長岡京エイリアン

日記に…なるかしらん

ウソ、おれってこんなに変人? 偉大なる凡人・順平くんの受難 ~『蝙蝠と蛞蝓』2022エディション~

2022年02月27日 20時54分32秒 | ミステリーまわり
 はーいどうもこんばんは! そうだいでございます。
 いや~、いよいよ春が近づいてきたみたいですよ! 週間天気予報では、こちら山形もまだ雪だるまマークがつく日はちらほらあるんですが、なんせ太陽の光も暖かくなってきたし、空気の香りも明らかに変わってきたんですよね。春は、もうそこまで! そして花粉の襲来も、もうそこまで……カンベンしてくださいよ~。
 例年に比べて雪がずいぶんと長く続いた冬だったのですが、気がつけば2月もおしまい。ホントだったら泊りで県内の温泉宿に行く計画もいくつかあったのですが、大雪やらコロナやらで、まだ今年は行けておりません。もうちょっとの辛抱ですかね~。

 そして、待ちに待った NHK BSプレミアムの池松壮亮による金田一耕助シリーズの最新3作が、ついに昨夜無事に放送されました! よかったよかった。平和がいちばんだね。

 一時は、BS プレミアムの「短編担当」の池松金田一に「長編担当」の吉岡秀隆金田一、そして民放フジの「ジャニーズ担当」の加藤シゲアキ金田一と活気づいていた平成末期の金田一事情だったのですが、令和に入るといったん落ち着いてしまい、現行で生き延びているらしいのは、この池松金田一だけになってしまいました。そういえば、令和は「吉川晃司の由利麟太郎シリーズ」という、斜め上からの思わぬニュースもありましたね。あれ、2ndシーズンやってくんないかなぁ!?

 もうひとつ、金田一耕助まわりのニュースで嬉しいのは、角川文庫版の横溝正史作品がどんっどん復刊されてることね! そんなに大盤振る舞いしていていいんですか!?って感じで毎月のように杉本一文さん装画の文庫が出ていて夢のようなんですが、これも映像化という話題があってこそですよね。池松金田一シリーズには、ひとえに感謝、感謝!
 今の横溝ファンのわこうどらは幸せモンだよぉ。『支那扇の女』とか『びっくり箱殺人事件』とか、私が詰襟の学生だった時にゃ汗水かいて古本屋巡りをして、まっ茶色に日焼けしまくった古本を探すしか手のなかった珠玉の作品群が、すべすべまっさらの新刊本でゲットできるんだもんねぇ! いや、よれよれボロボロの古本も、いかにも隠れた秘本をひもとくスリリングさがあってステキなんですけどね。
 ちなみに、かつて昭和時代に角川文庫から刊行された横溝正史作品は、通常の推理小説の他に時代小説捕物帳、ジュブナイルもの、エッセイ、分冊版、映画化された作品のシナリオ版などもひっくるめて全部で100冊! それに対して現行の新刊レーベルでは、来月3月に復刊予定の2作までを含めて全部で48冊が絶賛リリース中! すごい勢いですね~。ぜんぶ復刊しろとまでは言いませんが、映像化も含めまして『吸血蛾』とか『仮面劇場』とかは出してほしいナ~!! ないものねだりのアイウォンチュウですか。『悪魔の設計図』は……装画が変わらないと復刊はムリか。

 さてさて、そんでもって今回の池松金田一シーズン3の内容なんですが、2月26日にいっきに3作連続で放送されたラインナップは、『女の決闘』、『蝙蝠と蛞蝓』、そして『女怪』となりました。シブいな~!!

 これまでの池松金田一シリーズを振り返ってみますと、シーズン1の『黒蘭姫』、『殺人鬼』、『百日紅の下にて』は、終戦直後の昭和二十一~二十二(1946~47)年、つまり金田一耕助の戦後の私立探偵キャリアとしてはごく初期の作品を映像化していました。続くシーズン2では、シーズン1から約10年が経過した昭和三十一~三十二(1956~57)年の事件を描く『貸しボート十三号』と『華やかな野獣』、そして突如として30分サイズにギューギューに圧縮される形で放送された、ボーナストラック的な『犬神家の一族』(昭和二十三年の事件)の3本。要するにシーズン1は初期、シーズン2は中期の金田一耕助の活躍を描くチョイスとなっていたわけなのでした。

 それで今回の顔ぶれなんですが、トップバッターの『女の決闘』は、『華やかな野獣』とほぼ同時期の昭和三十一(1956)年の秋に発生した事件。2番目の『蝙蝠と蛞蝓』は、おそらくは東京・京橋の三角ビルに私立探偵事務所をかまえていた『黒蘭姫』の直前、昭和二十一(1946)年中の事件。トリの『女怪』は、作中でも語られているように、昭和二十三(1948)年の初秋、『八つ墓村』事件の直後、『犬神家の一族』事件の直前というとんでもないタイミングで発生した事件のようです。金田一先生、傷心でキツイかもしんないけど N温泉でゆっくり休んどけ~!! ところで、伊豆に「N」から始まる読み名の温泉って、あるの? 聖地巡礼したいけど見つかんないよう! まさか横溝大先生、「熱海」か「熱川」を読み間違えたか? まさかね……ハハハ……

 さてこう見てみますと、今回は初期あり中期ありと、なんだかバラバラな印象もあるのですが、すべて過去シーズンの諸作のいずれかに隣り合っている時期に設定されていますので、決して脈絡が無いとも言いきれず……むしろ、今までの池松金田一シリーズの実績に立脚し、そこを起点にさらに新しき横溝ワールドの地平をメキメキ開拓していくぞという野心的な広がりを感じさせるものとなっていますね。初期から1作、繁忙期から1作、中期から1作というぜいたくなチョイスなわけだ! やりますね~。

 そんでま、昨晩に3作全てを無事に見届けましたので、3作全ての感想をちゃっちゃとまとめさせていただくこともできるわけなんですが、そんな、カレーとうな丼とみそチャーシューメンを一気にいただくようなもったいない所業をやっちゃあ、お天道様に申し訳がたたねぇということで、1作1作を別々に分けまして、無い脳細胞を総動員させて可能な限りじっくりとレビューさせていただこうかなぁと存ずる次第でございます。
 普通にいけば3本立ての順番通りに『女の決闘』からいくのが筋かと思うのですが、何度も言うように金田一耕助サーガにおける時間軸としては『蝙蝠と蛞蝓』が最初ですので、ここはゴリ押しで『蝙蝠と蛞蝓』から始めさせていただきたいと思います。これもめんどくさいファンのビョーキでございます!!


ドラマ『蝙蝠と蛞蝓』(2022年2月26日放送 NHK BS プレミアム『シリーズ・横溝正史短編集Ⅲ 金田一耕助、戸惑う』 30分)
 33代目・金田一耕助 …… 池松 壮亮(31歳)

 『蝙蝠と蛞蝓(こうもりとなめくじ)』は、横溝正史の短編推理小説。「金田一耕助シリーズ」の一作。探偵小説誌・月刊『ロック』(筑波書林)の昭和二十二(1947)年9月号に掲載された。
 文庫本にして28ページの短編である。舞台は戦後間もない日本の平凡なアパートで、「蝙蝠」とは主人公が金田一耕助につけたあだ名、「蛞蝓」は主人公が被害者につけていたあだ名である。ちなみに、この事件より時系列的に後と考えられる短編『暗闇の中の猫』(1946年11月発生の事件)において、金田一が「東京に腰を落ち着けてから最初に取り扱った事件」として『暗闇の中の猫』の事件を語っているため、本作の事件の舞台は東京以外の都市であるとする説がある。しかし、同じく『暗闇の中の猫』とほぼ同時期の物語と考えられる短編『黒蘭姫』(1946年11月発生の事件)は明らかに東京で発生した事件であるため、『暗闇の中の猫』事件の「金田一耕助東京最初の事件」という位置づけは、金田一または筆者の錯誤である可能性がある。
 JET の作画によるコミカライズ版が、月刊『ミステリーDX 』1999年8月号(角川書店)に掲載された。

あらすじ
 昭和二十一(1946)年。アパート暮らしの学生・湯浅順平は、隣室に引っ越してきた金田一耕助が蝙蝠にそっくりで気に入らない。裏に住む蛞蝓にそっくりのお繁も気になる。ある日ふと思いついて、お繁を殺してその罪を金田一にかぶせてしまう内容の小説の下書きを書く。しかし、翌日には自分の書いたものがつまらなく思え、そのうちそんなものを書いたことも忘れてしまっていた。ところが半月ほど経って、お繁が本当に殺害され、順平が殺人の嫌疑をかけられる。なぜか寝間着の右袖に血がついており、凶器は順平の部屋から持ち出された短刀、現場で犯人が血の付いた手を洗った金魚鉢に順平の指紋が残っていた。そして警察が発見した小説の下書きも殺人計画書とみなされてしまう。

主なキャスティング
湯浅 順平   …… 栗原 類(27歳)
お加代     …… 富永 愛(39歳)
山名 紅吉   …… 中島 歩(33歳)
お繁(蛞蝓女史)…… 長井 短(みじか 28歳)
制服の警官   …… 片岡 哲也(47歳)

主なスタッフ
演出 …… 渋江 修平(?歳)


 はい~。こんな感じでございまして、池松金田一シリーズでは『百日紅の下にて』と『犬神家の一族』を手がけた渋江修平さんの演出による作品です。前回に、文庫本にして400ページ強の長編を30分にまとめといて、今回は30ページにも満たない超短編なんだもんねぇ。渋江さんも大変ね!
 今回、記念すべき待望の初映像化となった『蝙蝠と蛞蝓』だったのですが、その結果はどうだったかと言いますと~!?

