rakitarouのきままな日常

人間様の虐待で小猫の時に隻眼になったrakitarouの名を借りて政治・医療・歴史その他人間界のもやもやを語ります。

一音からの芸術TOM SCOTT

2008-06-14 22:23:24 | 音楽
ニューヨーク留学の想い出として一番印象深いのは本場のジャズを存分に楽しめたことです。1年の留学期間中殆どマンハッタンに居たので、2週間と開けずにジャズクラブ通いができました。ニューヨークのジャズクラブも有名なところが沢山ありますが、私はLower ManhattanのBlue Noteにもっとも良く通いました。日本にも展開していて、ジャズレーベルも出している老舗のクラブですが、本拠地は以外に狭く、150人くらい入るとけっこう一杯になる広さで、ステージ前は2-3テーブル分くらいしかなかったように記憶しています。その正に目の前でメディアを通してしか聞いたことがない世界的に有名なプレーヤーが15年前で40-60ドルくらいのテーブルチャージで生演奏で聞けるのですから、マンハッタンに住んでいる以上頻繁に行かない手はありません。

 今は亡きミシェル・ペトルチアニやMJQリユニオンなんてのもありました。シャカタクやジョー・サンプルのステージも忘れられません。Village VanguardやSweet Basilにも行きましたが、やはりBlue Noteが一番有名どころのプレーヤーが多く、情報誌でプログラムを確認しては予約して出かけました。住んでいたのは70丁目だったので、Blue Noteのある3丁目まで出かけるときは地下鉄かバス、帰りはタクシーでした。

 サックスプレーヤーのTom Scottはgrpレーベルだったのでどちらかというとフュージョン系で、のりのりで軽く吹きまくるタイプかなと思いながら聞きに行きました。メンバー構成はエレクトリックベースにドラム、シンセサイザーとフュージョン系だったのですが、Tomおじさんのサックスはまさに心を振るわせるような音色で途中から声も出ないくらい感動してしまいました。一音一音を実に綺麗に出すプレーヤーで、CDよりも数段生の方が良い仕上がりという感じ、まさに一音からの芸術といってよい音でした。

 MALTAもサックスは非常に上手で、のりのりのコンサートを日本で良く聞きに行きましたが、室内で目の前でTomおじさんの音を聞かされると、うーん当分それを越えるサックスプレーヤーは自分の中には出ないだろうなあと思ってしまいます。ひとつにはやはりBlue Noteがジャズの伝統ある本場であり、そこで最高の演奏をすることがジャズプレーヤーとしての金字塔であるという認識も手伝っているかも知れません。

 ラジオ番組で、StanGetzの特集をしていた時に、パーソナリティの方が、アメリカのコンサートではGetzの演奏にすごく感動したのだけれど、日本で行われるコンサートでは悪くはないのだけれどそこまでの感動がない、と話しているのを覚えています。ジャズのように自由度が高い音楽は特にその場の雰囲気、本人の心構えみたいなものが大きく反映するのだろうと思います。その意味でやはりジャズを聴くならニューヨークBlue Noteがお勧めではないでしょうか。今はわかりませんが、よほどの大物でなければ前日で大人数でなければ十分予約できました。
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