Que ma vie est belle!

私とは、美しいもの、美味しいもの、楽しいものの集合体。

パレス・ルツェルン&Jasper@ルツェルン、スイス

2010-03-19 17:00:00 | ホテル

スイスには湖畔に美しい街々が点在する。ルツェルンもその一つ。チューリッヒから電車でも車でも約1時間。今回の宿泊先パレス・ルツェルンは以前インターラーケンで泊ったヴィクトリア・ユングフラウグループに属し、またThe Leading Hotels of the Worldのメンバーでもある。

お天気が大変よく、部屋の準備ができるまでテラスでスパークリングウォーターなどをいただくが、暑い。日焼け間違いなしである。ああ、ノースリーブの夏服でもよいではないか、という暑さ。しかし、日陰はひんやりしているので、夕方は寒くなるだろう。

部屋は、今回もUpgradeとのことで、湖側のジュニアスイート。スイスは本当に風光明媚な街が沢山ある。

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外は相当に暑いが、部屋の中はひんやり。

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ホテルのメインレストランJasperはミシュラン1つ星を持つ。ヨーロッパのミシュラン星付は、時々がっかりすることもあるので、少々警戒するも、予定上今日昼食を食べておきたい、と思い予約をする。予約の時間を少し遅れて到着すると、お客が1組しかいない-ちょっといやな予感である。

6品~9品というコースと、ビジネスランチがある、というので、迷わずビジネスランチを選択。前菜にほうれん草のスープ、メインはSea bassのナスリゾット添え。アレルギーのことを伝えながら、大丈夫かなぁ、と心配になる。時々「胡椒アレルギーなんです」というと、味が全く無い料理を運んでくる店があるのだ。

さて、こうして始まったランチ。アミューズブーシュはサーモンとアスパラガスのマリネ。プレゼンテーションも美しい。味も申し分ない。期待してよいのだろうか。お腹が空いているからだろうか?

ほうれん草のスープ。酷いお店にゆくとスープは貧しさ120%というものが出てきたりするが、なかなかどうして。見た目が美しいだけでなく、美味しい。一瞬「ベーコンで出汁を取っている?」と思い質問すると、スモークオイルだという。スモークの香りを、スモークしたベーコンの味と取り違えたのだと納得。

メインのシーバス、茄子のリゾット添え。出てきたときに、これは!と思った。単純にフライパンでソテーしただけなのだが、それが非常に綺麗なのである。オムレツがきちんと出来ている店では料理が美味しい、と確信できるのと同じ確信だったと思う。魚も非常に鮮度が高く質の良いものだ。日本の一つ星のお店で食べるのと同じかあるいはそれ以上。リゾットもお米はしっかりアルデンテ、細く切られたライムの皮が入り、スパイスが丁度良い塩梅で使われ、洗練された地中海風料理である。

シェフはイタリア人なのかと尋ねてみたら、ドイツ人なのだそうだ。ま、才能に恵まれた人は人種を問わず居るということだ。それにしても嬉しい驚きのランチであった。

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天使と悪魔-ティル・フェルナー@ウィグモアホール、ロンドン

2010-03-19 00:30:00 | コンサート

パリ-ルツェルンのお遊びウィークに中1日ロンドンへ戻った理由は、ティル・フェルナーのベートーベンソナタシリーズがあったから。今回は9番、10番、8番「悲愴」、11番、26番「告別」。

10番がとても良い出来。天使ティルが鍵盤の上で優しく美しい音楽を軽やかに奏でる。第2楽章の終わり方がとても印象的で、思わず会場から拍手が。いつもは「ええい、曲の途中で拍手するな!」と思うのだが、これは拍手が出てもやむをえないか、という感じ。

有名な8番、出だしのAndanteは非常にゆっくり。一方、Allegroになるところからは「速度違反」なくらい早くなった。ちょっと指が追いつかないか?と思わなくもなかったが、意図は読み取れる感じがした。10番がティルの中の天使の部分ならば、ここは彼の中に住まう悪魔が音符の間から見えてくるかのようであった。

8番の中でも特に有名な第2楽章。まるでビリー・ジョエルの「This night」を歌っているのではないか?と思うような唇の動き。この前半の10番と8番が素晴らしい出来だった。

ペダリングに特徴があるような気がした。刷り込まれているバックハウスとはかなり違う。ウィグモアホールにあるピアノのうち古いスタインウェイを使用したのは、響きすぎて音がぼけるウィグモアホールの欠点をカバーするためだったのか。どういう意図でこちらを使ったのだろう。次回の最後のソナタではどちらのピアノを使うのだろう。また、場所によって音符と音符の間に間を置くのも面白い。それで音楽が途切れることがないように感じるのは、その「間」が必然というように思えるからなのだろう。日本画の中の空白のように。

今回の天使と悪魔の同居を聴いて、益々彼にシューベルトの遺作ソナタを弾いて欲しくなった。ま、その前に6月のベートーベンの最後のソナタ3曲の演奏会があるので、まずはそれを心待ちにしよう。

会場からの暖かい拍手に応えて、ソナタ20番をアンコールに。ソナチネアルバムに載る易しい曲ではあるけれど、まさか繰り返しも含めて全曲弾くとは。彼の本領はこういう優しい曲に現れるような気がする。見た目もとても優しい感じだからそう思うのか?でも、なぜかショパンやシューマンとかいうのではない、3B系が合っていると思ってしまうのは不思議。