gooブログでは、「1年前の記事」を教えてくれるシステムがあります。
これがその一年前の記事。
記事自体は映画の寸評ですが、この全く無名の、しかも○○な映画の、
絵だけは結構力を入れて(というか楽しんで)描きました。
最近、観艦式や航空祭の記事で写真中心だったので、ただこの手間暇掛かった絵を
見てもらうためだけにこれを再掲します。
つまり最近は絵に時間を割くことが出来ない「一日一ログ生活」を送っているのですが、
ログのアップが間に合わなかったための窮余の一策でもあります。
それでは、どうぞ。
なんと申しましょうか。
久しぶりに○○な映画を観たという気がいたします。
このブログ、特定の人や物(政治家除く)の悪口雑言は言わない、
というポリシーのもとに運営しておりますので、何事につけ一言で切り捨てることを極力控えております。
ですので、この○○の中には、皆さまの思いつく、適当な二字を入れておいてください。
そう、観終わったとき、
自分の腹が刺されて血に染まっているのを知った松田優作が叫んだのと
同じ言葉がつい口をついて出てしまった
そんな映画に対して思いつく言葉で結構です。
戦争映画にも色々あります。
これだけ名作駄作取り混ぜて色々観ていると、明らかにカテゴリーが分かれていることに気付きます。
1、作戦遂行もの・・・・・史実の作戦を淡々と記録するもの。作戦失敗もあり。
バルジ大作戦、史上最大の作戦、遠すぎた橋、トラ!トラ!トラ!
2、ヒーローもの・・・・・・・実際の作戦、実際の部隊などに属する特定の人物に焦点を当て、その活躍や人間的な葛藤、愛を描く。
鷲は舞い降りた、レッド・バロン、ワルキューレ、加藤隼戦闘機隊、ブレイブ・ウォー
3、反乱、事故もの・・・・・戦艦ポチョムキン、ワルキューレ、ザ・ロック、K-19
4、青春戦争もの・・・・・・・メンフィス・ベル、フライボーイズ
5、ホロコーストもの・・・・カティンの森、ライフ・イズ・ビューティフル、キリング・フィールド、シンドラーのリスト
6、ちゃっかり戦争ネタ拝借もの・・・・戦場のメリークリスマス、イングロリアス・バスターズ
7、被害者トラウマもの・・・・・・・・ジョニーは戦場へ行った、追想、火垂るの墓
決して戦争映画を観てワクワクしたいわけではないのですが、重たくて観ていて辛いなあ、というのが5と7でしょうか。
先日、アンジェイ・ワイダの「カティンの森」を観てしまい、しばらく落ち込みました。
カティンの森のなんたるかを知っていたにもかかわらず、
そしてそれがワイダ監督ならだいたいどうなろうかくらい、うすうす分かっているにもかかわらず・・。
特に衝撃のラスト。
民族が違うとこれほど人は残酷になれるのかと思うと同時に、
日本人はこういう修羅場を知らなすぎる!平和ボケすぎる!
外国人参政権、移民政策絶対反対!とあらためて思ってしまいました。
最後飛躍しすぎ、と思われる方、ぜひこの映画観てみてください。
危機感を感じること請け合いです。
さて、このようにざっと分けてみましたが、このうちどこにカテゴライズされようと、
「戦争によって皆このように死んでいった、戦争は悲惨だ、戦争は悪だ、
だから戦争反対、ごめんなさいもうしません」
という大命題が常にまつわってくるのが戦後日本の戦争映画の傾向かと思われます。
いつもいつもそれが前面に出過ぎて映画をつまらなくしている、と何度もこのブログで言ってきたのですが、
それを踏まえたうえでまあ許せる映画もあるわけで、最近公開された
「真夏のオリオン」
は、潜水艦同士の対決を戦闘シーンの核にしており、
「顔のある敵」同士のスポーツのような戦いがなかなか面白い映画だったと思います。
まあ、言いたいことはこの映画にも山ほどありますが今はさておき。
そしてこの映画です。
上記の「大命題」だけをテーマに、ひねりも仕掛けもなく作ってしまいました。
おそらくこのブログを読んでいる方でこれを観た方はあまりいないのではないかと思われます。
そして、冒頭にも書いたとおり、ほとんどの映画サイトの評価が星二つしかないのか、
どうして全く話題にもならなかったのかが、もし観ればよくわかると思います。
まず、評価を少し覗いてみると圧倒的に多かったのが
「何が言いたいのかわからん」
「考証がいい加減過ぎてリアリティなさすぎ」
というものでした。
まず、ここはどこの戦場でしょうか。
東南アジア?グアム?ニューギニア?
アメリカ兵が火炎放射器持参で、従軍看護婦がいるから沖縄?