ちょっと~……おもしろいとは、言えないかな。

 う~ん。少なくとも、原作小説よりも面白いとは言えなかった。原作、面白いんですよ。
 原作小説『蝙蝠と蛞蝓』の面白さは、横溝正史先生自身も耳にしていたであろう、上方落語のしっとりとした語り口に近い、軽妙なテンポのきいたストーリーテリングにあります。これは、名探偵・金田一耕助が誕生する以前、戦前から横溝先生が得意としていた、いかにもハイカラな神戸育ちっぽいテクニックですよね。

 これ、渋江さん演出の前作『犬神家の一族』でも言ったかと思うのですが、そこらへんのテイストが、今回の映像化ではまるで活きていないような気がするんだよなぁ。一見、テンポ良く登場人物たちがセリフを言い合ってスピーディであるかのように見えるのですが、ともかく展開がまだるっこしいんですよね。声量の大小や間の取り方を大事にする上方落語じゃなくて、とりあえず大声でギャーギャーわめいて注目を集めようとする、二流以下の漫才みたいな感じ……とまでは言い過ぎか。
 特に中盤の主人公・順平の妄想シーンなんか、ものすっごくしつこくありませんでした? あれ、原作小説で読むとスーッと通るのに、いちいち一字一句を映像で追っちゃうし、原作にない悪ノリした文学賞の会見場みたいな妄想空間まで差し挟んじゃうから、トゥーマッチなんだよなぁ。いいじゃん、そこは順平の一瞬の妄想なんだからサラっといきましょうよ! それにしても妄想の映像表現って、作り手のセンスがもろに出ますよね。くわばらくわばら。

 また、序盤での山名紅吉との会話における病的なヒートアップぶりがステキなだけに、順平役の栗原類さんの過剰な過呼吸演技は、そこまでくらいでストップしといて充分なのです。それ以降の内的世界の描写は、人形劇みたいな感じで抑え気味にして良かったと思うんだよな。それなのに、その後も現実、妄想、どっちもおんなじ調子でハイテンションだから、違いがわかんなくて飽きてきちゃうんですよ。どんなに役者さんの風貌や衣装が奇抜であっても、勢いだけでもたせるのは無理でしょ、ドラマなんだから!
 これは、俳優さんが同じ演技しかできないのが悪いとかいう問題じゃないと思いますよ。作品世界内の区別がちゃんとついていないまま栗原さんに任せてしまった演出の采配ミスなのではなかろうかと。
 口を開けば絶叫ばっか……渋江さんは男の絶叫演技、そんなに大好きなの? いい加減にしてくださいよ……
 栗原さん、もっといい俳優さんだと思うんだけどなぁ。もったいないにもほどがあるよ! 『魔法×戦士 マジマジョピュアーズ!』の悪の幹部役はすばらしかった。

 それに、よくわかんない妄想シーンの延長で、そのままぬるっと現実世界の「金魚鉢の扱いに異常にこだわる蛞蝓女史」のくだりも描写しちゃうから、観ていて思わず見過ごしてしまうんですよね、ミステリー的にかなり大事なところなのに。いや、それは演出上のミスリードとかいう高等なテクニックじゃなくて、単に説明下手、不親切なだけなんじゃ……
 ところで、金魚鉢の水量とか位置にあそこまで病的にこだわる人が、計量中に畳をあそこまでビショビショにしても気にしないのか? そこらへんの単なる撮影段取りのいい加減さが、ものすっごく気になる。まぁ、蛞蝓女史なんだから、水分には無頓着なのかもしれないんだけど。

 今作はなんでこうも、順平の現実と妄想、過去と現在がわかりにくくごっちゃに描写されているのだろうか。渋江さんの作品で言うと、『百日紅の下にて』は、現在のシーンははどぎつい彩色の百日紅が咲き誇る屋外、過去の事件に関わるシーンは小さな劇場の簡略化された舞台のように真っ黒い屋内セットになっていて、共通して活躍する人物(演・嶋田久作)は服装も大幅に変わって非常にわかりやすい区別がなされていました。30分版『犬神家の一族』も、現在進行形のストーリーを全て犬神邸の一室セットとその周辺で行うという形にして、再現VTR 形式でひもとかれる過去の真相と明確に線引きがなされていました。ミステリーとしての分かりやすさに配慮していたはずです。
 それが、ねぇ!? 整理するまでもなく単純な事件だからとナメてかかった……わけはないでしょうけどね。
 もう一つ考えられるのは、後でまた触れますが「あえてぐっちゃくちゃにした」という判断なのですが、ミステリー作品の映像化の醍醐味と言うものは、膨大な情報の集積が意外な真相にたどり着く、あるいは既成の世界の崩壊を招くカタルシスにあると思うんです。緻密に積み上げなきゃそんなもん、知らない人がその場で思いついた作り話を聞かされるようなものですよね。

 あと、例によって冒頭で「ほぼ原作通り映像化」って言ってますけど、原作小説の構成上の落ち度までそのまんま映像化してどうすんだよ~!
 要するに、ミステリー的に大切な、順平が犯人に陥れられるきっかけとなったくだりが作中で描かれていないんですよ。あとで金田一が言い出してはじめて明らかになる要素なんです。
 そこ、原作小説でも終盤の金田一の説明ではじめて出てくるエピソードなので、確かにこれは後出しジャンケン的な、読者を置いてけぼりにした展開にはなっているんですよ。なので、唐突に出てきた感は原作由来のマイナスポイントであるわけなんですが、そこはさぁ! せっかくの映像化なんですから、事件発生の前日になんとな~く伏線として触れといてもいいんじゃないっすか? そうしないと、一つのミステリー作品として面白くなくなっちゃうじゃん! そこらへんの原作の悪いとこまで忠実に追わなくなっても、ねぇ!

 ただし、どうやら演出は、そこらへんの原作小説の構成の甘さの理由を、「ひょっとしたら、これは全部、錯乱した順平の妄想の産物なのではないか?」という発想に変換して、殺人周辺の描写をわざと曖昧にしたり、登場人物たちに、まるでお化け屋敷のマネキン人形のような反復演技を繰り返させることで、「すべて順平の妄想」という解釈にもとることができる展開にしているようです。なるほどそう考えれば、蛞蝓女史と順平の雰囲気がよく似ているのも、まるで順平こそが蛞蝓であるかのように、警察の取調室にいる時に大量に流した自分のよだれで髪の毛までベトベトになっているのも(くさそう)、なんとなく説明がつきますよね。蛞蝓は自分自身だったのだ!

 でも、そんな感じに今風なサイコサスペンス味を加えてしまうと、エンディングで順平は、冒頭と同じようなふつうのアパート暮らしに復帰できているので、観る人としては「あ、なんだ大丈夫なんだ、この人。」という風に肩透かしを食らっちゃいますよね。
 サイコサスペンス、ねぇ。落語でおかしなことばっかり言う長屋の八っつぁんを「統合失調症のかわいそうな人だ!」と診断するようなもんでしょ。野暮なこときわまりなし!! 野暮である以上に、面白い話にすることを放棄していますよね。私の大好きな、あの古典的な表現主義映画みたいに、ラストのラストまでまともな常識人みたいに見えていた人が実は……という意外性があったら面白いんですけどね。あの演技の調子じゃあ、順平が異常であることに意外性なんか生まれるはずもありません。ぜんぜん関係ありませんが、栗原さんは眠り男チェザーレを素で演じることのできる稀有な日本人だと思います。

 あと、なんてったって、

「それに第一、蝙蝠は益鳥である。」

 という、原作小説の最後の一文にこめられた、落語のサゲのように洒落たユーモアが1ミクロンも活きてこなくなってしまうのです。もったいないなぁ~!! そこを捨てる選択はないだろう!?
 このオチで象徴されるのは、原作の順平が、他人(この場合は金田一耕助)を見た目の印象だけで毛嫌いしたり、はたまた自分の命の恩人になってくれるとコロッと手のひらを返して大好きになるような、日和見主義のとるにたらない小市民なのだ、というつまらない事実なのです。そして、順平がつまらない人間であることが、彼を江戸川乱歩の『屋根裏の散歩者』のような、入ったら二度と帰って来られない「深淵」とは無縁な世界に住む幸せものなのだというハッピーエンドにつながっているんですよね。無事、これ名馬!!
 近日中に感想をあげるつもりの、同じ池松金田一版の『女怪』でも触れるつもりなのですが、昭和二十年代までの横溝正史先生の創作活動は、「いかに江戸川乱歩の影響から脱した『真の推理小説』の世界を日本に築きあげるか」という、困難なこと極まりない闘争の日々だったかと思います。その中で、『女怪』は江戸川乱歩の『陰獣』と対峙し、この『蝙蝠と蛞蝓』に関しては、乱歩も得意とした『屋根裏の散歩者』や『 D坂の殺人事件』、『猟奇の果』などの「主人公巻き込まれ型」探偵小説を相手としたのではないでしょうか。まぁ、勝敗の結果は別としましても、横溝先生にとって、これは宿命の対決だったのでしょう。
 主人公が平々凡々たる一般人であること。これが、信頼したり、愛したりていた親しい人間からこっぴどい裏切りを受けた順平に対しての、横溝先生なりの最高の救いの道だったのだと思うんです。なので、『蝙蝠と蛞蝓』の主人公を、今回の栗原さんのような明らかに「異能な容姿」の人間が、意図的に「異常な演技」で演じるのは、読解不足にもほどがあるというものなのです。私のイメージでは、だいぶ年を食っちゃってるけど、南海キャンディーズの山里さんが演じるくらいがジャストフィットの順平だったと思うんですけどね。
 栗原さんは、どっちかっていうと金田一耕助ものよりも、由利麟太郎もののほうがピッタリなんじゃないかなぁ。『真珠郎』の乙骨さんなんか、いいんじゃないっすか!? 今回の『蝙蝠と蛞蝓』でこりずに、ぜひともまた横溝ワールドに出てきてほしいですね。

 ところで、いくらスタイリッシュさを狙ったキャスティングなのだとしても、お加代ちゃんに冨永愛さんっていうのも、さすがにないんじゃなかろうか……そこはもっと、イモっぽいくらいの純真無垢な娘さんに演じてほしかった。そうしないと、あとあと……ねぇ。あの冨永さんが単なる管理人の娘で済むわけがないじゃん!

