平成28年度自衛隊音楽まつりシリーズ、最終回です。
航空自衛隊中央音楽隊のドリル演奏も「空の精鋭」で始まりました。
わたしはこの曲については冷淡というくらい興味がないのですが、
(曲が新しいからという問題ではなく、評価していないのです)
このときに演奏されたのは「空の精鋭・ファンファーレバージョン」。
全くどこからどこまでが原曲かわかりませんでしたが、
とにかく大変感動的な導入になっていたのは確かです。
空自のイメージは常に女性隊員のカラーガードです。
このために何ヶ月か特訓を積み本番に臨む彼女らは
最終公演では泣いていることも珍しくないとか。
観た人は皆覚えておられますね?
敬礼をしながらも顔を庇の下に隠し、バトンを床につきながら
歩くこのドラムメジャー(塚本泰士2等空曹)のカッコよさを。
彼女らの持っているのは形はビューグルですが、
楽器としてではなくバトンとして扱っています。
ブルーと白。これが空自のイメージ。
武道館の天井を高く舞うブルーフラッグ。
クラリネット、バトントワラーのソロとともにカラーガードのソロダンス。
その内容を知っていれば空自がこの曲を選んだのがよくわかる、
超時空要塞「マクロス」に乗せて赤、黒、シルバーの旗が翻ります。
エグザイル?
そしてこれが空自のお約束。
全員の上を航過していく4機のブルーインパルス。
・・・のスクリーンを持って走っているのも空自隊員です。
さて、というわけで第2章もフィナーレの曲となりました。
合同演奏曲は「翼をください」。
第1章の最後は男性歌手4人が彩りましたが、第2章は女性歌手でフィナーレです。
陸自歌手はもうすっかりおなじみ、 鶫真衣士長。
芸名のような名前といいこの美貌といい、「士」がつくのが信じられませんが、
国立音大卒、洗足で大学院まで学んだ後、三宅さんに触発されて自衛隊入隊しました。
産経新聞の記事で検索すると、迷彩フル装備に銃を持った彼女の姿が見られます。
空自の歌手は検索しましたが名前が出てきません。
自衛隊まつりのプログラムには、指揮者とドラムメジャーしか記載されないのです。
YouTubeで「ファゴットのアオタ・マコ」さんであることはわかりました。
「空自の歌姫といっても過言ではない」
と紹介されていたので、未だに空自は専門の女性歌手がいないことになります。
松永美智子陸士長。
東京オリンピックの壮行会では彼女が「君が代」を歌ったそうです。
そして三宅由佳莉3等海曹。
去年のステージについては選曲を含め厳しいことを書きましたが、
今年はもう何も言うことはございません。
明らかに全ての点において一回り上手くなっておられると思いましたし、
ますます人を惹きつける力を身につけてこられたようにみえました。
彼女が観閲式でスーザフォンを吹いていたのが確認されましたが、
もしかしたらあれも歌手としての経験値を上げるための
鍛錬の一環だったのかな、と思ったりしました。
そこにインド軍楽隊が入場してきて空自の音楽隊員とハイファイブ。
右手からは陸軍軍楽隊が陸自と。
海兵隊をお迎えするのは三宅さんはじめ海自東京音楽隊。
そして第3章は自衛太皷。タイトルは「雷鳴」です。
実は全国の基地駐屯地に太鼓のクラブ(クラブなんですよ)はたくさんあって、
この音楽まつりに出演できるのはその中のごく限られたチームにすぎません。
中央に各部隊に所属する女性太鼓奏者。
彼女らの演舞から第3章は始まりました。
第3章は「冬の音〜猛き荒ぶる響き」
合同での演技が終わると左右交互に部隊ごとの単独演奏が行われます。
滝川駐屯地というのは「しぶき太皷」がなければ
おそらく北海道在住の人以外にはどこにあるかも認識されないかもしれません。
自衛太皷は駐屯地の名前の広報という点でも大きな働きをしているんですね。
山口維新太皷は山口駐屯地の太鼓クラブ。
松本アルプス太皷はもちろん松本駐屯地です。
