ネイビーブルーに恋をして

バーキン片手に靖國神社

入間航空祭ブルーインパルス〜ウォークダウンからスローロールまで

2016-11-06 | 自衛隊

午前中のプログラムは終わりました。
いつもだいたい同じようなものだと思うのですが、
今年は例年にも増してあっという間に終わった気がします。

夢中で写真を撮っていると時間の感覚がなくなりますね。

前回の写真を見た方が「大きなカメラは体にきますので気をつけて」
とご心配を下さったのですが、入間航空祭に来るたびに
少しずつ撮影そのものによる疲労の度合いはましになっている気がします。

それと正比例して、写真の失敗率も随分低くなり、プロの人たちが
例えば広角と望遠をカメラ二台持ちするように、Nikon1とデジカメで
フォーメーションが広がったときに持ち替えるなどという、
初期からは考えられないような対応も取れるようになってきました。


今回両隣に座った夫婦はどちらも夫の方がハイエンドカメラ持ち。
右はNikonのD500(これはサブだと言っておられましたが)で、
左はキャノンの白レンズ。
どちらも奥さんはカメラには全く興味はなさそうで、ときどき
携帯で写真を撮っていると言う感じです。


こういうカメラを持っている人たちに結構ひどい目にあったという
過去の経験から、当初は少し身構えでないでもなかったのですが、
今回は嬉しい方に予想は外れました。

どちらの方とも和気藹々で会話が弾み、右の人には
ご自慢の野鳥の写真を見せてもらい、左の人とは撮影の合間に


「今のはうまく撮れましたか」

「まあまあです」


などと声を掛け合って楽しく交流しながらの撮影となったのです。
こちらの人はフォーメーションがレインフォールなどで広がると、

「あああ〜(画面に)おさまらなかったー」

と実に残念そうにし、2機がクロスしたときなど、

「失敗!撮れなかった」

と言いながらも撮ることを心から楽しんでいる様子。
どちらのおじさんも奥さんと普通の夫婦より仲良さそうでしたが、
”いいカメ爺と悪いカメ爺”の違いはつまりコミュ力にあるのかもしれません。


ところでわたしは、先ほども言ったように、ブルーインパルスの撮影中は
普通のカメラ好きがサブにする
Nikon1をメインにし、サブのソニーのRX100は
主に散開隊型を撮ることと、アナウンスされる説明の音声を
記録するためだけにずっと動画モードにしておき、
あとはレセプションや会場の様子などを撮るために使っていました。

実は今回、そのカメラを会場で落としたのです。


すべてのプログラムが終了したとき、

「今日は早めに会場を出て少しでも楽に電車に乗ってやるぜ!」

と招待会場から外に向かって線路沿いを歩いていてふと気づくと
右肩にバッグと一緒にかけておいたはずのカメラが、ありません。


カメラが落ちたのに全く気づかないというのもどうかと思いますが、
おそらく芝生の上に落として音がしなかったのでしょう。

気づいた途端、歩いてきた道を取って返したのですが、見つからず。
そこここに立っている自衛官のうち一人を捕まえて聞いてみました。

「あのー、たった今、道の途中で落し物をしたみたいなんですが、
どうしたらいいでしょう」

「大事なものですか」

「カメラです」

「・・・・それは大事ですね」

自衛官はとりあえず近くのテントに届いていないかどうか確かめてくれ、
その後遺失物センターまでわたしを連れて行ってくれました。

先を行く彼の後ろを(早足なんで大変でした)小走りで追いかけ、
人ごみを縫うようについていくと、そこはなんとエプロンの向こう端。
本日立ち寄りもしなかった機内展示場とブルーインパルスの近くです。

ちなみにこの日、iPhoneのバイタルチェックを後で見ると、
1日の総歩数が1万8千歩を記録していたのですが、
このときの歩数が結構大きかったとわたしはいまでも思っております。


落としたばかりでまだ届いていないだろうなとは思ったのですが、
カメラの機種と名前、電話番号を紙に書いて届けておきました。

先ほどの道をもう一度探しながら歩くため戻ってみると、
案内してくれた自衛官がもうすでに
元の場所に戻ってお仕事をしていました。

「さっきはありがとうございました」

声をかけると、

「ああ、ありましたか」

「届いてませんでした・・・」

すると、近くにいた彼の上司らしい人が

「例年次の日になるとものすごい量の落し物が出てくるんで、
今日なくても明日に電話してみられるといいですよ」

「はい、明日電話する番号もいただいてきましたから」

彼らにそう声をかけてもらうと見つかるような気がしてきます。
帰ってしばらくしたら携帯に着信記録が入っていました。
次の日番号にかけると、

「航空自衛隊です」

という返事。
なんとこちらがかける前に見つかった旨連絡をくれたのです。

あれだけの人がいるイベント会場でも落としたカメラがちゃんと届く。
ここが日本でしかも自衛隊イベントならば不思議なことではありませんが、
相談した自衛官の対応の良さも相まって感動もひときわでした。