 同じくミスキャストで言うのならば、今作で蝙蝠の対になる重要な存在であるなずの蛞蝓ことお繁を演じた長井さんも、なんか存在感が非常に薄いというか、キャラクターに厚みがなかったように感じました。いや、容姿は別に何も申し上げることは無いのですが、「死にてぇ~……」って時と、「生きてるって最高♡」っていう時とのギャップがそんなにないように見えたんですよね。ただ服装とメイクが変わったってだけで、身のこなしの重い軽いもそんなに変わらないし、何よりも、ウッキウキでひとり焼き肉を楽しんでいる時の哄笑が、ぜんぜん楽しそうに見えなかったんですよ。ああいう、食べてる途中からじわじわ~と「ムフフ」が湧き上がってくるような勢いのなさじゃないはずなんですよ、生きる喜びっていうのは! もっと、舌が焼き肉のたれを、鼻孔の嗅覚器官が肉の焼けた香りを感知した瞬間に、

「んがっはっはっはっは!! 男なんか、まんまと支配したったったわ!! 米なんぞいらん、この世の肉をぜ~んぶ喰いつくしたる!!」

 という、ピナツボ火山のような大爆発が炸裂するはずなのです。それがどうだい、なんだあの、ヘビ花火のようなほくそ笑みは。
 お繁はプライベートというか、本質では確かになめくじなのでしょうが、男をゲットする時だけチーターか黒ヒョウのような肉食動物になる。このギャップ、変身っぷりが、順平にとっての「大キライ、大キライ、大キライ……大好き!! あぁ~ん♡」なポイントだと思うんですよ。それがなんだあれは、中身ちっとも変わってないじゃん。そこらへんの性というか、死んでも治らない「業」というものをちゃんと演じ分けられるお方にやってほしかったなぁ、蛞蝓女史。衣装を変えればいいって問題じゃないんですよ。


 いろいろぐだぐだとつぶやいてきましたが、結論としましては、今回の『蝙蝠と蛞蝓』の初映像化は、演出としては順平のキャラクター設定で原作の面白さを半減させてしまい、原作の欠陥を修正しないままドラマ化してしまったためにさらにそのまた半減。つまりは「平均的な横溝映像化作品の1/4の面白さ」の出来となってしまったとしか言いようがありません。え、100点満点中の25点!? キビシ~ッ。
 キャラクター設定については、まぁ渋江さんがそうしたかったんでしょ? じゃあ他人が四の五の言ったってしょうがない話なんですが、原作の欠陥をそのまんま出してるのが、惜しいにも程があるんだよなぁ。トリックに関する核心情報を、探偵が土壇場の解決編で初めて言うなんて、今どき金田一さんのお孫さんでもコナンくんでもやらない反則中の反則ですよね。まぁ、横溝先生がこの『蝙蝠と蛞蝓』を執筆したのが、我が国にとっての推理小説黎明期であったこともあるし、明らかに時間が無い状況でこの作品が脱稿されたような形跡もあるので、横溝先生自身としても多少不本意なものはあったのではないでしょうか。でも、先生得意の全面改稿長編化の大手術を施す程に体力のある大ネタでもないし……処置ナシよね。
 もしかしたら、「ほぼ原作通り映像化」という池松金田一シリーズの縛りがあるから、原作をもうちょっと面白くするための工夫もできなかったのかな? だとしたら、この『蝙蝠と蛞蝓』は、どだいこのシリーズでは選んでいけない作品だったのではないでしょうか。ほんと、順平の妄想シーンを削ってでも、トリックに関するシーンは事件発生の前のどこかで挿入してほしかった……そうしたら、解決編での金田一の推理の鮮やかさも少しは引き立ったのではないでしょうか。

 まぁ、まぁ! 渋江演出の次の作品なる期待したいなぁ、と感じた次第です。大丈夫、大丈夫。今回の池松金田一シリーズの最新3作の中で、いちばんつまんなかったわけじゃないですから……ええ~!?
 こんなこと先に言ってしまってはいけないんですが、そこの、2月26日の「池松金田一最新3作一挙放送」をご覧になったあなた、もしかして観終わった後、

「あぁ、これは3作まとめて放送しちゃったほうが良かったかもな。」

 って思っちゃったりなんかしちゃったりしませんでした、チョンチョン!?
 いや、横溝ファンとしてなんと不敬な……そんなこと感じたの、不信心な私だけですよね? 満足できなかったのは私だけであったと、信じ、たい……

 そんな感じに、ちょっぴり雲ゆきの怪しい含みを持たせつつ、池松金田一の感想はまた次回、『女怪』へと続くのでありましたァ~ん。

 あれ? もしかして、原作小説通りに「二重まわし」式のマントを着てる金田一耕助が映像作品に登場するのって、この『蝙蝠と蛞蝓』が史上初なのかな? 今までいろんな衣装アレンジが施されてきた池松金田一なんですが、今作では異様に古典的風貌なんだよなぁ。基本スタイルも、池松さんはやっぱり画になりますね!
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こっちもやらな! ドラマ『シャーロック・ホームズの冒険』シリーズの冒険 《これまた7年ぶりの本文!!》

2021年09月19日 19時36分19秒 | ミステリーまわり
 いやはや、こちらもなんと不信心なことか……『名探偵ポワロ』シリーズの7年ぶり本文以上に、罪深い!! でも、私以外のひとにとっては、本文が出ようが出まいが心底どうでもいいという。個人ブログだねぇ、どうにも。

 いりもしない前置きであることを承知の上で振り返りますと、この超名作ドラマ『シャーロック・ホームズの冒険』シリーズに関する放送リストなどをまとめた「資料編」を我が『長岡京エイリアン』にて2014年にまとめてみたのは、同じくイギリスを代表する名探偵を長期ドラマシリーズ化した『名探偵ポワロ』が、ついに原作小説の最終話である『カーテン』のドラマ化をもって堂々完結したというニュースを受けて思い立ったからなのでありました。
 そっちの記事のタイトルにもしましたが、実にうらやましい! アガサ=クリスティのポワロもの原作小説のほぼ全てを映像化したということの、ものすごさよ!! それだけでも大変なことなわけですが、私そうだいは、同じイギリスの名探偵ではあるものの、エルキュール=ポワロさんの大先輩にあたるシャーロック=ホームズの物語を見事に映像化したグラナダテレビ制作のドラマ『シャーロック・ホームズの冒険』シリーズ(6シリーズ全41話)に魂をもぎ取られてしまった信者でございますので、「全話ドラマ化」という偉業のうらやましさといったら、あーた……涙が出てきますよね。

 グラナダホームズ! グラナダホームズ!! とは言いましても、別にこれは「グラナダさん」という人がホームズを演じたわけではないので、ほんとだったら「天知小五郎」とか「古谷金田一」とか「スーシェポワロ」のように、ホームズを演じられたのがジェレミー=ブレット(1933~95年)なんだから「ブレットホームズ」と言うべきなのでしょうが、なんで、世間的には「グラナダホームズ」と言った方が通りがいいのでしょうか? なじょして?
 思うにこれは、ブレット演じるホームズも含めて、名パートナーのワトスン、ハドスン夫人、ベイカー街221B の下宿、ヴィクトリア朝はなやかなりしロンドン、そしておどろおどろしい怪事件の顛末といった、外箱いっさいがっさいをひっくるめての「グラナダテレビが作った番組『シャーロック・ホームズの冒険』」の尊称だから「グラナダホームズ」なのでしょう。主役だけを切り取って、その魅力を語れるものではないのです。
 そしてもうひとつ! グラナダホームズを1エピソードでも観たら、「ジェレミー」だなんて軽々しく呼べるわけないじゃないっすかぁ! その神々しさ、気高さ、エキセントリックな立ち居振る舞い。もう畏れ多くて……だからこその「グラナダホームズ」なんじゃないかな、たぶん。少なくとも、わたしはそうです、はい。

 ジェレミー=ブレット(そう言いながらも呼んでしまいます)のまさしく「役者の業」といいますか、文字通り命を賭けた、賭けてしまった『シャーロック・ホームズの冒険』シリーズのすばらしさは、それこそちょっとでもネットで調べてみたらすぐにわかりますし、我が『長岡京エイリアン』でもすでに、かなり初期の記事で語らせていただいております(好きなくせにタイトルが失礼すぎる)ので繰り返しませんが、このシリーズの偉業が、NHK BSプレミアムで今年の8月から再放送されているということで、あと、同じチャンネルでずっと放送されていた『名探偵ポワロ』シリーズも先日無事に終了しましたことですし、今さらながら、こちらも7年ぶりに本文記事をつづってみようかいという運びとなりました。大ファンとかぬかしてるわりに、おっせーなぁオイ!!

 わたくしのミステリー遍歴を申しますと、まずは何はなくとも、小学校の図書室で出会った江戸川乱歩の『少年探偵団』シリーズがあったわけなのですが、それとほぼ同時に、有名なシドニー=パジェットのイラストを同時収録した『シャーロック・ホームズ』シリーズ(偕成社)も読んでいまして、それがまぁスリリングな読書体験だったんですよね。当然ながら、コナン=ドイルの筆による天才私立探偵ホームズの神のごとき名推理の数々にも心酔したのですが、それと同じくらいにすばらしかったのが、パジェットやその後進画家による、迫力たっぷりの名場面イラスト! 『バスカヴィル家の犬』なんか、手に汗握っちゃいました。『ライゲイトの地主たち』の発作ホームズの顔、めちゃくちゃ怖かった……グラナダ版で観たかったなぁ!
 そんなこんな大興奮しているうちに、1985年からNHK にてグラナダホームズの日本語吹替え版の放送が始まっちゃったのですから、このドンピシャぶりに当時のそうだい少年が歓喜しないわけがありません。そりゃもう、目を皿のようにして、見入った見入った!
 今になってよくよく観返してみますと、ジェレミー=ブレットはパジェット描くホームズに比べてあまりにもハンサムすぎで、外見だけだとそう似ているとも言えないのですが、それを補って余りある、周辺セットから衣装、小道具にいたるまでの原作リスペクト魂モリモリな再現度と、ジェレミーの「ハイこの人天才。」と観る者をうならせる身のこなしの鮮やかさよ!!
 思うに、グラナダホームズにおけるキャスティングは、原作イメージに似ている俳優を選ぶという判断は存在しておらず、むしろ「オレがこれからの原作なんじゃい!!」と言い出しかねないくらいの演技的引力を持った個性を求めていたのではないのでしょうか。ジェレミーのホームズもそうなんですが、兄貴マイクロフト=ホームズを演じたチャールズ=グレイも、んまぁ~気持ちいいくらいに原作イラストに似ていません。いろんな事情があってそうなったのですが、グラナダ版マイクロフトは4エピソードも登場して、しまいにゃ弟ばりに変装捜査もこなしてしまう超行動派!! ほんとにディオゲネス・クラブの会員なのか!? でも、そこらへんは魅力的演技でねじ伏せているんですよね。
 だから、グラナダホームズを評してただ「原作に忠実」というのは当たっていないような気はします。原作が書かれた時代、つまりヴィクトリア朝文化風俗の可能な限りの忠実な映像化という点ではそうなのでしょうが、原作小説には原作小説の世界があり、グラナダホームズにはグラナダホームズのパラレルな世界があるのです。これはもう、両者の中でのホームズの人生の歩み方こそがその最たるもので、ドラマシリーズが進めば進むほど、ぜんぜん別物になりますよね。
 ところで、このシリーズではホームズの相棒のワトスンを演じる俳優は途中で交代するので2人いるのですが、初代デイヴィッド=バークはいかにも元軍人な青さの残る、素直な性格の紳士としてのワトスンを、2代目エドワード=ハードウィックは開業医としての本業も安定して落ち着きが出てきたものの、時には曲がったことが許せず年甲斐もなくちょっぴり短気になってしまうアツさもあるワトスンを見事に演じています。どっちも、非常にワトスンです。『三人ガリデブ』のあの名場面、ぜひともホームズとワトスンで映像化してほしかった……

