Robin Ticciati指揮、LSOでシベリウス、TrpceskiのピアノによるグリーグPf協奏曲他を聴いた。
Ticciatiは1983年生まれというから、今年27歳という若いイギリス生まれのイタリア系指揮者である。新たな才能を発掘に!と出かけたが、少々期待が大きすぎたかもしれない。King Kristian IIでは、特に最後のバラードのあたり、指揮からみえてくるものと聴こえてくるものが異なるように感じられて、ちょっと違和感があった。
2曲目がグリーグのPf協奏曲だったが、ここでピアノを奈落から迫にのせて舞台に上げた。隣のおじさん、かなりユーモアのある人で、「演奏が悪かったら、レバーを引くと奏者が奈落に落ちるシステムなんだよ」と説明してくれる。
今回実は最前列、指揮者の斜め前の席だったが、ピアニストの手の動きが非常に良く見えて面白かった。Pf協奏曲をここから聴くのは相当楽しい。キーシンのような超一流のピアニストの演奏をこの席から聴いてみたいものである。
ところで演奏。残念ながら折角の「劇的Pf協奏曲」なのに、全然盛り上がれない。ミスタッチは少ないように思われたが、何かが違う。
会場からはブラボーも飛んでいた。隣のおじさんも「良かった、レバーを引く必要が無かったよ」といっていたが、私にしては「そして誰も居なくなった」レベルに思えていた。
今、ディヌ・リパッティによる同曲を聴きながらこれを書いている。勿論古い演奏で、元のテープの歪みによると思われる音の揺れもあるが、第2楽章の音の美しさといったら-これ以上何を望むというのだろう?
ま、たまにはこういう不完全燃焼な演奏会があっても止むを得ないか。。。