリンで聴いた時とは違った風ではあるが、やはり弦の美しさが心に響いた。とても煌びやかな音だ。以前から思っているのだが、バービカンでは音が少し金属がかった感じに聴こえるようだ。マゼールの指揮は相変わらず打点が見やすく、重要な出はすべて演奏者に対して指示がでる(マゼールは勿論暗譜だ)。また強弱のつけ方もはっきりしていて、メリハリがある。
F majorという判りやすい調かつ曲が単純で、演奏音も明快だからか、絶対音感のない私だが、音楽がたびたび音階で聴こえてきた。第一楽章の最後、1stヴァイオリンがド♭シラソファミレド♭シと降りてくるところは、とっても単純なのに、壮大なスケールに聴こえた。流石ウィーンフィル?ベートーベンに聴かせてあげたい(あ、聴こえない?)。
また、弦と管の音の類似性にとても惹かれた。音が似ている(ヴァイオリンとフルート、チェロとホルン、など)ので綺麗に混ざり合うように思われた。
後半はドビュッシー&ラヴェル。大変ダイナミックレンジの広い演奏で、fffになると相当な音量である。でも「耳を劈くような音」ではなく「脳みそ/脊髄を劈くような音」で、体の芯から音の振動を感じることができ、ちょっとぞくぞくした。
ベルリンでは事故のあったラヴェルも、今日は素晴らしい演奏だった。ベルリンはホールの残響は素晴らしいものの、ワインヤード式でオケの後ろの空間(客席)にも音が広がってしまうが、バービカンはオケの後ろは壁で、音が反射して客席側にすべて返ってくることも、この大音響につながっているのかもしれない。
明日の第1曲目、ストラヴィンスキー「春の祭典」につながるような終わり方だ、と思った。
アンコールもベルリン同様、ブラームスのハンガリー舞曲第1番。ベルリンの時との違いは、アーティキュレーション。強弱のつけ方(音の膨らめ方)、アッチェレランドのかけ方、ちょっとやり過ぎではないかしら?アンコールだから許されるの?
ベルリンではこんな演奏ではなかった。ちょっとエキセントリックなイギリス人向けなのだろうか。ま、演奏の途中でしゃべる、要らん音を出す、写真は撮る、私ははっきり言って怒っている。ありがとう、ウィーンフィル、リベンジしてくれて、な気分だ。