 グラナダホームズによるホームズもの原作全作品の映像化という夢はかなわなかったのですが、原作の天才名探偵ホームズとはまったく違う、病気と老いにさいなまれ、一挙手一投足がしんどそうに見えてきたシリーズ後期のジェレミーが、それでもなお演じ続けるホームズの姿。ここにこそ、グラナダホームズの魅力、「おもしろい」と表現するにはあまりにも痛々しい、それでも何度も観返さずにはいられない魔力が込められているような気がします。そりゃもう、50代とは信じられないくらいに若々しいジェレミーが軽快にズバズバ事件を解決していく前期も最高なわけですが、後期の、「最高」ができなくなったジェレミーによる「唯一無二」のホームズも、いいんだよなぁ~。もっとも~っと、とっくべっつな、オ~ンリ~ワ~ンなんですよね!! マッキーもうまいこと言ったもんだよぉ。

 そんなグラナダホームズの珠玉の軌跡を、毎週リマスターで、しかも露口茂の激シブな吹替え版で堪能できるという、この幸せよ!! 今から20年ほど前の大学生時代、当然のごとく原語版しか収録されていない日本クラウンの VHSビデオシリーズを集めるしかなかった私には想像することもできなかったすばらしい未来!! もちろん、ジェレミーの唄うようなセリフ回しの味わいを教えてくれたビデオシリーズには感謝しかありませんが、ビデオって、画質も音質もそんなに良くはなくて、特に BGMとか効果音がかなり小さかったんですよね。後年、DVDで観て「えっ、ここ音楽流れてたんだ!?」とビックラこいたシーンがいっぱいあったよ。『まだらの紐』も、肝心かなめの不気味な真夜中の笛の音がじぇんじぇん聞こえてこなかったし!
 ただ、放送が平日水曜の夜9時っていうのが、『名探偵ポワロ』の土曜の夕方に比べて、ちとツラいんだよなぁ……こっちの勝手な都合なんで言ったってしょうがないんですが、明日も仕事あるし、精神的余裕を持ってドラマを楽しめないんですよね。いやいや、文句は言うまいて!

 改めて振り返ると、グラナダホームズはたった11年の放送期間(1984~94年)だったわけなのですが、はっきり言って『名探偵ポワロ』の放送期間24年よりも長く濃密な時間が流れているような気になってしまいます。そりゃもう、第1話『ボヘミアの醜聞』と最終話『ボール箱』を見比べてみてくださいよ……シャレになんない!! シャレにならないくらいの、ジェレミーの演技の深化。天才的名探偵が変幻自在に変装して、一国が傾きかねない大スキャンダルを手中に握る世紀の女傑を向こうに回して華麗に立ち回る『ボヘミアの醜聞』のほうが大好きという方がほとんどでしょうが、私は断然、しょうもない好いた腫れたのドロドロ人間関係の末に起こってしまった悲惨な事件を淡々と解決して、大きなため息をつきつき「なんでこんなことばっか繰り返すの? 人類、バカなの!?」とやるせない怒りをぶちまける『ボール箱』のほうが、超絶好き好き!!
 グラナダ版『ボール箱』って、クリスマスシーズンに起きた事件なんですよ。ホームズがワトスンにクリスマスプレゼントを贈ったりしてんのよ!? それなのに、あんな陰惨すぎる事件だし、ジェレミー最後のホームズだし……もう涙、涙ですよ。
 しかも、それまで薬物治療の悪影響で第4シリーズの後半あたり(1988年ごろ)から徐々に始まり、第34話『サセックスの吸血鬼』(1992年)くらいからいよいよのっぴきならなくなってきていたジェレミーの不健康な肥満が、第40話『マザランの宝石 / ガリデブが三人』での入院降板を経て復帰したのちの最終第41話『ボール箱』では、すっかりやせ細って初期シリーズのころの体形に戻っているんですよね。でも、それって、健康的なダイエットなはず、ないよね……

 リアルタイムで日本語吹替え版が順次 NHKで放送されていた当時、闘病中というジェレミーの事情を露ほども知らず、エピソードを追うたびに太っていくホームズを見て正直ガッカリしていた中学生の私は、『ボール箱』で久しぶりにスリムになった姿を観て無邪気に喜んでいたのですが、あれは魂の最後の輝き、生きるという呪縛から解放された者のはばたきの瞬間をとらえた奇跡の一作だったのです。最後の作品でワトスン、いや、ハードウィックに餞別の自転車用マントを贈ったジェレミーの笑顔……

 最近になって知ったのですが、なんでも、最終シーズンとなった第6シリーズ『シャーロック・ホームズの思い出』(ギャー、タイトルがもう反則よ!!)が初期シリーズのような「50分サイズ短編を6話」形式だったのは、ドラマ制作サイドがその前まで続いていた「短編をふくらませた2時間サイズ長編」形式を踏襲して新作を撮影しようとしていたところ、ジェレミーから反対の声があって急遽変更したのだそうです。
 私個人の意見を言わせていただければ、そりゃ確かに2時間ものはドイルの原作からだいぶ離れているところもあったので毀誉褒貶が激しかったのですが、それでもジェレミー演ずるホームズが観られるのならば、そっちの路線でもぜんぜん問題はなかったと思います。第35話『未婚の貴族』なんか、ともかくクセが強すぎるけど、グラナダホームズでしか現出せしめられない「悪夢のような」境地でしたよね……
 でもおそらく、自分に残された時間を考えるとそんな悠長なことも言ってられないという焦りもあったのでしょうし、ドラマ制作スタッフにも「とにかく1作でも多くのグラナダホームズを世に出したい。出してあげたい。」という共通の想いはあったのでしょうね。その結果、短編だとしても6本分ということで、撮影期間が2時間ドラマで想定していたよりも長くなってしまい、ワトスンを演じるハードウィックが先に入れていた映画撮影のスケジュールに重なったためにお休みするエピソードがあったり(第38話『金縁の鼻眼鏡』)、あまりの過酷さにジェレミーが倒れるという事態になってしまったのだと思われます。6話が6話とも『瀕死の探偵』じゃねぇかァ!! うえ~ん、笑うに笑えないよう!!

 初期の第3シリーズくらいまでの若々しいジェレミーが、快活にちょちょいのちょいでエピソードの映像化をこなしていき、だいたい2000年くらいに『最後の挨拶』で見事にしめくくりホームズもの全原作のドラマ化に成功するという世界線も、あってよかったとは思う! ハードウィックのワトスンも、ロザリー=ウィリアムズのハドスン夫人も、2000年までなら大丈夫! チャールズ=グレイのマイクロフトはぎりぎり(2000年没)!! だいいちジェレミーだって、2000年まで生きていたとしても、まだまだこれからの67歳なんですよ……神様、あと5年くらい時間をあげたって、良かったじゃないのよう!
 でも、晩年近くのあの痛々しすぎる姿を見てしまうと、「もっと長く生かしてあげたい」などという無慈悲な言葉、たとえ大ファンだとしても、いや、大ファンだからこそ、出ようはずもなく。生きることとは、まさに苦しむこと。あれが天命でいいじゃないか! 楽にさせてあげようじゃないか、とも。

 かようにも、グラナダホームズに思いをはせると感情はとめどなく大洪水を起こしてしまう私なのですが、最初にブラウン管(古!!)で出会ってしまった1985年から、すでに36年もの時間が経過してしまいました。それでもなお、何十回、何百回観ても、新しい感動、おもしろさは必ず見つかります。いくらオッサンとなったと言っても、ジェレミーがホームズを演じ始めた51歳にはまだおよばない若造ですからね。今週も、勉強させていただきます、ホームズ先生~!!