座った姿勢で、しかも篳篥を使っての演舞は入間修武太皷。
今回出場の二つの空自太鼓(もう一つは芦屋祇園太鼓)のうちの一つです。
海自に太鼓クラブがないのは勤務形態の関係上しかたないことみたいです。
人数がなんとかなってもフネの上で練習するわけにもいかんしね。
最後に北海自衛太皷が演奏を決めて・・・、
出演部隊全員での演舞となります。
ブルーの襷に股引は芦屋基地の祇園太鼓。
福岡なのになぜ祇園なのかと関西出身のわたしは思うのですが、
どうも福岡にも「祇園」という地名があるみたいです。
本日の演舞を指導した北海自衛太皷の高橋直保1等陸曹。
最終章に入る前に赤絨毯と指揮台を運んできた
「演技支援隊」の紹介が行われました。
フィナーレの指揮は陸自中央音楽隊隊長、武田晃1等陸佐。
海自の音楽隊隊長はずっと2佐ですが、陸自は方面音楽隊が2佐、
中央音楽隊は1佐あるいは2佐となっているようです。
ちなみに空自の場合は中央音楽隊隊長は1佐で、方面音楽隊は海自と同じ、
3佐または1尉、となっており、各自衛隊は微妙に違います。
本日の出演国の国旗が入場してきました。
全出演部隊がレスピーギのローマ三部作の一つ、
「ローマの松」より「アッピア街道の松」
の演奏をしながら整列していきます。
演奏を行わない太鼓部隊、防大儀仗隊、そしてカラーガードも。
この第302保安警務中隊の絵に描いたような完璧な隊列を観よ。
隊員の身長などを厳密に規定しているため、これほどまでに
芸術的なぴったりと揃った美しいと列となるのです。
フィナーレの曲は「今日の日はさようなら」。
楽器をしていない人と儀仗隊以外は全員が歌います。
インドの方にはおそらく難しいのではないかと思われますが、
それでも紙を見ながら日本語で歌っている様子。
たまに何も見ないで歌っているアメリカ軍がいますが、
彼はおそらく日本語がかなり達者なのに違いありません。
退場の曲は「HERO」。
NHKリオデジャネイロオリンピック・パラリンピック放送テーマソングで、
安室奈美恵が歌っていた曲を行進曲アレンジで。
最初に第302保安警務中隊が退場していき・・・、
手を振りながら出演部隊が会場を後にします。
そして、最終章「春の音」のテーマに合わせて、松永士長と鶫士長、
そして陸自の男性ピアノ奏者による「春よ、来い」が演奏されました。
散る花びらを想起させるきらきらした照明と共に流れる
彼女らの透き通るようなハーモニーが満場を魅了しました。
音の力というのはかくも圧倒的なものかと思わせる瞬間です。
今年の「最後の敬礼」は陸自中央音楽隊長でした。
というわけで終了した平成28年度音楽まつり。
さっそく支援隊が片付けに入ります。
彼らが手に持っているのはホコリ取りの「コロコロ」。
なんと赤絨毯のホコリをここで取っています(T_T)
坂下門に向かう途中、トウチくん発見。
なんか前見た時よりアタマの位置が下にあるというか・・。
演技を終えて外に出てきた防大の儀仗隊員や、保安警務中隊は大人気。
皆が交互に並んで写真を撮るために配置されたらしい二人と一緒に
写真を撮ってもらおうとしているのは、未来の自衛官かな?
ところで、わたしは武道館の駐車場にこんなものが停まっているのも
見逃さなかったのだった。
NBC化学防護車。
つまり、大人数が集まる武道館において、万が一毒物(サリンとかね)
が撒かれたときのことまで、自衛隊は想定していたってことです。
これを見てから、万が一今天変地異が起こったとしても、
自衛隊がいれば少なくともわたしたちは絶対大丈夫、との確信を深めました。
最後の最後までその完璧さを見せつけられた自衛隊音楽まつりですが、
実はこんなところに自衛隊の自衛隊たる本領があったというわけです。
最後になりますが、今回の参加に際しご配慮いただきました方に、
この場をお借りしてお礼を申し上げます。
終わり。