イタリア旅行の最大の目的は、ドゥダメルの演奏会を聴くことであったが、チケットがほぼ会員に抑えられていて、入手が難しいとの話であったので、スカラ座と深い関係(ヴェルディが此処で生活し亡くなったのをはじめ、多くのスカラ座スターが逗留した)にあるというこのホテルを選び、コンセルジュにチケット入手をお願いした。
幸運にも、ロンドンで開催されたLHWのイベントに此処のセールスマネージャーが参加していたので、彼にも合わせて依頼、無事舞台正面の素晴らしい席を用意していただけた。
さて、お部屋である。
部屋は床張り(その方が好み)。広さも悪くない。
家具は全て木製で、綺麗な装飾がされている。
アメニティはエトロ。バスジェルの香りが好きだった。
夜は演奏会、朝はツアー(最後の晩餐を見るため)で、フィットネスも利用できず、ホテルでゆっくり出来なかったのは残念。
イタリア、といえばジェラート。事前に調べたお店の一つが、ウフィツィ美術館からそれ程遠くなかったのでチャレンジ。とても美味しそうなピスタチオやチョコレートのアイスクリーム。2種類入りのカップで1.5ユーロという破格の安さ(街の中心では、同じようなものでも3~4ユーロ、しかも合成着色料入りのような色)。
お店の方のお気に入りNo.2というピスタチオとチョコレートのジェラート。どちらも意外とあっさりはしているが、コクはある。ちなみにお店の方の一押しはピスタチオ+チリペッパーだそうで、チリペッパーにアレルギー気味の私は残念ながらいただけない。
それにしても、こういう本物が安く、街の人々に愛されながらひっそり存在しているのって素敵だ。次にフィレンツェへ旅するときまで、是非残っていてもらいたいお店である。
フィレンツェといえば、メディチ家。豪華物が好きな私としては、メディチ家縁の場所を外すわけには行かない。ということでメディチ家関連第一弾。
入っていきなり度肝を抜かれる。こんなに手の込んだ礼拝堂。。。王の礼拝堂でも、此処まで緻密な装飾が施されているものなんて、殆どないのでは?と思う。また広間も、天井の高いこと。天井が高いからか、全てのパーツが非常に大きく作られている。
昔の人は、体が小さかった、と思っていたが、メディチ家の場合全てが大きく作られていて、装飾だけでなく、例えばサイドボードなどの高さも、今の基準でいっても高いくらい。メディチ家の人には北の血が混ざっているのかしら?
ベルサイユ宮殿の鏡の間をコンパクトにしたような部屋があった。鏡が張られ、天井画が描かれている。天井画は、まるで飛び出す絵本のように立体的だ-遠景は薄い色の絵の具でぼんやりと、前面は少し輪郭をはっきりと強調して描いている。どことなく絵の上手い漫画家の描いた作品のようだ。目が大きく、くっきりしていて、また人物だけでなく、動物も上手く描かれているから、そんな風に思うのだろうか。
タペストリーの掲げられた部屋は、現在フィレンツェのお役所として使われているらしく、会議場用の机が配置されている。こんなところで会議をしたら、私だったら気が散って仕事にならない。
庭に出ると、オレンジの花が満開で、その香りにむせ返った。450年前の春も、こんな感じだったのかしら?
フィレンツェに来たら此処。世界有数の美術館の一つ。見所と言えば、ボッティチェリの「ヴィーナスの誕生」「ラ・プリマベーラ」、ダ・ヴィンチの「受胎告知」、他にもいろいろ。
今回の旅では、「受胎告知」にはまった私。前日のアンジェリコに始まって、この日はボッティチェリ、ダ・ヴィンチの「受胎告知」も見ることができた(勿論このテーマでは数限りなく作品が描かれており、ウフィッツィにもまだまだある)。ダ・ヴィンチの「受胎告知」は2007年だったか来日していて、緩やかなスロープを立ち止まることを許されずにのろのろと歩きながら見学した記憶があるが、ここでは「団体さん」さえ避ければ心行くまで見ることができる。
この美術館の目玉である「ヴィーナスの誕生」「ラ・プリマベーラ」も同じで、団体さんがやってくると難しいが、特に夕方の閉館間近であれば、かなりゆっくり、画面を独り占めすることさえ出来てちょっとびっくり。
「ヴィーナスの誕生」の色彩は思ったより暗い印象を受けた。もともと、それ程好きな絵という訳ではないのだが、近くで見ると余計に、ヴィーナスの足は浮腫んでいるし、肩は異常な「なで肩」だし・・・背景も遠近法以前だし。。。と、文句は幾らでもあるのだが、見ているうちに慣れてくる(?)。
「ラ・プリマベーラ」は最近修復されたことで色彩がよみがえっていることもあるだろうが、それぞれの人物が「綺麗」に描かれていてとても気に入った。背景のオレンジの樹に前日のメディチ家を思い出す。神話と言っても、結局日々の生活が反映されるのだろうな。この絵やダ・ヴィンチの受胎告知の草花もフィレンツェの丘の上でみた風景にとても似ていた。ところで、フローラに化身したクロエがメグ・ライアンに似ているのではないか、と思っているのは私だけだろうか?
今回ウフィツィで一番ハマったのは、午前中と同じくラファエロ。ラファエロの絵はいくつかの絵と一緒に円形の別部屋に入っていて、見学者は通路に沿って周囲の壁に掛けられた絵を見る。1回目は混んでいてあまり時間をとることが出来なかったが、閉館間近になって人数が減ったので、柵に寄りかかって暫く絵と対話。それにしても上手いし、綺麗な顔の人。とても整っている。本当にこんなに、左右対称で、全てのパーツが理想的な形をした人が居たのかしら?
閉館は、なんとも味気ない消防訓練のようなブザーで知らされる。またこの絵の前に立てる日があるといいな、と思いながら帰途についた。(ウフィツィからの眺めもなかなか素晴らしい-絵の写真は禁止だが、景色は撮影可)
パラティーナ美術館は、ウフィッツイ美術館から有名なポンテベッキオを経て対岸へ渡ったピッティ宮殿内にある。ここは、予約券をチケット売り場(3番売り場だったか、向かって一番右)でチケットと引き換えてから、入り口へ向かう。列が長く続いていても、門のところに居る係員に時間予約チケットを持っている旨話せば列の先頭に入れてもらえる。
メディチ家縁の美術館。数え切れないほどの絵画が、所狭しと壁一面に飾られている。以前から、なぜ絵画は派手派手しい金の額縁などに入れて飾られるのか不思議に思っていた。一般の美術館では、邪魔なだけに思われた。
ところが、此処へ来て解決。部屋が額縁同様に派手派手しいのである。天井が彫刻やら絵画やらで金綺羅に装飾されていると、壁一面に金の額縁入り巨大絵画があっても、釣り合うというか、完全に調和するのである。
パラティーナ美術館のお薦めもやはりラファエロか。この間ドレスデンでラファエロを見てから完全に彼のファンになってしまった。ラファエロの描く人物は、少々出来すぎなほどに均整が取れている。また色の美しさも格別だ。
絵画群の後はメディチ家の居室。消耗品はサヴォイア家が所有したときの壁紙(布)や床の敷物等(19世紀後半)が残る。また、日本の伊万里、フランス製の置時計、マイセンの置物、と世界の一流品展示場、といった観も。流石メディチ家、お目が高い(と私ごときに言われたくはないだろうが)。
美術館からの眺めも素晴らしい。時間があれば1日でも過ごすことができる。