 ちなみに、自称ミステリー好きとして大きな声では言えないのですが、あんなに話題になっているベネディクト=カンバーバッチ版の『シャーロック』シリーズは、劇場公開された『忌まわしき花嫁』しか見てませんです……当然、ロバート=ダウニーJr 版も観てない!!
 嗚呼、グラナダホームズの呪縛はかくも強烈……ってすんません、他人のせいにしてないで、ちゃんとそのうち観ま~っす!!
 ……顔が野村萬斎みたいなのが、な~んかうさん臭くて受けつけないんだよな……ったく、ジュード=ロウがホームズやってくれよ……ブツブツ。
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おめでとう、モナミ~  ドラマ『名探偵ポワロ』シリーズの堂々完結をうらやむ ≪7年ぶりの本文……≫

2021年09月12日 21時57分42秒 | ミステリーまわり
 いや~、ひどいもんでございますよ。
 これ、元の記事が2014年に出したやつなんですよ。7年越しの2021年にようやっと本文ってわけよ! まぁ、待ってたという超奇特なお人もそうそうはおられないだろうし、特にどうってこともないとは思うのですが。

 当時2014年3月に、あの『名探偵ポワロ』シリーズに関するあれこれをまとめてみたのは、その前年2013年にイギリス本国でついにポワロ最後の事件である『カーテン』を最終話とする第13シーズンが堂々放送されたというニュースを受けてのもので、この記事の約半年後、2014年9~10月に NHKで放送された日本語吹替え版については、放送されていないので当然まったく触れていません。まぁいずれ放送されるんだろうけど、ポワロ役の熊倉一雄さんのお歳もお歳(当時87歳!)だしなるべく早く吹替え版を作ってほしいなぁ~、と思っていたのでした。
 結局、記事を出してすぐ熊倉版の『カーテン』も無事に世に出て、日本における『名探偵ポワロ』シリーズも終わってホッと一安心とはなったのですが、まるでこのお仕事をもって肩の重い荷が下りたとでも言わんばかりに、熊倉一雄さんは翌2015年10月12日にご遠行。まさしく『名探偵ポワロ』シリーズは、私立探偵エルキュール=ポワロの生涯を描き切ったと同時に、俳優デイヴィッド=スーシェと声優・熊倉一雄にとってもライフワークとなった伝説のドラマだったのですな。スーシェさんはまだまだご健在ですが!

 んで、あそこまで資料をずらずら~っと載っけておきながら、肝心かなめの第13シーズン(というか『カーテン』)を観てないという重大な欠陥があったことと、まぁなんやかやで忙しかったこともありまして、2014年当時はついにたどり着けなかった本文に、今回やっとたどり着いたと! いや、NHK版が初放送された秋ごろに本文出せばよかったのに、そのタイミングを逃したから7年後にやっと書いたという、このザマです。

 そうなんですよ。今回突然、思いだしたかのように『名探偵ポワロ』に関するつれづれを書こうと思い立ったのは、その熊倉一雄さんがお亡くなりになった2015年10月12日の直後となる10月24日から、NHK BSプレミアムで放送が開始された『名探偵ポワロ』シリーズの「ハイビジョン・リマスター版」が、つい昨日の2021年9月12日の最終話『カーテン』放送をもって完結したことがきっかけなのです。いや~、長かったですね! 毎週土曜日夕方に1話ずつやってたから、まるまる6年かかったわけですな。途中で、ポワロが出ない全く別口のクリスティ原作ドラマとか、ジョン=マルコビッチのポワロとかもやってましたよね?
 いや~、毎週毎週、この再放送は楽しみにして観てました。ほんと、毎回毎回必ずチェックしていた唯一のテレビ番組でしたよ。それがついに昨日で終わってしまった……一体これから何を楽しみにして生きていけばよいのだ!? 来週からこの枠なにをやるんだろ。

 今回のハイビジョン再放送版は6年間も放送していたのですが、そもそもイギリス本国の13シーズン全70話(1989~2013年)も、その日本語吹替え版(1990~2014年)もおよそ四半世紀もの歴史があったわけですから、そこから見ればかなりの駆け足でスーシェポワロの生涯を(おもに定年後の後半生ですが)堪能するという幸せな時間なのでございました。1930~40年代のアール・デコ美術、落ち着いた俳優たちの名演対決、クリストファー=ガニングのオシャレすぎるテーマ曲、もう最高の休日~!!
 ちょうど折も折、私が実家の山形に帰ってきて現在の生活を始めたのが2015年だったので、NHK版の初放送時に見逃していたエピソードも含めて、ほぼ全てのポワロ探偵譚を楽しむことができました。1990年代まで放送されていた約50分の短編エピソードはなつかしく軽快、それ以降の最終話まで続く約100分の長編エピソードは濃密なドラマと老いたるポワロの寂寥感たっぷり……リアルにお歳をとっていくスーシェポワロの魅力の変遷を観るだけでもう充分! 正直、肝心の原作のおもしろさがイマイチだったとしても、まぁまぁスーシェの立ち居振る舞いやゲストヒロインの美しさを眺めるだけで合格点はいけるというとてつもないドラマシリーズなのでした。
 それで、計画通りに主要な原作はほぼ全部無事に映像化しおおせてるんだもんなぁ~!! ほんとにうらやましい、うらやましい!! なにはなくとも、私はグラナダ版『シャーロック・ホームズの冒険』シリーズ(1984~94年)の信奉者なんですから、うらやましいったらないよコンチクショ~!!
 なにがうらやましいって、挙げればたくさんあるんですが、特に素晴らしいのは以下の3点ですよね。

・原作小説をさらにおもしろくしながら放送時間に収めるアグレッシブな姿勢と、その成功率の高さ
・主演スーシェの心身ともに健康な演技
・最終話『カーテン』への収束を意識した、シリーズを通底する計画性の高さ

 うらやましいよ……これらぜ~んぶ、グラナダホームズで欲しかったやつ! でも、かなわなかった……

 原作小説をさらにおもしろく、という点で、ほんとに感心して私も画面を観ながら「うをを!」と思わずうなってしまったのは、なんと言っても第56話『葬儀を終えて』(2006年 第10シーズン)のクライマックスにおける犯人の「あの行動」でしたね! いや~あれはすごかった!!
 あの振る舞い、原作小説にはぜんぜん無くて、ポワロに犯行動機を言い当てられたことに半ば満足したような落ち着きをもって退場するはずだったのですが、まさか、あの場にいた人全員が凍りつくような、あんな感じのオリジナルアレンジをブッこんでくるなんて……あれをもって、犯人もまた、自分が計画的に作り出したはずの犯罪に、逆に心を蝕まれてしまった犠牲者なんだな、というサイコサスペンスな味わいを見事に残しているんですよね。トリックもよくよく想像すれば噴飯すれすれなアブないワンアイデアものなのですが、もう一度、いや何度でもドラマを最初から観返してみたくなる犯人役の方の凄絶な演技でした。
 もっと言うと、あの時の犯人の演技を、本人のしゃべる原語版と日本人の声優さんの吹替え版とで見比べてみたのですが、淡々とリアルに演じている原語版よりも、ややオーバーにキャラクターを誇張している吹替え版のほうが数倍こわかったです。いろんなおもしろ要素があるので軽々には言えないのですが、私個人としては、『名探偵ポワロ』シリーズのベストエピソードは、やっぱりこの『葬儀を終えて』と、同じくクライマックスでの犯人の立ち居振る舞いに、その人の業がまとわりつきすぎている第50話『五匹の子豚』(2003年 第9シーズン)の2作が同率トップでしょうか。いや~すごすぎる。
 いろいろ、100分の枠におさめるためのアレンジ&簡略化がきつすぎるとか、同性愛などの現代的な問題の盛り込み方が強引だとかいう批判もあるかとは思うのですが、果敢なチャレンジだと思うし、現に成功率も高かったような気はしています。はぁ~、グラナダホームズも、後期の長編ものはチャレンジはしているんですけれども、成功かというと、それは……でもでも、私がいちばん好きなグラナダホームズのエピソードは『サセックスの吸血鬼』ですよ! いや、ホントホント、無理してないってば!!

 あとはもう、もちろん42歳からポワロ役を始めて最後は67歳になっていたわけですから、スーシェさんも相応にお歳を重ねてはいたのですが、ポワロ自体がもう本業(警察官)を定年退職した後の私立探偵業ですから、そんなに激しいアクションがあるはずもなく、かなり肉体的&精神的な余裕をもって計画的かつ健康的にポワロの「老い」と「死」を表現しきることができた点に、このシリーズの幸運があったのではないでしょうか。裏方の制作に関しては相当な紆余曲折があったようなのですが、スーシェポワロがいるんだから大丈夫!という安心感は絶大だったのではないでしょうか。スーシェさんより20歳も年上の熊倉一雄さんも、さすがにシリーズ後半は滑舌に多少の変化こそありましたが、演技に支障が出るという程ではなかったかと思います。人間、やっぱり健康が第一だ!!
 満を持して完成したスーシェ版『カーテン』は、24年も続いたシリーズの最終話というよりは、ひとりの天才ポワロが、ついに「生身の人間」となってその生涯を終えたという原作『カーテン』をかなり忠実に映像化したという点が強く、せっかく最終シーズンで再集結したジャップ警部もレモンさんも、オリヴァ夫人も登場することなく、きわめてしめやかに放送されました。もちろん、ヘイスティングズとの別れはしっかり描かれているのですが、あの最後の事件の犯人が末期に見せた表情は、ポワロ最後の事件が決して勝利で終わったものではないことを如実に示しています。後味がよくないんですよね!
 ただし、ポワロの大いなる苦悩は『カーテン』にいたるまで様々なエピソードでその伏線が張られており、特にあの第64話『オリエント急行の殺人』(2010年 第12シーズン)なんかはその最たるもので、1974年の絢爛豪華な映画版を知っている人にとっては、なんでそんなに辛気臭くすんの!?という暗さと深刻さに満ち満ちていたと思います。でも、『名探偵ポワロ』シリーズとしては絶対に避けられない選択だったんでしょうね。後期エピソードに共通している、徐々に老いていくポワロを丁寧に見つめる描写こそが、最終話『カーテン』へと通ずる確とした伏線だったわけなんです! 『北の国から』の黒板五郎みたい!!

 われらがグラナダホームズもそうでしたが、天才探偵が快刀乱麻を断つスタイリッシュな前期が良いか、それとも人間として老い、他人を裁くという行為に探偵が苦悩する重厚な後期が良いか。同じシリーズでありながらも味わいが全く違う部分が出てくるのが、上質な長期ドラマシリーズの魅力なんですよね!

