Que ma vie est belle!

私とは、美しいもの、美味しいもの、楽しいものの集合体。

マーティン・フロスト、クラリネット@ウィグモアホール、ロンドン

2010-03-23 23:30:00 | コンサート

ルツェルンからの帰り、ヒースローエクスプレスの中でファイナンシャルタイムスを読んでいたら、ウィグモアホールでのマーティン・フロストというクラリネット奏者の演奏会案内が出ていた。ルツェルンで上手なクラリネットを聴いたところだったし、写真も素敵だったので(動機不純)、軽い気持ちでチケットを取った。

「カリスマ的クラリネット奏者」とファイナンシャルタイムスには書いてあったけれど、そんな謳い文句はたいていのソリストが掲げるもの、と相当見くびっていた。

が、始まってびっくり。音が美しい。まるで無から無限大までの音が出せる。特に「無から」の部分が美しく、何かの音が聴こえる?と思っているうちにクラリネットの音が目の前に現れるのは何度聴いても圧巻。テクニックもすごい。長い指をピンと伸ばして、物凄い速さでそのまま指を曲げることなく動かしトリルを紡ぎだす。

「上手なクラリネット」の比ではない。クラリネットって、こういう楽器だったのだ!今まで聴いていたクラリネットって、一体何だったの?くらいの衝撃がある。

ピアソラの曲などは色気もたっぷり。終わったとたんに会場からため息が漏れた。また自作の曲(ハンガリーやクレズマー民謡を編曲したもの)は、彼自身の特徴を余すところ無く見せるために作られた曲。これはもうアンコールのノリで、最後の音が消えきらないうちに拍手と口笛とブラボーが飛んだ。

アンコールには、クラリネットを吹きながら歌を歌う、という不思議な試みや(会場からは笑いが漏れていた)、フロストがアヴェマリアのアルペジオを吹き、会場がメロディをハミングする、など、教育者としての一面も覗かせていた。

今日の演奏会ではさまざまなリズム(=ダンス)の曲が演奏されたこと、彼がスウェーデン人でスカンジナビアでの活動が盛んであることから、グスタボと組ませたい!とすぐに思ったのだが、果たして家に帰って彼のサイトを見てみると、2011年にグスタボ&ヨーテボリ交響楽団との演奏会が既に予定されていた。ま、皆考えることは同じなのである。絶対に聴きに行こう!と今から鼻息の荒い私である。