それはともかく、長々と説明してきましたが、そういう事情なので、
午前中のプログラムについてお話しした後書くつもりだった
昼間のレセプション写真は、デジカメが入間から
着払いで週明けに帰ってくるまで見ることもできません。

というわけで、今日は午後からのブルーインパルス演技についてです。

13時05分からウォークダウンが始まりました。
こればかりはどんなことが行われているのかここからは見えません。

入間基地航空祭2016 ブルーインパルス・ウォークダウン ・飛行前点検・タキシーアウト 

ウォークダウンからの動画をどうぞ。
なんかみんな不思議な歩き方をするんだなと思ったのですが、
歩くとき手を動かさないのであんな風になるみたいです。
それから、クルーの敬礼が瞬間芸か?というくらい早いのも特徴。

理由はわかりませんがそういうことに決まってるんですね。
もうここから演技は始まっているという感じです。


 

映像には、彼らがGスーツをつけるところも少し写っています。
G-スーツは下半身を締めることによって、飛行中に
脳から血液が失われることを防ぎます。

タキシングは最初の離陸隊形のまま行われます。



ブルードルフィンが駐機してあるレッドドルフィンの横に差し掛かります。

それぞれの番号に搭乗するパイロットは決まっています。
たとえばこの1番機は編隊長、Leaderの搭乗機。

後席に乗っているクルーもいずれは編隊長として1番機を操縦します。
後席は手が空いているので両手を振る人が多いですね。 



アプローチを始める場所でスモークの点検が行われています。

まず4機がほとんど密集形のまま離陸。

ウォークダウンが始まった頃には招待席まで
航空燃料の独特の匂いが強く立ち込めていました。

密集隊形での離陸はそれ自体が大変技術を要するそうです。

まずはダイアモンドテイクオフ&ダーティターン

4機のT-4がフィンガーチップフォーメーションで離陸、
エアボーン直後に4番機が機体を滑らしてダイヤモンドフォーメーションを組みます。

大きく旋回を行い会場正面より進入、後方へ離脱します。

なお、1番機はフライトリーダー、2番機、3番機はそれぞれ
レフトウィング、ライトウィングと呼ばれます。

4番機は「スロット」だそうですが、slot には中央の意味があるので、
おそらくこの隊形にも見られるように真ん中にいることが多いのでしょう。

まだこの時点では脚を出したまま演技を行っています。
正面から見ると着陸灯も点けて飛んでいるのがわかります。



5番機と6番機はこのあと2機で離陸しました。
5番機のことをリードソロ、6番機をオポージングソロといい、
どちらも6機の中でソロをとるパートのようです。

5番機は離陸後そのまま超低高度を飛行し、ハーフループを行い、
ループに達したらロールを行いながら降下し、水平飛行を行います。

先の4機が超密集隊形のファンブレイク
お互いの機体の間は1mくらいしかないそうです。
高い技術と互いへの信頼あってこそのフォーメーション。 

チェンジ・オーバーターン

5機で行いますが1機フレームアウトしてしまいました。
トレイル隊形といって縦に積み重なったような状態で進入し、
一瞬にしてこうやって編隊をデルタ型に組み替えます。

そしてそのまま大きく旋回。
旋回しながらだんだんと機体の間を狭くしていくのが見もの。

最終的にはここまで密集します。



ソロ機が急上昇後垂直降下。
インバーテッド&コンティニアスロール です。



降下後、連続ロールを行いながら会場を離脱します。

続いてレインフォール

ご覧のようにこの日はまったく「ブルーインパルス日和」というべき
素晴らしく条件の良い空模様でした。
晴れ渡って雲一つなく、風もそんなに強くありません。

ループに入り、ほぼ下を向いたところでスモークがON。

そのまま大きく広がっていくのですが・・・・。

実際はわたしはこの直後カメラを持ち替え、
散開したスモークをデジカメで撮ったわけです。

んが、縷々冒頭で述べたように、デジカメは今まだ
入間航空基地の遺失物係にあるので、ここから先をお見せすることはできません。

演技後半のエントリ作成までにカメラが帰ってくるといいのですが。

気を取り直してもう少し先に進みます。
6番機、オポージングソロ機によるバーティカルクライムロール。 

ロールを行いながら急上昇します。

次も6番機によるソロ演技、スローロール
ゆっくりと右ロールを行いながら左から右に抜けるこの演技、
飛行機にとって「ゆっくり進む」ということは大変難しく、
地味に見えますが高度なテクニックを要するのだそうです。



ロールしていると機首が下向きになるので、
この演技はやや上昇してから行うことになっています。


続く。