 第65話『複数の時計』(2011年 第12シーズン)で、ポワロの「ワトスン役」が、あのデイヴィッド=バーク(グラナダホームズの初代ワトスン!)の息子トム=バークだったり、特別ゲストでデイヴィッド=バークや2代目ワトスンのエドワード=ハードウィックが出たり、ジェレミー=ブレットの元嫁さん(アンナ=マッセイ 『フレンジー』)が出たりと、『名探偵ポワロ』シリーズは、まるで「グラナダホームズを偲ぶつどい」のような様相も呈していました。うれしすぎるサービス!
 先述した『葬儀を終えて』では、グラナダホームズシリーズでも随一の鬼畜っぷりを誇る殺人鬼グルーナー男爵を演じていたアンソニー=ヴァレンタインが、陽気なイタリア人のおっちゃん役で出てきていたし、ネタバレになるので名前は出せませんが、第63話『ハロウィーン・パーティ』(2010年 第12シーズン)では、ある人によるグラナダホームズのファンならば思わず爆笑してしまう演技がクライマックスで炸裂してしまいます。「おいおい、この人またおんなじことやってるよ~!!」みたいな。でも、本人はふざけてるつもりでなく100%本気で演じてるからいいんですよね。ダチョウ倶楽部みたいな伝統芸能的名演技。

 デイヴィッド=スーシェの『名探偵ポワロ』シリーズ、語りたいことはもっとも~っとタケモットあるのですが、ともかく、この奇跡の傑作群を世に出した製作スタッフ陣に大いに感謝したいと思います。大人のドラマづくりを最後まで貫いてくださったその姿勢に、敬礼!また再放送してくださ~い!!
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更新してみたよ! 明智小五郎に帰ってきてもらえてうれしいオレの事件簿 2010年代以降!!

2021年03月28日 18時04分07秒 | ミステリーまわり
令和になっても、やっぱり先生は健在だった!! 明智小五郎メディア化作品の歴史 ~2010年代~
 ※過去の関連記事は、こちら! ≪原作小説での明智小五郎の事件簿≫≪昭和・前アマチ期≫≪アマチ期≫≪20世紀ポストアマチ期≫≪2000年代以降(一部記事に重複あり)≫

映画『失恋殺人』(2010年4月 監督&脚本・窪田 将治)
 62代目・明智小五郎 …… 草野 康太(35歳)
 8代目・明智文代  …… 星野 真里(28歳)
 14代目・波越警部  …… 白州 本樹(?歳)
 ※江戸川乱歩の短編『妻に失恋した男』(1957年10月)を原作としているが、原作に明智夫妻は登場しない。
 ※明智小五郎の妻・文代が実質的な探偵役になっている珍しい作品。

ラジオドラマ『黄金仮面』(2010年4月 NHK-FM「青春アドベンチャー」全10回)
 61代目・明智小五郎 …… 篠井 英介(51歳)
 怪盗黄金仮面    …… 立川 三貴(たちかわ みつたか 60歳)
 15代目・波越警部  …… 佐藤 輝(さとう てる 65歳)
 ※黄金仮面役の立川三貴はかつて、1983~84年に TVドラマ『怪人二十面相と少年探偵団』で怪人二十面相の役を演じていた。

TV ドラマ『三代目明智小五郎 今日も明智が殺される』(2010年4~6月放送 全10回 TBS )
 明智小五郎の孫・中五郎  …… 田辺 誠一(41歳)
 小林芳雄の孫・めぐみ   …… 小池 里奈(16歳)
 明智小五郎の息子・大五郎 …… 西岡 徳馬(63歳)
 三代目怪人二十面相    …… 片桐 仁(36歳 ラーメンズ)
 ※毎週火曜日深夜0:55~1:25に放送されていた、脚本家・福島充則によるオリジナルコメディ作品。
 ※物語の舞台は現代で、明智小五郎の孫・中五郎が毎回殺人事件の被害者として殺され、犯人を見つけ出すことによって復活するという設定になっている。
 ※幽霊となった中五郎が生きている小林めぐみと共に事件解決に乗り出すという流れで、すでに故人となっている中五郎の父・大五郎の霊が、事件を解決した中五郎を現世に戻す役割を担っている。
 ※明智中五郎役の田辺誠一は、かつて2000年に野村證券の TVコマーシャルで金田一耕助の役柄を演じたことがあった。
 ※2004年の TVドラマ『乱歩R』(日本テレビ)に登場した「三代目明智小五郎」(演・藤井隆)との関係はもちろん不明だが、いちおう調べておくと田辺誠一のほうが藤井隆よりも3歳年上。

舞台公演『黄金仮面』(2011年2~3月に東京・全労災ホールスペースゼロなど3都市で上演)
 63代目・明智小五郎 …… 小西 遼生(29歳)
 怪盗黄金仮面    …… 井上 優(29歳 声優)
 32代目・小林芳雄  …… 佐藤 永典(ひさのり 21歳)
 16代目・波越警部  …… 鷲尾 昇(34歳) 
 ※演劇ユニット「*pnish*(パニッシュ)」のプロデュース公演。

ラジオドラマ『魔術師』(2012年2月 NHK-FM「青春アドベンチャー」全10回)
 61代目・明智小五郎 …… 篠井 英介(53歳)
 魔術師       …… 橋爪 功(70歳)
 9代目・明智文代  …… 粟田 麗(あわた うらら 37歳)
 15代目・波越警部  …… 佐藤 輝(66歳)

舞台公演『黒蜥蜴』(2012年6月に東京・明治座で上演)
 64代目・明智小五郎 …… 加藤 雅也(48歳)
 14代目・女賊黒蜥蜴 …… 浅野 ゆう子(51歳)
 ※三島由紀夫の戯曲ではなく江戸川乱歩の小説を直接の原作としている。

舞台公演『黒蜥蜴』(2013年4~6月、2015年9月に東京ル・テアトル銀座など全国で上演)
 65代目・明智小五郎 …… 木村 彰吾(33~35歳)
 3代目・女賊黒蜥蜴 …… 美輪 明宏(77~80歳!!)
 ※三島由紀夫の戯曲の舞台化。美輪サマも、ようやるわ……
 ※明智小五郎役の木村彰吾は、2003年の舞台版では雨宮潤一役だった。出世したねぇ!

スペシャルドラマ『金田一耕助 VS 明智小五郎』(2013年9月 フジテレビ)
 66代目・明智小五郎 …… 伊藤 英明(38歳)
 31代目・金田一耕助 …… 山下 智久(28歳)
 33代目・小林芳雄  …… 羽生田 挙武(15歳)
 10代目・明智文代  …… 吉田 羊(年齢非公表)
 ※ミステリー作家・芦辺拓によるパスティーシュ小説『明智小五郎対金田一耕助』(2002年)を映像化したもので、江戸川乱歩作品でも横溝正史作品でもなく、2005年に放送されたスペシャルドラマ『明智小五郎 VS 金田一耕助』(テレビ朝日)ともいっさい関係がない。

スペシャルドラマ『金田一耕助 VS 明智小五郎ふたたび』(2014年9月 フジテレビ)
 66代目・明智小五郎 …… 伊藤 英明(39歳)
 31代目・金田一耕助 …… 山下 智久(29歳)
 33代目・小林芳雄  …… 羽生田 挙武(16歳)
 10代目・明智文代  …… 吉田 羊(年齢非公表)
 ※ミステリー作家・芦辺拓によるパスティーシュ小説『明智小五郎対金田一耕助ふたたび』(2013年)を映像化したもので、前年に放送されたスペシャルドラマ『金田一耕助 VS 明智小五郎』の続編。

映画『D坂の殺人事件』(2015年2月 監督&脚本・窪田 将治)
 62代目・明智小五郎 …… 草野 康太(40歳)
 11代目・明智文代  …… 大谷 英子(29歳)
 17代目・波越警部  …… 近藤 芳正(53歳)
 ※映画『失恋殺人』(2010年)に続く、窪田将治監督・脚本による「江戸川乱歩エロティックシリーズ」の第2作。
 ※内容は『D坂の殺人事件』に『屋根裏の散歩者』を組み合わせたもので、『屋根裏の散歩者』の主人公・郷田三郎(演・河合龍之介)も登場する。
 ※原作での明智小五郎は私立探偵として身を立てていない書生風の若者だが、本作ではすでに私立探偵事務所を経営していて妻の文代も勤務している。

アニメシリーズ『乱歩奇譚 Game of Laplace』(2015年7~9月 全11話 フジテレビ)
 67代目・明智小五郎     …… 櫻井 孝宏(41歳)
 34代目・小林芳雄      …… 高橋 李依(りえ 21歳)
 8代目・中村捜査一課係長  …… チョー(57歳)
 怪盗・影男         …… 子安 武人(48歳)
 15代目・女賊黒蜥蜴     …… 日笠 陽子(30歳)
 31代目・怪人二十面相(先代)…… 福山 潤(36歳)
 32代目・怪人二十面相(当代)…… 小西 克幸(42歳)
 ※江戸川乱歩の諸作品を原作としているが、時代設定は放送当初から見た近未来「2016年」にアレンジされており、明智小五郎は高校生、小林芳雄は中学生となっている。

スペシャルドラマ『黒蜥蜴』(2015年12月 フジテレビ)
 68代目・明智小五郎 …… 渡部 篤郎(47歳)
 16代目・女賊黒蜥蜴 …… 真矢 ミキ(51歳)
 35代目・小林芳雄  …… 竜星 涼(22歳)
 18代目・波越警部  …… 山下 真司(64歳)
 ※監督・根本和政、脚本・深沢正樹による「江戸川乱歩生誕120周年・没後50周年記念作品」で、『黒蜥蜴』の9度目の映像化(三島由紀夫による戯曲版の映像化も含める)。
 ※物語の時代設定は現代にアレンジされており、小林芳雄は明智小五郎の探偵助手ではなく波越警部の直属の部下にあたる警視庁捜査一課刑事に設定されている。

TV ドラマ『シリーズ・江戸川乱歩短編集 1925年の明智小五郎』(2016年1月 NHK BSプレミアム)
 69代目・明智小五郎 …… 満島 ひかり(30歳)
 ※「原作を忠実に映像化」をコンセプトとする1作30分構成の TVドラマシリーズの第1弾で、『D坂の殺人事件』、『心理試験』、『屋根裏の散歩者』が映像化された。
 ※明智小五郎役の満島ひかりは男性として明智を演じている。

