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平成28年度自衛隊観閲式装備展示〜「塹壕まつり」

2016-11-10 | 自衛隊

平成28年度の自衛隊記念日観閲式は終わりました。
工科高校儀仗隊のファンシードリル、自衛太鼓、
そして音楽隊の演奏を楽しんだあと、同行の人たちが
誘うので装備展示を見て帰ることにしました。

ところで、終わってすぐわたしたちは全員喉が渇いてならず、
最後の売り尽くしにかかっている売店に立ち寄ってみたのですが、
お弁当や物販は余っているのに、飲み物は見事なくらい全て売り切れです。

この日は帽子がないと辛いくらい日差しが強く、
(同行者いわく”安倍さんは晴れ男だから”)気温も高くて
飲み物が飛ぶように売れてしまった模様。

「こんなに人が来てるんだから多めに持って来ればいいのに」

同行者は本気でキレていましたが、わたしは3年前の予行で、
大雨が降りまくるのに傘をさせずに体の芯まで冷えた、
という悲惨な1日が現実にあったのを知っているので、

「沢山仕入れて雨が降ればもうほとんど売れ残りますからね。
どっちに転んでも大丈夫なように控えめに発注したんじゃないですか」

となぜか業者の皆さんを庇ったりしておりました(笑)

観閲行進の会場を横切って展示場に向かう途中の売店にも
聞いてみましたが、ただの1本すら残っていません。

そのとき、売店の近くにこんな装備があるのに気付きました。



「あれ・・・・?これ給水器じゃないの」

近寄ってみると、なんと奇跡のようにそこにあったのは
陸自と空自で運用されている1トン水タンクトレーラでは。

主に駐屯地外における演習などの部隊活動で水を運搬するもので、

見てのとおりはは73式大型トラックや73式中型トラック、
78式雪上車などの大型車両が牽引して運搬します。

先ほどの車両行進では牽引ではなく荷台に搭載されて登場していました。


「これもしかしたら飲めるんじゃない?」

と言っていると、担当の自衛官が近づいてきて

「飲めますよ。コップがなくなってしまったのですが」

当初紙コップを用意して、それで自分で蛇口をひねって飲むように
なっていたらしいことがわかりました。

「じゃ、手で飲もう」

蛇口をひねりまず手を洗いましたが、意外なくらい冷たい水です。
手のひらにすくって飲むしかなかったため、ごくごく、というわけには
いきませんでしたが、喉の渇きは潤おすことができました。

「これは東日本大震災のときに被災地に行ってるんですよ」

「どれくらい水を運べるんですか」

「1トンです」

 

水たまりができても足場が悪くならないように
専用のマットを敷くなど、心配りが相変わらずすごい。

蛇口は車体の前面左右にそれぞれ3ヶ所ずつ、合計6ヶ所。

「わたしはこれとずっと行動を共にしているので、
一心同体というか、もうただの装備っていう気がしないです」

「そうだったんですか・・・」

おそらくこの隊員は装備専用の係に命ぜられて、東北にも一緒に行ったのでしょう。
ちょっと照れながら、しかし誇らしさを滲ませていう彼の言葉に、
猛烈に感動してしまったわたしでした。 



さて、展示会場に行くなり、わたしは前回とは
まったく景色が違っているのに気付きました。

前回、戦車を上からみることができるように、足場を組んで
そこを見学者が順に渡っていくようになっていましたが、
今年は地面が掘ってあり、そこに戦車が収まっています。

「なんと・・・!クリークが掘ってある」

「今年は塹壕まつりなんですよ」

「ふおおおお・・・工兵の力技って感じですね」

「施設科って言ってもらえますか一応」



これはすごい。
芝生だったところを展示のためだけに掘り返してしまうとは。
ちなみにここに展示してあるのは155mm榴弾砲である模様。 

長蛇の列ができていたので体力エグゾーステッドの我々は
中に入ろうとは誰もいい出しませんでしたが。

手前の斜面は車両の進入口で、人垣の向こうに
砲のノーズを突き出すようにして設置されており、
さらに上から偽装ネットをかけてあります。


見学者は男性ばかりでしたが(そもそも装備展示を見ている人の
8割が男性)、彼らは間違いなく、幼き日裏山で「基地ごっこ」をした頃の
ワクワク感を思い出したりしているんだろうなと思いました。




崩れないように土嚢でエッジを作り、驚いたことに
塹壕の斜面に芝を植えるという気合の入りよう。
朝霞の展示はこれからずっとこれで行くってことですよね。



見よこの仕事の細かさ、施工力の高さ。
掘り返して土嚢を積んでいるだけなのに、美しい直線です。

入り口から入っていくと、戦車のあるところからクリークを
全部探検して元のところに帰ってくるようにできているようです。



車両行進でも登場した無人機がいました。
正式には「遠隔操縦観測システム」といい、

“Flying Forward Observation System” 

の頭文字をとって「FFOS」と呼ばれています。

機体は行進にも登場した専用運搬機によって運ばれ、
このほかにも車載した統制装置、追随装置、簡易追随装置、
発進・回収装置、整備支援装置、作業車などが必要です。



通りかかった時に10式の動的展示が行われていて、
人だかりができていました。



ただしそれが終わればこの通り。
前回の3年前はまだ公開されたばかりで珍しいのもあって、
動いていようがいまいが人が周りに群がっていたものですが。

155mm榴弾砲だと思われ。
それにしてもまるで新品のように綺麗に磨き上げてあります。 

同行の自衛官妻Hさんは、陸自のイベントには来るのも初めてだそうです。
自衛官の奥さんって全く他の自衛隊や、夫の所属であっても
装備や何かには全く無関心という人が結構いるみたいです。

