一つ一つを大切に

トリノ・オリンピック金メダリスト荒川静香選手のインタビューの中で、最も印象に残った言葉は「一つ一つを大切に滑った」というものでした。このことは、本当に大切なことです。最近ではあまりやらなくなりましたが、わたしは編み物が好きで、編み込み模様の複雑なものに挑戦して編んでいた頃がありました。
一つ一つの目をしっかりと慎重に編み込んでいかなくてはならないのですが、テレビを観ながらやったり、考え事をしたりしていると、目がずれてしまいます。気がつけばいいのですが、そのまま気付かずに編み続けると、そのたった一目の違いによって、模様ができあがらないという悲惨な結果になり、気が付かないで編み続けた二、三時間が全く無になってしまうのです。くやしい思いをしながら、毛糸をほどいたという経験が何回もありました。
このように、心にちょっとした隙間や、油断があることで、大きな失敗につながります。一つ一つを慎重に大切にすることによって、素晴らしい結果が用意されているということが、荒川選手の言葉ににじみ出ているように思いました。