舞台公演『RANPO chronicle 蜃気楼奇譚』(2016年3月 東京・大森シアターノルン)
 70代目・明智小五郎(『心理試験』)   …… 森本 亮治(33歳)
 71代目・明智小五郎(『 D坂の殺人事件』)…… 柴木 丈瑠(33歳)
 ※HYBRID PROJECT によるアトリエ公演。
 ※『心理試験』、『算盤が恋を語る話』、『一人二役』、『 D坂の殺人事件』の短編4作をオムニバス形式で上演。
 ※上演演目の内、『心理試験』と『 D坂の殺人事件』は、のち2016年11月に『 RANPO chronicle 虚構のペルソナ』内の『 SHADOW SIDE』として再演されている(東京・新宿シアターサンモールにて上演)。

映画『屋根裏の散歩者』(2016年7月 監督&脚本・窪田将治)
 62代目・明智小五郎 …… 草野 康太(41歳)
 12代目・明智文代  …… 松本 若菜(32歳)
 17代目・波越警部  …… 近藤 芳正(54歳)
 ※『失恋殺人』(2010年)、『 D坂の殺人事件』(2015年)に続く、窪田将治監督・脚本による「江戸川乱歩エロティックシリーズ」の第3作。
 ※原作での明智小五郎は私立探偵として身を立てていない書生風の若者だが、本作ではすでに私立探偵事務所を経営していて妻の文代も勤務している。
 ※監督・脚本の窪田将治は、本作の後も江戸川乱歩原作の諸作を『赤い部屋』シリーズとして映画化している(2019年の『メビウスの悪女』、2020年の『裸の天使』、2021年公開予定の『聖なる蝶』)が、内容は現代にアレンジしたものとなっており明智小五郎は登場しない(ただし、窪田作品で明智小五郎を演じた草野康太は出演している)。
 ※ちなみに、窪田監督作品最新作(2021年3月時点)の『赤い部屋 聖なる蝶』の原作は『少年探偵団』シリーズの『悪魔人形』(1957年)であるが、内容は大幅にアレンジされており明智小五郎も少年探偵団も怪人二十面相も登場しない……ようだ。

舞台公演『江戸川乱歩傑作シリーズ 悪魔の紋章』(2016年9月 東京・北池袋新生館シアター)
 72代目・明智小五郎 …… 林 正樹(39歳)
 ※ミステリー専門劇団・回路R による演劇公演。

アニメシリーズ『 TRICKSTER 江戸川乱歩「少年探偵団」より』(2016年10月~17年3月 全24話 TOKYO MX)
 73代目・明智小五郎  …… 小野 大輔(38歳)
 36代目・小林芳雄   …… 山下 大輝(27歳)
 33代目・怪人二十面相 …… GACKT(43歳)
 中村奈緒刑事     …… 田所 あずさ(22歳)
 ※江戸川乱歩の『少年探偵団』シリーズや諸作品を原作とし、時代設定を2030年の近未来にアレンジしている。主人公は小林芳雄。中村警部にあたる人物は女性に変更されている。
 ※ TVアニメシリーズの他に「TRICKSTER プロジェクト」として、コミカライズ、舞台演劇化などのクロスメディア展開を行った。

TV ドラマ『シリーズ・江戸川乱歩短編集II 妖しい愛の物語』(2016年12月 NHK BSプレミアム)
 69代目・明智小五郎 …… 満島 ひかり(31歳)
 ※「原作を忠実に映像化」をコンセプトとする1作30分構成の TVドラマシリーズの第2弾で、『何者』(1929年)、『黒手組』(1925年)、『人間椅子』(1925年)が映像化された(『人間椅子』に明智小五郎は登場しないが満島ひかりは別の役で主演している)。

アニメシリーズ『超・少年探偵団 NEO』(2017年1~3月 全13話 TOKYO MX)
 7代目明智小五郎  …… 細谷 佳正(34歳)
 7代目小林少年   …… 木村 良平(32歳)
 7代目怪人二十面相 …… 江口 拓也(29歳)
 ※江戸川乱歩の『少年探偵団』シリーズを原作とする1エピソード5分間のミニアニメシリーズで、時代設定を2117年の未来にアレンジしており、明智小五郎・小林芳雄・怪人二十面相はそれぞれ本家から数えて「7代目の子孫」という設定になっている。

舞台公演『 TRICKSTAR the STAGE』(2017年4月12~16日 東京・Zepp ブルーシアター六本木)
 74代目・明智小五郎  …… 鯨井 康介(29歳)
 37代目・小林芳雄   …… 山下 大輝(26歳)
 34代目・怪人二十面相 …… 細貝 圭(32歳)
 ※ TVアニメシリーズ『 TRICKSTER 江戸川乱歩「少年探偵団」より』の舞台演劇化作品で、クロスメディア展開「TRICKSTER プロジェクト」のひとつ。

舞台『乱歩奇譚 Game of Laplace』(2017年4月12~16日 東京・新宿シアターサンモール)
 75代目・明智小五郎    …… 北園 涼(25歳)
 34代目・小林芳雄     …… 高橋 李依(23歳)
 9代目・中村捜査一課係長 …… 福地 教光(35歳)
 怪盗・影男        …… 髙木 俊(36歳)
 35代目・怪人二十面相   …… 富田 翔(35歳) 
 ※ 2015年に放送された TVアニメシリーズ『乱歩奇譚 Game of Laplace』の舞台演劇化作品で、アニメ版の『人間椅子編』をもとにしている。
 ※アニメ版でも小林芳雄を演じていた声優の高橋李依が主演しているが、それ以外のキャスティングは変更されている。
 ※同じくアニメ作品をもとにしている『 TRICKSTAR』の舞台化作品とまったく同じ日程で上演しているあたり、もうバチバチですな!! そんとき東京にいたかったな~。

舞台公演『黒蜥蜴』(2017年6月 東京・三越劇場)
 76代目・明智小五郎 …… 二世 喜多村 緑郎(48歳)
 17代目・女賊黒蜥蜴 …… 河合 雪之丞(46歳)
 ※江戸川乱歩の原作による、劇団新派公演。

舞台公演『江戸川乱歩傑作シリーズ 恐怖王』(2017年9月 東京・北池袋新生館シアター)
 72代目・明智小五郎 …… 林 正樹(40歳)
 ※ミステリー専門劇団・回路R による演劇公演。

舞台公演『黒蜥蜴』(2018年1~2月 東京・日生劇場ほか)
 77代目・明智小五郎 …… 井上 芳雄(38歳)
 18代目・女賊黒蜥蜴 …… 中谷 美紀(42歳)
 ※三島由紀夫の戯曲版を原作とする。

舞台『乱歩奇譚 Game of Laplace パノラマ島の怪人』(2018年4月 東京・新宿シアターサンモール)
 75代目・明智小五郎    …… 北園 涼(26歳)
 34代目・小林芳雄     …… 高橋 李依(24歳)
 9代目・中村捜査一課係長 …… 福地 教光(36歳)
 怪盗・影男        …… 髙木 俊(37歳)
 35代目・怪人二十面相   …… 富田 翔(36歳) 
 15代目・女賊黒蜥蜴    …… 日笠 陽子(32歳)
 ※2015年に放送された TVアニメシリーズ『乱歩奇譚 Game of Laplace』の舞台演劇化第2作で、アニメ版の『芋虫編』と『パノラマ島奇譚編』をもとにしている。

舞台公演『朗読サスペンス劇場スペシャル 黒蜥蜴』(2018年4~5月 東京・高円寺 HACO)
 72代目・明智小五郎 …… 林 正樹(41歳)
 19代目・女賊黒蜥蜴 …… 山畑 恭子(?歳)
 ※ミステリー専門劇団・回路R による朗読劇公演。

映画『BD 明智探偵事務所』(2018年10月 監督・名倉良祐)
 78代目・明智小五郎  …… 小木 茂光(56歳)
 38代目・小林芳雄   …… 小澤 廉(B2takes!! 27歳)
 36代目・怪人二十面相 …… わたる(B2takes!! 20歳)
 ※男性アイドルグループ「B2takes!!(ビートゥーテイクス)」のメンバーが総出演した映画。

スペシャルドラマ『名探偵・明智小五郎』(2019年3月 テレビ朝日)
 79代目・明智小五郎  …… 西島 秀俊(48歳)
 39代目・小林芳雄   …… 伊藤 淳史(35歳)
 13代目・明智文代   …… 石田 ゆり子(49歳)
 18代目・波越刑事部長 …… 香川 照之(53歳)
 ※2夜連続(各2時間10分枠)で放送されたスペシャルドラマで、『怪人二十面相』を原作としているが物語の舞台は現代にアレンジされている。
 ※現代にあわせて、明智夫妻はサイバーセキュリティ企業の経営者で小林芳雄は警視庁刑事部の主任刑事(波越刑事部長の部下)、怪人二十面相は国際的ハッカー集団「ファントム20」で、少年探偵団は明智小五郎が私的に組織するハッキングチームというように設定が変更されている。

舞台公演『音楽劇 KAIJIN20? 新・怪人二十面相』(2019年5月 東京・新宿村 LIVE)
 80代目・明智小五郎  …… 日出郎(54歳)
 37代目・怪人二十面相 …… 中島 礼貴(24歳)
 ※REDNOWLAND プロデュース公演。

TV ドラマ『ひみつ×戦士 ファントミラージュ!』第15話『名探偵 VS ファントミダイヤ!』(2019年7月放送 テレビ東京)
 明土(あけっち)小五郎(名誉81代目)…… 堀内 正美(69歳)
 怪盗二十面相(名誉38代目)     …… 諏訪 太朗(64歳)
 ※三池崇史監督プロデュースによる実写変身少女ドラマ「ガールズ×戦士」シリーズの第3作の1エピソードで、主人公「ファントミラージュ」のひとり・紅羽セイラ(演・石井蘭)が、世紀の大怪盗・怪盗二十面相の娘という設定になっている。石井蘭さんって、当時14歳なんですが……孫じゃなくて、娘。
 ※明土小五郎も怪盗二十面相も純然たるパロディキャラなので本来ならば本家にカウントされるべきではないのだが、堀内正美と諏訪太朗という、いったい「なに相寺昭雄」に捧げるんだという志の高いキャスティングに敬意を表して、我が『長岡京エイリアン』独自のわがままとしてカウントさせていただきました。生前にやってよ~!!