夫の方も奥さんに仕事に理解を持って欲しいが、度の過ぎた
興味はむしろ持って欲しくない、という考えの人がいるのかも(笑)


そのHさんが

「わたし、こういう形をしていたら皆戦車にしか見えないんです」

というので、まあ普通の女の人はそうでしょう、と聞いていたら、

「これは何のための戦車なんですか」

「装甲戦闘車といって、隊員の輸送が主な目的です。
丸い目玉みたいなのがあそこにあるでしょう。
あれはガンポートと言って、中から銃口を出して撃つこともできるんです」

というと、奇異なものを見るような目で

「すごいですね・・」

と感心されてしまいました。
覚えようとしなくても、これだけ見てたら嫌でも覚えますよね。

しかも未だに盛大に間違えることもあるのは、ここだけの話だ。
 

核・生物・化学兵器に適応するNBC偵察車もおります。
これ、製造は小松製作所らしいですね。
96式装輪装甲車も同じく小松です。



色からして周りと全然違っているのですぐわかる、アメリカ軍の装備。
車両行進でお目見えした陸軍ストライカー旅団の装甲車です。
つまりさっきの歩兵車のアメリカ版ってところですね。
なんか近くで見たらいろいろとデコデコしてる車だなあ。



車両に貼ってあるマーク。
「!」がついておりますが、第23師団第4大隊は「トマホークス」
という部隊名のようです。

トマホークというと我々はミサイルのことしか思いつきませんが、
もともとは北アメリカのインディアンが使う「斧」のことです。
この部隊マークでクロスしているのは「トマホークス」であると。

さらに「ブラボーカンパニー」は小隊名が「ブラボー」なのかな。 

装備の前では車員が立って説明したり写真を撮ったり。
木にもたれかかって見ている人も米軍関係者かな。 

写真をアップにしたら向こうの人がカメラ目線でした(笑)
お、おれ今写真撮られてる?みたいな。

腕を組んで皆で記念写真。

「わざわざワシントンからやってきたのかな?」

と同行者にいったら、

「フィリピンとかどこか近くに来てたんじゃないですかね」

なんでもC-5、C-C-17、C-130といった航空機に搭載できるので
そこからなら空輸できるから、という話でした。

改めて近くで眺めてみました。
ラッパみたいなのはやっぱりホーンだったりするんですかね。



車両行進の時に遠くから見て何だろうと思っていたものは
束ねた布の紐でした。
右下にスコップやハンマーなどが固定されているように、
外側に紐で固定してものを運ぶため装置のようです。 

で、これ。
行進中「なんじゃあこれは!」と思った得体の知れない物体、
これはプロテクターRWS( Protector Remote Weapon Station)。
遠隔操作式の銃塔で、いろんな火器を必要に応じて搭載することができます。 

開発したのは、ノルウェーの防衛・宇宙関連企業である
コングスベルグ・ディフェンス&エアロスペース社です。


歩兵車なので後ろのドアが89式と似ている気がしますね。
こちらは装輪装甲車ですが。 

米陸軍のクレーン付きトラック、ヘミット(M984A4)。
ウィンチも積んでいますが、用途は故障車両回収です。

こう見えてCー130で空輸することができるとのこと。
(っていうか、C-130がいかにすごいかってことですね)

こちらもみんなでポーズ。

こちら陸自迷彩と空自ジャンプスーツのお二人。
こんなちっちゃい迷彩服を用意しているんですね。

 

ところで、装備の向こうに・・・今年もいたよ。サイポン。
埼玉地本のゆるキャラなので「サイポン」。 

トウチくんは今年はいないのか。

っていうか、覚えるつもりもないのに地本ゆるキャラの名前が
いつのまにか知識として刷り込まれていることに気がついたとき、
そこに自衛隊広報のたゆまぬ努力を感じずにはいられません。(適当)


ところでサイポンには陸空海が一通りいるのですが(兄弟らしい)、
ここでは
やはり主催の陸自サイポン「りく」が一番美味しいとこ取りです。 

こころなしか態度もでかい気がする。

横に座るのが女の子の時だけ、さりげなく
肩にそっと手をかけるサイポンであった。 

空自サイポンみっけー。 

それでは海自サイポンはどこ?と思って探したら、
ちょうどテントに入っていってしまうところでした。

いくら埼玉がアウェーだからって何一足先に任務終了してんだよ。

「もう終わりますから入れてくだサイ」

「あっ、おかえりなサイ」


塹壕まつりのためにお試しで掘ったかのような謎の真四角のクリーク発見。

というわけで、こちら側の門から朝霞までバスに乗ることにしました。

ところが、バス乗り場に行くのに人が多すぎで優に40分はかかり、
バス乗り場のロータリーについてから約30分かかり・・・。

「こんなのなら最初から反対の出口を出て朝霞まで歩けば良かったですね」

前回もなんか同じことを思った覚えがあるような・・。
まあ、3年後にはまた忘れて同じことをしたりするんだろうけど。 

 

観閲式シリーズ終わり