そうでもないみたいなんですね。
そして、連合軍の飛行機の翼に何故か欧州戦線識別のためのラインが。
一言でストーリーを説明すると、
「ジャングルで敗走する日本兵と看護婦の恋」
何故こんな最前線に看護婦がいるんだとか、
敵地に食料調達に行かせるのになんで男女ペアを組ませるんだとか、
もう突っ込みだしたらきりがありません。
きりがないのですが、おそらくこの映画をあえて観ようという人もいないと思われるので、
とりあえずもう少し突っ込みます。
ご辛抱下さい。
まず、兵隊は脚本家志望です。
何故か「ダンス」の出てくる脚本を書きたいと思っています。
志望と言いながら、どうやらこの青年はまだ脚本を書いたことがないようです。
なぜ「ダンス」にこだわるのかというと、それがこの映画のタイトルで、終戦を知らずに
洞窟の中で最後に「テネシーワルツ」を踊る二人、というのがこの映画の唯一の「見せ場」だからです。
映画製作者は今日画像のシーンを思いついたので、このためだけに映画を作ったと見えます。
「その製作者」が誰かは後に回すとして、確かにこのシーン、美しいですね。切ないですね。
中世の宗教画のような光の色の画像で、描くのは実に楽しかったです。
楽しかったですが、画像を見れば見るほど
「新品のような二人の軍服」
「何故か茶髪をお洒落に三つ編み留めに結いあげた最前線の女性」
が気になって・・・。
この青年、食糧を探しに行った先で遭遇した米兵といきなり流暢な英語でしゃべりだします。
看護婦は驚き、
「なぜあんなに英語が上手なんですか?」
「脚本家になりたいので勉強を・・・」
?
?
?
何故脚本を書くのに英会話の勉強?
どうしてもダンスさせたいのならば、ダンス教師志望ってことにした方がよかったんでは?
でまた、このときに流れるテネシーワルツのアレンジが
変
なんです。
なんか、それコード進行おかしくないですか?って感じ。
ていうか完璧におかしい。
そして出てくる俳優出てくる俳優、高校の演劇部と比べるのも(高校生に)失礼なレベルの演技力。
主人公の兵隊が「母に宛てた手紙を朗読する」
という、稚拙な演技力をできるだけ糊塗できる手法を使ってはいるのですが、
まったく糊塗できていません。
そしてこの俳優、しおらしい声を出しているのに画面を観ると(もう最後の方は用事をしながら斜め観)
全くそこにはしおらしくない、いかにも渋谷で今日にもナンパしてそうな顔が。
こいつ絶対猫かぶってるだろ!看護婦さん騙されんなよ、と思わずつぶやいてしまう人相です。
(まさか俳優さんこれ見てないよね?)
そして最もわたしが○○だと思ったのが、この手紙や兵隊のセリフに二言目には出てくる
「皇国の勝利を信じて」
「靖国、九段」
「天皇陛下」
そう、近頃の戦争映画に不自然ななほどさっぱり出て来ないこれらの言葉が、
映画初頭から大安売りされます。
何の反撃をすることもなく、みじめに敗走しながらバタバタ死んでいく兵。
麻酔なしで脚を切るシーンや、身体が吹っ飛ぶシーンはやたらリアルで、
この戦争に巻き込まれたみじめな兵隊たちをそこへ連れて行ったのがこれらの言葉である、
と強調するだけのために、これらの言葉は残酷なシーンと共にしつこいくらい繰り返されます。
それだけでは飽き足らず最後に
「何が天皇だ、何が靖国だ、俺は騙された」
みたいなことを駄目押しとして絶叫する兵。
主人公は母への手紙で「九段はいったいどこにあるんですか」
みたいな(忘れちゃった、てへっ)ことをこちらも最後に駄目押し。
くどいっ。
最後のダンスの後、兵隊は死ぬ気で敵前に飛び出し、終戦を知らされます。
「しまったー!自決用の手榴弾、彼女に渡して置いてきてしまった!」
終戦を教えるためにほら穴に走る兵隊。
洞穴に帰った彼を待っていたものは・・・。
・・・・・まあ、もしかしたらもしかして、冒頭の絵を見て、わたしの意図とはうらはらに、
「なんだか良さそうな映画じゃない?」と思う人もいて
暇だからこれから観ようかって人もいないとも限りませんので、結末がどうなるかは割愛。
このシーンだけは「絵になってる」でしょう?
そうでしょうとも、この瞬間だけの映画なんですもの。
そして、この瞬間を映画にしたかったのが誰かと言うと、
堀江貴文(もちろん逮捕前の)。製作メンバーはライブドアの面々です。
タイトルロールでこの名前を見たときついこの言葉が・・・・
「なんじゃあこらあ!」