舞台『乱歩奇譚 Game of Laplace 怪人二十面相』(2019年8月 東京・品川プリンスホテルクラブ eX)
 75代目・明智小五郎     …… 北園 涼(27歳)
 34代目・小林芳雄      …… 高橋 李依(25歳)
 9代目・中村捜査一課係長  …… 福地 教光(37歳)
 怪盗・影男         …… 髙木 俊(38歳)
 35代目・怪人二十面相(当代)…… 富田 翔(37歳) 
 39代目・怪人二十面相(先代)…… 山﨑 晶吾(27歳)
 15代目・女賊黒蜥蜴     …… 日笠 陽子(33歳)
 ※2015年に放送された TVアニメシリーズ『乱歩奇譚 Game of Laplace』の舞台演劇化第3作で、アニメ版の『怪人二十面相編』をもとにしている。

ミュージカル公演『怪人と探偵』(2019年9~10月 横浜・神奈川芸術劇場ほか)
 82代目・明智小五郎  …… 加藤 和樹(34歳)
 40代目・怪人二十面相 …… 中川 晃教(36歳)
 10代目・中村警部   …… 六角 精児(57歳)
 ※演出・白井晃、楽曲プロデュース・森雪之丞による、『怪人二十面相』を原作としたパルコプロデュース公演。

映画『超・少年探偵団 NEO Beginning』(2019年10月 監督・芦塚慎太郎)
 明智小夜       …… 堀田 真由(21歳)
 小林芳狼       …… 高杉 真宙(まひろ 23歳)
 小林芳信(芳狼の父) …… 丸山 智己(44歳)
 41代目・怪人二十面相 …… 神谷 浩史(44歳)
 ※ミニアニメシリーズ『超・少年探偵団 NEO』の前日譚にあたる実写映画作品で、明智小五郎・小林芳雄のひ孫たちが存在する2010年代現在に時代設定がアレンジされている。
 ※作中(2010年代)に登場する怪人二十面相と、1930年代から活躍していた原作小説の怪人二十面相との関係は不明ということになっている。

スペシャルドラマ『黒蜥蜴 BLACK LIZARD 』(2019年12月 NHK BSプレミアム)
 83代目・明智小五郎  …… 永山 絢斗(30歳)
 20代目・女賊黒蜥蜴  …… りょう(46歳)
 40代目・小林芳雄   …… 佐久間 由衣(24歳)
 11代目・中村刑事部長 …… 佐野 史郎(64歳)
 42代目・怪人二十面相 …… 松尾 貴史(59歳)
 ※林海象の監督・脚本による、『黒蜥蜴』の10度目の映像化(三島由紀夫による戯曲版の映像化も含める)。
 ※物語の時代設定は「サイバーセキュリティをすり抜けるハイテク犯罪が横行する架空の近未来」に設定されている。

ドラマ『妖怪博士』(2021年3月25日放送 NHK BS プレミアム『シリーズ・江戸川乱歩短編集Ⅳ 新!少年探偵団』 30分)
 69代目・明智小五郎     …… 満島 ひかり(35歳)
 44代目・怪人二十面相    …… 善雄 善雄(35歳)
 41代目・小林芳雄      …… 高橋 来(らい 12歳)
 12代目・中村善四郎捜査係長 …… 斉木 しげる(71歳)
 ※満島ひかり主演による『シリーズ・江戸川乱歩短編集Ⅲ』(『お勢登場』・『算盤が恋を語る話』・『人でなしの恋』の映像化 2018年)に明智小五郎は登場しなかったが、今作では3作すべてに明智小五郎が登場している。
 ※不甲斐なし!! 第1話『怪人二十面相』と第2話『少年探偵団』を思いッきり見逃してしまったため、第42・43代目怪人二十面相と第41代目小林芳雄、中村警部あたりの更新情報を確認できず。追って視聴でき次第記す所存。

舞台公演『朗読サスペンス劇場スペシャル 名探偵明智小五郎と暗闇の誘拐魔』(2021年4月 有料配信)
 72代目・明智小五郎 …… 林 正樹(44歳)
 ※ミステリー専門劇団・回路R による朗読劇公演(新型コロナウイルス対策により有料配信形式となる)。
 ※『黒手組』を原作とする。
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芦辺拓パスティーシュ作品群における明智小五郎と金田一耕助の事件簿

2021年03月11日 20時23分28秒 | ミステリーまわり
≪注意:物語の年月表記や作中人物の年齢設定の中には、我が『長岡京エイリアン』の独断で規定したものもあります。≫

『天幕と銀幕の見える場所』(1999年12月)
事件発生 …… 大正十(1921)年5月 大阪
平井太郎(27歳)、明智小五郎、怪人二十面相、小林芳雄
※小説家となる前の江戸川乱歩の体験談。

『屋根裏の乱歩者』(1994年10月)
事件発生 …… 大正十五(1926)年6月 京都
『屋根裏の散歩者』(江戸川乱歩 1925年8月発生)
江戸川乱歩(32歳)、横溝正史(24歳)、衣笠貞之助(30歳)、円谷英二(25歳)
※自身の小説『屋根裏の散歩者』の映画化に際して主演することになった江戸川乱歩の体験談。

『少年は怪人を夢見る』(2000年10月)
事件発生 …… 昭和五(1930)年8月 鎌倉
『幽霊塔』(江戸川乱歩 1915年12月発生)、『一枚の切符』(江戸川乱歩 1923年6月発生)、『百面相役者』(江戸川乱歩 1925年7月発生)、『パノラマ島奇談』(江戸川乱歩 1926年9月発生)、『黄金仮面』(1930年8月発生)、『怪人二十面相』事件(江戸川乱歩 1936年1月発生)
怪人二十面相、百面相役者、波越警部、芦屋暁斎、左右田五郎、黄金仮面、明智小五郎(30歳)
※怪人二十面相の誕生エピソード。

『ホテル・ミカドの殺人』(1995年6月)
事件発生 …… 1933年5月 アメリカ合衆国サンフランシスコ
『マルタの鷹』事件(ダシール=ハメット 1929年8月発生)
金田一耕助(20歳)、チャーリー=チャン警部、サム=スペード、ダンディ警部補、トム=ポルハウス部長刑事
※アメリカ留学中の学生・金田一耕助が解決した事件。

『金田一耕助 meets ミスター・モト』(2013年8月)
事件発生 …… 1935年4月 アメリカ合衆国サンフランシスコ港
金田一耕助(22歳)、ミスター・モト
※金田一耕助がアメリカ留学を終えて日本に帰国する際のエピソード。

『明智小五郎対金田一耕助』(2002年11月)
事件発生 …… 昭和十二(1937)年11月 大阪
関連する事件 ……『悪魔の紋章』事件(江戸川乱歩 1937年10月発生)、『蝶々殺人事件』(横溝正史 1937年10月発生)、『幽霊座』事件発端(横溝正史 1936年8月)、『蝿男』事件(海野十三 1937年11月発生)、『怪人二十面相』事件(江戸川乱歩 1936年1月発生)、『本陣殺人事件』(横溝正史 1937年11月)
金田一耕助(24歳)、明智小五郎(37歳)、浅原警部(『蝶々殺人事件』)
※この作品において、明智小五郎は金田一耕助に1回会って1回電話で会話しているが、どちらでも金田一は相手を明智だとは認識していない。

『探偵、魔都に集う 明智小五郎対金田一耕助』(2014年6月)
事件発生 …… 昭和十六(1941)年6月 上海
金田一耕助(28歳)、明智小五郎(41歳)
※明智小五郎と金田一耕助が初めて本格的に対面した事件。

『明智小五郎対金田一耕助ふたたび』(2013年9月)
事件発生 …… 昭和二十二(1947)年9月 東京都世田谷区
関連する事件 ……『青銅の魔人』事件(江戸川乱歩 1949年1月発生)、『暗闇の中の猫』(横溝正史 1946年11月発生)、『びっくり箱殺人事件』(横溝正史 1948年1月発生)
金田一耕助(34歳)、明智小五郎(47歳)、等々力警部、小林芳雄、明智文代、風間俊六、御子柴進、野崎六助
※明智小五郎と金田一耕助が3度目に対面した事件。

『金田一耕助、パノラマ島へ行く』(2015年2月)
事件発生 …… 昭和三十六(1961)年2月 三重県伊勢湾沖パノラマ島
関連する事件 ……『パノラマ島奇談』(江戸川乱歩 1926年9月発生)
金田一耕助(48歳)、風間俊六

『明智小五郎、獄門島へ行く』(2015年8月)
事件発生 …… 昭和三十六(1961)年8月 瀬戸内海沖岡山・広島・香川県境獄門島
関連する事件 ……『獄門島』事件(横溝正史 1946年10月発生)、『夜光怪人』事件(横溝正史 1949年4月)
明智小五郎(61歳)、明智文代、小林芳雄、本鬼頭早苗、分鬼頭儀兵衛、金田一耕助(48歳)、風間俊六、磯川警部

『金田一耕助対明智小五郎』(2013年2月)
事件発生 …… 昭和三十九(1964)年2月 岡山
関連する事件 ……『黄金の怪獣』(江戸川乱歩 1962年1月発生)、『蝙蝠男』(横溝正史 1961年2月発生)
明智小五郎(64歳)、金田一耕助(51歳)、怪人二十面相、明智文代、小林芳雄、多門修、古川ナツ子
※金田一耕助と明智小五郎が最後に本格的に対面した事件。

『黄昏の怪人たち』(1999年8月)
事件発生 …… 昭和四十五(1970)年8月 場所不明
関連する事件 ……『人間豹』事件(1934年1月発生)、『電人M 』事件(1960年1月発生)
明智小五郎(70歳)、怪人二十面相、中村警部、明智文代、小林芳雄、人間豹、森江春策(12歳)
※明智小五郎と怪人二十面相との知られざる事件。小学生の森江春策と明智小五郎が出会う。

『瞳の中の女・異聞 森江春策からのオマージュ』(2014年8月)
事件発生 …… 昭和五十一(1976)年8月 東京都神田
関連する事件 ……『瞳の中の女』(横溝正史 1958年8月発生)
金田一耕助(63歳)、森江春策(18歳)
※大学受験を控えた高校三年生の森江春策と、日本に帰国した金田一耕助が出会う。
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